Nvidia、GPUのリースなど新ビジネスモデルを模索
NvidiaのGPUが高価すぎる、という声に応えて、これまでのGPU販売に加え、スタートアップ向けにリースも行うという噂がシリコンバレーに出ている。米国メディアは複数が報じている。また、中国のAlibabaと華為科技のAIチップの実力が明らかになってきた。日本のイビデンもAIチップの基板の生産量を2.5倍に引き上げるとしている。
図1 Nvidiaの本社 出典:Nvidia
米国のITメディアの一つ、The Informationの9月23日号は、複数のソースからOpenAIがNvidiaの高性能GPUを従来のような購入ではなく、数年間のリース契約を行うことで話し合いに入っている、と報じた。ハードウエアを購入したり、あるいはMicrosoftやAmazonのようなクラウドコンピュータを借りたりするのではなく、NvidiaのAIチップを5年間のリースで手元に置きながら運用するというもの(参考資料1)。この報道を元に複数の米国メディアが報じており(参考資料2)、騒いでいる様子がわかる。
リースにすれば、減価償却リスクを背負うことなく資本の負担を減らすことができる。OpenAIは、リースできるようになればハードウエアコストを10〜15%減らせると見込んでいるという。ただし、この数字の根拠は明らかではない。
かつてIBMの大型コンピュータビジネスは、相手に買い取らせるのではなく、リースで貸し出す方式だった。大型コンピュータの価格が当時でさえ100億円単位の価格だったからだ。NvidiaのAIチップの価格が高騰しているため、リースで貸し出す方式となっているようだ。
一方でその前日には、NvidiaがOpenAIに1000億ドルを出資すると発表している。9月24日の日本経済新聞は、「OpenAIは10GW(ギガワット)規模の巨大なAI開発向けのデータセンターを構築するほか、次世代のAIモデルを開発する」と報じている。NvidiaはまたOpenAIに100億ドルをすでに出資しており、OpenAIの時価総額5000億ドルの2%に相当する。
リースという新しいNvidiaのビジネスモデルの噂話は根拠のない訳ではない。9月6日にはNvidiaはクラウドスタートアップのLambdaに対して、リースバックという方式を導入したという話も出ている(参考資料3)。Lambdaがかつて購入したNvidiaのGPUサーバをNvidiaが買い戻し、その後で4年リースでLambdaが借りるというリースバック方式をとることでNvidiaとLambdaが合意したという。最初の4年で1万個のGPUを13億ドルでリース、その後8000個のGPU(おそらくローエンドか古い製品)を2億ドルで借りるというものらしい。Lambdaにとってはキャッシュを増やせるため経営が楽になる。
Alibabaが開発した半導体T-Head PPU(Parallel Processing Unit)を搭載したサーバを、同社の年次イベントで発表した、と9月25日の日経が報じた。日経はその半導体の実力に関しては報じていないが、米Electronic Engineering Timesはまとめている(参考資料4)。AlibabaのT-Head PPUのメモリ容量は96GB、メモリはHBM2e、インターコネクトバンド幅700GB/s、消費電力400W、プロセス7nmとなっており、比較するNvidiaのH20(H200より性能を落とした製品)は、それぞれ96GB、HBM3、約900GB/s、400W、TSMC 4Nプロセスとなっている。ちなみに華為のAscend 910Bでは、それぞれ32GB、HBM2e、約560GB/s、310W、SMIC 7nmプロセス、である。
AIチップを支える半導体基板大手のイビデンは、ICパッケージ向けの基板の生産量を27年には24年比で2.5倍に増やすと22日の日経が報じた。製造装置の入れ替えなどで現在の2拠点3工場体制から2025年度中に3拠点5工場体制に広げることで対応する。生成AIサーバ向けのIC基板であり、26年3月期におけるAIサーバ向けの需要は前期の2倍近くを見込んでいるという河島浩二社長のコメントを報じている。日経は「イビデンは生成AIサーバ向けICパッケージ基板で世界トップシェアとされる」と報じており、Nvidia向けであることは間違いない。
参考資料
1. “OpenAI may lease Nvidia GPUs instead of buying them - financial engineering deal could cut hardware costs in pursuit of 10GW buildout”, Tom’s HARDWARE, (2025/09/25)
2. “Nvidia’s investment in OpenAI will be in cash, and most will be used to lease Nvidia chips”, CNBC, (2025/09/24)
3. “Nvidia signs $1.5 billion deal with cloud startup Lambda to rent back its own AI chips - 18,000 GPUs will be leased over 4 years, as Lambda gears up for its IPO”, Tom’s HARDWARE, (2025/09/06)
4. “Alibaba Unveils Own AI Chip, Mounting Direct Challenge to Nvidia”, Electronic Engineering Times, (2025/9/23)


