キオクシア、ソニー共好調な数字を発表した24年10〜12月期
先週、キオクシアとソニー、中国SMICから2024年第4四半期(10〜12月期;4Q)の決算発表があった。キオクシアが回復、ソニー半導体は昨年並み、SMICは30%成長超えという結果だった。台湾の月次が発表され、TSMCは相変わらず急成長だ。小さな記事でTSMCの取締役会が米国で開催されるというニュースがあった。
キオクシアの4Qにおける売上額は、前年同期比71.8%増の4500億円、営業利益は1230億円となり、営業利益率は27.3%となった。またフリーキャッシュフローは778億円となっている。2024年1月〜12月の年間では、2023年度4Qの数字を加えて、1兆6815億円となる。24年度における売上額では今年の1〜3月期の数字を加えることになるため、推定だが1兆6744億円〜1兆7044億円と見込んでいる。
この数字だけだと好調さを表しているが、やや不安なのは対四半期で売上額が6.4%減となっている点。しかも次の四半期見通しが3150〜3450億円と下がっており、QoQ(前四半期比)で23〜30%減とマイナス成長になる。営業損失は170〜390億円の黒字となっているが利益率で1割に行くか行かないかという厳しい数字を見込んでいる。ただ、通常この半導体産業では季節要因によって、4Qがピークとなり翌1QはQoQ(前四半期比)で10〜15%程度ダウンすることを考えると、心配することではないかもしれないが。
ソニーの決算について2月14日の日本経済新聞が報じていたが、半導体部門については全く触れていない。実はソニーの決算報告の中で半導体部門は、「イメージング&センシング・ソリューション」になっている。今期の売上額は前年同期比(YoY)で1%減の5009億円、営業利益は975億円である。年間での売上額を求めようとすると、ソニーの2023年度4Qの決算で2024年1〜3月の売上額が3985億円となっているため、今年度の1〜3Qは4〜12月までの通期が1兆3900億円なので、2024年1〜12月の売上額が求められ、1兆7885億円となる。
図1 中国のファウンドリSMICの海外比率はますます減少 出典:SMIC
中国のSMICの決算も発表された。それによると2024年10〜12月期は売上額がYoYで31.5%増、QoQでも1.7%増の22億700万ドル、営業利益は2.14億ドルとなった。2024年間では売上額は27%増の80億3000万ドルとなり、営業利益は4億4700万ドルになった。SMICの売上額は4Q23では80.8%が中国で、2Q24でもその比率は80.3%だったが、3Q24では86.4%、4Q24では89.1%が中国となっており(図1)、自給自足体制に移っていく様子がはっきり見える。
台湾では毎月有力なIT(半導体含む)企業の売上額が発表されているが、TSMCの1月の売上額はYoYで35.9%増の2932.88億台湾元(1台湾元=0.031ドル)となり、90.9億ドル(1.45兆円)と大きな数字となっている。その好調さは、AIデータセンター向け需要に支えられている。これに対し、UMCの月次売上額はTSMCよりも一桁小さい198.07億台湾元(6.14億ドル)に留まっている。
小さな記事だが、13日の日経に、TSMCが初めての取締役会を米国で開催したというニュースがあった。これまでTSMCは台湾内でしか開催されなかった。海外の非常勤取締役も全て台湾に集まり、合計3日間のエベントを開いてきた。通常の台湾では1日目はディナーで取締役会のテーマとスケジュールについて話され、2日目は監査委員会と経営陣の給与を評価する給与報酬委員会が開かれ、3日目に取締役会が開かれるという。今回の米国初の取締役会では12日、取締役会で財務報告や配当額、全社の予算などについて決議したとのみ発表した、報じられている。今回の取締役会は、米国政府に対するTSMCのアピールの一つかもしれない。