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2024年のシリコンウェーハ出荷面積は前年比で減少、その意味は何か

2024年におけるシリコン半導体ウェーハの出荷面積が前年比2.7%減の122億6600万平方インチだったとSEMIが発表した。その年のウェーハ売上額は同6.5%減の115億ドルだった。出荷面積の減少よりも出荷売上額の減少の方が大きいということは、在庫調整がゆっくりで、ファブの稼働率を上げるような大量生産品目のデバイス需要が弱かったことを意味する。

Siウェーハ出荷面積と売上額 / SEMIの数字を元にセミコンポータルがグラフ化

図1 シリコンウェーハの出荷面積と出荷額 出典:SEMIの数字を元にセミコンポータルがグラフ化


半導体の売上額が19%増の6268.7億ドルと増えたのにも拘わらず、半導体ウェーハの出荷面積が少なかったということは、SEMIが見るように在庫調整が進まず、工場の稼働率が増えなかったためだけではなさそうだ。加えて、プロセス処理済みウェーハ単価が上がった、大量生産品が少なく少量多品種が多かった、ということにもつながる。

現実にAIデ−タセンター向けの製品は爆発的に売れた。AIデータセンター向けのCPUやGPUは大量に使うと言ってもメモリほどではない。もちろん、チップ単価はメモリの比ではない。つまりシリコンウェーハの量はメモリほどではない。メモリは8個あるいは9個単位でシステムに使われるため、その量は多く、したがってウェーハ面積を大量に使うことになる。

例えば生成AI向けのチップでは、GPUのようなAIチップのそばにHBM(High Bandwidth Memory)を4個必ず配置している。HBM1個当たり4枚ないし8枚のDRAMチップを重ねて実装しているため、一つのAIチップ製品にはDRAMが16〜32個使われている計算になる。しかも最新のAIチップの一つBlackwellの場合、GPUダイを2個真横につなげており、その周りにHBMを4個配置しているため、DRAMの数は2倍の32〜64個使われていることになる。

AIデータセンター以外の用途では、産業用の半導体チップの在庫調整を進めているため、その影響が現れるようになれば、シリコンウェーハの出荷数にも大きな影響を与えるだろう、とSEMIは見ている。

参考資料
1. 「Siウェーハの出荷面積は今年もマイナスだが来年10%成長のリバウンド」、セミコンポータル、(2024/10/23)

(2025/02/18)
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