中国のセットトップボックス(STB)市場
有線放送用STB急成長
2006 年中国STB の家庭保有代数は1,000 万台を突破するだろう。2006 年の中国のSTB 市場は、有線デジタルSTB が主流で、販売台数は700 万台で市場全体の約90%以上を占めている。他にIPSTB は100 万台、地上波用STB は10 万台である。衛星放送用STB は基本的に輸出用に作られているだけである。
有線放送用デジタルSTB のうち、普通の受信用STB の販売台数は630 万台で、全体の90%を占めており双方向型のSTB の販売台数は30 万台、高精細STB は3,000 台である。
現在、中国のSTB メーカーは3 つに分類することができる。
- 伝統的な家電メーカー:海爾、創維、海信、TCL、長虹、康佳
- 新興のSTB 専業メーカー:同洲、天柏、九洲、大華
- IT メーカー:清華同方、浪潮、華為
同洲、天柏、九洲、海爾、創維、海信が中国のSTB 市場の60%のシェアを占める。清華同方、TCL、長虹、大華が中国のSTB 市場の30%のシェアを占める。残りの10%は、海外ブランドや他の中国現地企業である。
現在、STB にとって重要な部品であるIC は、中国市場では、ST マイクロン、NXP、NEC など海外半導体メーカーが大半を占めている。ST マイクロンは、中国の有線放送用STB 市場では70%のシェアを占めており、STB 市場全体でみると50%を占めている。NXP は、中国RF ベースバンド市場では50%〜60%のシェアを占めている。
中国の半導体メーカーでは、凌訊科技と復旦微納が地上波放送用のSTB 向けIC を開発中であり、杭州国芯が衛星用のSTB 用IC の開発に取り組んでいる状況である。
2007 年には中国ではSTB の市場は2,000 万台に達するとみられ、そのうち、有線放送用STB が約2倍程伸びて、地上波用STB も大幅に成長すると予測されている。STB は、単なるデジタル放送の送受信機器へと向かう。また、主な販売チャンネルは家電量販店であり、量販店の拡販がSTB の普及に貢献すると見られている。
中国信息産業部は、2006 年3 月にDVB-C のPCMCIA カードを認可し、STB 本体とカードを分離する標準化を策定した。しかし、この本体とカード分離の普及速度は予想より進んでいない。その鍵を握っているのは、キャリアのサポートである。実際、キャリアにとっては、本体とカード分離のメッリトがないためにキャリアは積極的に本体とカード分離に取り組んでいない。しかし、放送の内容選択という顧客ニーズの多様化に応じるためは、キャリアも本体とカード分離ビジネスに本格的に着手する必要がある。
将来のSTB 製品は、高精細、PVR(パーソナル・ビデオ・レコーダー)、音声/映像/ネット/エンターティンメントを融合したマルチメディア機能が搭載される。また、大容量のハードディスクが標準搭載、PSTN/ADSL/CM、IEEE1284/USB/IEEE1394/RJ54、RS232、スマートカードリーダー、リモコン、無線キーボード、無線ホームネットワーク、テレビ、VCR などのインターフェイスを装備する。既に、中国でも一部のメーカーはこのようなマルチメディアSTB 製品の研究開発に取り組んでいる。
2004 年〜2008 年の中国の有線デジタル用STB 販売推移予想
出所:易観国際
セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2007年2月号からの一部抜粋です。