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フリップチップ実装を3コースで提供するコネクテックジャパン

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80°Cでフリップチップ実装ができる技術をコネクテックジャパンが開発しているが(参考資料1)、新潟県妙高市にある同社の工場内に製造装置を揃え、このほど公開した。同社のビジネスモデルは、研究開発用あるいは少量多品種の量産向けに半導体チップをフリップチップ実装するサービスである。

図1 コネクテックジャパン代表取締役社長の平田勝則氏

図1 コネクテックジャパン代表取締役社長の平田勝則氏


コネクテックの最大の特長は、80°Cというこれまで最も低い温度でバンプを接続できる技術である。このため、PETフィルムをはじめとして、安価な材料のフレキシブル基板にフリップチップで接続できる。これまでは高価なポリイミド系基板を使わざるを得なかった。

80°Cでフリップチップ実装できるとなると、衣類などウエアラブル実装も可能となる、と同社代表取締役社長の平田勝則氏(図1)は言う。フレキシブルエレクトロニクスやプラスチックエレクトロニクス道を拓くことができる。最近のフレキシブルエレクトロニクスは、能動素子として性能の悪い有機トランジスタを無理に使わず、通常のシリコンLSIを使い、配線やインダクタ、キャパシタのみを電極金属などで形成する。このため、フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)と呼ばれている。

FHEの本命はIoT向けのデバイス。IoTデバイスは基本的に少量多品種で、顧客ごと、顧客の工場ごとなどによって仕様が異なる。このため半導体のような月産百万個という量産規模には決してならない。少量多品種=高コストという概念を覆せない限り、IoTデバイスのビジネスでは成功しない。コネクテックの方法は、低コストの設備で製造できるうえに、80°Cで電極にかかる荷重が従来の1/20となる0.12g重/バンプと小さいため、電極が傷つきにくい。しかも配線ピッチは、これまで40µmが限度だったが、最近は27.5µmまで可能になった。

さらに低温で実装できるため、安価なフレキシブル基板だけではなく、リジッド基板でも電池を直に実装できるという強みもある。電池は260°Cという従来の実装温度には耐えられないため、基板の外付けが常識だった。しかし、基板上に取り付けなければならないほどの小型化を要求される応用では、80°Cであれば取り付けられる。

工場では、安価なPETフィルム上にフリップチップ実装した半導体チップや、チップ面積20mm角と大きなチップを実装した例(図2)などを展示しており、クラス1000という清浄度のクリーンルームで作業する。


図2 微細な配線ピッチでフリップチップ実装できるため20mm角の大きなマイクロプロセッサチップも実装できる 出典:コネクテックジャパン

図2 微細な配線ピッチでフリップチップ実装できるため20mm角の大きなマイクロプロセッサチップも実装できる 出典:コネクテックジャパン


作業工場(図3)では、バンプを印刷で形成する装置、液状樹脂の接着剤をその上に載せるディスペンサ、そしてその上から半導体チップを裏返しにして電極パッドをバンプの上に載せる装置、という3種類が基本構成となる。それぞれの装置は、大気中で作業し、バンプ印刷機は1回に大量のバンプを形成できるが、後の二つは量産性が少し劣るため、複数台並べて6ライン程度の生産に備えられる。


図3 作業工場は3種類の装置で6ライン可能に

図3 作業工場は3種類の装置で6ライン可能に


現在、研究開発フェーズでは、30°Cでも実装できる技術を開発しており、2023年ごろには実用化できると見ている。30°Cだと酵素を利用するバイオ技術が使えるようになる。ここでは、ストレッチャブルなポリウレタン樹脂を基板にして配線ピッチ10µmと微細な配線を実現するとしている。ただし、10µmピッチの配線を形成するとなると、もはや従来の印刷方式では対応できないため、インプリント技術を使う。インプリント技術は80〜120°Cの実験では成功しているが、30°Cではまだだが、23年には間に合うと見ている。

今のところ、電子システムメーカー、半導体メーカーなどから、リジッド基板、フレキシブル基板、ストレッチャブル基板に渡る注文を受け付けているが(図4)、チップを受け取って基板に実装するまでの作業を提供する。LSIのテストは行わないため、同社はOSAT(Out sourced Assembly and Test)ではなく、OSRDA(Out Sourced R&D Assembly)と呼んでいる。ICのテストは、回路を設計したファブレスやIDMに任せるとしている。


図4 顧客から3つのコースで実装を受け付けている 出典:コネクテックジャパン

図4 顧客から3つのコースで実装を受け付けている 出典:コネクテックジャパン


同社のビジネスモデルは今のところ、顧客からの要望に沿って3つの基板をベースにした実装を提供するが、将来は他の企業も参入できるようにフランチャイズ方式の工場も考えている。少量多品種のIoTデバイスの実装とはいえ、応用によっては数量が出ないとも限らない。コネクテックだけでは生産能力が足りなくなればフランチャイズ方式で参入できる機会を作りたいと平田社長は意欲的だ。


参考資料
1. 使えるフリップチップ技術が登場、IoTデバイスに最適 (2017/12/07)

(2019/05/30)

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