米国政府がIntelに89億ドルを出資、9.9%の株式所有へ
米国政府がIntelに89億ドルを出資する、とIntelは 22日(日本時間23日)発表した。米国の技術・製造のリーダーシップを加速するためだとしている。また、理化学研究所は、スーパーコンンピュータ「富岳」の次世代機にNvidiaのGPUを使うことでNvidiaと提携した。スパコン性能のトップ10ランキングで、GPUを使っていない機種は富岳だけだった。
図1 IntelのLip-Bu Tan CEO 出典:Intel Corp. Newsroom
トランプ大統領は、IntelのLip-Bu Tan CEOが中国企業と関係していることで辞任を要求したが、Tan CEOがホワイトハウスに出向きトランプ大統領と会談した。Intelの状況を理解した大統領は、今度は手のひらを返したかのようにIntel支援を表明した。
IntelはCHIPs・科学法案により既に22億ドルを受け取っていたが、残りの57億ドルはまだ受け取っていなかった。さらにSecure Enclave計画(米国の安全保障、防衛などに関する機密性の高いセキュリティを構築するためのプロジェクト)の一部として32億ドルも受け取る予定だった。それらの合計として89億ドルを出資という形で株式を持つことになる。Intelは、Secure Enclave計画を実行し、国防総省に信頼できるセキュアな半導体を納入することは変わらないとしている。
Tan CEOは「先端ロジックの研究開発と製造を行う唯一の米国企業として、Intelが世界で最も先進的な技術を持つ企業であることを確信し約束する」と述べている。今回の出資は産業界を活性化する歴史的なもので、米国経済と安全保障の両面で不可欠だという。今回の出資は、1株当たり20.47ドルの株式を政府が4億3330万株を持つことになり、同社の株式の9.9%を保有することになる。
Intelの25年第2四半期の決算報告を見ると、売上額は前年同期比0.2%増の129億ドルとほぼ横ばいだが、営業損益は5億ドルの赤字となっている。パソコン部門とAIデータセンター部門など製品部門は黒字だが、製造のファウンドリ部門が32億ドルの赤字となっており、ファウンドリ部門として切り出して以降ずっと赤字が続いている。ファウンドリとはいうものの、自社製品が客となっているだけで、外部ユーザーを取り込んでいない。新規顧客を取り込むための設計技術営業がファウンドリではとても重要な役割を果たすが、この弱点が一向に改善されていないようだ。
また、国内では富岳の後継機にやっとGPUを使うことが決まった。GPUを使っていない富岳は昨年4位に、今年は7位にまた後退した。GPUはグラフィックス処理するためのプロセッサであるが、リアルタイムで絵を描くために積和演算器を大量に集積している。このため、スパコンが得意な数値演算に威力を発揮する。しかも数値演算した結果を、例えば熱や風、水などの流れを可視化する場合にはグラフィックスで絵を描く訳だから当然GPUは威力を発揮する。このため多くのスパコンがGPUを使っていた。最近はさらにAIにもGPUは都合良く、大量の積和演算器を使うニューラルネットワークのモデルを実行するのに向いている。
富岳はArmベースのCPUで数値演算も処理してきたが、さすがにGPUを使う方がCPU占有率からも望ましい。8月23日の日本経済新聞によると、富岳の100倍という圧倒的な計算能力を実現するという。ArmベースのIPコアを使ったCPUは富岳と同様、富士通が開発する。演算処理上でCPUとGPUを密に連携させるため、GPUをNvidiaと共同開発するとしている。


