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2023年の半導体市場は11%減になりそうとGartnerが下方修正

2023年の世界半導体市場は、前年比11.2%減の5322億ドルに減少しそうだと市場調査会社のGartnerが4月時点で下方修正した。同時に2022年の半導体市場も前回(2023年2月)の調査を更新し、0.2%成長の5996億ドルとした。2024年は、2023年の反動を受けて同18.5%成長の6309億ドルと予想している。

Gartnerによる半導体売上予測 / Gartnerの数字をセミコンポータルが加工

図1 Gartnerの予測(縦軸単位:億ドル) 2023年は11%減と下方修正した 出典:Gartnerの数字をセミコンポータルが加工


今回のGartnerの下方修正は、2023年の予想で最大の落ち込み幅となる。昨年11月に前年比3.6%減と予想していたが、2023年2月には同6.5%減に下方修正し、そして今回、同11.2%減と修正した。また、前回(参考資料1)、2022年の半導体市場を前年比1.1%増の6017億ドルとしていたが、今回の再調査によって5996億ドルに修正した。

2023年の下方修正の要因は、世界経済の不調によるもので、従来の民生品から産業用へと逆風が拡大してきたこと、そしてチップの供給過多による在庫の積み上がりの結果、チップ単価が大きく下落してしまったことによる、と見ている。

中でもメモリは、半導体不足時に二重、三重の発注により、在庫が積み上がり、供給が過剰になったため、今回の単価の大幅な下落を招いた。その結果、2023年のメモリ市場は同35.5%減の923億ドルに減少するものの、メモリメーカーが軒並み赤字に陥っている現状から回復基調へ移行し、2024年には同70%増に回復すると見ている。

製品別ではDRAMの落ち込みの方がNANDフラッシュのそれよりも大きく、2023年には39.4%減の476億ドルに落ち込むが、2024年には回復し86.8%増となると予測する。

今後半年間は、NANDフラッシュ市場もDRAMと同様になると見ており、単価の下落で売り上げは大きく減少し、23年には32.9%減の389億ドルに落ち込む。しかし24年には回復し、60.7%成長になりそうだという。

新型コロナの感染拡大と米中問題によって脱グローバル化が進み、技術のナショナリズムが台頭するだろうとGartnerは指摘する。半導体は国家のセキュリティ問題に発展しており、各国が国内生産へと力を移すと見ている。

Gartnerは、これまでパソコンやタブレット、スマートフォン向けの半導体市場はもはや成熟しており、今後自動車向けと産業向け、航空宇宙・防衛などが伸びていくと予想する。自動車用半導体市場は2023年でさえも13.8%増の769億ドルに成長するという。将来は少量多品種に向かい、最終製品市場はもっと細かく分かれていくだろうと見ている。

参考資料
1. 「Gartner、2023年の半導体市場予測を前年比6.5%減に下方修正」、セミコンポータル (2023/02/22)

(2023/05/02)
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