富士通の半導体事業の再編成決まる
富士通が半導体事業の再編成を正式に発表した。特に、会津若松工場と三重工場は、それぞれファウンドリ会社として分社化する。残ったシステムメモリ事業部と富士通エレクトロニクスは、共に富士通セミコンダクターグループの一員となる。分社化されるファウンドリ新会社も同じグループの一員とする。
図1 富士通半導体事業の再編成 出典:富士通
富士通は、製品の事業と生産ラインの工場をまだ持っているが、製品事業に関しては整理した。アナログ・マイコン事業は、今はSpansion社に全て譲渡され、Spansionの一部となった。パワーデバイス事業は2013年12月にTransphormに事業統合された。そしてシステムLSI事業はパナソニックとの合弁にすることを今年の4月に発表したが、7月31日に、富士通と富士通セミコンダクター、パナソニック、日本政策投資銀行の4社でファブレスの新会社を設立することで正式に合意した。
新ファブレス会社の社長には京セラ出身の西口泰夫氏が就任する予定だ。新会社の営業開始は2014年度第4四半期を予定している。富士通セミコンダクターとパナソニックは保有する映像・イメージング分野とネットワーク分野の経営資源を活かす形で集約するとしている。議決権の比率は、富士通40%、パナソニック20%、政策投資銀行40%、従業員は2800名になる。
生産ラインに関しては、共に2014年度第3四半期にファウンドリ新会社として分社化することを決めた。まず会津若松工場は、本社機能を持つ統括会社を設立、その下にアナログ製品のファウンドリを行う150mm工場会社と、マイコン・アナログ・特殊プロセスのファウンドリを行う200mm工場会社を設立する。このうち、200mm工場会社はオン・セミコンダクターとのファウンドリ契約に基づいて、オン・セミコンダクターの製品を生産していく。オンセミは10%の資本(出資額7億円)参加することで富士通と合意している。150mmの工場は今の所、他社との契約や合意の発表はない。富士通は、提携を計画している、としか述べていない。
三重工場に関しては、三重ファウンドリ新会社を設立するとしか発表しておらず、昨年までのTSMCとの話は消え、UMCとの合弁になるといううわさ話を日本経済新聞が以前報じたが、正式な発表には至っていない。今後外部パートナーとの提携を計画していると述べている。この工場では、既存の超低消費電力技術(おそらくSuVolta社からライセンス購入した技術)、不揮発性メモリ混載技術を特長としており、富士通はプロセスポーティングが高いことを訴求している。
富士通が事業再編を発表した同日、台湾のMediaTekが業績を発表し、4〜6月の連結純利益は前年同期比87%増の125億台湾ドル(425億円)になったという。売り上げは同63%増の541億台湾ドルになった。MediaTekはかつてCD-ROMの標準チップで売り上げを大きく伸ばした会社。現在はスマートフォン用のアプリケーションプロセッサ(APU)で大きく成長している。ただ、2年ほど前は中国の華為向けスマホ技術で伸ばしたが、APUが偽物ブランドの携帯電話機に流れてしまい、MediaTekは大きな打撃を受けた。このため、中国市場での流通体制を見直し、中国ブランドのスマホメーカーへの納入を確立した。これにより、APUで大きく伸ばした結果が現れた格好だ。