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米国で生まれたファウンドリ専門SkyWater社、90nmプロセスPDKを提供

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米国の新興で唯一のファウンドリ企業SkyWater Technology社は最初のPDK(プロセス開発キット)をリリースすると共に90nmプロセスでのMPW(Multi-Project Wafer)シャトルサービスの立ち上げを準備し始めた(図1)。半導体製造が弱体化してきた米国で期待のファウンドリ企業がビジネスにこぎつけたといえる。

図1 SkyWater社のMPW向けの90nmプロセスPDK 出典:SkyWaterホームページ

図1 SkyWater社のMPW向けの90nmプロセスPDK 出典:SkyWaterホームページ


ローテク重視のトランプ政権誕生により、オバマ元大統領が2度3度と足を運んだニューヨーク州アルバニーのハイテク地区から、GlobalFoundriesが姿を消し、アルバニーの活動が停滞していた。今年になり、ハイテク地区を復活させるべく米国に半導体製造業を強化する活動が高まっている。2017年にSkyWater社は独立系のファウンドリとしてCypressから工場を買収、少しずつ微細化を進めている。ミネソタ州のブルーミントンにあるSkyWater社は、今年の9月には米国防総省(DoD)から1億7000万ドルで工場拡張に着工し、ミクストシグナルICやパワーマネジメントIC、耐放射線IC、3D-ICなどの製品向けプロセスを揃え始めた。Cypress時代、2005年に65nmの認定プロセスまで進めていた。SkyWaterは130nmプロセスから始め、今回は90nmプロセスのPDKを揃え、顧客へのアプローチを始めることになる。

2021年前半にサービスを開始する90nmの耐放射線ICプロセス(RH90)プラットフォームを顧客のIP開発にMPWサービスを提供する。RH90の設計キットを作成するために、米Trusted Semiconductor Solutions社と提携、ASIC設計やアセンブリ、テストなどで協力する。RH90プロセスは、FDSOI(完全空乏化Silicon on Insulator)のCMOSプロセスを使い放射線に強い半導体デバイスを製造する。SkyWater社はMIT(マサチューセッツ工科大学)のLincoln研究所からFDSOI技術のライセンスを受け、防衛向けだけではなく一般産業向けの製品開発にも提供する。

RH90のプロセスデザインキットには、PDKに加え、放射線に強いセルライブラリやコアのIPブロックを備えている。SkyWaterのデザインキットを使って、CuベースのBEOL(配線工程)向けのDRM(設計リファレンスマニュアル)を改良し、1.2V、1.8V、3.3Vトランジスタ向けの新モデルやPCell、MIMキャパシタ、ツェナーダイオード、ポリ/シリサイド抵抗などを創り出す。放射線に強いデジタルライブラリには、ASIC向けのI/OセルやPLL(位相ロックループ)、デュアルポートメモリなどがある。

SkyWaterの技術開発兼実現可能設計担当のエグゼクティブVPであるJohn Kent氏は、「RH90 PDKとIPライブラリの開発でTrusted社に手伝ってもらった。早期開発パートナープログラム最初のMPWシャトルサービスの立ち上げがRH90プロセスの一里塚になる。顧客のMPWシャトルを走らせることにより、RH90 PDKとIPブロック、設計・プロセスを評価する絶好の機会となる」と意欲的だ。

米国発の独立系ファウンドリが誕生して3年、ようやくビジネスにこぎつけた。設計に強い米国が製造でも強くなろうとしている。筆者には日本勢よりも遅れてプロセス開発を始めた1990年代の台湾TSMCの姿と今回のSkyWaterが重なって見えた。

参考資料
1. SkyWater Releases Early Access PDK and Partners with Trusted Semiconductor Solutions to Enable Design Kit for 90 nm Strategic Rad-Hard by Process Platform (2020/12/02)

(2020/12/03)

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