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今度はTIがMaximに、STがFairchildに買収提案?

半導体産業は、IoTシステムに向け、自社の足りない分野を補強する目的で買収提案が相変わらず活発だ。Analog Devices(ADI)がMaxim Integratedを買収提案したことに対し、アナログ最大手のTexas InstrumentsがMaxim買収に乗り出した。STMicroelectronicsはFairchild Semiconductorの値付けをしている、と海外メディアが伝えている。

図1 シリコンバレーにあるMaxim Integratedの本社

図1 シリコンバレーにあるMaxim Integratedの本社


経済メディアのBloombergが報じたところによると(参考資料1)、Maximに対するADIが示した提案金額が低いため、Maximは売る気がないらしい。2011年にNational Semiconductorを買収したTIは、Maximに買収提案で話し合いに入っているという。ただし、両社とも正式なコメントは出していない。10月22日、Maximのコンファレンスコールで同社CFOのBruce Kiddoo氏は、TIのような大手は利益が十分あり自身で生き残れるだろうし、Maximも自身でM&Aできるほどの財源はある、と語っている。一応、否定的ではある。

Maximは規模を拡大したくないようであり、AtmelやPMC-Sierraのケースとよく似ている。Atmelは、当初Cypress SemiconductorがAtmel買収を提案したが、断念した後にDialogがAtmel買収することで合意した。PMC-Sierraの場合、当初はMicrosemiがPMC買収を提案していたが、10月に入り結局Skyworks SolutionsがPMCを買うことになった。

今回の場合、もしTIがMaximに対して高額の提案をするならMaximは受け入れるのであろうか。アナログICは、音やタッチのような物理量を検出・測定することで新しい機能を追加できる半導体だ。またアナログICは、3.8Vのリチウムイオン電池1個で、1.2V、3.3V、5V、7V等さまざまなレギュレータ電源を作り出すDC-DCコンバータ、工場の機械やロボットの制御、クルマのブレーキやエアバッグの制御、自動運転車などにも欠かせない。このため、アナログICの製品ポートフォリオを広げてIoTに対応しようと考えることは無理がない。だからアナログの企業買収が活発なのである。

欧州のSTMicroはアナログやパワー半導体のFairchild Semiconductor Internationalに対して値付けを行ったといううわさも流れた。これもBloombergのニュースを米Chicago Tribuneが取り上げたもの(参考資料2)だが、STMicroはノーコメントとしている。その前に、FairchildがGoldman Sachs社に依頼して買い手を探していた(参考資料3)。Fairchildの買い手として、ON SemiconductorとInfineon Technologiesの名前が候補として上がっていた。Fairchildの株価はこの時以来20%上昇した。

参考資料
1. Texas Instruments Said in Talks to Acquire Maxim Integrated (2015/10/29)
2. STMicro said to consider bid for Fairchild Semiconductor (2015/10/27)
3. Fairchild Semiconductor hires Goldman to find buyer: Bloomberg (2015/10/14)

(2015/11/04)
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