2012年半導体ランキング、ファウンドリとファブレスが急伸、IDMは不調に
米国の市場調査会社であるICインサイツ(Insights)は、2012年における世界の半導体トップ20社ランキングの見通しを発表した。それによると、ファブレス/ファウンドリ企業が伸び、IDMがマイナス成長ということになりそうだ。
表1 2012年世界半導体の売り上げ見通しトップ20社ランキング 出典:IC Insights
今年の1位、2位、3位は昨年と同じ、インテル、サムスン、TSMCだが、4位には7位から躍進したクアルコムが入りそうだ。その代わり、昨年の、4位、5位、6位のTI、東芝、ルネサスはそのまま一つランクを落とすことになる。メモリメーカーはまずまずで8位のSKハイニックスが6%減、マイクロンは1%増でそれぞれ8位、9位と一つランクを上げる。前年8位のSTマイクロエレクトロニクスは10位に落ちそうだ。
ICインサイツの調査はファウンドリ企業も含めているが、その売り上げはファブレスとIDMからの注文による売り上げの両方を占めているため、ファウンドリ企業を世界の半導体産業の売り上げに含めるとダブルカウントしていることになる。このため、IHSグローバル(旧名IHSアイサプライ)はファウンドリ企業をランキングの対象としていない。しかし、ファウンドリ企業が勢いを増すようになってくると、その動きを知ることは重要になってくる。
ファウンドリを除いた世界の半導体産業全体の伸びは2%減とマイナスになるとICインサイトは見ているが、ファウンドリ大手3社の合計額は2012年には16%増となりそうだ。また、表1の半導体上位20社を合計した売上額は1%減となる見込み。ファウンドリが伸びるのは、ファブレス半導体からの注文だけではなく、IDMがファブライトへ移行していることによる収入が増えているためだ。
さらに今年伸び率が高くなる見込みの企業上位5社は全てファウンドリかファブレス企業であることも今年の大きな特徴だ。伸びが最も大きいのがグローバルファウンドリーズの31%増、次がクアルコムの30%増、3番目がTSMCの17%増、以下Nvidia9%増、ブロードコム8%増と続く。その次にようやくIDMのNXPがくるものの4%増にとどまる。IDMでプラス成長を遂げそうな所は、NXPとソニー(2%増)、マイクロン(1%増)のみで、これまで成長企業の常連だった、インテル、サムスン、東芝などは軒並みマイナスに落ち込みそうだ。
クアルコムは2011年にアセロスを買収、その効果が出てきたことに加え、今年になってプログラマブル電源ICのサミットマイクロエレクトロニクスを買収したことも増収に寄与した。クアルコムは今後の成長分野をにらみながら、ソフトウエア企業の買収も進めている。