セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

ルネサスの中国戦略、現地化を推進、売り上げ倍増へ

|

ルネサス テクノロジは、中国ビジネスを強化し始めた。2010年までに中国での売り上げを2006年の2倍に当たる1200億円に伸ばす計画だ。この成長率は年率20%程度に相当する。ルネサスとしてはアグレッシブな目標だといえよう。

これまでルネサスは、香港と上海にそれぞれ販売会社を持っており、地域で販売業務を分けていた。華北・華中の大陸市場は上海販社が、香港や華南市場は香港販社が受け持っていた。しかし、時には顧客が重なる場合があり、別々に同じ顧客を訪問していたことがあった。技術サポートは、華北・華中は北京のオフィスがサポートし、華南はシンガポールに本社を置くルネサスの子会社の支店がカバーしていた。このため、統一した指示系統がなかった。

今回、販売と技術サポートの運営管理を一元化した。管理部門をおき、販売&マーケティングと、技術サポートの窓口を統一した。これにより、ターゲットとする顧客をはっきりとさせ、現地企業を顧客とするローカルビジネスと、海外メーカーの現地法人を顧客とするトランスファービジネスを強化できるようになる。

2010年に向けて強化する顧客は、地場産業のローカルビジネス。2006年度でローカルビジネス対トランスファービジネスの比率は40:60だが、これを2010年度までに60:40に逆転させる。トランスファービジネスは海外メーカーや国内メーカーがそれぞれ海外本社や日本で設計し量産だけ中国へ持ってきたもの。このため、設計売り上げは日本で立ち、量産売り上げは中国で立つという構造だが、中国で設計・量産する製品はすべての売り上げが中国で立つことになる。ルネサス中国としては現地化を強化したい、とルネサスの業務執行役員であり、ルネサス中国(瑞薩半導体管理)の董事長でもある山村雅宏氏は言う。


ローカルビジネス対トランスファービジネスの比率


このために中国市場に特化した製品の開発や中国メーカーやサードパーティのデザインハウスなどとの連携を強める。ルネサス中国の人員も増やす計画だ。現在400名程度の設計者を2008年度末までに450名に、2009年度末には500名程度にそれぞれ増強する。

注力する製品は、マイコンと汎用品で、応用はAV機器と自動車分野である。マイコンではすでに使っている10数社の特約店に加え、米国のArrow Electronics社や Avnet社と中国市場で契約した。加えて、サードパーティのデザインハウスとも協力関係を拡大する。製品別には現在主流のローエンドの4/8ビットマイコンに加え、16/32ビットのハイエンド市場にも対応する。これにより、2006年度は市場シェア10%で2位(1位は15~16%)にとどまったが、2010年度にはシェア20%へと伸ばしたいとしている。またマイコンは、2006年売上の1/3を占めているが、これを4割に上げたいとしている。

AV機器向け半導体に対しては、西安リアルマイクロ社と台湾レトロニクス社にそれぞれ出資し、中国の開発リソースを拡大する。自動車向け半導体では中国政府機関のCATARCと中国向け電子システムの開発で提携を結んでいる。

製造拠点でも、生産能力を上げる。2006年度に月産6000万個を2008年度には1億個、2010年度に2億個に増強する。

月別アーカイブ