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Qualcommとの合弁でIoT開発プラットフォームを国内で販売

IoTのハードウエアとソフトウエアのプラットフォームを提供する会社Thundercommを2018年5月にQualcommとThunderSoft社が設立したが、このほど日本でTurboX SoM(System on Module)という製品名で販売する。これを使えば、IoTデバイスの開発が容易になる。

図1 エッジデバイス向け開発プラットフォーム 出典:Thundercomm

図1 エッジデバイス向け開発プラットフォーム 出典:Thundercomm


ThunderSoft社は、中国の深圳をベースとするソフトウエア会社で、日本法人サンダーソフトジャパンを2012年に設立している。IoTデバイス向けにエッジAI機能を提供する開発プラットフォームを作るための会社にQualcommが参加している理由は、単にQualcommのアプリケーションプロセッサやモデムをこの開発ボードに提供しているだけではない。これまでのセルラー通信向けのチップではない市場にも広げようとするためだ。セルラー市場はスマートフォンや携帯電話のメーカーの数が限られており、大量生産で限られた顧客にQualcommは売ってきた。このため、一般市場向けに販売するチャンネルがなかった。

セルラー市場以外に拡大するためには、代理店をはじめとする流通チャネルを活用せざるを得ない。このため、Thundercomm TurboX SoMの販売代理店位マクニカ傘下のブリリアントテクノロジーカンパニーとアロー・エレクトロニクス・ジャパンを通して販売することになった。

IoTシステムのプラットフォームには、ソフトウエア開発とハードウエア開発が必要なため、1社だけではなく複数社の協力が必要である。1社で開発するとすれば何年もかかり、ビジネス機会を失ってしまうからだ。ハードとソフトの合弁会社を設立することによって、IoTの開発プラットフォームを素早く用意できるようにした。

今回、日本で提供するSoMモジュールは、QualcommのアプリケーションプロセッサSnapdragon 845を用いたTurboX D845をはじめ4種類提供する。またソフトウエア開発にはAIキットを提供する。機械学習に加え、カメラとセキュリティなどの各種APIも用意する。サードパーティのAPIも追加できるようになっている。4種類のSoMの内、Snapdragonプロセッサを内蔵したものは、D845、D820、S626の3種類で、残りの一つはLTEモデムのMDM9206を搭載したS9206である。

このThundercomm Turbo AI Kitは、画像認識や音声認識などのAIアルゴリズムとカメラ、Wi-Fi、Bluetooth、GPSなどによって、IoTデバイスの開発が容易になる。

(2018/11/09)
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