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したたかメディアテックの世界戦略、NTTドコモとの提携で日本攻略へ

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台湾のファブレスであるメディアテックがNTTドコモと提携、LTEの通信プラットフォーム「LTE-PF」のライセンス契約を締結した。本当は、このニュースを来週の「ニュース解説」で採り上げようと思っていたが、世界中からこのニュースを巡るブログが届いたりしたので、急きょ自分のブログで採り上げることにした。しかし、記者会見には別件があり出席できなかった。

NTTドコモの山田隆持社長(左)とメディアテックのCEO蔡明介氏(右)

NTTドコモの山田隆持社長(左)とメディアテックのCEO蔡明介氏(右)


メディアテックは、かつてはCD-ROMやDVDドライブ用のチップで一世を風靡した台湾のファブレスである。CD-ROMやDVDドライブは、深いノウハウがなくても誰でも製造できるモジュラー方式の典型的な製品と言われるが、メディアテックのICと三洋電機の光ピックアップさえ購入すれば誰でもCD-ROMを作れると言われた。メディアテックのチップにはどのCDディスクを入れても再生できるようにICチップにいろいろな規格のファームウェアを焼き込んでいたからだ。

最近は携帯電話のモデムチップで中国市場向けに圧倒的な強さを見せるファブレス企業に成長した。米市場調査会社のICインサイツが発表した2009年のファブレス半導体ランキングにおいて、エヌビデアやザイリンクス、アルテラなどよりも上位の4位にのし上がってきている。ちなみに1位はクワルコム、2位はAMD、3位はブロードコムである。

3Gの規格はW-CDMAにせよ、CDMA2000 1X EVDOにせよ、クアルコムのライセンスが必要である。このため、3Gのベースバンドチップを設計しようとすると必ずクアルコムからチップを買うか、ライセンス料を支払わなければならない。ところが、メディアテックだけはそのライセンス料を払わずにモデムチップを設計できるようにクアルコムとの交渉を勝ち取った。それは中国市場向けに限られた話ではあるが、メディアテックのチップを入手して安物、偽ブランドの2G携帯電話を作る業者が中国国内に後を絶たないことにメディアテック自身も頭を悩ましていた。クアルコムとの交渉において、メディアテックとしても彼らには売らないように流通ルートを確立するという約束の元で、3Gチップにはクアルコムにライセンス料を払わなくても済むような契約を交わした、と言われている。この話は台湾人の友人から聞いた。

メディアテックは偽物携帯で傷ついたブランド力を回復させるためにも次のLTEでは日本市場向けにNTTドコモとライセンスを結んだという訳だ。この提携は、ルネサスが先日、ノキアの一部門を買収したことの逆をいく話であり、日本のLTE携帯電話用に、国内携帯電話各社にメディアテックのモデムチップやベースバンドチップを売り込んでいく。ただし、メディアテックは日本だけに目が行っている訳ではない。世界中、あらゆる将来的な規格、可能性を探るべきして探っている。

彼らは、OHA(オープンハンドセットアライアンス)にも参加して、アンドロイド携帯やスマートフォンを作るつもりだろうし、ノキアのシンビアン財団にも加わっているという。マイクロソフトとも提携し、マイクロソフトのOSを載せたスマートフォン用のベースバンドチップも設計する。WiMAXのアライアンスにも加わっている。要は、通信、ネットワークのあらゆる可能性を全て試しているといえそうだ。

日本のIDMがWiMAXを捨てLTEに走ったこととは全く対照的といえる。メディアテックは今はまだどの方式が将来有望だとは決めつけられない状態だからこそ、さまざまな可能性を探り、試している。LTE方式でさえ、日本のドコモとだけビジネスをするつもりはない。欧州、米国とも提携することは間違いない。まだアナウンスはないが、セミコンポータルで紹介した英Cognovo社と提携するとしても驚かない。

矢継ぎ早に海外と提携、新規格を採り入れ、開発期間を短縮しビジネスを確実にものにする、メディアテックの姿勢は日本企業が見習うべきところかもしれない。

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