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マイコンも新NVメモリの集積で微細化が可能に、18nmのMCUをSTが出荷

STMicroelectronicsは、初めてマイコンに18nmノードをもたらした。新製品STM32V8は、FD-SOI(完全空乏化シリコンオンインシュレータ)プロセスにPCM(相変化メモリ)を使い微細化を果たした。これまでのマイコンでは、NORフラッシュメモリを使っていたが、微細化が難しく40nmプロセスでほぼ止まっていた。28nm製品はあるが、ぎりぎりだった。実は、ストレージ部分をNORフラッシュから新型メモリに変えることでマイコンの性能は一段と上がることになる。

FD-SOIプロセス上に形成されたePCMビット・セル / STMicroelectronics

図1 FD-SOIトランジスタとPCMを使う新型マイコン 出典:STMicroelectronics


開発レベルでは、NORフラッシュからMRAMやReRAMなどの不揮発性(NV)メモリに変えたマイコンの開発は進んでいる。22nmプロセスの製品もあるが、20nmを切って18nmのFD-SOIプロセスはSTM32V8が初めて。ルネサスは22nmのTSMCプロセスにMRAM(磁性体メモリ)を集積したマイコンを開発している。Infineon TechnologiesはReRAMを使ったマイコンを開発中であるが、製品化については明らかにしていない。

変わったところでは、パワーエレクトロニクスに強いサンケン電気がReRAMと22nmのTSMCプロセスでRISC-Vコアを集積した32ビットマイコンを開発中で、ゲートドライバチップも1パッケージに集積する製品を考えているようだ。パワートランジスタとセットで使うことで様々なDC-DCコンバータなどの電源ICやモータードライブICセットなども想定範囲内だ。

STMicroが開発した新製品STM32V8は、図1のようにプレーナ型のMOSFETでSOI(シリコンオンインシュレータ)上にMOSFETがあるという構造であり、メモリ部分は右側にあるようにトランジスタの上に作っている。PCMを用いたのは、ユーザーからの要求によるとしている。PCMのメリットはメモリビットの面積が最も小さいという(図2)。また、PCMに限ったことではないが、MRAMやReRAMもNORフラッシュと比べるとバイト/ビット単位の書き換えができる上に、NORフラッシュだと書き換える時、イレーズ操作をした後で書き込む必要があったが、新型不揮発性メモリはその必要がない。


STM32V8:相変化メモリの特長 / STMicroelectronics

図2 PCMメモリの特長 出典:STMicroelectronics


STは従来PCRAMと呼ばれていたメモリをPCMと呼ぶのは、RAM動作(一時的に記憶するメモリの動作)ではなく、コードやデータをストレージとして使うためである。コードの書き換えでは1万回、データ書き換えのエミュレーションでは10万回が可能であることを確認している。STM32V8は4MBのPCM不揮発性メモリを集積している。

メモリだけではなく、マイコンそのものの性能も上げた。ArmのCortex-M85をCPUコアとして使っている。このCPUコアはHeliumと呼ばれるベクトルエンジン機能を持ち、AI/機械学習機能を担うことができる。クロック周波数800MHzまでの演算能力がある。

STMicroは、PCMを搭載することで既存あるいは新規のアプリケーションソフトウエアをOTA(Over The Air:無線でいつでもメモリを更新すること)によりソフトウエアを更新できるようにすることを狙っている。将来のクルマでは、OTAによってソフトウエアを更新できるようにするため、ePCMを搭載するマイコンは車載用になっており、車載用途に必要なASIL安全規格を満たしている。接合温度140℃までの動作が可能である。

クルマ用のマイコンは今後、仮想化技術を採用するためデュアルコアのような高集積化が求められ、より微細化技術へ進展させていく。

(2025/11/28)
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