Nvidiaの最新四半期売上、過去最高を更新したが、中国向けが懸念材料
Nvidiaの2026年度第1四半期(2025年2月〜4月期)の決算発表があり、相変わらずの高成長の数字を見せつけた。売上額は前年同期比(YoY)69%増の441億ドル、前四半期比(QoQ)でも12%増と絶好調が続く。絶好調の原因はやはりAI。AIから生成AI、AIエージェント、さらにフィジカルAI(ロボット)などAIの進化に合わせてソフトウエアも進化させている。
図1 Nvidiaの売上額の四半期ごとの推移 出典:Nvidiaの発表した数字をセミコンポータルがグラフ化
これまでも売上額を成長させるだけではなく利益もしっかり確保している。今回の営業利益は、GAAP(米国一般会計基準)では利益率49.1%の216.38億ドル、Non-GAAP(半導体企業に適した会計基準)では利益率52.8%の232.75億ドルと十分の利益を得ている。ただ、4月9日に、H200の性能を落とした中国向けのH20も輸出許可申請が必要になったため、4月末までの損害分45億ドルを計上しており純利益は減っている。
AIを推進するデータセンター部門の売上額がYoYで73%増の391億ドル、QoQでも10%増となっている。この部門が全社売上の89%を占めている。同社が力を入れているAIはこれまで「なぜかわからないが、これこれの予測結果が出た」というように、結果に対する理由がわからないままにやってきた。しかし今、その理由付けを速く見出すためのAI技術(AI reasoning)に力を入れ、そのハードウエアGPUとしての最新Blackwell Ultraや、基盤ソフトNVIDIA Dynamoを発表している。理由付けを求めるAIは大量のトークン(生成AIにおける情報の基本単位)を消費するため、より高速のGPUが必要になる。
AIの先端技術だけではない。AIコンピュータ(スーパーコンピュータ)をもっと普及させるため、クラウドからエンタープライズ、さらにエッジへと展開している。NVIDIA DGX SuperPODと呼ぶコンピュータだ(図2)。これまでのラックコンピュータの中にあった小さなコンピュータを個人向け、エッジ向けに新たに開発したものだ。ここにも新しいGPUであるBlackwell Untraを搭載している。

図2 個人向けのAIスーパーコンピュータDGX SuperPOD
数年前までNvidiaをけん引していたゲーム部門は38億ドルの売上だが、YoYで42%成長しており、ようやく民生部門でも回復の兆しを見せ始めている。2022年頃はマイナス成長時代であり、そこからはAI向けのGPUで急成長してきた。
スーパーコンピュータやワークステーションやサーバーに使われてきた、プロ向け可視化技術部門はYoYで19%成長と着実な5.09億ドルの売上額である。また、自動車とロボット部門はYoYで72%成長の5.67億ドルと、初めて他部門を上回ることができた。自動車とロボットは成長分野だけに、これからはさらに伸びていく可能性を秘めている。
ただ、今後の成長に関する心配事は、中国向けのH20の事実上の輸出禁止によって、中国向けの売り上げが減ることだ。ジェンスン・フアンCEOはこれに対して4月に北京に飛び、H20よりさらに性能を落としたGPUを開発することを約束したようだ。それでも高い性能を持っているかもしれず、米政府とのいたちごっこが続く可能性は高い。


