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Imagination、ロードマップを充実、Apple離れに対応

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AppleがグラフィックスIPをこれまでのImagination Technologiesからのライセンスではなく、独自に開発する。その直後、PM(パワーマネジメント)ICも独自開発することが伝えられた。ImaginationはAppleという大きな顧客を失うが、大丈夫か。同社のグラフィックIPコアPowerVRマルチメディアの製品および技術マーケティング担当シニアディレクタChris Longstaff氏(図1)に聞いてみた。

図1 Imagination Technologies社PowerVRマルチメディア製品および技術マーケティング担当シニアディレクタChris Longstaff氏

図1 Imagination Technologies社PowerVRマルチメディア製品および技術マーケティング担当シニアディレクタChris Longstaff氏


Imaginationのコア技術はMIPSコア、PowerVR、そしてコネクティビティ用Ensigmaである。このうちのPowerVRがiPhone誕生以来ずっと、iPhoneのグラフィック機能を担当してきた。PowerVRはImaginationの代表的なグラフィックIPコアである。

Appleがグラフィックスコアを独自開発するという情報が入ると、Imaginationはこのことに関して「ライセンス合意を巡るApple社とのディスカッション」と題するプレスリリースを流した。プレスリリースに掲載した理由は、上場しているロンドン証券取引所において、株価を左右するような重要な事項に関しては、プレスリリースを流さなければならないという制約があるからだという。それはImaginationにとってAppleは売り上げの約半分を占める最大の顧客であることを意味する。これに対してAppleはプレスリリースに出す縛りはないため、静観している。

Imaginationのプレスリリースによると、Appleは2年以内にImaginationのIPを使わない方針である。AppleはImaginationにライセンス料とロイヤルティ料を支払ってきたが、これ以上、ロイヤルティを払いたくないという訳だ。ImaginationのグラフィックスIPコアであるPowerVRは、iPhoneをはじめ、iPadやiPod、Apple TV、Apple Watchに使ってきた。これからもずっとImaginationに依存したくないことが本音のようだ。

Imaginationは最大の顧客を逃して大丈夫か。Longstaff氏によると、最大2年間は従来通り既存IPのロイヤルティと新規のライセンス料は入る。2年を超えると新規のライセンス料は入らなくなるが、契約済みの既存IPのロイヤルティ料は続くことになる。また時間が経過するとともに既存IPを使っている製品の生産をAppleが止めると次第にロイヤルティも失っていく。すなわち、2年後にはAppleからの収入がゼロになるわけではなく、じわじわと減っていくことになる。

そこでImaginationはPowerVRのさらなるロードマップを粛々と描き進めていくことになる。エントリレベルからミッドレンジのPowerVR XEシリーズからハイエンドのPowerVR XTシリーズに加え、アーキテクチャ上でも従来の「Rogue(ローグ)」アーキテクチャから7nmプロセスの「Furian」アーキテクチャも準備した。これまでのRogueが1080p/60fpsだったのに対して、Furianは4K/120fpsと性能が向上した。Rogueがモバイルゲームに対してFurianはVRゲーム、Rogueが従来のビジョン向けに対してFurianがニューラルネットにも対応可能などの性能・機能が向上している。

加えて、Furianはマルチコア、マルチスレッド対応で、仮想化もセキュリティのOmniShieldと呼ぶ多段階のセキュリティ機能もある。また、PowerVRは、グラフィックスの光の陰影を反映して写真との区別をなくすほどのきれいなグラフィックス技術であるRay Tracingにも対応する。これまでRay Tracingは消費電力が大きすぎてデスクトップ用途にしか使えなかったが、Imaginationは消費電力をかなり下げたようだ。

こういった様々なテクノロジーを組み入れ、新しいグラフィックス用途や、ニューロチップなどのAIにも対応する積和演算を生かした技術で、Imaginationは未来の道を開こうとしている。

(2017/05/02)

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