2015年のMEMSランキング、RF-MEMSでAvagoが急伸
2015年のMEMS市場は、Boschが2014年同様、群を抜いてトップの12億1400万ドルの売り上げをキープした。これはフランスの市場調査会社のYole Developpementが4月5日に発表したもの。
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図1 MEMS市場のランキング 出典:Yole Developppement
Boschは、売り上げ成長率はわずか0.2%で、ほぼフラットだった。MEMSセンサの数量は増えたものの、単価が下がったため売り上げがフラットであった。特に2014年後半はマートフォン市場が低下していったため、売り上げは大きく下がった。しかしBoschは、自動車市場に強く、民生市場の落ち込みをカバーした。Yoleによると、Boschの自動車向けの売り上げは8億ドルだと見ている。
第2位のSTMicroelectronics と3位Texas Instrumentsは、残念ながらそれぞれ6.8%減の7億5500万ドル、5.5%減の7億3500万ドルと低下した。STは民生市場での落ち込みをカバーできなかったが、MEMSミラーや自動焦点のようなアクチュエータ、ウェアラブルのような新市場へと積極的に手を広げており、いずれ花開くであろう。一方のTIは数量の少ないDLP市場で苦戦しているが、ジェスチャー制御や自動焦点、スマート照明などのMEMSマイクロミラー技術の応用はいずれ花開くだろうとYoleは見ている。このランキングの中でマイナス成長だったのは、この2社を除き全て日本企業だった。パナソニック、キヤノン、ソニー、エプソンは全てマイナス成長だった。
2014年に比べ2015年に最も大きく成長したのは、Avago Technologiesだった。41%成長という大きな増加を示し、6億5000万ドルになった。BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタがスマホに採用され、じわじわと浸透してきた結果だという。
その次に大きく成長したのがQorvo社で、売り上げは29%増えた。QorvoはGaAs半導体や高周波・高速分野に強かったTriQuintとRF Microが2015年に合併して誕生した会社だ。ここは、SMR (Spectral Multiband Resonator) -BAWフィルタで成功した。Avago、Qurvoともスマホの高周波MEMSで成功し、SAWなどの高周波フィルタ部品で強かった日本の部品メーカーはどう対処すべきか、問われている。