世界のファウンドリビジネスが20%成長した2012年、サムスン急伸
市場調査会社のICインサイツ(Insights)は、2012年における半導体ファウンドリランキングを発表した。それによると、トップのTSMCは変わらないが、2位から4位までがガラリと入れ替わった。ずっと2位をキープしていたUMCがランクを落した。
表1 半導体ファウンドリの最新ランキング 出典:IC Insights
2位にはグローバルファウンドリーズ(GlobalFoundries)、3位にはサムスン電子が入った。昨年2位だったUMCは4位に落ちた。2位のGFは前年比31%増、3位のサムスンは同98%増と急伸した。トップ12社の中でUMCだけが1%減のマイナス成長だった。圏外のファウンドリも含めると、ファウンドリビジネス全体では20%成長した。
中でも2倍に伸ばしたサムスンは、ファウンドリビジネスへの投資を活発にしてきた。専用ICのためのファウンドリの生産能力は、2012年第4四半期には、300mmウェーハ換算で15万枚/月に達したとICインサイツは見ている。ウェーハ1枚当たりの平均単価を3000ドルとすると、サムスンは54億ドル分の潜在的な販売能力を持ったことになる。
サムスンは、スマートフォンビジネスで世界のトップを走り2012年は2億2000万台を出荷した。2位のアップルのiPhoneが1億3300万台だから、サムスンの社内需要は極めて大きく、iPhoineの2倍近くある。さらに、スマホの頭脳となるアプリケーションプロセッサはその合計台数に使われたことになる。すなわち、3億5300万個に相当する。
サムスンのファウンドリビジネス全体に占めるアップル向けの割合は、89%を占めるという。もしアップルがアプリケーションプロセッサをサムスン以外から調達するようになると、TSMC、GFあるいは可能性としてインテルなどが製造する公算が大きい。こうなるとサムスンはファウンドリ工場の空きを埋めるために顧客を他に求めなければならなくなる。しかし、ICインサイツは、2013年年初時点ではアップルはサムスンにアプリケーションプロセッサの生産依頼を続けていると述べている。一方で、この時点までのTSMCの生産稼働率は100%を超えていると言われており、アップルとしては今のところまだ、サムスンに頼らなければならない。
ただし、ファウンドリビジネスにおける大きな問題は、TSMCの寡占化が続いていることである。TSMCの売り上げは第2位のGFに比べ約4倍もある。ファウンドリビジネス全体に占めるTSMCの割合は43.7%もある。また、トップ12社の中でファウンドリビジネスを手掛けているIDMは、サムスンとIBM、マグナチップの3社のみ。日本のメーカーも、余力がある時のみファウンドリ生産を請け負っているが、積極的に顧客開拓を行っている訳ではなく、殿様商売の様相を示している。残念ながら日本にはファウンドリビジネスはまだ存在しないと言ってよいだろう。