最先端凌ぎ合い最前線模様:インテル18A-P、TSMC対Samsung先端実装
AI(人工知能)ブームの熱気に煽られ気味、半導体販売高の従来見られない伸びっぷりにただただ注目させられている現状であるが、半導体製造、微細化の最先端、最前線はどうなっているか。TSMC、Samsungそしてインテルがリードする近年の状況のもと、現下の2つの動きに今回注目している。まずは、インテルの18Aプロセスよりも高い性能と優れた電力効率を実現するという「18A-P」プロセスの「リスク生産」開始である。米国政府の株主支援を得て、米国内完結の最先端製造の実現を図っている。もう1つ、今後の鍵となる先端実装においても主導しているTSMCに対して、Samsungの追い上げを図る動きである。日進月歩の技術進展に変わりなく、随時注目である。
≪AIの熱気の中の着実な進展模様≫
最先端微細化、2-nmの現状について、次の論評記事を目にしている。
◇Meeting 2nm Node Challenges: Overcoming Scaling Limits Through High NA EUV and Ecosystem Collaboration (6月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→NY CreatesのPresident & CEO、Dave Anderson氏記事。2nmノードでの製造には、材料、ガス、ろ過、プロセス技術、およびリソグラフィ装置の連携方法を根本的に見直すことが求められる。新しい材料は、これまで以上に狭い性能分布と低い欠陥率を実現する必要がある。
chemical precursors(化学前駆体)は、開発のより早い段階で原子レベルの一貫性を確保しなければならない。また、ろ過は歩留まりを左右する重要な要素となり、たとえ10億分の1以下の不純物であっても、大量生産の立ち上げを阻害する可能性がある。AI、HPC、および高度なモバイル機器からの需要が急増しているにもかかわらず、設備投資の多さ、EUVリソグラフィ装置の入手可能性、エコシステムの準備状況、そして歩留まりに関する学習曲線の急峻さといった要因により、世界の2nm製造能力は依然として少数のファウンドリとIDMsに限られている。
◇The 2nm Race Begins: Foundries Battle for AI and HPC Leadership (6月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TechInsightsのDirector, Executive Insights、David MacQueen氏記事。
インテル、サムスン、およびTSMCの3大ファウンドリは、2026年に2nmクラスのプロセスを市場に投入し、ゲートオールアラウンド(GAA)電界効果トランジスタの業界初の本格的な展開を告げる。インテルは、Panther Lakeでインテル18Aを使用し、GAAトランジスタとPowerViaによるバックサイド電源供給(BSP)を製品に統合した最初の企業となった。インテルの早期のBSP展開は早期の学習を可能にするが、外部顧客にとって設計移行の障壁を高める。サムスンは、Exynos 2600スマートフォンSoCでSF2を市場に投入した。前世代は主にクアルコムに依存していたが、Galaxyスマートフォンの大部分にExynosチップが戻ってきたことは、サムスンが以前のGAA歩留まりの課題を解決したことを示している。
インテルの「18A-P」プロセスについて、業界各紙の取り上げが以下の通りである。
◇Intel’s 18A-P Debuts Power Boost, an Industry-First Dual-Contact Transistor That Squeezes More Frequency From the Same Chip Footprint―Intel debuts 18A-P process with dual-contact transistor (6月16日付け Wccftech)
→インテルは、業界初のdual-contactトランジスタを含むPower Boost機能などの技術革新を特徴とする18A-Pプロセス技術を発表した。このプロセスは、18Aプロセスと比較して、同じ消費電力で9%のパフォーマンス向上、または同じパフォーマンスで18%の消費電力削減を実現する。
また、インテルの18A-Pプロセスは、熱抵抗とビア抵抗も改善されており、AIや高性能コンピューティング(HPC)アプリケーションに最適である。
◇Intel begins production of most-advanced chip, inching closer to possible Apple deal (6月16日付け CNBC)
→1)*インテルは、最先端のチップ製造プロセス「18A-P」の生産を開始した。
*昨年発表された18A-Pは、現在「リスク生産」と呼ばれる初期生産段階にある。
*これは、インテルが他社向けチップ製造企業を目指す取り組みにおける最新の成果である。
2)インテルは、最先端の18A-Pチップ製造プロセスのリスク生産を開始し、ファウンドリ事業の立て直しにおける重要な節目を迎えた。この新プロセスは、性能と効率性を向上させ、主要顧客獲得に向けたインテルの競争力を強化するとともに、アップルとの将来的なチップ製造契約を支える可能性を秘めている。
◇Intel's new manufacturing tech enters initial production (6月17日付け Reuters)
→インテルは、18Aプロセスよりも高い性能と優れた電力効率を実現する18A-Pプロセスのリスク生産を開始した。このマイルストーンは、AI主導の需要増によるCPU販売の伸びと力強い収益見通しを支える製造ロードマップを強化するものである。
◇VLSI 2026: Intel 18A Platform Momentum From Devices To Routed Designs―Higher performance, backside power, and new materials. (6月18日付け Semiconductor Engineering)
→Intel FoundryはVLSI 2026(2026 IEEE/JSAP Symposium on VLSI Technology & Circuits)において、AI時代のチップ性能向上、消費電力削減、および効率改善を実現するIntel 18A-Pおよびバックサイド電源技術など、主要な技術革新を披露した。同社はまた、GaN、CFET、および先進的な相互接続技術における進歩も明らかにした。
経営立て直しを図っているインテルであるが、大株主となった米国政府の支援はじめ関連する動き&内容である。
◇インテル株12%急騰、Apple半導体受託生産 米政策が追い風 (6月19日付け 日経 電子版 06:14)
→米インテルの株価が18日に急騰した。米アップルが半導体生産の一部をインテルの工場に委託するとトランプ米大統領が明らかにした。筆頭株主である国の生産回帰政策が追い風になっている。
「アップルはインテルと米国で半導体を設計・製造することで合意した。半導体は米国でつくる必要がある」。17日、トランプ氏が自身のSNSになぜかアップルの戦略を突如投稿した。
◇Intel taps industry veteran Seok-Hee Lee to lead foundry packaging push (6月19日付け Reuters)
→インテルは、半導体業界のベテランであるSeok-Hee Lee氏をファウンドリ部門のエグゼクティブバイスプレジデントに任命し、先進的なパッケージングと受託製造の強化を図る。この人事は、アップル、テスラ、その他の顧客との提携に続く、タン・リップブCEOの事業再建戦略を支援するものだ。
◇Apple to partner with Intel Corp on chips: Trump (6月19日付け Taipei Times)
→アップルはインテルと提携し、米国でチップの設計・製造を行うことで、TSMCへの依存度を低減し、国内生産能力を拡大する。この提携はインテルのファウンドリ事業を強化し、米国のサプライチェーン目標を支援するとともに、チップメーカーであるインテルへの投資家の信頼を高める。
次に、ファウンドリー製造および先端実装技術において、主導するTSMCへの追い上げを図るSamsungに関連する内容を以下取り出している。
◇[News] Samsung Reportedly in Talks for Google 2nm TPU I/O Die Order; 2028 Mass Production Eyed (6月12日付け TrendForce)
→Googleは、次世代Icefish TPU向け2nmメモリI/Oダイの製造をSamsung Foundryに委託することを検討しており、一方、1.4nm演算ダイはTSMCが製造する可能性がある。この動きは、サプライチェーンの多様化、HBMの生産能力拡大、そして2028年の生産開始を前にしたSamsungのファウンドリ事業の強化につながる可能性がある。
◇TSMC Readies Panel-Level Packaging for AI Chips, Setting Up a Showdown With Samsung (6月15日付け Tech Times)
→1)より根深い競争は材料をめぐるものだ。TSMCはCoPoSプラットフォームの中心にガラスを据え、サムスンはプラスチックを据えている。
2)TSMCはパネルレベルパッケージの開発を加速させ、急増するAIチップ需要に対応するため、ガラスベースのCoPoS技術のサプライチェーンとパイロットラインを構築している。この動きは、より大型で高効率な次世代チップパッケージの提供をめぐり、TSMCとサムスンをハイリスクな競争に引き込むものとなる。
◇[News] TSMC Reportedly Runs Dual-Track Evaluation on CoPoS Pilot Line, Sparking Global, Local Vendor Competition (6月16日付け TrendForce)
→TSMCは、Longtan(龍潭)パイロットラインでのdual-track装置評価と2〜3年以内の量産化を目指し、CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)技術の開発を進めている。サムスンと韓国のサプライヤー各社もPLP(パネルレベルパッケージング)への投資を拡大しており、先進的なパッケージング装置市場における競争が激化している。
◇[News] Samsung Reportedly Plans MPW Expansion to 2nm in 2027, Unveils 18-Run Program Across Nodes (6月16日付け TrendForce)
→サムスンは2027年にMPW(Multi Project Wafer)プログラムを2nmプロセスに拡張し、ファブレス企業がプロトタイプ製作コストを削減できるよう支援するとともに、AI、HPC、自動車分野の顧客獲得を目指す。今回の動きはSF2プロセスの生産拡大に続くものであり、TSMCが既に確立している2nmプロセス「CyberShuttle」サービスとの競争を激化させるものとなる。
◇サムスン、受託生産で存在感 半導体、BYDなど検討(NIKKEIAsia) (6月19日付け 日経)
→半導体の受託生産(ファウンドリー)で、韓国サムスン電子の存在感が高まっている。中国EV大手の比亜迪(BYD)や米グーグルなどがサムスンへの委託を検討していることが分かった。
AI向け半導体の需要急増で最大手・TSMCからの供給が不足し、サムスンへの引き合いが増えている。
◇TSMC touts glass substrate gains as Korea players race to commercialize (6月18日付け Chosun Biz)
→1)TSMCのガラスコアCoWoSテストで信頼性向上の有望な結果が示されたことで、韓国サプライヤーは市場シェアを失うリスクに直面している。
2)TSMCは、先進AIチップパッケージング向けガラス半導体基板の検証に成功したと発表し、商用化に向けた進展を示した。これは、台湾と日本のエコシステムを強化し、韓国のライバル企業との競争を激化させ、次世代パッケージング規格の形成にも影響を与えるだろう。
先端実装も、TSMCが開発したCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)にこのところCoPoSが新たなキーワードとして加わっている一方、米国国内での完結を図る動きが見られている。この関連の内容が、以下の通りである。
◇TSMC and Amkor Technology Announce Long Term Partnership to Accelerate Advanced Packaging in the United States (6月16日付け Business Wire)
→TSMCとAmkorは、アリゾナ州における高度なパッケージングおよびテスト能力を拡大するための10年間の契約を締結し、米国の半導体サプライチェーンを強化する。この提携は、市場投入までの時間を短縮し、AIおよびHPCの需要を支援し、より統合された米国国内半導体エコシステムを構築することを目的としている。
◇TSMC says panel packaging won't replace CoWoS anytime soon for the largest future AI processors - wafer-level tech can scale to 58 massive dies in one package―TSMC: CoWoS to remain dominant over panel packaging―CoPoS may enable larger chips, but CoWoS is still better. (6月16日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、パネルレベルのパッケージングは、AIプロセッサ向けのCOWOSなどのウェーハレベルの技術に近い将来取って代わることはないだろうと述べている。これは、COWOSの方が相互接続密度が高く、より高度なツールを使用しているためだ。TSMCはCOWOSを拡張して58個の大型ダイを1つのパッケージに統合することが可能であり、COWOSを用いた量産は2029年か2030年に開始される見込みだ。
◇TSMC’s latest chip packaging breakthrough promises lower costs and better performance (6月18日付け Yahoo! Finance)
→TSMCは、製造コストの削減、効率の向上、そしてより大型のAIプロセッサへの対応を目的とした、パネルベースのチップパッケージング技術であるCoPoSを開発している。2028年までに実用化が見込まれるCoPoSは、CoWoSを補完し、次世代AIチップの性能向上に貢献する可能性がある。
◇Automated 310mm Panel-Level Packaging to Accelerate AI Innovation: Tech Brief―Supports higher throughput, reduced cycle time, and lower cost per package, while enabling integration of increasingly complex multi-die architectures. (6月18日付け Semiconductor Engineering)
→パネルレベルパッケージングは、スループットの向上、生産コストの削減、そしてより大規模で複雑なマルチダイ設計への対応を可能にするため、勢いを増している。この技術は、AI、HPC、ネットワークおよびエッジAIアプリケーションのパフォーマンス向上、統合性の向上、そして市場投入までの時間短縮に貢献する。
AIブーム関連に目を奪われがちになるが、半導体製造の最先端そして量産化の進展があってこそであり、目が離せないところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□6月15日(月)
米国とイランの合意に振り回されている様相のこのところ、まだまだ注視を要している。
◇米イラン戦闘終結で合意、19日署名へ トランプ氏「ホルムズを開放」 (日経 電子版 07:18)
→トランプ米大統領は米東部時間14日、イランと戦闘終結で合意したとSNSで発表した。ホルムズ海峡の通航が再開し石油供給が回復するとの期待から日経平均株価は上昇、原油価格は下落した。
トランプ氏は「ホルムズ海峡の通航料なしの開放と、米海軍による封鎖の即時解除を承認する。世界の船はエンジンを始動し、石油を流そう」と書き込んだ。
日経平均株価が、AI&半導体関連相場の様相を呈している。
◇日経平均一時初の6万9000円台 米イラン合意、「超強気相場」に全員参加 (日経 電子版 12:14)
→15日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、午前の終値は前週末比3573円(5.41%)高の6万9593円を終えた。日本時間15日早朝にトランプ米大統領がイランと戦争終結で合意したとSNSで発表。AIや半導体関連など幅広い銘柄が買われた。
□6月16日(火)
世界的な首脳会議関連、このところ巨大IT関連各社の幹部の参加が見られている。AIの扱いはじめ切り離せないところである。
◇G7サミット開幕、ホルムズ開放協議へ テック幹部10〜15人も参加 (日経 電子版 03:43)
→主要7カ国首脳会議(G7サミット)が15日(日本時間16日未明)、フランス東部エビアンで開幕した。米国とイランは開幕直前に戦闘終結に向けた覚書で合意した。中東情勢の早期収束に向けた道筋を首脳間で話し合う。
今週は金曜が休みで4日の取引の米国株式市場、前半2日は最高値更新が続いた後、米連邦準備理事会(FRB)の発表で下げて、木曜はインフレ懸念が和らぐ推移で上げて締めている。
◇NYダウ最高値、半導体に買い468ドル高 米イラン合意でリスクオン (日経 電子版 05:48)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前営業日比468ドル77セント(0.9%)高の5万1671ドル03セントと最高値を更新した。米国とイランが戦闘終結への覚書を交わすと合意し、リスク選好ムードが強まった。半導体株の買い戻しも相場を押し上げた。
トランプ米大統領は14日、自身のSNSでイランと戦闘終結で合意したと発表した。
□6月17日(水)
◇NYダウ328ドル高で最高値更新 原油安で金利低下、金融や製造に買い (日経 電子版 05:58)
→16日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は前日比328ドル64セント(0.6%)高の5万1999ドル67セントと4日続伸した。前日に付けた最高値を更新した。米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名し原油価格が下落したことが、投資家心理の支えとなった。
合意により石油供給回復への期待が高まった。
□6月18日(木)
FRBの新体制が始動している。
◇ウォーシュFRBが金利据え置き 利上げ予想に転換、議長は予測示さず (日経 電子版 04:53)
→FRBは17日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。参加者の政策金利の見通し(中央値)は前回3月の「年内は利下げ1回」から「利上げ1回」に転換した。5月に就任したウォーシュ議長が初めて取り仕切った。
政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3.5〜3.75%で、
4会合連続で据え置いた。
◇NYダウ507ドル安、FRBの利上げ示唆を警戒 長期金利は上昇 (日経 電子版 05:24)
→17日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が一時、前日比600ドル超下げた。終値は507ドル(1.0%)安の5万1492ドルだった。FRBが利上げに前向きな姿勢を示したことで売りが広がった。
FOMC参加者の政策金利予想の中央値が2026年末までに「利上げ1回」と利上げ方向に転換し、株式を売る動きが優勢になった。
◇日経平均7万円、史上最速の大台替わり AIを支える日本株に買い (日経 電子版 16:17)
→日経平均株価が終値で初めて7万円台に乗せた。6万円に達した4月27日から2カ月弱、史上最速の大台替わりの背景にはAI需要の急成長期待が企業業績で裏付けられ始めたことがある。株高の持続性はAI関連の収益の増勢が崩れないかにかかる。
18日の東京株式市場で日経平均は前日比1151円(1.6%)高い7万1053円で終えた。
□6月19日(金)
◇NYダウ反発、72ドル高 原油下落でインフレ懸念和らぐ (日経 電子版 06:10)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比72ドル高の5万1564ドルで取引を終えた。中東情勢の緊張が和らいだことを受けて原油先物価格が一時、3月初旬以来の安値に下落。過度なインフレ警戒が後退し、株式相場の支えとなった。
≪市場実態PickUp≫
【スペースX関連】
IPO上場だけでなく半導体製造に本格参入を打ち上げて、一層目が離せないスペースXである。以下、現下の動き&内容である。
◇Ahead of SpaceX IPO, Elon Musk addresses ASML employees as part of push into chip manufacturing (6月11日付け CNBC)
→1)*イーロン・マスク氏は、半導体製造事業への本格参入を目前に控え、ASMLの従業員に向けて講演を行った。
*史上最大規模のIPOでSpaceXを上場させようとしているマスク氏は、ASMLの年次技術カンファレンスにオンラインで参加し、Christophe Fouquet CEOと意見交換を行った。
*ASMLは、AI向け最先端チップの製造に必要な機械を唯一提供しており、マスク氏が計画するテラファブ工場への有力なサプライヤーとなる見込みだ。
2)スペースXがテキサス州で大規模なテラファブ・プロジェクトを推進する中、マスク氏はASMLの技術カンファレンスにオンラインで参加し、半導体製造の重要性を強調した。このプロジェクトは、テスラ、スペースX、そしてxAI向けに高度なチップを製造することを目的としており、ASMLは重要なサプライヤーとしての地位を確立している。
3)イーロン・マスク氏は、スペースXの上場に先立ちASMLの従業員に向けて演説を行い、テキサス州に建設予定のテラファブ工場におけるASMLの役割を強調した。同氏は、テスラ、スペースX、およびxAIといったAI関連事業に不可欠な高度なチップ製造を可能にするASMLのEUV技術を称賛した。
◇スペースX、時価総額2.1兆ドル 公開価格19%上回る (6月13日付け 日本経済新聞 夕刊)
→米スペースXが12日、ナスダック市場に新規上場した。終値は160ドル95セントと公開価格(135ドル)を19%上回り、時価総額は2兆1000億ドル(約340兆円)となった。超巨大上場への投資家の関心は高く、好調な滑り出しとなった。
◇スペースX、上場テコに新興「Cursor」9.6兆円買収 法人AIで出遅れ挽回 (6月17日付け 日経 電子版 05:59)
→米スペースXは16日、AI開発の米新興Cursorを600億ドル(約9兆6000億円)で買収すると発表した。IPO後の自社への高評価をテコに、法人向けAI市場での出遅れ挽回を目指す。カーソルは2022年創業で、20歳代半ばの経営者が率いる気鋭のAIスタートアップだ。
【Anthropic関連】
先端AIモデル提供について、米国政府の介入が行われる事態となっているAnthropicが以下の現下の動きとなっている。OpenAIとともに、注目せざるを得ないところである。
◇アンソロピック、ミュトス級AI提供停止 米政府指示、日本含む 輸出管理対象に指定 (6月13日付け 日本経済新聞 夕刊)
→米アンソロピックは12日、先端AIモデル「クロード・ミュトス」と「フェイブル」の提供を直ちに停止すると発表した。米政府から輸出管理対象に指定され、外国人が利用できなくするように命じられたという。
◇先端AIに米政府介入 「ミュトス級」全世界で提供停止、安保上の理由 アンソロピック「誤解ある」 (6月14日付け 日経)
→米アンソロピックは12日、「クロード・ミュトス」などの先端AIの提供を停止した。米政府が安全保障上の理由で外国人の利用を止めるように介入した。サイバー対策などでAIの重要性が増すなか、開発の先導企業と米政府が対立する。
◇アンソロピック、米政府と協議 ミュトス停止問題で (6月16日付け 日経 電子版 10:26)
→米新興アンソロピックは15日、米政府の指示を受けて先端AIモデル「クロード・ミュトス」などの提供を停止した問題で、政府側と協議した。サイバー防御に高度な技術を活用できない事態の解消を急ぐ。
アンソロピックのセキュリティーや安全対策の担当幹部が同日に米首都ワシントンを訪れ、米商務省など政府関係者と面会した。
◇AIミュトス停止、米政府が中国リスク警戒 迂回利用や従業員持ち出し (6月19日付け 日経 電子版 06:30)
→米新興アンソロピックの先端AI「クロード・ミュトス」の提供停止の背景に中国への技術流出懸念が浮上している。半導体と同じく、米政府には中国の迂回アクセスや従業員の技術持ち出しへの警戒が根強い。アンソロピックは12日、米政府から外国人の利用を止めるよう指示を受け、自社の最も性能が高い2つのAIの提供を世界で止めた。
【Nvidia関連】
AI半導体を主導しているNvidiaについて、現下の動き&内容である。
◇NVIDIA GB300 Dominates Agentic AI Workloads With 20x Performance Leap Over Hopper As Rubin Nears Launch―Nvidia's GB300 sets benchmark in agentic AI performance (6月14日付け Wccftech)
→NvidiaのBlackwell GB300は、AA-AgentPerfベンチマークで新記録を樹立し、Hopperアーキテクチャと比較して20倍の性能向上を実現した。GB300は1メガワットあたり最大6万の同時エージェントをサポートでき、エネルギー効率とハードウェア効率に優れている。NvidiaのRubinアーキテクチャは、さらなる性能向上と効率化が期待されている。
◇Nvidia plans to raise at least $20 billion in its first debt sale since start of AI boom (6月15日付け CNBC)
→1)*NVIDIAは、2021年以来初めてinvestment-grade corporate bonds(投資適格社債)を発行する予定であることが、月曜15日に提出されたSEC(米国証券取引委員会)への書類で明らかになった。
*関係筋によると、NVIDIAは少なくとも$20 billionの資金調達を目指している。
*NVIDIAの広報担当者は、今回の債券発行による資金は、既存債務の返済や借り換えを含む、一般的な企業目的のために使用する予定だと述べた。
2)NVIDIAは、AIブーム以降初となる今回の債券発行で、少なくとも$20 billion、最大$25 billionの資金調達を計画している。同社は、AI主導の成長と記録的なキャッシュフローを背景に、企業ニーズへの対応、債務の借り換え、および株主還元を支援することを目指している。
3)Nvidiaは、AIブームが始まって以来初となる社債発行で、少なくとも$20 billion、場合によっては最大$25 billionの資金調達を計画している。同社は、AI需要の急増が急速な成長を牽引し続ける中、債務の借り換え、事業運営資金の確保、および株主還元を目的としている。
◇Nvidia reveals AI robots that taught themselves to install GPUs into motherboards - video shows robot ‘solve high-precision tasks like… installing GPUs all by itself’―Nvidia's AI robots master GPU installation in demo (6月17日付け Tom's Hardware)
→*ENPIREプロジェクトはオープンソース化されるため、「自宅で自律型ロボットラボを運用できる」とのこと。
*NVIDIAは、現実世界で高精度かつ器用な作業を自ら学習できる自律型ロボットを披露した。このENPIREテクノロジーのデモ映像では、ロボットたちがグラフィックカードをマザーボードに挿入したり、容器内の金属ピンを仕分けたり、結束バンドを操作して正確に切断したりといった作業をこなす様子が映し出されている。
【米国政府の矛先】
米国政府の中国に対する規制は長らく推移に注目しているが、このところ半導体製造を主導する台湾に対しても敏感になる動きが見られている。今回の冒頭にも示す通り、米国国内での最先端製造の完結が急務となっている背景である。
◇Minister defends TSMC amid US suit (6月13日付け Taipei Times)
→1)特許侵害調査:米国の議員らは、TSMC製チップが米国特許を侵害していると判断された場合、輸入禁止を求めるよう要請しており、予備判決が間もなく下される見込み。
2)台湾のKung Ming-hsin経済部長は、米国議員らが特許侵害の疑いを理由に輸入禁止を求める中、TSMCの特許遵守に自信を示した。国際貿易委員会(ITC)の判事は今月中に予備判決を下し、最終判決は10月に下される予定。
◇Trump says Taiwan 'stole our chip industry' - but TSMC was built by a US citizen and 25-year Texas Instruments veteran (6月17日付け MSN)
→トランプ大統領は、台湾が米国の半導体産業を「盗んだ」という主張を改めて繰り返したが、TSMCの台頭は、数十年にわたるグローバル化、米国で訓練を受けたエンジニア、台湾の戦略的な投資、そして米国企業が製造を海外のファウンドリにアウトソーシングしてきたことを反映している。
◇US holds off on adding DeepSeek to blacklist (6月18日付け Taipei Times)
→トランプ政権は、北京との緊張の高まりを避けるため、DeepSeek、CXMT、および100社以上の中国企業をブラックリストに載せる計画を延期した。10年以上ぶりの長期延期となったこの措置は、米国の輸出管理執行が勢いを失っているのではないかという懸念を強めている。
【中国半導体関連】
中国も、半導体の自立化に向けて、国内で完結を図る動きが活発に見られている。以下では特に、メモリ半導体について中国国内のサプライヤに向かう動きに注目させられている。
◇China's EDA industry joins Huawei's Tau Scaling 3D chip push; commercialisation seen 4 to 5 years away (6月15日付け Digital Today)
→中国は、ファーウェイのタウ・スケーリング(Tau Scaling)戦略を支援し、米国の制裁に対抗するため、3Dチップ設計ツールの開発を加速させている。この取り組みは新たなEDA(電子設計自動化)分野の成長機会を生み出す可能性があるが、アナリストらは、中国は技術成熟度と量産能力において、依然として米国主導のエコシステムに後れを取っていると指摘している。
◇China reaches mass production of key isotope in quantum computing, Beijing says (6月15日付け South China Morning Post)
→1)中国は、先端技術製造における米国との競争を背景に、重要産業における自給自足の推進に力を入れている。
2)中国は、isotopic purity(同位体純度)99.99%以上のシリコン28の量産に成功し、量子コンピューティングの主要材料であるシリコン28の大規模自給供給を初めて確保した。この成果は、国内サプライチェーンの強化、海外依存度の低減、そしてより安定したシリコンベースの量子ビットの実現を可能にする。
◇ディープシーク事後学習成功 ファーウェイ、自社半導体で (6月16日付け 日経)
→中国通信機器大手、華為技術などは同社製の半導体を使ってAI新興、DeepSeekの最新AIモデルの事後学習に初めて成功したと発表した。これまでは米エヌビディア製に依存していた。
ファーウェイや同社が本社を置く広東省深セン市の学術機関や研究機関などで構成するチームが取り組んだ。ファーウェイの国産半導体「アセンド910C」を使ったという。
◇Chinese memory brands ditch Samsung and Micron for homegrown CXMT and YMTC silicon - Corsair, HP, and Dell are already adopting the China-produced DDR5 chips―Chinese brands embrace domestic DDR5 chips (6月17日付け Tom's Hardware)
→1)中国の一部のモジュールメーカーは、大手3社のRAMサプライヤーから離れつつある。
2)中国のメモリブランドは、サムスン電子やマイクロンテクノロジーといった大手サプライヤーから離れ、ChangXin Memory Technologies(長新メモリテクノロジー)やYangtze Memory Technologies(揚子江メモリテクノロジー)といった国産チップの使用を増やしている。この動きは、技術自給自足を目指す政府補助金によって後押しされている。Corsair、HPおよびデルといった企業は、これらの中国製DDR5チップを自社製品に組み込み始めているが、その性能はまだ評価段階にある。
◇Ball game’s over-the US is out of the AI chip market in China (6月17日付け Brookings)
→中国は、Nvidia H200の販売承認にもかかわらず、米国製半導体への依存再燃に抵抗している。アナリストらは、米国によるより広範な規制は、米国企業の競争力を低下させる一方で、中国の半導体自給自足への取り組みを加速させる可能性があると警告している。
◇半導体装置、日系5社の対中販売1割減少 中国の国産化進展で―曲がり角を迎えた中国販売 (6月20日付け 日経 電子版 05:00)
→中国で半導体の製造装置国産化が進み始めた。日系装置大手5社の中国売上高の合計は2026年3月期に1割減と初めて前年度割れとなり、欧米勢も停滞する。中国では政府主導の産業振興策が奏功し、日本勢など外国企業のシェアを奪い始めた。


