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バイデン大統領の半導体支援500億ドル執行実現へ、SIACが設立

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米国半導体のメーカーとユーザーが、米国における半導体製造を強化するため、SIAC(Semiconductors in America Coalition:全米半導体連盟)を共同で設立した(参考資料1)。これは、大統領と議会に半導体製造の500億ドルの執行を促進させるための民間組織である。

SIACは、アメリカが弱い半導体製造と研究を強化・促進するために法律を制定してもらうことが狙いである。組織の設立と同時にホームページを立ち上げた。米国の動きは速い。米国は半導体をけん引するITが速いスピードを進行していることに対して半導体も早く動けるようにしたいという意図がある。ITや半導体の経済への規模や成長性はやはりずば抜けているため、米国経済と国防、重要インフラを強化する上で半導体が欠かせない、としている。

SIACはさらにCHIPS for America(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors for America)への予算を確保に向けた法律制定を促進するため、議会のリーダーたちにレターを送ったことも明らかにした。SIA(米半導体工業会)会長のJohn Neuffer氏は「米国の経済成長と国防、デジタル社会インフラ、技術立国を可能にする半導体はシステムとテクノロジーの頭脳である」と述べている。

しかもITが半導体をけん引しているからこそ、半導体ユーザーであるIT企業と手を組んでいる。SIACのメンバーは、SIAに所属する半導体メーカーは言うまでもなく、Amazon Web Service(AWS)やApple、AT&T、Cisco Systems、General Electric、Google、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Microsoft、Verizonである。現在、半導体不足が全世界的に問題視されているが、長期的にも国内の半導体サプライチェーンを強化し、Resiliency(素早く回復できる能力)を上げるためにも半導体製造の国内強化は欠かせない、とSIAC設立声明の中で述べている。

一方、日本でも5月12日の産経新聞のインタビューで、自民党の甘利明税調会長が党内に新たに「半導体戦略推進議員連盟」を発足させる考えを明らかにした(参考資料2)。5月下旬に初会合を開き、甘利氏が会長を務め、安倍前総理と麻生副総理兼財務大臣が最高顧問に就任するという。甘利氏は、昨年暮れのセミコンジャパン2020のオープニングパネルの中で、五神真東京大学総長、東哲郎東京エレクトロン元会長・社長と共に半導体産業への理解を示していた。

米国では政府の支援がなかったために今回のSIAC設立につながったが、中国ではすでに出来上がっている株式上場会社SMICにも支援している。5月17日の日本経済新聞では、2020年に産業補助金として総額2136億元(3.6兆円)を出資したという。SMICは、25億元(420億円)弱を受け取り、複数の政府系ファンドがSMICの傘下会社に22億5000万ドル(約2450億円)を出資した。北方華創科技集団や中微半導体設備など、半導体製造装置への補助金も積み増した、としている。

参考資料
1. Semiconductor Industry and Downstream Sector Leaders Form Coalition to Secure Federal Investments in Domestic Chip Manufacturing and Research (2021/05/11)
2. 5月に半導体戦略推進議連創設 自民・甘利税調会長明らかに (2021/05/12)

(2021/05/17)

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