世界の半導体、26ヵ月連続成長を記録、DRAM価格下落が懸念材料

SIAによると、第2四半期(4-6月)における世界の半導体販売額は前四半期(1-3月)より1%増の850億ドルになった。6月の販売額は前月比0.4%減280億ドルだが、前年同月比では2%増となっている。これらの数字は全て3ヵ月の移動平均値である。

地域別の6月の販売額では、前年同月比で、中国が7.8%増、北米が5.6%増、アジア太平洋が5.2%増とプラス成長であるのに対して、日本が13.6%減、欧州が11.5%減となっている。前月比だと、日本は1%増、中国は0.6%増だが、他の地域はマイナスである。アジア太平洋地域が0.6%減、北米1.6%減、欧州1.7%減となっている。日本がわずかながら上向いていることを示している。ただし、日本と欧州はドル高の影響をまともに受けており、額面通りには受け取ることはできない。

国内では、半導体製造装置関係企業の業績が発表され、いずれも半導体関係は好調に推移していることを示している。堀場製作所は半導体製造装置向けの制御機器が韓国向けなどで増え利益を押し上げた、と8月6日の日本経済新聞が報じた。2015年1-6月期連結決算での純利益が前年同期比2倍の52億円となった。荏原製作所の4-6月期連結決算では、最終損益が24億円の赤字だったが、半導体研磨装置の需要は好調だったとしている。ニコンは4-6月期の経常利益が前年同期比49%増の69億円に増えた。2016年3月期の連結経常利益が前期比20%減の370億円だが、従来予想よりも40億円増えると上方修正した。

半導体製品の新しいニュースでは、東芝が記憶素子を48層に積み重ねる3次元フラッシュメモリと3ビット/セル方式で256Gビット品を開発したと発表した。9月からサンプルを出荷し、2016年から四日市工場で量産する予定だという。同じ工場で3次元メモリを開発するSan Diskも同様な3次元メモリを発表している。

国内の半導体ベンチャーも動き出した。栃木県小山市のパウデック社は、サファイヤ基板を用いるGaNパワー半導体で1200V品を開発した、と10日の日刊工業新聞が報じた。2017年の製品化を目指すという。東京大学発ベンチャーの青電舎（相模原市）は、半導体商社の菱洋エレクトロと共同で、触覚デバイスを開発したと5日の日経が報じた。自動車の操作パネルでの利用を狙い、自動車部品メーカーも加え製品化を目指す。ソニーとパナソニックの有機ELパネル事業を統合したJOLED社は、石川県川北町に来春、研究開発拠点を新設する、と4日の日経が伝えた。

今年後半の懸念材料として、DRAM価格の下落が進み始めたことを5日の日経が報じた。DDR3の4GビットDRAM品が7月前半と比べて4%減、年初の25%減となる2.75ドルの単価に下がったとしている。DRAMとフラッシュNANDの価格推移を調査している台湾のTrendforce社のDRAMeXchange部門は、DDR3 4Gバイトのメモリモジュール品の価格が6月の24ドルから7月に20.5ドルへと、15%下がったと発表した(参考資料1)。同調査会社は第3四半期には20ドルを切るだろうと見ている。DRAM価格は、昨年高止まりしていたことから今年に入り、ゆっくりと下落してきたが、ここにきて急速に下がった。この低下する要因は、パソコン用のDRAMの見通しが明るくないためだ。Windows 10の発表はパソコンの買い替えを促すほど強い需要を生まなかったからだと分析している。

IBMやマイクロソフト、アマゾンなどIT系企業ではクラウドサービスに力を入れている。特にIoT端末からのセンサデータの解析にクラウド利用を進めている。災害などによるビジネス停止を防ぐ意味から、大企業内のプライベートクラウドから、IT企業が構築するパブリッククラウドとのハイブリッド利用がじわじわと浸透し始めている。最近はIoTの解析サービスも提供し始めており、Industry 4.0などの工場の生産効率向上に一役買っている。クラウドサービスは、従来のASP（Application Service Provider）とは違い、自動的にリクエスト受付からデータ出力まで完全自動で顧客に対応することが特長である。データの読み方や、顧客との個別情報に関してはコンサルティングサービスを行う。

参考資料
1. Average DRAM Contract Price Fell 15% in July with Price of DDR3 4GB Products Close to $20 Threshold, TrendForce Reports（2015/08/05）