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OSATの大手Amkorがベトナムに先端SiP後工程を拡張

OSATメーカー世界第2位のAmkorが2億〜2.5億ドルを投資、ベトナムのバクニン工場を拡張すると発表した。昨今の半導体不足および、半導体ビジネスの拡大をにらんで工場の生産能力を拡張する。特にハイテクのSiP(システムインパッケージ)のアセンブリとテスト工程のサービスを提供する。

Complete Package and Test Portfolio / Amkor

図1 Amkorが提供するOSATサービスの製品群 出典:Amkor


米アリゾナ州のテンパを拠点とするAmkorは、車載向けICパッケージングサービスに強いOSAT(後工程製造を専門に請け負うサービス業者:Outsourced Semiconductor Assembly and Test)。2020年の売上額は50.5億ドルとなっており、2021年は2桁成長が見込まれている。パッケージングのサービスとして(図1)、ウェーハレベルパッケージングやSiP、フリップチップのような最先端だけではなく、MEMSやパワー半導体用のリードフレームのサービスも提供する。MEMSパッケージは実はノウハウの塊である。機械的な力や加速度を電気信号に変えるため、MEMSでは加熱プロセスが必要なパッケージング工程で電気的特性を微妙に変えてしまうからだ。このためキャリブレーションはパッケージ後にも必要となる。もちろんパワー半導体も発熱体であるため、パッケージと放熱にノウハウがある。

昨今の半導体不足により、「Amkorの稼働率は極めて高い」(同社)ため、工場拡張に踏み切った。Amkorは、戦略的なグローバルサプライチェーンへの長期的な投資だとしており、バクニン工場をこれからもアセンブリとテストネットワークの重要な拠点と位置付けている。

イエンフォン2C工業団地に位置するバクニン工場敷地の広さは、23万平方メートルで(東京ドーム5個分)、第1期と将来の拡張に備えている。第1期のクリーンルーム工場の建設は、2万平方メートルになる見込みで、2022年には稼働を始める計画だ。量産は、顧客の製品サイクルに基づいて、2023年後半に始まる見込みである。

「ここ数年、財務体質を強化してきており、今回は手持ちのキャッシュで投資できるようになった。第1期工場建設の投資は、2億ドルから2.5億ドルの範囲だと見積もっている。数期に渡る工場の拡張によって、稼働と利益成長とのバランスをとることができるようになる」と同社VPでCFOのMegan Faust氏は述べている。

10月25日に発表された2021年第3四半期における同社の売上額は、前年同期比24%増の16.8億ドル、純利益は1.81億ドルとなっており、1〜9月期の売上額は44.14億ドルである。21年の第4四半期は15.9〜16.9億ドル、2021年通年の売上額は60億〜61億ドルと見込んでいる。前年比で20%増となる見込み。

(2021/11/09)
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