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ASMLは絶好調、23年第1四半期の売上額は前年同期比90%超えの67億ユーロ

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2023年第1四半期(1Q)の見通しが前年同期比でマイナスになる見込みを半導体各社が発表した中で、オランダのリソグラフィメーカーASMLが前年同期比90.9%増という驚異的な成長率を示し、67億4600万ユーロの売上額を達成した。粗利益50.6%、営業利益32.7%と絶好調である。ASMLの好調は今後も続くのだろうか。

Net system sales breakdown (Quarterly) / ASML

図1 ASMLの2023年第1四半期における装置売り上げの内訳 出典:ASML


ASMLのビジネスは、リソグラフィ装置販売と、サービス販売(装置を設置する現場でのサービスとオプションの販売)の2つからなる。このうち装置販売は、図1のようにEUVの販売が過去最大の54%となり、53億4200万ユーロとなった。1年前はサービスを含めた全売上額が35億3400万ユーロだったから、それをはるかに大きく上回った。

半年以上も前からメモリ単価の下落が続いており、在庫調整の手はまだ緩んでいない。このため装置はファウンドリなどのロジックデバイス向けが70%にもなった。

また、米中貿易摩擦の影響を受け、中国向けが全売上額の8%と小さくなった。2022年の第4四半期も9%だったが、その前の第3四半期には中国向けが15%程度だった。2022年全体では14%だったが、2021年は16%だった。中国向け半導体製造装置が2022年10月7日から厳しい輸出規制の対象となり、中国向け売り上げが半導体製造装置各社の売上額が落ちている。

ASMLは14/16nm以下のプロセスのリソグラフィ装置の中国向けを販売しないようにしており、大きな売り上げを占めているEUVと液浸ArFの装置以外で売り込むしかなくなっている。

それでもASMLは来期(2Q)の売り上げ見通しを65億〜90億ユーロ、粗利益も49〜50%と見積もっており、好調さは続く。好調さはずっと維持できるのだろうか。

それを決めるのは受注額である。受注額は残念ながら2022年4Qの63.16億ユーロから1Qには37.52億ユーロへと大きく落ちている。さらに22年4Qの受注額でさえ、同年3Qの89.2億ユーロからも大きく落ちている。受注額のピークはどうやら22年3Qだったようだ。2Qも1Q並みに好調のようだから、受注額の減額の影響が表れるのは3Q以降になるだろう。23年の3Q、4QにはASMLも厳しくなる可能性が出てきた。とはいえ、ASMLの先端リソグラフィ装置は完全独占であり、そのころから半導体の在庫調整が終わるため再び半導体市場は確実に上向く。ASMLの天下は当分崩れそうにない。

(2022/04/21)

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