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各社の第3四半期決算発表、やはり東芝は深刻

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先週、各社の2015年第1四半期~3四半期の決算報告があり、3期累計で日立製作所とソニーは増収・増益、パナソニックは減収・増益、東芝は減収・減益(マイナスの赤字)、という結果であった。売上増収とはいっても、好調な日立でさえ前年比4%増、ソニーは同0.5%増、パナソニックは同4%減、東芝は同6%減、であった。

特に東芝の状況は深刻である。投資家の心理状態を表す株価は11時30分現在176.7円と、200円から180円を切ってさらにまだ止まらない。今期(2015年度;2016年3月期)の最終赤字は7100億円になる見込みだと東芝は発表した。大手企業の赤字額としては、これまで大きく沈んだときの日立の7873億円、パナソニックの7721億円に匹敵する。7100億円はあくまでも見込みであるため、日立やパナソニックよりも「まだまし」ではない。再構築を急がなければならない時期に来ている。赤字により、今期末の自己資本比率は、前期末の17.1%からわずか2.6%へと急低下する、と2月5日の日本経済新聞は報じている。

同じ日経によると、白物家電やパソコン事業の再編には海外企業への売却も選択肢に入ると室町正志社長が語ったという。白物家電ではもはやシャープとの連合の可能性はなくなりつつある。シャープが東芝以上に悪化していながら、鴻海からの出資を決めかねているからである。ここでも待ったなしの状況のはずなのだが。東芝はパソコン事業では、携帯電話の時と同様、富士通と統合し、さらにソニーもVAIO部門も加えるとしている。電力・社会インフラ部門でも300億円の赤字が見込まれている、と4日の日刊工業は述べている。

ここへきてNANDフラッシュをはじめとする半導体にもブレーキがかかった。東芝の発表によると、2015年1~3四半期累計のセミコンダクター&ストレージ社の売上額は前年同期比7%減の1兆1907億円、営業損益は前年同期1929億円の黒字から237億円の黒字へと大幅に縮小した。特にこの第3四半期だけで見ると赤字になっており、第4四半期もきびしい。NANDフラッシュのけん引役だった、スマートフォンとパソコンの減速が大きく影響している。東芝は立場上、AppleにNANDフラッシュを納入していることを明らかにできないが、さまざまな機関によるティアダウン情報から、iPhoneには東芝のNANDフラッシュが使われている。AppleはiPhoneの減産をいつも通り、この1~3月に減産するため、NANDフラッシュもそれ合わせて減産する必要がある。

東芝は、システムLSI事業の新会社の名称を「ジャパンセミコンダクター」に決めた、と3日の日刊工業新聞が伝えた。新会社は大分工場と岩手工場を一体運営するとしているが、システムLSIにファブは必要だろうか。微細化しないシステムLSIとは、一体何か。アナログやミクストシグナルICは、システムLSIとは言わないだろう。システムと名乗る限り、ソフトウエアを埋め込む仕組みになっていなければならない。ASICのように単なるハードワイヤード回路をシステムLSIというのであれば、先行きが心配である。

先週は、半導体のオリンピックと呼ばれるISSCC(International Solid-State Circuits Conference)が米国のサンフランシスコで開催され、新機能、新性能のLSIの発表が相次いだ。日経産業新聞は富士通研究所とソシオネクストが共同で、56Gbpsと高速で消費電力を半減させたチップを報じ、日刊工業は、ルネサスエレクトロニクスのビデオ映像処理するためのLSIについて報じた。ルネサスのチップは、レイテンシが70msとリアルタイムで映像を転送できるシステムであり、CPUとGPUに加え、17個のマルチコアビデオ処理プロセッサを集積した。日刊工業は、東芝と東京大学は共同で開発した4MビットSTT-MRAMについて報道した。このチップは3nsのアクセス時間と消費電力1/10を得ており、完全に電力を遮断した状態からでも22nsという短時間でウェークアップできる。

最後に見逃せないニュースとして、米Googleがディープラーニングを利用して画像を認識する半導体を開発しているMobidius社と提携した、と2日の日経が伝えた。画像で検索したり、顔を認証したりするのに使える。半導体チップである以上、スマホだけではなくデータセンターなどのシステムにも使える。


(2016/02/08)

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