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Keysight、再エネなどのパワコンのアンチアイランド・テストを自動化

本当の意味でのスマートグリッドが始まっている。賢い(smart)電力網では、電力会社の大型の発電システムだけではなく、家庭のソーラーシステムやEV(電気自動車)のバッテリシステムも小規模な分散電源となる。もしこれらの分散電源の一つが分断されていることにグリッドの制御センターが気づかないと、逆潮流などの事故防止のための長時間停電につながりかねない。Keysight Technologiesは分断された状態を自動的に検出するテストシステム(図1)を開発した。

Anti-Islanding Test / Keysight Technologies

図1 グリッドのエミュレータ(右)とEVバッテリエミュレータ(左)でDUT(中)となるパワコンをテストする 出典:Keysight Technologies


そこで、電力会社は、再エネなどの分散電源が分断されているかどうか(アイランド状態になっているか)をチェックする必要があった。電力網(グリッド)では常に電力を作る側と使う側とのバランスが取れていなければならない。例えば、ソーラーや風力システム、EVでも発電した電力は直流、交流を問わず交流のグリッド(系統連系の電力網)に戻すことで電力の売買を個人宅と電力会社の間で行っている。発電電力とグリッド網への変換がパワーコンディショナーであるが、そのパワコンがグリッドとの接続をチェックする必要がある。

ただ、再エネのような分散型エネルギー源(DER)をグリッドにつなげるには、いくつかの問題があった。リアルタイムで電力の需給バランスの対応や、グリッドの品質や信頼性、耐障害性を確保すること、高度なグリッド通信とサイバーセキュリティの確保、などがある。老朽化設備への新機能の追加や異常気象への対応なども含まれる。グリッドとの通信規格(IEC 61850やIEEE 1547など)も満たす必要がある。

特に、電力の需給バランスが崩れると電圧や周波数が不安定になるため、再エネの分断チェックは必須となる。しかし、大電力となると高電圧、大電流となるため、その交流のインピーダンスの変化はわずかしかない。それを観測し、分断されていることを通信で連絡しなければならない。しかも分断されても分散電源が作動していれば、間もなく使えなくなり、その家や地域の電力が止まることになる。

そこで従来は、電力線のインピーダンスZを可変抵抗R、可変キャパシタC、可変インダクタLを模擬するためマトリックス状の数値を負荷バンクとして使って手動でシミュレーションしていた(図2)。電力線は基本的に3相電源ラインであるため、それぞれRCLの負荷バンクは大きく、大変複雑になる。インピーダンス整合が取れていれば接続されていると判断し、わずかだが整合されていなければ分断されていると判断する。


アンチアイライディング試験は複雑・高コスト・長時間 / Keysight Technologies

図2 ごくわずかなインピーダンスの変化を検出するため、3相電源のR,C,Lの共振ネットワークの条件出しと微調整を手動で行っていた 出典:Keysight Technologies


この手動の作業はかなり面倒で、特にアイランド状態を強制的に発生させる共振RCLネットワークの条件出しと微調整が難しかったという。RCLの負荷バンクは大型で占有スペースが広くしかも高価であった。RCLの数値を変える負荷バンクを使って、さまざまなシナリオをシミュレーションし、そのシナリオごとに手動で調整していた。このためテスト時間とコストは膨大に膨らんでいた。

Keysightは、この作業を自動化することに成功した。これにより、これまで数日〜数週間かかっていたテスト時間を数時間に短縮できた。このテスターを使うことで家庭用電源にもなりうるEVのパワコンや分散型電力網への移行を支援できるようになる。

Keysightのテストシステムでは、図1にあるようにグリッドをエミュレートする「SL 1200A」とEVをエミュレートする「SL 1040A」と「RP79-Aシリーズ」を用意して、DUT(被測定デバイス)となるパワーコンディショナーをテストする。測定データとグリッドの通信プロトコル、分散型エネルギー源の設定などのソフトウエア「SL 1221A」を利用して観測する。

このように実機を模擬(エミュレート)するテストシステムをHIL(Hardware in the Loop)と自動車産業では呼んでいるが、今回のような系統電力システムを模擬するテストシステムは、PHIL(Power HIL)と呼んでいる。ここではFPGAベースのリアルタイムシミュレーションを行い、電圧と電流、位相を変えながらエミュレーションしている。

世界的には古い電力網がまだ稼働しており、ここに再エネなどの分散型電源がぶら下がることになる。この電力網を正常に維持するためには、それらの分散電源が知らないうちに分断されていることを検出し対応しなければならない。古い電力網のモダナイゼーションにKeysightの技術は威力を発揮するだろうと見ており、PHILベースの自動検出技術が求められるとKeysightは期待している。

(2026/03/31)
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