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AIによる大幅前倒しの伸び継続、1-5月半導体販売高累計が前年比77%増

AI(人工知能)ブームにより大きく様変わり、大幅な伸びを示している半導体市場であるが、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より5月の世界半導体販売高が発表され、本年に入ってから一段とギアが入っている伸びが継続、$120.6 billionと単月最高を更新、2025年5月の$59.1 billionの倍以上となっている。いつまでどこまでの伸びか、AIブームの先行きを注視する状況が続いていく。今週は、韓国のメモリ半導体メーカー、SK Hynixが、米国ナスダック市場に上場し、米国以外の企業による米IPOとしては過去最大規模となっている。その他主要各社そして各地域市場のそれぞれ活発な取り組み&動きを以下追っている。

≪5月の世界半導体販売高、急峻な伸び≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇5月のグローバル半導体販売高が、前月比9.2%増―5月の世界半導体販売高が、前年比倍以上 (7月6日付け SIA/Latest News)

SIAは本日、2026年5月のグローバル販売高は$120.6 billionで、前月、2026年4月の販売高$110.5 billionを9.2%上回り、前年同月、2025年5月の$59.1 billionを104.1%上回った、と発表した。
月次売上高は世界半導体貿易統計(WSTS)によって集計され、3ヶ月移動平均を示している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%、米国以外の半導体企業の約3分の2を代表している。

「世界の半導体市場は5月も大幅な成長を続け、月間売上高は過去最高を記録するとともに、15ヶ月連続で前月比増を達成した。」とSIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「この売上拡大は、米州、アジア太平洋地域、および中国における前年同月比での力強い成長に牽引されている。」

地域別では、5月販売高前年比で、the Americas (132.2%), Asia Pacific/All Other (118.9%), China (88.8%), Europe (60.7%), およびJapan (23.8%)と、すべてで増加した。5月販売高前月比では、China (10.7%), Asia Pacific/All Other (9.2%), the Americas (8.6%), Europe (7.3%), およびJapan (6.4%).と、すべてで増加した。

                      【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
May 2025
Apr 2026
May 2026
前年同月比
前月比
========
Americas
18.46
39.44
42.85
132.2
8.6
Europe
4.42
6.62
7.10
60.7
7.3
Japan
3.70
4.31
4.58
23.8
6.4
China
16.93
28.88
31.97
88.8
10.7
Asia Pacific/All Other
15.58
31.23
34.10
118.9
9.2
$59.09 B
$110.48 B
$120.61 B
104.1 %
9.2 %

--------------------------------------
市場地域
12- 2月平均
3- 5月平均
change
Americas
29.84
42.85
43.6
Europe
5.72
7.10
24.1
Japan
3.78
4.58
21.3
China
23.73
31.97
34.7
Asia Pacific/All Other
26.16
34.10
30.4
$89.23 B
$120.61 B
35.2 %

-------------------------------------

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2026/07/May-2026-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑

今回の発表を受けて、業界紙の取り上げである。

◇May chip sales up 104% YoY―SIA: Global semiconductor sales hit record in May (7月10日付け Electronics Weekly (UK))
→1)米・SIAによると、5月の半導体売上高は$120.6 billionで、4月の$110.5 billionから9.2%増加し、2025年5月の$59.1 billionを104.1%上回った。
 2)SIAによると、世界の半導体売上高は5月に過去最高を記録し、15ヶ月連続の成長となった。前年同月比では、米州(132.2%増)、アジア太平洋(118.9%増)、中国(88.8%増)で売上高が急増し、主要地域すべてで前月比増加が見られた。

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 billionの大台に初めて載せた経緯となっている。そして、2025年は$800 billionが望める水準に大きく飛躍、本当にどこまでいくのか、本年2026年は$1 trillion(1兆ドル)に達するとの予測が出るまでに至っている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方の中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、引き続き今後に注目するところである。そこでAI牽引の状況があらわれた2024年以降について、以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。
2026年販売高データについての蓄積メモ:
2024年12月から2025年2月までは、前月比減少で停滞したが、それもあって
2026年1月は前年比46.1%増にもなっている。$80 billion台に達して、年間$1 trillionの予測に向け幸先良い出だしである。
2月は、前年が底の水準ということで、前年比61.8%増と大幅増、90 billionに迫る値となっている。ここ5ヶ月で$70 billionに入っての駆け上がりであり、この増勢いつまでどこまでとの見方になりがちである。
3月はさらに増勢を強めて$99.52 billionと$100 billionの大台にほぼ迫る水準となっている。前年比79.2 %増、前月比11.5 %増と、以下の推移に示す通り、記録的な伸びっぷりである。AIブームの凄さに注目するのみである。
4月は以下の推移で一目瞭然、$100 billionの大台を突破、$110.48 billionにも達して、前年同月、2025年4月の$56.96 billionと比べるとほぼ倍増である。前月比も、3月に続いて11%台の増加であり、伸びしろに引き続き注目である。
5月は、前月比で9.2%増と3ヶ月連続二けた増には及ばなかったものの、前年比は104.1%増と覚えのある限り初めての2倍超となっている。1-5月累計では$501.93 billionとなり、$1 trillionを越えてどこまでいくか、あまりの前倒しにただただ見守るスタンスである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %
2024年 6月 
$49.98 B
18.3 %
1.7 %
2024年 7月 
$51.32 B
18.7 %
2.7 %
2024年 8月 
$53.12 B
20.6 %
3.5 %
2024年 9月 
$55.32 B
23.2 %
4.1 %
2024年10月 
$56.88 B
22.1 %
2.8 %
2024年11月 
$57.82 B
20.7 %
1.6 %
2024年12月 
$56.97 B
17.1 %
-1.2 %
$616.70 B
 
2025年 1月 
$56.52 B
17.9 %
-1.7 %
2025年 2月 
$54.92 B
17.1 %
-2.9 %
2025年 3月 
$55.90 B
18.8 %
1.8 %
2025年 4月 
$56.96 B
22.7 %
2.5 %
2025年 5月 
$58.98 B
19.8 %
3.5 %
2025年 6月 
$59.91 B
19.6 %
1.5 %
2025年 7月 
$62.07 B
20.6 %
3.6 %
2025年 8月 
$64.88 B
21.7 %
4.4 %
2025年 9月 
$69.47 B
25.1 %
7.0 %
2025年10月 
$72.71 B
27.2 %
4.7 %
2025年11月 
$75.28 B
29.8 %
3.5 %
2025年12月 
$78.88 B
37.1 %
2.7 %
$766.48 B
 
年間最高更新
 
2026年 1月 
$82.54 B
46.1 %
3.7 %
2026年 2月 
$88.78 B
61.8 %
7.6 %
2026年 3月 
$99.52 B
79.2 %
11.5 %
2026年 4月
$110.48 B
93.9 %
11.0 %
2026年 5月
$120.61 B
104.1 %
9.2 %
$501.93 B
 
(前年比1.77倍)


メモリ半導体の不足&価格高騰の中、各社の活発な動き&取り組みが続いており、以下の通りである。

[Samsung]

非常に好調な業績の一方での波紋が多々伝えられている。

◇Samsung chip division's single-year profits beat its past 40 years of profits, combined, due to increased memory and storage prices - Samsung passes Nvidia to become most profitable company in the world, notches 19x quarterly increase in profit―Samsung posts record profits with 19-fold increase (7月7日付け Tom's Hardware)
→*DS部門のKim Yong-Kwan社長は社員に対し、同部門の2026年の営業利益が、サムスンがメモリ事業に参入して以来これまでに稼ぎ出した利益の総額を上回る見通しだと語った。
 *サムスンは昨夜、四半期ベースで営業利益が19倍に急増したという極めて好調な業績を発表し、世界で最も高い利益を上げる企業としてNvidiaを追い抜いた。「Korea JoongAng Daily(…韓国の有力紙「中央日報」の英語版にあたる日刊英字新聞)」が月曜6日に報じたところによると、サムスン電子のデバイス・ソリューション(DS)部門で経営管理・戦略・運営を統括するキム・ヨンクァン社長は、先週金曜3日に開かれた社内全体会議の席で、同半導体部門の2026年の営業利益が、約40年にわたる半導体事業の歴史を通じて稼ぎ出した利益の総額を上回るだろうと述べた。

◇サムスン営業利益19倍の9兆円 4〜6月、AI向け半導体メモリー高騰 (7月7日付け 日経 電子版 07:52)
→韓国半導体大手のサムスン電子が7日発表した2026年4〜6月期の全社営業利益は前年同期比19.1倍の89兆4000億ウォン(約9兆円)だった。売上高は同2.3倍の171兆ウォンで、いずれも四半期ベースで過去最高だった。世界的に旺盛なAI向け半導体需要が業績を大きく押し上げた。

◇Samsung flags 19-fold jump in profit, but shares slump on jitters AI boom may stall (7月7日付け Reuters)
→サムスン電子は、AI関連のメモリチップ需要の急増と価格の高騰を背景に、第2四半期の営業利益が19倍に急拡大すると予想した。好調な業績にもかかわらず、AI向けチップ・ブームの持続可能性に対する懸念から、投資家による売りが先行し、同社の時価総額は$100 billion以上減少した。

◇サムスン、メモリーインフレで膨張 「稼ぎすぎ」が招く顧客流出リスク (7月7日付け 日経 電子版 11:54)
→韓国サムスン電子に過去最高の業績をもたらしたAI向けメモリー半導体の高騰が新たな経営リスクになりつつある。値上がりがパソコンやスマートフォンに波及し、一般消費者からの訴訟や競合する中国メーカー品への代替を招いている。
 サムスンが7日発表した2026年4〜6月期の全社営業利益(速報値)は前年同期比19.1倍の89兆4000億ウォン(約9兆円)だった。

◇Samsung results trigger stock rotation (7月8日付け Taipei Times)
→1)【市場の警戒感】TAIEX(台湾加権指数)は2.31%安の45,479.11で取引を終えた。株価評価や地政学リスクへの懸念から、投資家が資金をエレクトロニクス・セクターから引き揚げたことが背景にある。
 2)アジアのハイテク株は下落した。サムスンの好決算にもかかわらず、投資家が利益確定の動きを見せたほか、AI関連の半導体銘柄のバリュエーションに対する警戒感が強まったことが影響した。地政学的な懸念が根強く残る中、市場はTSMCなど半導体大手各社の決算発表を控えており、資金はディフェンシブ・セクターへとシフトした。

◇Samsung plans new PC chip in push beyond smartphones ―Sources: Samsung plans PC chip to diversify beyond smartphones (7月10日付け DigiTimes)
→ET NewsとKorea Economic Daily(韓国経済新聞)は、業界関係者の話として、サムスン電子がスマートフォン向けプロセッサ以外の分野へのシステムLSI事業の成長を目指し、パーソナルコンピュータ(PC)向けの新チップを開発していると報じた。

[SK Hynix]

NASDAQ上場(7月10日)前後の市場の動き&見方が以下の通りである。米国株式市場にもインパクトを与え、今週の大きな注目となっている。

◇SK hynix Plans $713B Domestic Investment (7月3日付け EE Times)
→1)*SKハイニックスは、韓国国内での半導体生産能力を拡大するために$713 billionを投資するほか、ナスダックへの上場も計画している。
  *同社はHBM4Eのサンプル出荷を開始し、$29 billion規模のナスダック上場を計画している。
  *韓国のメモリ半導体メーカーであるSKハイニックスは、国内の生産能力を拡大するため、1,100兆ウォン(約$713 billion)規模の中長期投資計画を発表した。この事業拡大の資金を調達するため、同社は米国ナスダック市場への上場を計画している。
 2)SKハイニックスは、AI向けメモリの長期成長戦略の資金を確保するため、韓国全土での半導体製造拠点の拡大、工場建設の加速、HBM(広帯域幅メモリ)およびNAND型フラッシュメモリの生産増強、そしてナスダック上場の推進を柱とする、総額1,100兆ウォン($713 billion)規模の投資計画を発表した。

◇SK Hynix is kicking off its U.S. market roadshow ahead of a $28 billion Nasdaq debut―SK Hynix launches $28B US listing amid AI surge (7月6日付け Quartz)
→1)*韓国の半導体メーカーであるSKハイニックスは、最近の株価下落を受け、当初$29 billionとしていた資金調達目標を引き下げた。
  *SKハイニックスは月曜6日、米国での上場に向けた正式なマーケティング・プロセスを開始した。同社はナスダック市場での米国預託証券(ADR)発行を通じて$28.21 billion(43兆1400億ウォン)の調達を目指しているが、この目標額は、ここ数週間で同社株が下落したことを受けて引き下げられたものである。
 2)同社はAIブームを追い風に、ナスダック市場で$28 billion規模の株式売却を開始した。これは今年、世界最大級の株式売却案件となる。すでに主要投資家から最大$7 billion規模の関心が寄せられており、調達した資金は韓国国内での新たな半導体工場や設備の整備に充てられる見通しである。

◇South Korea's SK Hynix launches $28 billion US listing to ride global AI wave (7月6日付け Reuters)
→SK Hynix、17.79 million新株売却

◇SK Hynix’s IPO is really a bet on the future of AI (7月6日付け Asia Times)
→1)かつて投資家は、利益率や売上高および生産能力を基準に半導体メーカーを評価していたが、現在では、到来が予想されるAIブームへの華々しい予測に基づいて評価するようになっている。
 2)SKハイニックスが計画している$29 billion規模の米国上場は、従来の半導体市場の循環サイクルではなく、AIの長期的な成長に対する投資家の信頼を反映したものである。同社はAI向けメモリチップの供給において極めて重要な役割を担っており、世界的に予想されるAIインフラ・ブームの主要な恩恵を受ける企業としての地位を確立している。

◇SK Hynix shares jump in marquee US debut as AI euphoria persists―SK Hynix tests AI demand with $26.5B US trading debut (7月10日付け Reuters)
→*韓国の半導体メーカー、SKハイニックスの米国上場株は14%高で取引を開始。
 *SKハイニックスのADR価格は149ドルで、過去3日間の平均価格を上回る。
 *今回の米国上場は、SKハイニックス株が過去最高値から25%下落した後に実施された。

◇Meet SK Hynix, the trillion-dollar South Korean chipmaker debuting on U.S. markets (7月10日付け CNBC)
→1)*世界的なメモリ不足を背景に、韓国SKハイニックスの株価は過去1年間で7倍以上に急騰した。
  *時価総額が1兆ドル規模に達する同社は、米国での事業拡大を目指し、ナスダックへの上場を進めている。
  *同社はインディアナ(Indiana)州に$4 billion規模の生産拠点を建設中であるほか、カリフォルニア州サクラメント近郊で「Solidigm(ソリダイム)」事業の拡大も図っている。
 2)AI需要の急増による記録的な成長を背景に、SKハイニックスは米国での製造能力拡大に向けた資金調達を行い、ナスダックに上場する。HBM市場をリードする同社は、NVIDIAとの提携を強化しつつ、AI関連投資によって、メモリ業界特有の激しい好不況の波(boom-and-bustサイクル)の影響を相殺できると見込んでいる。

◇SK hynix to raise 40 tln won through Nasdaq ADR listing (7月10日付け Yonhap News Agency)
→SKハイニックスはナスダックでのADR上場を通じて$26.5 billionを調達し、外国企業による米国株式市場への新規上場として過去最大規模を実現する。同社は調達資金を新たな半導体製造、先端パッケージングおよびEUV(極端紫外線)露光装置への投資に充てるとともに、グローバル市場における企業価値の向上を図る。

◇SKハイニックス、ADR上場の公募価格149ドル 4兆円調達へ (7月10日付け 日経 電子版 10:59)
→韓国半導体大手SKハイニックスは10日、ADR上場の公募価格を1株当たり149ドル(約2万4千円)に決めたと発表した。調達額は40兆230億ウォン(約4兆3000億円)となる。
 米国時間10日に米ナスダック市場に上場し、1億7790万株を新規発行する。米国における新規株式公開(IPO)規模はスペースXに次ぐ2番目、米国以外の企業による米IPOとしては過去最大となる。

◇SKが半導体資金確保に先手 米国上場で4兆円調達、工場新設費5倍に (7月11日付け 日経 電子版 05:00)
→韓国SKハイニックスが膨張する半導体工場の設備投資費用を賄うための資金の確保を急ぐ。10日、米ナスダック市場にADRを上場した。265億ドル(約4兆円)を調達する。AI向け需要の伸びに備える。
 ADRは米国外の企業が発行した株式を裏付けとする有価証券で、米国企業の株式と同様にドル建てで取引される。

◇韓国SKハイニックス米上場、初日は13%高 時価総額1.2兆ドル (7月11日付け 日経 電ADRを上場した。取引初日の終値は公募価格比13%高の168ドル01セントだった。AI向けに需要が伸びるメモリー半導体で高いシェアを持つSKへの期待を映した。

[マイクロン]

広島での工場起工、そして米国での投資展開計画と、以下の通りである。

◇Micron breaks ground on $9bn Hiroshima fab expansion―Micron begins $9B fab expansion in Hiroshima (7月6日付け Electronics Weekly (UK))
→週末、マイクロンは日本政府による$4.8 billionの支援を受け、広島工場の$9.3 billion規模の拡張に向けた起工式を行った。

◇米マイクロン、広島工場新棟建設で起工式 DRAM生産能力拡大 (7月6日付け 日刊工業)
→米マイクロン・テクノロジーは、広島県東広島市の広島工場で新たな製造棟の建設に向けて起工式を開いた。2029年度までに総額約1兆5000億円を投じる製造能力拡大計画の第1期工事となる。28年後半に製造装置を導入し、AI向けに需要が広がるHBMなどを生産する見通し。

◇Micron Accelerates U.S. Investments, Pours First Concrete at New York Fab (7月9日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→マイクロン・テクノロジーは本日、AI時代におけるメモリ需要の急増を背景に、米国での製造拠点および技術への投資計画を加速させ、2035年までの投資総額を$250 billion超に引き上げると発表した。
 同社は、今回の投資拡大により、DRAM生産の40%を米国で行うという長期目標の達成を後押しするとともに、高収入な直接・間接雇用を新たに創出できる見通しである。

◇Micron lifts U.S. spending to $250 billion - company takes $500 million position in America's only 300 mm wafer plant (7月10日付け Tom's Hardware)
→*今回の資金調達と10年間の供給契約は、GlobalWafersのCEOがテキサス州シャーマンでの事業拡大に向けて公に掲げた条件を満たすものだ。
 *マイクロンは、米国の半導体サプライチェーンに最大$3 billionを投資すると発表しており、そのうち$500 millionはグローバルウェーファーズに対し、テキサス州シャーマンにある300mmシリコンウェハー工場への戦略的資金として提供される。さらに、マイクロンは同工場のウェハー生産量へのアクセス権を10年間確保する契約も締結している。

各国・地域で見ても、東アジアからの発信&動きが以下の通りである。

[韓国]

◇(LEAD) Samsung, SK hynix to build HBM packaging fabs in Chungcheong region as part of 392 tln won in total investment (7月2日付け Yonhap News Agency)
→韓国はChungcheong地域に392兆ウォンを投じ、AIインフラを拡充する。この取り組みは、サムスンとSKハイニックスによるHBM、NAND型フラッシュメモリ、およびパッケージング関連施設の建設が主導する。政府は優遇措置を通じてこの投資を支援し、雇用の創出と地域産業の成長強化を目指す。

◇Semiconductor Investment That Gets Ahead of the AI Era (7月2日付け Seoul Economic Daily)
→AIの普及により、世界の半導体市場は予測を数年前倒しして$1 trillion(1兆ドル)規模に達し、需要と競争が激化している。各国政府や競合他社がAI関連の半導体生産能力を拡大する中、韓国は主導的地位を維持すべく、大規模な投資を加速させるとともに、サプライチェーンの強化や先端パッケージング技術の拡充を図っている。

[台湾]

◇US unlikely to match TSMC’s Taiwan production capacity, minister says (7月3日付け Taipei Times)
→1)アリゾナへの投資:台湾の半導体大手は、米国子会社(完全子会社)への$20 billionの資本投入について承認を得た。
 2)台湾当局は、TSMCがアリゾナ州での事業を拡大する一方で、台湾国内でも新たな工場16棟や先端パッケージング施設の建設を計画していることを挙げ、同社が引き続き台湾を製造拠点として維持する方針であることを明らかにした。また当局は、同社の米国事業拡大に向けた$20 billionの投資も承認した。

◇UMC reports 12.58% Q2 revenue growth (7月7日付け Taipei Times)
→1)トレンド:Adata(エイデータ)のSimon Chen会長は、主要半導体メーカーが汎用メモリ向けの生産能力を縮小していることから、来年もメモリチップの供給逼迫が続くと述べた。
 2)United Microelectronics(UMC)は、半導体需要の堅調さと価格上昇を背景に、四半期売上高が12.6%増加し、3年ぶりの高水準を記録した。メモリメーカーのAdataやTranscendも、供給逼迫、AI関連の需要拡大およびメモリ価格の上昇が成長を後押しし、過去最高の売上高を達成した。

◇台湾輸出額47%増 上期67兆円 IT機器が8割 (7月10日付け 日経)
→台湾の財政部(財政省)が9日発表した貿易統計によると、2026年1〜6月の輸出額は4166億ドル(約67兆5000億円)と前年同期比47.1%増えた。サーバーや半導体などを含むIT機器が輸出額の8割を占めた。AI需要を受け傾斜が強まった。
 台湾の輸出額は6月まで32カ月連続で前年を上回った。単月の輸出額としては過去3番目の水準、上半期としては過去最高を更新した。

[中国]

自立化、国産化の、AIブームのインパクトを受ける中の動きに、改めての注目である。

◇Chinese memory and storage firm expected to post more than 60,000% jump in profits due to exploding demand - Lexar owner Longsys forecasts nearly $1.5 billion profit for 1H26 compared to $2.1 million last year―Longsys forecasts about $1.5B profit amid chip shortage (7月7日付け Tom's Hardware)
→*メモリおよびチップの供給不足を背景に、下流のメモリサプライヤーが記録的な利益を上げている。
 *Lexar(レキサー)の親会社である中国企業、Shenzhen Longsys Electronicsは、2026年上半期の純利益が$1.36 to $1.62 billion(92億〜110億元)に達する見込みだと発表した。これは、前年同期のわずか$2.2 millionという利益を大幅に上回る数字である。South China Morning Postによると、この利益予想は前年同期比で61,818%〜73,636%という驚異的な伸びを示しており、売上高予想も$3.24 to $3.68 billion(220億〜250億元)と、前年の$1.5 billionから倍増以上になる見通しである。

◇China’s chip equipment rally faces earnings test as memory boom fuels bets on local tools (7月7日付け South China Morning Post)
→1)上半期の決算発表シーズンを控え、半導体業界の焦点は、好調な業績が株価の急騰を正当化できるかどうかに移っている。
 2)AI関連の半導体投資の拡大、国産化の進展、そしてメモリ分野の増強に対する期待から、中国の半導体製造装置メーカーの株価が急伸している。投資家は現在、受注の増加や売上高の伸び、長期的な収益性といった要素が、同セクターの株価急騰を裏付けるものかどうかを見極めるべく、上半期の決算発表を注視している。

◇[News] Chinese Firms Reportedly Raise Domestic AI Chip Budget Share from 30% to 46% Amid Shift from NVIDIA (7月7日付け TrendForce)
→中国企業はAIチップ関連の国内支出を予算の30%から46%へと引き上げており、NVIDIAへの依存からの脱却を加速させている。輸出規制や政府の支援、そして国内半導体サプライヤーの台頭が、国産AIハードウェアの採用拡大を後押ししているためである。

◇中国、AI向けメモリー生産能力2倍へ 世界市場を左右 (7月7日付け 日経 電子版 16:50)
→中国の半導体大手がAI向けメモリーの生産を増やす。
 CXMTとYMTCが工場を設け、生産能力は2027年以降に現状の2倍超になる見込み。不足感が強まる半導体の需要を取り込む。
 CXMTはデータの一時記憶に使うDRAMや、DRAMを積層した高性能メモリー「HBM」の生産を手掛ける。

◇China’s circuit-board makers push capex towards record to feed AI boom (7月8日付け South China Morning Post)
→1)20社以上のPCB(プリント基板)メーカーが積極的な拡張計画を公表する中、最先端の生産設備に数億ドル規模の投資が投じられている。
 2)AIサーバー需要の急増に対応するため、中国のPCBメーカーは工場の拡張と過去最大規模の設備投資を加速させている。各社は高度なハイエンド基板への投資を進めているが、製造上の課題やサプライチェーンの制約および地政学的リスクが、同セクターの急成長にブレーキをかける可能性もある。

◇膨張サムスン、インフレ招く 4〜6月営業益19倍―中国半導体に商機  AI向け、生産能力2倍 来年以降 (7月8日付け 日経)
→中国の半導体大手がAI向けメモリーの生産を増やす。CXMTとYMTCが工場を新設する。生産能力は2027年以降に現状の2倍超になる見込みで商機を広げる。

市場&市況関連の動きとして注目した内容を、以下取り出している。

◇[News] New DRAM Price-Fixing Case Against Samsung, SK hynix, and Micron Tests Whether HBM Expansion Can Prove Collusion (7月8日付け TrendForce)
→米国で新たに提起された訴訟は、サムスン、SKハイニックス、およびマイクロンがAI向けHBMの増産を名目にDRAMの供給を制限したと主張しており、市場の変動が違法な価格操作や談合の証拠となり得るかどうかが問われている。

◇迫る「iPhone値上げ」 メモリー価格3倍、転嫁なら13万円→15万円超 (7月8日付け 日経 電子版 05:12)
→米アップルの「iPhone」値上げの観測が強まっている。AIの設備需要急増でメモリー半導体の価格が昨秋から3倍となり利幅を圧迫する。標準モデルを最新機種で値上げすれば日本では5年で4度目、米国では6年ぶりとなる。

◇Wall Street Is Misreading the AI Chip Selloff―Five Industry Indicators Tell a Very Different Story(7月9日付け Dr. Robert Castellano Semiconductor Deep Dive Newsletter)
→AI関連支出への懸念から、ウォール街は半導体企業の時価総額を$1 trillion以上吹き飛ばしたが、業界の指標は異なる状況を示唆している。HBM出荷の急拡大やAIインフラ投資の増加は、需要が依然として堅調であることを物語っており、市場のこうした見方に疑問を投げかけている。

◇メモリー株乱高下、犯人は個別株レバETF 値動き数倍「投機」に熱狂―SKハイニックス、10日に米国で上場 (7月10日付け 日経 電子版 05:10)
→個別株の値動きに複数倍で連動するレバレッジ型上場投資信託(単一銘柄レバETF)が膨張している。運用残高は6月末で500億ドル(8兆円)超と1年で2.3倍になった。足元ではメモリー株に連動する商品が相次ぎ作られ、相場を乱高下させる主因になっている。レバETFの「渦中」にいるのが韓国SKハイニックスだ。

◇Soaring server DRAM prices to moderate: report (7月10日付け Taipei Times)
→TrendForceは、米国の主要クラウド事業者が長期供給契約を確保したことを受け、今四半期のサーバー用DRAMの価格上昇幅は13〜18%に鈍化すると予測している。一方で、継続的な供給不足、サーバー需要の増加およびRDIMMの供給逼迫といった要因が、来年にかけてもメモリ価格を下支えし続ける見通しである。

AIが引っ張る半導体市場特性の展開に、引き続き注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月5日(日)

米国とドイツでの酷暑が、以下の通り伝えられている。

◇米建国250年式典、酷暑と雷雨で混乱 米軍機ショーと花火で祝賀 (日経 電子版 16:04)
→建国250年を迎えた米首都ワシントンでは4日、酷暑と雷雨の影響で、記念式典に混乱が生じた。一時、参加者全員に避難命令がくだり、トランプ米大統領の基調演説は日付をまたぐギリギリの時間となった。

□7月7日(火)

連日の最高値から始まった後、米イラン情勢など受けて2日の下げ、その後2日やや盛り返した推移の今週の米国株式市場である。

◇NYダウは連日の最高値更新 155ドル高、半導体関連が上昇 (日経 電子版 05:24)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。終値は前営業日の2日と比べ155ドル84セント(0.29%)高の5万3055ドル91セントと連日で最高値を更新した。前週に売られた半導体関連株を買い直す動きが広がった。半面、ディフェンシブ株などに売りが出て、ダウ平均は下げる場面もあった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、アナリストが目標株価を引き上げたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が一時10%あまり上昇した。アップルとの半導体供給契約の延長を発表したブロードコムも買われた。クアルコムやマーベル・テクノロジーなど他の半導体関連株にも買いが入った。

□7月8日(水)

◇ドイツ、6月の熱波で5000人以上死亡か 新築でも冷房ありは4% (日経 電子版 02:58)
→熱波が襲った6月下旬のドイツで、死者が平年より5000人以上増加した。
 死者数が平時より増加する「超過死亡」が独連邦統計局のデータで明らかになった。

◇NYダウは反落 AIや半導体に売り、原油相場上昇も重荷 (日経 電子版 05:34)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、終値は前日比130ドル76セント(0.24%)安の5万2925ドル15セントだった。人工知能(AI)や半導体関連株が下落し、相場の重荷となった。米原油先物相場が上昇したことも、主力株への売りにつながった。
 7日の韓国株式市場でサムスン電子が大幅に下げた。7日発表した2026年4〜6月期業績の速報値は好調だったが、材料出尽くし感からの売りに押された。アジア市場でのAI・半導体株への売りが米国の関連銘柄に波及した。ダウ平均の構成銘柄ではないがマイクロン・テクノロジーやインテルのほか、製造装置株の下げが目立った。

□7月9日(木)

◇NYダウ一時855ドル安 トランプ氏「停戦は終わった」でリスクオフ (日経 電子版 05:33)
→8日の米国株市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比576ドル安の5万2348ドルで引けた。米国とイランとの間の暫定的な停戦についてトランプ米大統領が「終わったと思う」と発言。リスクオフ(回避)のために株式を売る動きが優勢となった。

□7月10日(金)

◇NYダウ反発139ドル高 米イラン衝突への警戒和らぐ、半導体株に買い (日経 電子版 05:31)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比139ドル02セント(0.26%)高の5万2487ドル41セントだった。米国がイランへの追加攻撃を終了し、原油相場が下落したことが投資家心理を支えた。AI・半導体関連株への物色が活発だった。

□7月11日(土)

◇NYダウは続伸、149ドル高 原油安やSKハイニックス上場が支え (日経 電子版 05:57)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前日比149ドル60セント高の5万2637ドル01セントだった。原油価格の下落が株式の買い安心感につながった。韓国の半導体メモリー大手、SKハイニックスのADRの米市場上場が投資家心理を支えた面もあった。
 トランプ米大統領は10日に自身のSNSでイランから協議継続の求めがあり「同意した」と投稿した。不透明感は残るものの、米原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近8月物が前日比0.9%安の1バレル71.41ドルで終えた。エネルギー価格の高止まりを巡る懸念が薄れ、株買いを促した。


≪市場実態PickUp≫

【Apple関連】

AppleがBroadcomと$30 billion超規模の半導体製造契約を締結、米国国内完結の製造への布石となる可能性である。今週足もとの提訴の動き、否応なく推移に注目せざるを得ないところである。

◇Apple commits $30 billion to Broadcom for U.S. chipmaking push (7月8日付け CNBC)
→1)*AppleはBroadcomとの提携を拡大し、$30 billion超規模のチップ製造契約を締結した。これは同社にとって、米国での製造に関する過去最大のコミットメントとなる。
  *この契約により、150億個以上の米国製チップが生産される見込みであり、Broadcomのコロラド州フォートコリンズにある拠点の拡張($1.5 billion規模)も含まれている。
  *Appleのティム・クックCEO(当時)にとって、これはトランプ政権の重要政策の一つであった「国内製造」を推進する最新の取り組みとなる。
 2)AppleはBroadcomとの提携を拡大し、$30 billion超の複数年契約を通じて150億個以上の米国製チップを生産することになった。この合意は、国内の半導体製造を強化し、Broadcomのコロラド州拠点を拡張するとともに、Appleの長期的なシリコン(半導体)サプライチェーン戦略を支えるものである。

◇Apple begins testing CXMT chips for devices sold in China, FT says (7月8日付け CNBC)
→1)*Appleは、中国国内で販売される機器向けに、同国の国有企業であるCXMT製のDRAMチップの試験運用を開始したと報じられている。
  *フィナンシャル・タイムズ紙が事情に詳しい関係者の話として水曜8日に伝えたところによると、同社はこれら製品のより広範な使用を許可するよう、米政府に働きかけている。
 2)Appleは中国国内向け製品にCXMT製DRAMチップを採用すべく試験を開始しており、本格採用に向けて米国の承認を求めている。地政学的緊張や中国の半導体分野での野心によって世界のメモリ市場の構図が変化し続ける中、今回の動きは、Appleがサプライチェーンにおいて難しいバランス取りを迫られている現状を浮き彫りにしている。

◇Apple, Broadcom chip deal expected to exceed US$30bn (7月9日付け Taipei Times)
→Appleは2031年までにBroadcomに対し$30 billion以上を投じ、150億個を超える米国製チップの製造、コロラド州での生産拡大、ならびにワイヤレス技術やAIサーバー技術の高度化を推進する。これにより、同社が掲げる総額$600 billion規模の国内投資および雇用創出へのコミットメントがさらに強化される。

◇Apple、ブロードコムと4.9兆円半導体調達契約 米国生産回帰の一環 (7月9日付け 日経 電子版 04:03)
→米アップルは8日、米ブロードコム製の半導体を調達するため300億ドル(約4兆9000億円)以上の契約を結んだと発表した。米政府はアップルに部品などを米国内で生産するよう求めており、対応に腐心している。ブロードコムとの間で、アップル製品向けの専用半導体や無線部品の設計・製造に関して契約を結んだ。

◇Apple’s $30B Broadcom Deal Signals Expansions in AI, U.S. Supply Chain (7月10日付け EE Times)
→*AppleによるBroadcomへの$30B規模の投資は、AIデータセンターや米国の半導体製造を自社の事業圏に引き込む動きであり、Intelに起死回生のチャンスをもたらす可能性もある。
 *EE Timesの取材に応じたアナリストらによると、今週発表されたBroadcomとの$30 billion規模の契約は、Appleがデータセンター事業へと領域を拡大していることを示すとともに、米国のサプライチェーン強化やIntelにとっての新たなビジネスチャンスにつながるものだという。Appleは7月8日、Broadcomとの間で、Apple製品向けのカスタムシリコン(独自設計チップ)の製造および無線接続技術の供給に関する複数年契約を締結したと発表した。

◇Apple、OpenAIを提訴 端末開発で「機密情報を不正取得」と主張 (7月11日付け 日経 電子版 06:22)
→米アップルが10日、米オープンAIを提訴したことがわかった。オープンAIがAI専用端末の開発を進める中、アップルの設計データや製造技術に関する機密情報を不正に取得したと主張している。
 アップルは同日、米西部カリフォルニア州の連邦地裁にオープンAIと、同社で端末開発に関わるアップル元従業員2人を提訴した。

◇AppleがOpenAI提訴「元幹部が機密持ち出し主導」 端末開発に流用か (7月11日付け 日経 電子版 12:04)
→米オープンAIを10日提訴した米アップルは、元幹部らが機密情報を持ち出しオープンAIでAI端末開発に流用したと主張する。訴訟を通じてオープンAIの信用が揺らげば、巨額を投じた端末開発だけでなく、新規上場の計画にも暗雲が立ち込める。
 アップルは営業秘密侵害などでオープンAIと、同社で端末開発を担う元従業員2人などを米西部カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。


【対政府への動き】

メモリ半導体の価格設定や供給割り当てなど、関連各国政府の介入を避けるよう求める、メモリ半導体メーカーなど代表するSEMIの働きかけである。

◇SK hynix, Samsung, Micron among semiconductor industry group lobbying against government intervention on domestic memory chip supply - says move would worsen situation, suggests tax deductions on consumer electronics instead―Chipmakers lobby against US intervention in memory market (7月3日付け Tom's Hardware)
→1)メモリチップメーカー各社は、政府が業界に介入することに難色を示している。
 2)マイクロン、サムスン、およびSKハイニックスといった大手メモリチップメーカーが加盟する業界団体、SEMIは、トランプ政権に対し、価格や生産能力に影響を及ぼすようなメモリ市場へのいかなる介入も行わないよう求める書簡を送付した。同団体は、そうした介入は不足をさらに悪化させることになると主張している。ブルームバーグによると、この書簡は、ある議員が商務省に対し、この問題が自動車産業に影響を及ぼす恐れがあるとして対応を求める書簡(PDF)を送ったことを受けて送付されたものである。

◇Chip Industry's Message to Washington (7月3日付け Wealth Advisor)
→SEMIは各国政府に対し、メモリチップの価格設定や供給割り当てに介入しないよう求めた。同団体は、AI需要に伴う生産能力の拡大を支えるには、市場原理や製造へのインセンティブの方が適していると主張している。また、政治的な介入は投資意欲を削ぎ、供給不足を長期化させ、そして半導体分野における長期的な競争力を損なう恐れがあると警告した。

◇Memorychip makers warn price meddling could bite (7月4日付け Taipei Times)
→SEMIはトランプ政権に対し、メモリチップの価格や生産への介入を避けるよう求め、そうした措置はAI需要に起因する供給不足を深刻化させかねないと警告した。その上で、米国の製造能力と供給の強靭性を強化するため、税制優遇措置の拡充や顧客との長期契約の推進を提言した。


【Huawei関連】

Mooreの法則に対抗してHuaweiが「Tau Scaling Law」を発表したのが5月下旬のこと。データセンターを動かすAI半導体、Ascendおよび次期スマホ向けプロセッサ、Kirin 2026に注目である。

◇Huawei’s next smartphone chip taps new scaling law for performance boost: paper (7月6日付け South China Morning Post)
→1)このチップは「Mate」シリーズのスマートフォンに搭載される予定であり、回路内での信号伝送距離を劇的に短縮するHuawei独自の「Tau Scaling Law」フレームワークを採用している。
 2)Huaweiは、次期スマートフォン向けプロセッサ「Kirin 2026」において、「LogicFolding」アーキテクチャの採用によりトランジスタ密度を55%向上させ、消費電力を41%削減すると主張している。これは、製造プロセスの微細化や高度なリソグラフィ技術に頼るのではなく、チップのレイアウト設計を見直すことで大幅な性能向上を実現するものである。

◇ファーウェイ、「ムーアの法則」の対抗軸提唱 半導体の積層で高性能化―微細化の限界近づく (7月9日付け 日経 電子版 05:00)
→中国の通信機器大手、ファーウェイが微細化によって半導体を高性能化する「ムーアの法則」に代わる理論を提唱し始めた。ファーウェイは米国政府の制裁で最先端の製造装置を調達するのが難しい。積層技術を使い、独自の進化を目指す。

◇ファーウェイ、半導体新理論 「ムーアの法則」に対抗 チップ重ね高性能に (7月10日付け 日経)
→中国の通信機器大手、ファーウェイが微細化によって半導体を高性能化する「ムーアの法則」に代わる理論を提唱し始めた。ファーウェイは米国政府の制裁で最先端の製造装置を調達するのが難しい。一枚一枚のチップを重ねる技術を使い、独自の進化を目指す。
 ファーウェイは9月までに日本の企業を対象に、クラウドを通じて「DeepSeek」や「通義千問(Qwen)」など中国のAIが使えるサービスを始める。中国のデータセンターで動かすのが独自のAI半導体「Ascend」だ。韓国では年内にAI半導体の販売を始める。


【中国のコスト戦略】

格安の先端AIモデル、そして現下の半導体市況の中、成熟半導体の受託シェアの拡大、など中国企業の戦略的な攻勢の動きである。

◇中国AIがミュトスいぬ間に躍進 料金は20分の1、米企業も乗り換え (7月6日付け 日経 電子版 11:00)
→米アンソロピックが米政府の指示で先端AI「ミュトス」の提供を停止していた間に、中国AIに乗り換える米企業が増えた。中国企業のAIは誰でも使える「オープン型」で、料金はミュトスの20分の1とコスパが高い。技術覇権を狙う米国勢は警戒感を強める。

◇中国、米アンソロピックのAIに「バックドア」と主張 更新呼びかけ (7月8日付け 日経 電子版 18:50)
→中国の工業情報化省は8日、米AI新興のアンソロピックが開発したプログラミングAI「クロードコード」について、セキュリティーにリスクがあると発表した。利用者にリスクのある従来版の削除や最新版への更新を呼びかけた。
 同省のインターネット関連の脅威や脆弱性を共有するプラットフォームが同日、セキュリティー上の懸念である「バックドア」のリスクがあると発表した。

◇米企業、コスト安い中国AIに乗り換え 開発者向けでは利用5割に迫る (7月10日付け 日経 電子版 05:35)
→米国企業の間で中国製のAIの利用が広がっている。米高性能AIの1%程度の料金で使えるモデルもあることから乗り換えが進み、特に業務ソフトにAIを組み込む際などに使うサービス「オープンルーター」(各社のAIモデルを自由に切り替えて使える)では中国AI利用率が50%に迫っている。

◇中国企業、AI追い風に成熟半導体の受託拡大 ネクスチップ香港上場 (7月10日付け 日経 電子版 17:45)
→中国で半導体の受託生産(ファウンドリー)を手掛けるネクスチップが10日、香港市場に上場した。主力製品は旧世代の成熟品ながら、設立10年強で世界8位まで成長した。
 ファウンドリー大手がAI用の先端品を優先して生産しているため、成熟品の需給も逼迫しつつある。後発である中国企業への追い風になっている。


【半導体人材】

米国国内で完結する半導体製造が図られる中、熟練労働者の不足の現状の問題意識、そして人材育成に努める動きが、以下の通り見られている。

◇Role in Building National Semiconductor Workforce Grows (7月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体メーカーが北テキサスや全米各地で新施設への大規模な投資を行う中、テキサス大学ダラス校は、拡大する同業界の担い手を育成する地域の取り組みを主導している。

◇Worker shortfall endangers U.S. chip factory revival - including Ohio’s Intel shop (7月7日付け Crains Cleveland Business)
→全米規模での熟練労働者不足により、数十億ドル規模の新たな米国半導体工場の建設が遅れ、将来のチップ生産が制約される恐れが生じている。こうした状況を受け、増大する需要に対応するため、業界間の連携強化や政府による継続的な資金支援を求める声が上がっている。

◇Worker shortage endangers US chip production plans (7月9日付け Taipei Times)
→熟練労働者の全国的な不足により、米国の半導体プロジェクトが遅延し、将来のチップ生産が制限される恐れがある。2030年までに最大15万7,000人の労働者が不足すると予測されており、業界のリーダーたちは、高まる需要に対応するために、政府による継続的な資金提供、労働者の職業訓練、そして教育から産業界への人材供給ルートの強化を求めている。

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