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「2022年のファウンドリは20%成長しそうだ」、IC Insightsの見通し

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2022年の世界ファウンドリ企業は年率20%成長する、と市場調査会社のIC Insightsが発表した(参考資料1)。この発表では、TSMCのようなファウンドリ専業メーカーだけではなく、SamsungやIntelのようなIDMファウンドリ、IDMのファウンドリ部門の見通しを含めている。

2016-2022 Foundry Sales Forecast / IC Insights

図1 2016年から2022年のIC ファンドリ市場実績と予測 出典: IC Insights


ICファウンドリビジネスは、2020年に21%成長の874億ドルに、2021年はさらに26%増の1101億ドルに達した。1昨年から続く半導体不足を背景に今年は20%増の1321億ドルになりそうだと推定した。

2020年の21%成長は、2019年の-2%成長という落ち込みからのリバウンドとしての大きな伸びだが、そのけん引役は5Gスマートフォンだった。アプリケーションプロセッサ(モバイルプロセッサ)や通信用半導体チップが5Gとなり新規需要を起こした。2019年の-2%は世界半導体販売額から見るとこれでも最も良い数字であった。2017年18年のメモリバブルからのマイナスの影響で2019年のメモリの販売額は前年比-32.6%と大きく落ち込んだことと比べれば微々たるもの。

IC ファウンドリビジネスは、2009年のリーマンショック時に前年比-11%という大きな落ち込みを経験したが、2004年〜2021年間の18年で9年間は成長率が2桁成長で、9%以下だったのは9年だった。マイナス成長は極めて少ない。

ICファウンドリの上位12社の内、9社がアジア太平洋地区に本社がある。残りの3社はドイツのX-Fab、イスラエルのTower(最近Intelに買収予定)、米国のGlobalFoundriesである。

中国のトップファウンドリSMICは2020年に25%成長を果たしたが、世界のファウンドリビジネスの中に占める中国勢は毎年シェアが低下していた。中国のファウンドリは2006年のピーク時には11.6%あったが2020年には7.6%まで低下していた。それでも最も低かった6.9%の2014年からは少しずつ上昇傾向が見られ、2021年は8.5%シェア、22年は8.8%と見込まれている。少しずつながらも増加しているのは、SMICやHua Hongグループなどが急成長しているためだ。2021年のSMICは39%(ファウンドリ全体26%)成長、Hua Hongは52%成長とファウンドリ全体よりも大きく成長しているからだ。

だからといって中国のICファウンドリがさらに成長が続くとはIC Insightsは見ていない。というのはここ1〜2年の急成長は政府の投資によるものであり、この先はSMICが米国のエンティティリストに載っていることと、中国政府の支援がずっと続くものではないからだ。それでも世界のファウンドリ成長の平均値で成長していくと見ている。この市場に日本企業が全く入っていないのは、いかにももったいないと思うのは筆者だけだろうか。

参考資料
1. "2022 to Mark the Third Year in a Row of ≥20% Growth for the Foundry Market", IC Insights (2022/03/08)

(2022/03/11)

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