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AIの覆いさらに色濃く:Computex、GTC台北、TSMC欧州シンポでの動き

「Expanding AI with Leadership Silicon」がテーマのTSMC 2026 Europe Technology Symposium(5月28日:Amsterdam, The Netherlands)に続くNvidiaのExperience GTC Taipei 2026(6月1−4日:台北)そしてCOMPUTEX TAIPEI(6月2−5日)に否応なく注目させられている。半導体市場も、AI(人工知能)インパクトを受けて大きく特性が変貌しているが、これら一連のイベント関連記事からはAIの覆いがさらに色濃く反映されている受け止めである。Agent AI、そしてPhysical AIに向かう流れの中で、これまでのGPUからCPUへの傾斜が見られるとともに、パソコンの再設計の取り組みなど披露されている。目まぐるしい進展&進捗に当面ひたすら注目である。

≪懸念含みの中、止まらない流れ≫

時間順ではないが、まずは各社が揃うCOMPUTEX TAIPEIから、全体的な概要&トピック、そして各社、など項目別に示している。

[全般]

◇Taiwan key to AI development: Lai (6月3日付け Taipei Times)
→1)信頼性:台湾海峡の平和と安定の維持は、グローバルサプライチェーンに対する国家の最も重要な責務である、とWilliam Lai(頼清徳)総統は述べた。
 2)頼清徳総統は、主要テクノロジー企業が投資計画を再確認したComputex Taipeiにおいて、台湾は世界のAI開発にとって不可欠な存在であると述べた。同総統は、経済成長、投資家の信頼、安定した電力供給、そして強靭なサプライチェーンを強調した。

◇Computex 2026: Are We Heading for the Agentic PC Era Yet?―Video Interview (6月4日付け EE Times)
→今週、Computex 2026が閉幕を迎えるにあたり、EE TimesはTirias Researchの主席アナリストであるJim McGregor氏にインタビューを行い、台湾の台北で開催されるこの主要な年次見本市で起こっている重要な出来事について意見を伺った。
 エージェントコンピューティングにとどまらず、今年のイベントでは、物理AIに対する業界全体の勢いが強調されたとともに、参加した経営幹部の間では、台湾が世界の電子機器バリューチェーンの決定的な中心地であり続けるという、微妙ながらも明確な共通認識が示された。

◇Production of DDR4 memory and motherboards is restarting amid unprecedented memory shortages - PC industry preparing for a world without DDR5―DDR4 production resumes amid memory shortage―Back to the (stone) DDR4 age. (6月4日付け Tom's Hardware)
→PC業界は、enthusiasts(エンスージアスト)の間でDDR4メモリへの回帰が見られる事態に備えている。Tom’s HardwareがComputex 2026で得た情報によると、マザーボードメーカーと多くのモジュールメーカー(市販のDIMMを製造する企業)は、前例のないメモリ不足と価格高騰によりPC構築のハードルが上がっているため、DDR4プラットフォームの復活に向けて戦略を転換している。こうした問題点は、DDR5メモリにおいて特に顕著である。

◇Geopolitics, AI, and Jensen Huang Fuel Electronics’ Rock-and-Roll Era (6月5日付け EE Times)
→*ジェンセン・フアン氏とAIブームがComputex 2026の主役を奪う――台湾がエレクトロニクス業界をいかにリードしているか、詳しく見ていこう。
 *今週開催されたComputex 2026では、エレクトロニクス業界は明確な転換期を迎えた。まさに新たなロックンロールと言えるだろう。その証拠に、ショー最大の目玉であるNVIDIAのCEO、ジェンセン・フアン氏を追う大勢の来場者が殺到した。
  台北のTainexホールで開催されていた会場はもちろん、フードナイトマーケットなど、どこを見ても、人々はCEOに駆け寄り、セルフィーやサインを求め、ただ彼の存在感を感じようとしていた。

[Nvidia]

◇Nvidia enters PC market-Nvidia debuts RTX Spark processor for AI-focused PCs (6月1日付け Electronics Weekly (UK))
→1)今朝、Computexにて、NVIDIAはArmベースのRTX Sparkプロセッサを発表し、PC市場に参入した。
 2)NVIDIAはComputexでRTX Sparkプロセッサを発表し、PC市場への参入を果たした。AI、クリエイティブおよびゲーム向けに設計されたこのArmベースのチップは、ASUS、DellおよびHPといった主要ブランドのノートPCに搭載される予定である。NVIDIAはAdobeと協力し、このプロセッサ向けソフトウェアを最適化することで、クリエイティブワークフローのパフォーマンス向上を目指している。

[インテル]

◇If cores are what agents crave, Intel's new Clearwater Xeon 6+ might just quench their thirst―Intel unveils 2nm Xeon with 288 cores (6月1日付け The Register (UK))
→1)*インテル初の2nmプロセス採用Xeonプロセッサがついに登場!288コア搭載
  *COMPUTEX 2026にて発表されたインテルのClearwater Forest Xeonは、もともと通信ネットワーク、SaaSアプリケーション、その他大規模なウェブスケールワークロード向けに設計された。しかし、幸運にも、このx86大手はAIエージェント向けの強力なプロセッサも開発してしまったよう。
   ここ数年、AIモデルのトレーニング、推論、そしてそれらを支えるGPUsが注目を集めてきたが、OpenClawのようなエージェント型AIツールの登場により、CPUsが再び脚光を浴びている。
 2)インテルはComputex 2026で、最大288コアを搭載した2nmプロセス採用のプロセッサ、Clearwater Xeon 6+を発表した。このプロセッサは通信ネットワークやSaaSアプリケーション向けに設計されているが、AIエージェントワークロードにおいて特に優れた性能を発揮する。
  Xeon 6+は高度なパッケージングとプロセス技術を採用しており、コア数とメモリサポートにおいて柔軟な構成が可能である。

◇Intel’s 288-Core Clearwater Forest Xeon 6+ Lands on 18A, Claiming 30% Performance & 50% Efficiency Lead Over AMD’s 192-Core EPYC (6月1日付け Wccftech)
→*Intel Clearwater Forest「Xeon 6+」CPU、288個のEコアを搭載して出荷開始 - 18Aプロセスを採用した初のデータセンター向け製品
 *Intelは、コードネーム「Clearwater Forest」と呼ばれる次世代Xeon 6+ EコアCPUファミリーを遂に発表した。このCPUは288コアを搭載し、18Aプロセスを採用している。
  Intelは、前世代のEコアのみを搭載したXeon CPU「Sierra Forest」で、演算密度とワットあたりの性能を向上させた。また、IntelがXeon製品ラインアップをPコアとEコアのみのファミリーに分割したのは今回が初めてであった。

◇Intel CEO says TSMC a ‘partner’ in chip production (6月3日付け Taipei Times)
→1)インテルのCEOであるLip-Bu Tan氏は昨日、TSMCを長年のパートナーと位置づけ、今後も先端チップの生産をTSMCに委託していくと述べた。
  「私は相手を競争相手とは見ていない。協力関係を重視している。NVIDIAも、もちろん良い友人である」と、台北で開催されたComputex展示会での基調講演後に行われた記者会見でLip-Bu Tan氏は語った。
 2)Lip-Bu Tan氏は、TSMCとの緊密なパートナーシップを改めて強調し、先端チップの生産委託と18Aおよび14Aファウンドリのロードマップ拡大とのバランスを取っていると述べた。また、AI需要の高まりがCPU販売と業界協力を促進する中で、NVIDIAとの競争を歓迎するとも述べた。

[AMD]

◇AMD ‘had to re-engineer’ the Ryzen 7 5800X3D for a re-release - 10th Anniversary Edition chip had ‘a whole body of engineering work’ put into it―AMD revamps Ryzen 7 5800X3D for 10th anniversary―It’s possible AMD planned to bring the Ryzen 7 5800X3D back sooner, but a lot of development work was going on behind the scenes. (6月2日付け Tom's Hardware)
→AMDは、Computex 2026でRyzen 7 5800X3Dを10周年記念版として再発表したが、TSMCの第2世代積層プロセスに対応するため、大規模なエンジニアリングが必要となった。AMDのRyzenおよびRadeon担当副社長兼ゼネラルマネージャーであるDavid McAfee氏は、元の接合プロセスの変更により、広範な開発が必要になったことを強調している。

[Samsung]

◇Samsung Unveils HBM5 Prototype in Push to Reclaim AI Memory Leadership―Samsung offers HBM5, highlights thermal control tech (6月2日付け The Korea Times (Seoul))
→*サムスン電子、次世代熱制御技術をComputex 2026で披露SKハイニックスとの競争激化の中、先進HBM市場での優位性回復を目指す。
 *サムスン電子は、次世代ハイバンド幅メモリ(HBM5)のモックアップを初めて公開し、急速に拡大するAIメモリ半導体市場での主導権奪還に向けた積極的な取り組みを示した。
  火曜2日に台北で開催されたComputex 2026で記者会見に臨んだサムスン電子デバイスソリューションズ事業部のSong Jae-hyuk CTOは、AI時代における将来の競争力は、メモリ、ファウンドリ、ロジックチップ、そして先進的なパッケージングといった、半導体技術の統合能力にかかっていると強調した。

◇サムスン、次世代メモリー公開 AI用、SKに先行 (6月5日付け 日経)
→韓国半導体大手のサムスン電子は、AIの駆動に使うHBMの次世代品「HBM5」の模型を世界で初めて公開した。
台湾で2日から開催中のIT見本市「コンピューテックス台北」で展示した。競合の韓国SKハイニックスに先駆けて披露し技術力を訴求した。

[Arm]

◇英アームCEO「CPU需要が爆発的に増加」 エージェントAIが拡大 (6月2日付け 日経 電子版 15:00)
→英アーム・ホールディングスのレネ・ハースCEOは2日、台湾の半導体イベントに登壇した。AIが自律的に仕事をする「エージェント型AI」が広がり「CPUの需要が爆発的に増加している」と述べた。
 IT見本市「コンピューテックス台北」に登壇した。ハースCEOはアームが3月に発表した自社ブランドの半導体チップ「AGI CPU」の新たな顧客に米オラクルと中国ネット大手の字節跳動(バイトダンス)が加わると発表した。米インテルの基本設計「x86」を使ったCPUに比べ、消費電力を半分にできるとうたう。

◇AI急拡大、CPU復権 計算量急増を支える頭脳 エヌビディアやアーム、省エネ・高効率競う (6月3日付け 日経)
→アジア最大級のIT見本市「コンピューテックス台北」が2日、台湾で開幕した。米エヌビディアや英アームなど半導体大手が生成AI向け製品を披露した。各社はAIの計算を省エネルギーで高効率にこなす頭脳の開発を競う。
 半導体各社の発表で目立ったのは、CPU半導体だ。GPUの役割が計算をこなす実務要員とするならば、CPUは計算の順序を決めて処理を制御する司令塔にあたる。

[SK Hynix]

◇[News] SK Chair Sees Memory Shortage Through 2030, Eyes Capacity Doubling and Stronger TSMC, Taiwan Ties (6月2日付け TrendForce)
→SKグループのChey Tae-won(崔泰元)会長は、AIの普及に伴うHBM需要の高まりを受け、メモリ不足は2030年まで続く可能性があると警告した。
 SKは、SKハイニックスが次世代HBM4Eの開発を進める中、台湾のパートナー企業との関係を強化しつつ、5年間でウェハー生産能力を倍増させる計画だ。

◇SK Hynix Plans to Double Capacity to Ease Memory Chip Crunch―SK Hynix boosts investment to expand chip capacity (6月2日付け Yahoo/Bloomberg)
→SKハイニックスは、今後5年以内にメモリーチップの生産能力を倍増させることを目標としている。同社は、資源価格の変動という課題にもかかわらず、大規模な投資を行う準備を進めている。

◇SK Hynix plans to double capacity to ease memory crunch (6月3日付け Taipei Times)
→SKハイニックスは、AIの普及に伴う世界的なメモリチップ不足(2030年まで続くと予想される)を緩和するため、今後5年間でメモリチップの生産能力を倍増させる計画だ。同社は生産拡大と急増するデータセンター需要に対応するため、設備投資を大幅に増やす予定だ。

◇SK、5年で生産量2倍 メモリー半導体 AI需要に対応 (6月3日付け 日経)
→韓国の半導体大手SKハイニックスが今後5年間で、メモリー半導体の生産量を2倍に増やすと明らかにした。半導体の需給逼迫は2030年までは続くとの見通しに基づき、急増するAI需要に対応する。SKグループの崔泰源会長が2日、台湾のIT見本市「コンピューテックス台北」で記者団に答えた。

◇SK Hynix to double output in five years―SK Hynix plans to double production capacity (6月5日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SKハイニックスのChey Tae-won会長は、今後5年間で生産能力を倍増させる計画だと述べた。
 2)SKハイニックスは今後5年間で生産能力を倍増させる予定だ。この拡張計画には、2024年から2028年までの期間で$67 billionの予算が投じられる。生産能力の増強は、2030年まで続くと予想されるメモリ不足への対応を目的としている。

[Foxconnとインテル]

◇インテル、鴻海とAI用サーバー群供給 「最も優れたCPU技術開発」 (6月3日付け 日経 電子版 09:30)
→米インテルは2日、AI向けに複数のサーバーを束ねた製品を供給すると発表した。半導体にとどまらず、必要な機構を全てまとめ性能や電力効率を高めていく。台湾の鴻海精密工業と協力して製品を供給する。台湾で2日開幕したIT見本市「コンピューテックス台北」で明らかにした。

◇Foxconn & Intel Enter Strategic Partnership To Jointly Develop And Deploy AI Infrastructure And Computing Platforms To Take Advantage Of Booming Demand―Foxconn, Intel to collaborate on AI infrastructure (6月4日付け Wccftech)
→フォックスコンとインテルは、インテルのチップ技術とフォックスコンの製造ノウハウを融合させた次世代AIインフラの開発で提携した。この提携は、AIデータセンター機器、高速相互接続技術、エネルギー効率の高いソリューション、そして工場やスマートシティ向けのAIシステムに重点を置く。

◇Foxconn and Intel team up to build next-gen AI systems (6月4日付け Reuters)
→フォックスコンは木曜4日、米半導体メーカーのインテルと提携し、次世代AIインフラとインテリジェントコンピューティングプラットフォームを共同開発・展開すると発表した。これは、AIコンピューティングシステムに対する需要の急増に対応するための動きだ。
 世界最大の電子機器受託製造企業である台湾のフォックスコンは声明の中で、この提携によりインテルのチップ技術とフォックスコンの製造・システム構築における専門知識が融合されると述べた。

◇インテル、鴻海とAI用サーバー群供給 CPUで処理効率化 (6月4日付け 日経)
→米インテルは2日、AI向けに複数のサーバーを束ねた製品を供給すると発表した。半導体にとどまらず、必要な機構を全てまとめ性能や電力効率を高めていく。台湾の鴻海精密工業と協力して製品を供給する。
 台湾で2日開幕したIT見本市「コンピューテックス台北」で明らかにした。インテルのCPU、米新興のSambaNova Systemsの半導体を組み合わせ、AIの処理を効率化する。GPU単体の場合に比べ処理速度が2〜3倍になる性能を示すという。

◇Foxconn and Intel team up to build AI systems (6月5日付け Taipei Times)
→鴻海精密工業とインテルは、次世代AIインフラストラクチャおよびコンピューティングプラットフォームを共同開発することで合意した。両社は製造とチップに関する専門知識を組み合わせ、データセンターシステム、エッジAIアプリケーション、産業、スマートシティ、ロボット用途向けのエネルギー効率の高いソリューションを構築する。

[冷却]

◇Cooling design emerges as battleground for next-gen AI memory―Cooling design a focal point for next-gen AI memory―Thermal race highlights memory-foundry cooperation (6月4日付け The Korea Times (Seoul))
→SKハイニックスとサムスン電子は、AIシステムの高性能化に伴う熱管理の課題に対応するため、次世代HBM製品向けの革新的な冷却設計に注力している。SKハイニックスは統合冷却エンジンを搭載したiHBMを発表し、サムスンはHeat Path Block技術を採用したHBM5チップを披露した。

次に、NvidiaのExperience GTC Taipei 2026である。COMPUTEXとの重なりもあるが、同社の注目の取り組みの打ち上げがあらわされる以下の内容である。

[Vera Rubin]

◇Nvidia confirms Vera Rubin in full production with 150 Taiwan suppliers powering the ramp―Nvidia's Vera Rubin enters full production with Taiwan's support (6月1日付け DigiTimes)
→NvidiaのCEO、ジェンセン・フアン氏は6月1日、GTC台北で、Vera Rubinプラットフォームが本格的な量産体制に入り、台湾のサーバーメーカーとグローバルサプライチェーンパートナーがAIラボ、クラウドプロバイダー、およびハイパースケーラー向けにシステムを大規模に製造していることを発表した。

◇NVIDIAファンCEO「計算能力が収益そのものに」 次世代サーバー量産開始 (6月1日付け 日経 電子版 18:05)
→米エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは1日、次世代サーバー「ベラ・ルービン」の量産を始めたと明らかにした。自律的に作業をこなすエージェントAIにより必要な計算能力は拡大しており、「コンピューティング能力が企業の収益や利益そのものになった」と強調した。

[RTX Spark...パソコン再発明]

◇NVIDIA、CEO「パソコンを再発明」 AI向け半導体で高性能処理―「築き上げた全てをスーパーチップに集約」 (6月1日付け 日経 電子版 18:15)
→米エヌビディアは1日、AIパソコン向けの半導体の新製品を発表した。米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」搭載のパソコンに採用された。ノートパソコンで高性能なAI処理をこなせるようになる。
 エヌビディアはAI処理を支えるサーバー用半導体で支配的なシェアを持つ。パソコンのような個人が持つ端末にもAI用半導体の供給を狙う。同日、台湾で開催中の技術イベント「GTC台北」で、AIパソコン向け半導体「NVIDIA RTX Spark」を披露した。

◇Nvidia’s new PC chips represent CEO Huang’s bid to win at every layer of AI stack (6月2日付け CNBC)
→1)*NVIDIAがPCチップ市場への参入を発表したことを受け、ウォール街は脅威を認識し、月曜日にAMD、IntelおよびQualcommの株価を下落させた。
  *NVIDIAのCEO、ジェンセン・フアン氏は「PCを再発明する」意向を示した。
  *アナリストは、NVIDIAがデータセンターから、いわゆるエッジコンピューティングへと進出し、小型デバイスがクラウドを利用せずにAIワークロードを実行できるようになると見ている。
 2)NVIDIAはデータセンターからPCsへと進出し、MediaTekおよびMicrosoftと共同開発したRTX Spark SoCを発表した。この動きはエッジAIコンピューティングをターゲットとしており、ウォール街の反応を受け、NVIDIAがデバイス全体でAIを支配しようとする中で、Intel、AMDおよびQualcommに挑戦状を突きつけている。

◇Nvidia launches AI chip for Windows-based laptops (6月2日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、Windowsノートパソコン向けにRTX Spark(N1X)チップを発表し、エッジデバイス上でのエージェント型AIを実現可能にした。TSMCの3nmプロセスでMediaTekと共同開発されたこのチップは、Microsoftとのコラボレーションによる新しいAI搭載PCに搭載され、パーソナルコンピューティングの革新とAIを活用したデジタル労働の拡大を象徴するものだ。

◇NVIDIA半導体が促すパソコン再定義、自分で操作からAI任せに (6月2日付け 日経 電子版 06:41)
→米エヌビディアがパソコンでAIを効果的に動かす半導体を開発した。データセンターを通じて動かしていた高性能AIをパソコン上だけで使えるようにする。各ソフトをクリックして使う操作は、AIに作業を「委任」する形へと転換する。
 1日に台湾で開いた自社の技術イベント「GTC台北」で半導体「NVIDIA RTX Spark」を発表した。

◇Nvidia’s big laptop bet hinges on frugal chips (6月4日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、Armベースの設計でCPUとGPUを統合したWindows PCs向けスーパーチップ「RTX Spark」を発表した。同社はLenovo、HPおよびDellと提携し、AI対応ノートPCs市場をターゲットに、データセンター以外の分野への事業拡大を目指す一方で、性能とバッテリー寿命に関する懸念も生じている。

[Vera CPU]

◇Nvidia Launches CPU for AI Agents, Claimed as 1.8x Faster Than x86 CPUs―Nvidia unveils Vera CPU for AI agents, touts performance (6月4日付け All About Circuits)
→1)88コアのVeraプロセッサは、Spatial Multithreading(空間マルチスレッド処理)を搭載し、x86プロセッサに比べてタスク完了速度が最大1.8倍向上すると謳われている。
 2)NVIDIAは、AIエージェント向けに設計された、同社初の完全カスタムデータセンター向けCPUであるVeraを発表した。Veraは88個のOlympusコアと空間マルチスレッド処理を搭載し、タスク完了速度はx86 CPUの最大1.8倍高速である。Arm v9.2 ISA互換のこのプロセッサは、今秋、クラウドおよびサーバーパートナーを通じて提供される予定である。

そしてTSMC欧州シンポ、すなわちTSMC 2026 Europe Technology Symposiumから、以下の2点である。中国のHuaweiから打ち上げられたばかりの最先端半導体の取り組み、「タオ・スケーリング」アプローチについての論評も見られている。

◇TSMC Defends Transistor Scaling Amid Huawei’s ‘Her’s Law’ Proposal (6月1日付け EE Times)
→1)*Kevin Zhang氏は、3D集積化は重要だが、半導体業界における性能向上とエネルギー効率改善の主要な原動力は依然としてトランジスタの微細化であると述べた。
  *TSMCの欧州シンポジウムにおいて、市場をリードするファウンドリであるTSMCの上級副社長兼共同最高執行責任者代理のケビン・チャン氏は、ファーウェイが提案した、トランジスタ密度による業界進歩の測定方法の見直しに関する記者からの質問に答えた。
   ファーウェイは、ムーアの法則に類似した「ハーの法則」を提案した。これは、トランジスタ密度のみではなく、全体的な処理速度の向上という観点から業界進歩を測定するタオスケーリングに基づく手法である。ファーウェイは、トランジスタの微細化を7nmプロセスノード以下にするために必要なEUV露光装置を保有していない。
 2)TSMCの欧州シンポジウムで、ケビン・チャン氏はファーウェイの「タオ・スケーリング」アプローチに異議を唱え、EUV技術を用いたトランジスタのスケーリングが依然として不可欠であると主張した。同氏は、約30%のエネルギー効率向上を挙げ、3D集積、CFET、および高度な積層技術が重要な補完技術であると強調した。
 3)TSMCの欧州シンポジウムで、ケビン・チャン氏はファーウェイのTaoスケーリングを軽視し、トランジスタレベルのイノベーションとEUVベースのスケーリングが進歩の中心であると強調した。N2からA14への30%のエネルギー効率向上を挙げ、3D集積化を支持するとともに、ESMCドレスデンの2027年までのタイムラインを確認した。

◇Physical AI Pushes Chipmakers Up the Value Chain (6月2付け EE Times)
→1)*TSMC欧州シンポジウムでは、欧州の半導体企業のCEOたちが、AIがビジネスに与える影響について語った。
  *TSMC欧州シンポジウムでは、TSMCの主要顧客企業の幹部たちが、AIが自社の製品やビジネスのあり方をどのように変えているかについて議論した。
   STマイクロエレクトロニクスのCEO、Jean-Marc Chery氏は、欧州のMCU大手である同社が、AIがもたらす機会を最大限に活用するために変革を進めていると述べた。「STは、AIの波に乗り、STの2つの主要市場における融合を最大限に活用するために、自らを適応させ、変革していく」とシェリー氏は語った。
 2)TSMCの欧州シンポジウムでは、業界リーダーたちがAIがチップとインフラに及ぼす影響の拡大を強調した。STマイクロエレクトロニクスは物理AIシステムをターゲットとし、シスコはエージェント型AIがネットワークに負荷をかけると警告し、ノルディック・セミコンダクターはエッジAIシステムソリューションへと事業を拡大した。

以上3つのイベントに重なり合う可能性もあるが、並行するタイミングでの関連各社の動きを以下取り出している。

◇AI revolution is ‘50x bigger’ than the dot-com boom: SoftBank’s Masayoshi Son to CNBC (6月1日付け CNBC)
→1)*ソフトバンクの孫正義CEOはCNBCに対し、AI革命は2000年代のドットコムバブルを凌駕するだろうと語った。
  *「これは人類がこれまで経験した中で最大の技術革新であり、実現の革命だ」と孫氏は述べた。
  *日本の投資大手であるソフトバンクは金曜日、フランスにおけるAIインフラ構築に750億ユーロを投資すると発表した。
 2)ソフトバンクの孫正義CEOは、AIはドットコムバブルの50倍の規模の革命だと述べ、市場の調整局面はむしろ好機を生み出すと主張した。
  この見解を裏付けるように、ソフトバンクはフランスにおけるAIインフラの拡張とグローバルなAI推進の強化に750億ユーロを投じることを表明した。

◇NVIDIA and TSMC Bring AI Into Fabs to Advance Semiconductor Design and Manufacturing (6月1日付け Global Newswire)
→1)*NVIDIA CUDA-XライブラリとAIモデルは、リソグラフィ、トランジスタおよびプロセスシミュレーション、高度なプロセス制御、ファブオペレーション最適化など、TSMCのワークロードを高速化している。
  *TSMCは、NVIDIA MetropolisとNVIDIA TAO Toolkitを活用し、ビジョンAIによる自動欠陥検査を推進することで、ナノメートルスケールの欠陥検出精度を向上させると同時に、ラベル付けや再学習の繰り返し作業を削減している。
 2)NVIDIAは、TSMCが半導体設計および製造において、NVIDIAの高速コンピューティングおよびAIツールを導入し、速度、歩留まり、効率性を向上させていることを発表した。この協業により、Omniverseを用いた仮想ファブモデリングを含む、リソグラフィ、検査およびシミュレーションが強化される。

◇TSMC Now Pays Its Biggest Customer NVIDIA, Pulling CUDA-X Into the Fab to Slash Lithography Costs by Up to 50%―TSMC taps Nvidia's CUDA-X to enhance chip design (6月1日付け Wccftech)
→1)*NVIDIAとTSMC、CUDA-XとAIを活用して次世代AIチップの開発・製造を加速
  *TSMCはNVIDIAの最先端AIプラットフォームを製造しているだけでなく、半導体事業の加速化にもNVIDIAのCUDA-Xサービスを活用している。
   NVIDIAは本日、世界有数の半導体企業であるTSMCが、半導体設計・製造の推進にNVIDIAの高速コンピューティングとAIを活用していることを発表した。
 2)TSMCは、半導体設計・製造の改善を目指し、NVIDIAと提携しCUDA-XとAIを活用している。TSMCは、計算リソグラフィやプロセスシミュレーションなどのタスクにNVIDIAのGPU高速ライブラリを使用することで、コスト効率、速度および歩留まりの向上を実現している。また、欠陥検査と製造工程の強化にもNVIDIAのMetropolisプラットフォームとOmniverseを活用している。

◇AI agents to replace smartphones as center of digital life: Qualcomm CEO (6月2日付け Taipei Times)
→クアルコムのCEO、Cristiano Amon氏は、AIエージェントがデジタルライフの中心としてスマートフォンに取って代わり、デバイスを接続されたエンドポイントに変え、プラットフォームを横断した継続的な支援を可能にし、大規模なコンピューティングアップグレードサイクルを引き起こし、2026年を「エージェントの年」と位置づけるだろうと述べた。

◇Taiwan Minister Emphasizes Collaboration and Future Focus on Photonics, WBG, and Quantum―Taiwan outlines tech strategy with focus on collaboration (6月3日付け EE Times)
→1)国家科学技術委員会(NSTC)のCheng-Wen Wu(?誠文)委員長は、独占ビデオインタビューで、台湾が半導体メーカーからAIイネーブラーへと転換する4つの柱について語った。
 2)呉委員長は、台湾は半導体産業におけるリーダーシップを維持するため、フォトニクス、ワイドバンドギャップ半導体、および量子コンピューティングに注力しており、国際協力と持続可能な成長の重要性を強調した。「台湾はこれまで製造業に注力してきたが、純粋なハードウェアメーカーから多分野にわたるイノベーションをグローバルに推進するイネーブラーへと包括的に転換することを目指している」と呉委員長は述べた。

◇韓国SK、AI時代のメモリー王者に サムスンしのぐ利益率と人気―エヌビディアCEOとは盟友 (6月3日付け 日経 電子版 05:00)
→韓国半導体大手のSKハイニックスの稼ぐ力が際立っている。AI向けのメモリー半導体の特需を受け、直近の売上高営業利益率は70%超と驚異的だ。最大顧客の米エヌビディアとの同盟関係を生かし、メモリーを半導体市況に翻弄される汎用品から脱却させようともくろむ。

◇Nvidia ships TSMC-backed CPO switches to tackle AI data center bottlenecks (6月4日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、TSMCと共同開発した次世代copackaged optics(CPO)Spectrum-Xスイッチの出荷を一部のパートナー企業向けに開始した。これにより、AIデータセンターの帯域幅とエネルギー効率が向上する。このシステムは最大400Tbpsの帯域幅を提供し、今年後半には生産規模を拡大する予定だ。

◇韓国SK、AI「メモリー王」に エヌビディアと半導体同盟 市況商品から脱却狙う (6月4日付け 日経)
→韓国半導体大手のSKハイニックスの稼ぐ力が際立っている。AI向けのメモリー半導体の特需を受け、直近の売上高営業利益率は70%超と驚異的だ。最大顧客の米エヌビディアとの同盟関係を生かし、メモリーを半導体市況に翻弄される汎用品から脱却させようともくろむ。

◇「数年間の成長に自信」TSMC総会でCEO AI需要旺盛 (6月5日付け 日経)
→半導体世界大手のTSMCは4日、台湾北部の新竹で定時株主総会を開いた。魏哲家・董事長兼CEOは「今後数年間の成長に強い自信を持っている」と話した。

AIインパクトが引き続くなか、半導体の視点からAIそして半導体関連各社の動き&進展に注目せざるを得ないところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□6月2日(火)

最高値更新が続いたなか、中東攻撃応酬の懸念から中日に下げ、AI投資先行き警戒から締めで下げる展開となった、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ46ドル高、新製品発表でエヌビディア6%高 米原油92ドル台 (日経 電子版 05:30)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前週末比46ドル42セント(0.1%)高の5万1078ドル88セントと続伸し、最高値を更新した。米国とイランの戦闘終結に向けた交渉が停滞しているとの観測が広がったものの、エヌビディアがAIパソコン向けの半導体の新製品を発表し、関連銘柄が上昇。株式相場を押し上げた。

□6月3日(水)

◇NYダウ228ドル高、AI銘柄がけん引 中東不安で原油93ドル台に上昇 (日経 電子版 05:46)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比228ドル91セント(0.5%)高の5万1307ドル79セントと続伸し、5日連続で最高値を更新した。米国とイランの戦闘終結に向けた交渉は停滞しているものの、AI関連銘柄が株式相場を押し上げた。

トランプ政権から代替関税案が出されたが、対日関税の上限は維持すると、以下に示す反応である。

◇トランプ政権、日本などに最大12.5%の代替関税案 60カ国・地域対象 (日経 電子版 14:21)
→米通商代表部(USTR)は2日、日本を含む60カ国・地域が強制労働対策を怠っているとして、制裁として新たに最大12.5%の追加関税を発動する案を公表した。
 発動のスケジュールなど詳細は決まっていない。USTRは広く意見募集したうえで7月に公聴会を開き、最終的な対象国や軽減措置の有無などを検討する見通し。

□6月4日(木)

◇NYダウ反落620ドル安、米イラン攻撃応酬に懸念 原油96ドル台に上昇 (日経 電子版 06:05)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比620ドル72セント(1.2%)安の5万0687ドル07セントだった。イラン情勢をめぐる不透明感が強まったことから原油先物が上昇し、売りにつながった。
 戦闘終結に向けた交渉が停滞するなか、米国とイランの攻撃の応酬が続いている。3日早朝にイランがクウェートの空港など民間施設を攻撃したことが報じられた。

□6月5日(金)

◇USTR代表、対日関税15%上限維持 代替関税発動でも「日米合意守る」―新関税と既存合意「両立させる方法はある」 (日経 電子版 04:14)
→USTRのグリア代表は4日、日本を含む60カ国・地域に発動する新たな追加関税を巡り、昨夏の日米の合意内容を守る方針を示した。税負担の上限を15%とする措置を設ける見通し。

◇NYダウ874ドル高で最高値、中東情勢の警戒和らぐ 値がさ株高も効果 (日経 電子版 05:39)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反発し、終値は前日比874ドル86セント(1.72%)高の5万1561ドル93セントだった。2日ぶりに最高値を更新した。原油相場の下落を受け、過度なインフレ懸念が後退した。ヘルスケアや金融などへの買いが目立った。
 米国務省がレバノンとイスラエルが停戦で合意したと米東部時間3日に発表した。中東情勢への警戒が薄れ、4日の米原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近7月物は1バレル93.04ドルと前日終値を3.1%下回った。

□6月6日(土)

◇ナスダック総合が1121ポイント安、下落率4%超はトランプ関税での急落以来...ダウ平均は695ドル安 (讀賣新聞オンライン)
→5日のニューヨーク株式市場で、IT企業の銘柄が多いナスダック総合指数の終値は前日比1121・53ポイント安の2万5709・43となった。下落率は4%を超え、トランプ関税で相場が急落した2025年4月以来の落ち込みとなった。
 過熱するAI関連投資への警戒から、エヌビディアやブロードコムなど半導体銘柄が軒並み売られた。ダウ平均株価(30種)の終値は695・15ドル安の5万866・78ドルだった。


≪市場実態PickUp≫

【急変動の半導体市場】

このところの繰り返し、AIインパクトを受けて、本年の半導体市場はいままでにない大振れの増え方、そしてメモリ半導体価格の急騰ぶりである。

◇Global Semiconductor Market Surges Beyond $1.5T 2026―2027 Outlook: Growth Continues Above Historical Industry Trends (6月3日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→2025年後半から2026年初頭にかけての非常に好調な業績を受け、世界の半導体市場は2026年に90%成長し、USD 1.51 trillionに達すると予測されている。
 この急激な成長を牽引しているのは、圧倒的にメモリ分野。メモリ分野は前年比約250%の成長が見込まれ、2026年にはUSD 800 billionを超える規模に達すると予測されている。AIインフラ、HBM、および高速コンピューティングプラットフォームに対する根強い需要が、半導体産業の主要な成長要因であり続けている。ロジック分野も引き続き主要な成長分野であり、2026年には37%の成長が見込まれている。
 WSTSは、2027年の世界半導体市場はさらに27%成長し、約USD 1.9 trillionに達すると予測している。

◇AI急拡大、CPU復権 計算量急増を支える頭脳――半導体、世界で9割成長 26年市場1兆ドル突破 (6月3日付け 日経)
→主要半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)は2日、2026年の世界市場が25年比90%増の1兆5112億ドル(約240兆円)になると発表した。1兆ドル突破は初めて。成長率は過去最高だった1995年の42%を大きく上回る。
 世界的なAI利用の浸透で、データセンター向けの高性能半導体の需要が大幅に増える。米エヌビディアやTSMCだけでなく、キオクシアホールディングスなどにも需要が波及して市場規模を押し上げる。

◇スマホ出荷14%減 今年世界、メモリー不足影響 (6月3日付け 日経)
→香港の調査会社カウンターポイントは2026年のスマートフォンの世界出荷台数が前年比13.9%減の10億8000万台になる見通しだと発表した。メモリー不足や中東情勢の影響で落ち込み幅も過去最大となる。半導体メモリーDRAMの標準品価格は26年4〜6月に半年前から約3倍に上昇する見込みだ。省電力品の供給量は26年に40%超減るため、一部の低価格スマホが生産できない可能性が高まっている。

◇DRAM、半年で3.5倍、大口価格 AI向け優先、汎用品不足 (6月4日付け 日経)
→半導体メモリーのDRAMが値上がりしている。パソコン(PC)などに使うDDR5型の4月の大口取引価格は、前月比6%上昇で決着した。半年間の上昇率は3・5倍にのぼる。DRAMの世界大手がAI向けの供給を優先しており、汎用品が不足していることが主因だ。

◇AI相場の主役、メモリー・通信・CPUに SOX2カ月で8割上昇 (6月5日付け 日経 電子版 14:00)
→AI・半導体関連株の上昇が止まらない。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は好業績への期待から2カ月強で8割上げた。半導体メモリーや通信インフラ、CPUの供給を担う企業に資金流入が目立つ。米エヌビディア中心だった株高が新たなステージに入った。


【Tau Scaling Law関連】

前回取り上げたHuaweiのTau Scaling Lawについて、取り上げが以下の通り続いている。上記のTSMCの欧州シンポでも論評が見られている。

◇The end of Moore's Law? Huawei unveils new chip architecture, which it hopes can help it cut the gap on Nvidia and TSMC―Huawei says Moore’s Law is fading and “Tau Scaling Law” is coming up (5月29日付け TechRadar)
→ファーウェイは、ムーアの法則が物理的・経済的な限界に達したことを受け、トランジスタの小型化よりも信号遅延の低減を優先するタウ(τ)スケーリング法則を提唱している。LogicFoldingと3Dチップスタッキング技術を用いることで、様々な業界において性能向上と早期のチップ生産を実現できると主張している。

◇Is Huawei’s new chip scaling law a true breakthrough, or mere hype? (5月30日付け South China Morning Post)
→1)ファーウェイは、最先端の半導体製造装置を必要とせずに3D設計で世界最高レベルのチップを実現できると述べ、中国のテクノロジーの未来を切り拓くとしている。
 2)ファーウェイは、独自の「Tau Scaling Law」によって半導体技術の進歩を再定義し、トランジスタの微細化からデータ転送遅延の低減へと焦点を移している。3D LogicFolding技術を用いたチップ積層により、高度なリソグラフィ技術へのアクセスが制限されている米国の輸出規制下でも性能向上を目指している。

◇Huawei Tau Scaling Law: Next Guiding Principle for Semiconductor Evolution (6月3日付け EE Times India)
→*ファーウェイは、時間ベースの最適化を通じてムーアの法則を超える半導体技術の発展を目指す「タウ(τ)スケーリング法則」を提唱した。
 *ファーウェイ半導体事業部社長の何廷波氏は、2026年IEEE国際回路システムシンポジウム(ISCAS)の基調講演「実践における新たな半導体の道」において、半導体産業の将来の発展を導く新たな原理である「タウ(τ)スケーリング法則」を発表した。


【インテル関連】

上記のCOMPUTEXでも取り上げているが、先端実装、新製品はじめ多彩な取り組みが以下の通りである。

◇Intel tackles tracking of data center energy use with AET―Intel's Application Energy Telemetry targets energy use (5月31日付け Fierce Sensors)
→インテルは、データセンターのエネルギー使用量の監視と削減を支援するハードウェアベースのソリューションであるApplication Energy Telemetry(AET)を発表した。AETは、Xeon 6+プロセッサーに統合されている。AETは、CPUのワークロードとエネルギー消費量を詳細に可視化し、より的確な運用判断を可能にする。Schwarz Digits社は、この技術のユーザーとして選ばれている。

◇Apple is giving Intel’s turnaround some momentum (5月31日付け Taipei Times)
→1)アップルとの提携の可能性は、TSMCの支配に挑戦するインテルにとって新たな信頼性をもたらすだろう。
 2)ホワイトハウスが保有するインテル株9.9%は、インテルの株価急騰に伴い$43Bの利益を生み出した。ワシントンは、NVIDIA、SpaceX、およびアップルとの取引を積極的に仲介し、AI主導のサプライチェーン圧力とTSMCとの競争の中で、インテルのファウンドリ事業拡大を後押ししている。

◇Intel stakes new claim in physical AI with robotics chips―Intel returns to robotics with edge AI chips―The company, which had moved away from field years ago, sees an opportunity in robotics chips that can run AI on the ‘edge.’ (6月1日付け Computerworld)
→インテルは、経営難のため長年撤退していたロボット市場に再参入し、physical AI(物理AI)分野への進出を図っている。
 このロボット戦略は、同社が掲げる「エッジAI」の確立という大きな計画の一環である。エッジAIとは、デバイス自体がAIをローカルで実行できるコンピューティング能力を持つ環境を指す。現在、多くのデバイスはAI機能を備えておらず、処理をクラウドにオフロードする必要がある。

◇Intel says 'something has to give' with memory prices - company says it 'will continue to make sure that there are products which can take care of older memory technologies'―Intel reinforces support for DDR4 amid memory shortages―It’s not a firm commitment, but Intel is aware of the importance of Raptor Lake and DDR4. (6月2日付け Tom's Hardware)
→インテルのClient Computing Groupのsenior director of product management、Nish Neelalojanan氏によると、インテルはDDR4などの旧規格のメモリを使用する製品のサポートを継続することで、現在も続くメモリ不足に対応している。同社は、CPUコストを凌駕するほどの高騰するメモリ価格の影響を軽減する選択肢として、Raptor LakeとWildcat Lakeを挙げている。

◇Intel’s EMIB-T Packaging Pulls Two More Taiwanese Suppliers Into Google’s TPU Orbit as TSMC’s CoWoS Strains―Intel's EMIB-T gains traction amid TSMC's CoWoS capacity strain (6月2日付け Wccftech)
→*IntelのEMIB-T開発に台湾のPowerchip SemiconductorとAP Memory Technology Corpが参入
 *AI需要の急増によりTSMCのパッケージングリソースが逼迫する中、台湾からのサプライチェーンレポートによると、IntelのEMIB-Tパッケージング技術がGoogleで注目を集めている。Intelは、メモリなどのコンポーネントとAI GPUsを組み立てるためのTSMCのCoWoS(Chip-on-Wafer-on-Surface)技術の代替として、EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)を売り込んでいる。GoogleはEMIBの主要顧客になると予想されており、今日のレポートでは、Googleの次世代カスタムテンソル処理ユニット(TPU)AIチップへのEMIB技術の採用において、他の企業も役割を果たしている可能性が示唆されている。

◇How Intel Foundry Packaging Technologies Redefine AI and HPC Scalability Limits (6月3日付け 3DInCites)
→Intel Foundryは、EMIB-Tチップレットパッケージ、光学部品の一体化、そして将来のガラス基板を用いて、AIおよびHPCのスケーリングを推進している。これらの技術は、帯域幅、電力効率、およびシステムサイズを向上させると同時に、データセンター向けにほぼモノリシックな性能を実現する。

◇Intel's 5.7 GHz Xeon 6377P features 12 P-cores and a desktop-class LGA1700 socket - unusual server CPU prioritizes clock speed over core count―Intel Xeon 6377P targets frequency over core count―Bartlett Lake server chip targets workloads where frequency beats core count (6月3日付け Tom's Hardware)
→インテルは、コア数よりもクロック速度を重視した12コアのサーバープロセッサ「Xeon 6377P」を発表した。このプロセッサは、ターボ周波数5.7GHz、デスクトップクラスのLGA1700ソケットを搭載している。
 Bartlett Lake世代のシリコンをベースにしたこのチップは、電子設計自動化(EDA)や金融モデリングなど、高周波処理の恩恵を受けるワークロードをターゲットとしている。


【半導体関連株価】

国内外、半導体関連株価が大きく揺れ動いて、これもAIインパクトの成せる業か。以下、現下の動きから。

◇Dell stock skyrockets 32% for its best day ever as AI server revenue soars (5月29日付け CNBC)
→1)*デル・テクノロジーズの株価は、2018年の上場以来最速の売上高成長率を記録したことを受け、32%急騰した。
  *株価は過去最高の取引日を終えた。
  *AIサーバーの売上高は前年比757%増となった。
 2)デル・テクノロジーズの株価は、AIサーバーの爆発的な需要に牽引され、2018年以来最速の売上高成長率を記録したことを受け、32.76%急騰し、過去最高値を更新した。売上高は88%増、AIサーバーの売上高は757%増となり、利益も予想を上回り、アナリストや投資家を驚かせた。

◇ソフトバンクGの時価総額47兆円、一時国内首位 トヨタ22年ぶり陥落 (6月1日付け 日経 電子版 11:34)
→ソフトバンクグループ(SBG)株の時価総額が1日、トヨタ自動車を上回り国内企業でトップとなった。トヨタは約22年ぶりに首位の座を明け渡した。AIを軸とした新たな経済への転換を投資マネーが先取りし、SBG株を押し上げた。
 1日の東京株式市場でSBG株は一時前週末比10%高まで上げた。時価総額は47兆円となり、トヨタを上回る場面があった。

◇日経平均一時2000円高、6万8000円台後半 キオクシアがトヨタ超え (6月3日付け 日経 電子版 12:48)
→3日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反発した。午前の終値は前日比1718円(2.57%)高の6万8452円となった。終値ベースの最高値を超え、取引時間中としても初めて6万8000円台を付けた。前日の米ハイテク株高を引き継ぎAI・半導体関連銘柄が上昇。キオクシアホールディングスの時価総額は一時トヨタ自動車を上回った。

◇AI半導体ブロードコム、時価総額2兆ドルでTSMC超え 2〜4月最高益 (6月4日付け 日経 電子版 09:18)
→米半導体ブロードコムが株式市場での存在感を高めている。時価総額は2兆ドル(約320兆円)を超え、TSMCを上回った。米グーグルなどが求めるAI半導体を共同開発するビジネスへの期待が大きい。
 ブロードコムが3日発表した2026年2〜4月期の決算は、売上高が前年同期比48%増の221億8700万ドル、純利益が同88%増の93億1000万ドル...

◇米ブロードコム株価が急落 AI半導体の売上高見通し維持で (6月4日付け 日経 電子版 10:50)
→3日夕の米株式市場の時間外取引で、半導体のブロードコムが急落している。通常取引を前日比0.5%安の479.23ドルで終えた後、時間外では419ドル前後まで売られて終値を12%あまり下回っている。同日夕に2026年2〜4月期決算とあわせてAI半導体の売上高見通しを維持すると発表し、失望売りが膨らんでいる。


【インド半導体関連】

半導体製造関連に加えて、スタートアップによるAI半導体の発表と、定点観測に暇なしになりそうである。

◇India Advances Chip Packaging with Glass Core Substrate Manufacturing MoU with Intel, 3DGS (6月1日付け EE Times India)
→*オリッサ州政府、インテル、および3DGSは、先進的なパッケージング用ガラスコア基板製造施設の設立に関する覚書(MOU)を締結した。
 *オリッサ州政府、インテル、および3DGSは、インドのオリッサ州に先進的なパッケージング用ガラスコア基板製造施設を設立するための覚書を締結した。この合意には、Ashwini Vaishnaw連邦電子情報技術大臣、Mohan Charan Majhiオリッサ州首相、Lip-Bu TanインテルCEO、その他関係者が立ち会った。

◇[News] Intel Advances Glass Substrate Push with 3DGS, US$3.3 Billion India Plant Set for Five-to-Six-Year Buildout (6月1日付け TrendForce)
→インテルはガラス基板メーカー、米国・3DGSとともにガラス基板戦略を推進し、インドのオリッサ州に半導体パッケージング工場を建設するために$3.3Bを投資した。年間7万枚の基板生産を目指し、AIチップのパッケージング規模を拡大する一方、世界の競合他社はガラス技術の商業化を競い合っている。

◇India targets $150 billion semiconductor value chain through packaging, design and manufacturing push―The roadmap could create opportunities across AI infrastructure, data centres, cloud and engineering services. (6月1日付け CRN India)
→インドは、$120〜150 billion規模のバリューチェーン構築、チップ設計、高度なパッケージング、化合物半導体の拡大、人材、パートナーシップ、イノベーションの強化を目指した10年間の半導体ロードマップを発表した。これにより、輸入依存度を低減し、AIを活用したデジタルインフラの強化を図る。

◇Netrasemi Brings Up A2000 AI Chip, Begins Customer Evaluation Phase (6月4日付け EE Times)

→1)*インドのスタートアップ企業、Netrasemiは、12nmプロセス技術を用いたAIチップ「A2000」を発表した。
  *Netrasemiは、フラッグシップとなるエッジAIチップ「A2000」の立ち上げに成功し、開発プラットフォームとともにエンジニアリングサンプルを一部の顧客に提供し始めた。
   TSMCの12nmプロセスで製造されたこのチップは、同社が開発した初のフル機能SoCであり、R1000 AIマイクロコントローラ(MCU)や将来のR4000チップレットベースプロセッサを含む、より広範な製品ロードマップの基盤となる。
 2)Netrasemiは、TSMCの12nmプロセスで製造されたA2000エッジAIチップを市場に投入し、OEM向けに検証用のエンジニアリングサンプルを提供している。これにより、R1000およびR4000チップに向けたロードマップが進展し、来年の量産開始が計画されている。

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