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またも大幅な月次最高更新、9月半導体販売高、熱いAI活況に潜む懸念

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この9月について$69.5 billionと、8月の$64.9 billionから7.0%と大幅増加、6月のほぼ$60.0 billionからの駆け上がりの見え方である。AI(人工知能)関連需要が牽引する増勢が、2024年以降この販売高にあらわれているが、ここ数ヶ月度合いを高めている。今回、四半期販売高もあらわされて、7-9月四半期が4-6月四半期に対して15.8%増と、1-3月四半期から4-6月四半期への7.8%増に比べても、増勢の高まりがあらわれている。このように熱いAI活況に煽られる一方、倫理性、信頼性などAIに付きまとう懸念での先行きの不安定性が取り沙汰される面も引き続いている。

≪世界半導体販売高とAI活況≫

今回のSIAからの発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓〇第三四半期のグローバル半導体販売高が、第二四半期から15.8%増;9月販売高が、前月比7.0%増―9月の世界半導体販売高、前年同月比25.1%増 …11月3日付け SIA/Latest News

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2025年第三四半期のグローバル半導体販売高が$208.4 billionで、第二四半期に比べて15.8%の増加、と発表した。2025年9月のグローバル半導体販売高が$69.5 billionで、前年同月、2024年9月の$55.5 billionに比べて25.1%の増加、そして前月、2025年8月の販売高を7.0%上回った。
 月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。

「今年第3四半期のグローバル半導体販売高は引き続き増加し、第2四半期の販売高を大幅に上回った。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「市場の成長は、メモリやロジックなど幅広い半導体製品に対する需要の増加によって牽引された。また、前年比の成長は、アジア太平洋地域と米州地域への販売増によって支えられた。」

地域別では、9月の前年同月比で、Asia Pacific/All Other (47.9%), Americas (30.6%), China (15.0%), およびEurope (6.0%)では増加したが、Japan (-10.2%)では減少した。9月の販売高前月比では、the Americas (8.2%), Asia Pacific/All Other (8.0%), China (6.0%), Europe (5.5%), およびJapan (1.6%)とすべてで増加した。

                     【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Sep 2024
Aug 2025
Sep 2025
前年同月比
前月比
========
Americas
17.24
20.81
22.52
30.6
8.2
Europe
4.43
4.44
4.69
6.0
5.5
Japan
4.21
3.72
3.78
-10.2
1.6
China
16.26
17.63
18.69
15.0
6.0
Asia Pacific/All Other
13.37
18.31
19.78
47.9
8.0
$55.52 B
$64.91 B
$69.47 B
25.1 %
7.0 %

--------------------------------------
市場地域
4- 6月平均
7- 9月平均
change
Americas
18.43
22.52
22.2
Europe
4.38
4.69
7.2
Japan
3.59
3.78
5.2
China
16.97
18.69
10.2
Asia Pacific/All Other
16.60
19.78
19.2
$59.97 B
$69.47 B
15.8 %

-------------------------------------

※9月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/10/September-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
★★★↑↑↑↑↑

今回の発表を受けての業界各紙の取り上げは、本欄を埋めている時点、見当たらない状況である。

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。3月は若干持ち直して、前月比減に歯止めを施す見え方となっている。四半期の締めで集中駆け込みの可能性もあり、引き続き推移に注視を要する。4月も引き続き盛り返して、2024年11月の最高に迫る水準である。今後も増勢が維持されるかどうか、注目である。
5月は$58.98 Billionと、以下で分かる通り、昨年の11月を上回って、月次最高となり、たぶんに史上最高の月次水準になる覚えである。このAIが引っ張る増勢の今後に注目するところである。
そして、6月は$59.91 Billionで、またも月次最高、どこまでいくか、という見方&期待であり、$60 Billionの大台に迫っている。7月は、またも最高更新、$62.07 billionと新たな大台に突入している。AI需要が引っ張る市場景観、特に増勢がこのままいつまで続くのかに注目である。
8月は$64.88 billionと、4ヶ月連続の月次最高更新である。AIの信頼&信用懸念が取り沙汰されているが、引き続く増勢である。
9月は$69.47 billionと、増勢をさらに高めて、5ヶ月連続の月次最高更新であり、2024年11月に記録したそれまでの単月販売高最高の$57.82 Billionと比べても、このところの一気駆け上がりの様相がうかがえるところである。

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販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %
2024年 6月 
$49.98 B
18.3 %
1.7 %
2024年 7月 
$51.32 B
18.7 %
2.7 %
2024年 8月 
$53.12 B
20.6 %
3.5 %
2024年 9月 
$55.32 B
23.2 %
4.1 %
2024年10月 
$56.88 B
22.1 %
2.8 %
2024年11月 
$57.82 B
20.7 %
1.6 %
2024年12月 
$56.97 B
17.1 %
-1.2 %
$616.70 B
 
年間最高更新
 
2025年 1月 
$56.52 B
17.9 %
-1.7 %
2025年 2月 
$54.92 B
17.1 %
-2.9 %
2025年 3月 
$55.90 B
18.8 %
1.8 %
2025年 4月 
$56.96 B
22.7 %
2.5 %
2025年 5月 
$58.98 B
19.8 %
3.5 %
2025年 6月 
$59.91 B
19.6 %
1.5 %
2025年 7月 
$62.07 B
20.6 %
3.6 %
2025年 8月 
$64.88 B
21.7 %
4.4 %
2025年 9月 
$69.47 B
25.1 %
7.0 %


半導体販売高の今後については、旺盛かつ大規模なAI需要、そして特に先端半導体価格の高騰が大きく影響する様相が見られて、関連する内容を以下取り出している。

◇[News] TSMC Reportedly Flags 3-5% Price Hikes for Sub-5nm in 2026, Ripple Effects on Mature Nodes Expected (11月3日付け TrendForce)
→TSMCは、2026年1月から5nm以下の先端プロセスノードの価格を4年間かけて段階的に引き上げる計画で、平均3〜5%の値上げを予定している。この値上げについては、9月以降、Apple、NVIDIA、Qualcommなどの顧客企業に対し、AIおよびHPCチップの需要急増を背景に、すでに事前通知が行われている。一方、6〜7nmといった成熟プロセスノードの生産能力は逼迫する可能性がある。

◇DRAM prices skyrocket 171% year-over-year, outpacing the rate of gold price increases - AI demand drives massive price hikes as shortage takes hold―Report: DRAM prices surge 171% amid AI-driven demand, shortage―Mainstream DDR5 memory is already at least twice as expensive as it was in July. (11月4日付け Tom's Hardware)
→AI業界からの旺盛な需要により、DRAM価格は高騰を続けている。CTEEによると、DRAM契約価格は2025年第3四半期時点で前年比171.8%という驚異的な上昇を記録している。実際、DRAM価格は近年の金価格の上昇率を上回るまでに上昇している。ADATAの会長であるChen Libai氏は、2025年第4四半期にDRAMの強気相場が到来し、2026年には深刻なDRAM不足に見舞われる可能性が高いと述べたと報じられている。

◇The Truth About Memory Supply, Pricing and What Comes Next (11月5日付け EE Times)
→メモリチップ業界は、サプライヤーが長期供給のDRAMおよびフラッシュメモリ製品の生産を中止し、価格を最大30%引き上げ、AI関連の需要を優先するなど、不安定さの高まりに直面している。かつて安定していた長寿命化プログラムは揺らぎを見せており、メーカーは供給戦略の見直しと調達先の多様化を迫られている。

「AIバブル」が到来か、否か、の見方である。

◇Will AI Ever Become Profitable? (11月4日付け 3DIncites)
→AI投資は急増しており、2025年までに$1.5 trillion(1兆5000億ドル)に達すると予測されているにもかかわらず、ほとんどの企業は依然として経済的利益をほとんど得られていない。専門家は、コスト上昇、循環型産業の取引、そして電力需要の増加により、収益性リスクとAIへの経済的な過度な依存が露呈し、「AIバブル」の到来を警告している。

◇AI is not in a bubble, says VC founder. Why he says it’s different to the dotcom boom (11月4日付け CNBC)
→1)*企業と消費者の両方がAIを採用するスピードが、今回のブームを他のバブルとは一線を画すものだと、ベンチャーキャピタリストのMagnus Grimeland氏はCNBCのポッドキャスト「Beyond the Valley」で語った。
  *グリムランド氏によると、AI企業には「実質的な」収益があり、これがドットコムブームとは異なる点だという。
  *企業と消費者は急速にAIに目を向けており、経営幹部は「すぐに」AI技術に投資する意欲があるとグリムランド氏は述べた。
 2)ベンチャーキャピタリストのマグナス・グリムランド氏は、AI投資バブルへの懸念を一蹴し、AI技術の急速な導入、実質的な収益、そして広範なビジネス統合がドットコム時代とは異なる点だと主張した。同氏は、大手テクノロジー企業の支配にもかかわらず、小規模なスタートアップ企業には依然として大きなチャンスがあると述べた。

「AIスーパーサイクル」に突入とのあらわし方である。

◇The Silicon Surge: How AI is Reshaping the Semiconductor Industry (11月5日付け Financial Content)
→半導体業界は「AIスーパーサイクル」に突入しており、GPUs、アクセラレータ、および高帯域幅メモリ(HBM)の需要が急増している。AIはチップの設計と製造に新たな変革をもたらし、開発期間の短縮、歩留まりの向上をもたらし、2025年には市場規模が15%拡大すると予測されている。

以下、様々に飛び交う大きな桁の市場の動きである。

◇米テック3社10兆円調達 社債にAIマネー殺到、市場は熱狂を警戒 (11月5日付け 日経 電子版 06:20)
→米大手テクノロジー企業がAI投資資金の一部を賄うため、社債発行で相次ぎ巨額調達を実施している。メタとオラクル、アルファベットの3社で9月以降、計$65.5 billion(約10兆円)のドル資金を確保した。AI銘柄に沸く社債投資家の買い注文は殺到するが、長期的な財務悪化リスクへの警戒感もくすぶる。

◇AI bubble concerns prompt global chip stock sell-off (11月6日付け Taipei Times)
→1)過大評価?一部の人々は、この大規模な株売りを好材料と捉え、業界の先走りで株価を割安にしていたとされる業界の息抜きになると見ている。
 2)AI関連銘柄の過大評価に対する投資家の警戒感が高まり、半導体株の世界的な売りが深刻化した。収益成長の鈍化と高金利の長期化への懸念から、アジアの大手半導体メーカーやハイテク企業の株価は急落し、時価総額は約$500 billion減少した。

◇Sam Altman says OpenAI will top $20 billion in annualized revenue this year, hundreds of billions by 2030 (11月6日付け CNBC)
→1)*OpenAIは今年、年間売上高$20 billion超を達成する見込みだと、サム・アルトマンCEOは述べた。
  *同社は、2030年までに売上高を数千億ドルに拡大する計画だと述べた。
  *OpenAIはここ数カ月で$1.4 trillionを超えるインフラ関連契約を締結しており、これらの契約への資金提供方法について疑問が生じている。
 2)OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は、同社は今年、年間売上高$20 billionを超える見込みで、2030年までに数千億ドルを目指していると述べた。アルトマン氏は、$1.4 trillion規模のAIインフラ関連契約を擁護し、政府ではなく民間からの資金提供を強調した。

◇Google deploys new Axion CPUs and seventh-gen Ironwood TPU
training and inferencing pods beat Nvidia GB300 and shape 'AI Hypercomputer' model―Google unveils Axion CPUs, Ironwood TPUs to boost AI―Chips complete Google's portfolio of custom silicon. (11月6日付け Tom's Hardware)
→Google Cloudは、低遅延の推論と大規模AIモデルのトレーニング向けに、AI特化型インスタンスにAxion CPUとIronwoodテンソル処理ユニット(TPU)を新たに導入した。AI安全性企業であるAnthropicは、これらのTPUsを最大100万個利用するために数十億ドルを投じることを表明している。

◇Google debuts AI chips with 4X performance boost, secures Anthropic megadeal worth billions (11月6日付け VentureBeat)
→Google Cloudは、これまでで最も強力なAIインフラストラクチャと銘打つ新製品を発表した。第7世代のTensor Processing Unit(TPU)と拡張されたArmベースのコンピューティングオプションを投入し、AIモデルの運用に対する急増する需要に対応することを目指している。同社はこれを、モデルのトレーニングから数十億人のユーザーへのサービス提供へと、業界が根本的にシフトする動きだと位置づけている。

◇Google’s rolling out its most powerful AI chip, taking aim at Nvidia with custom silicon (11月6日付け CNBC)
→1)*Googleは、同社史上最強のチップ「Ironwood」を今後数週間以内に広く利用可能にすると発表した。
  *GoogleのTensor Processing Unit(TPU)の第7世代であるIronwoodは、4月にテスト用に初めて導入された。
  *Googleによると、前世代機と比べて4倍以上の速度を誇るという。
 2)Googleは、より高速でスケーラブルな性能でAI開発者を魅了するため、同社史上最強のチップ「Ironwood TPU」を発表する。前世代機と比べて4倍以上の速度を誇るIronwoodは、Microsoft、Amazon、およびNVIDIAとの競争が激化する中、大規模モデルのトレーニングをターゲットとしている。

◇Tesla Considers Building ‘Tera Fab’ to Meet Future Chip Needs (11月7日付け EE Times)
→1)イーロン・マスク氏は、AIロボット向けチップ需要を満たすため、テスラのテラファブ建設を検討している。果たして実現するのだろうか、それともまたしても大胆な約束に過ぎないのだろうか?
 2)新たに承認された1兆ドルの報酬パッケージに期待を膨らませるイーロン・マスク氏は、昨日テキサス州オースティンで開催されたテスラの年次株主総会で、ごく少数の投資家に対し、チップ製造の構想を語り、テスラのチップ需要を満たすために月産100万枚規模の「テラファブ」を建設する計画を明かした。

◇Musk plans Tesla mega AI chip fab, mulls potential Intel partnership―Musk: Tesla plans AI chip fab, eyes possible Intel partnership (11月7日付け Reuters)
→イーロン・マスク氏は、テスラがAIチップを製造するための大規模な半導体製造工場を建設する可能性があり、インテルと提携する可能性もあると発表した。マスク氏は、この工場はテスラの自動運転システムに必要なチップ需要を満たすために不可欠だと主張している。テスラは現在、第5世代AIチップであるA15を開発中で、その後継となるAI6チップの開発も予定している。

それぞれに非常に注目を要する動きであり、当面目が離せないところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□11月3日(月)

ニューヨーク市長に弱冠34歳の民主党候補が当選、世代交代の波乱含みを思わせている。

◇米中間選挙まで1年、上院は共和党優勢・下院は接戦 民主党攻め手欠く (日経 電子版 02:00)
→2026年秋の米連邦議会中間選挙まで3日で1年となる。米選挙情勢を分析する米専門サイトによると、上院は過半数獲得へ与党・共和党が優勢で、下院は野党・民主党と競る。第2次トランプ政権への初の審判となる大勝負に向け、民主は攻めあぐねている。
 中間選挙は4年に1度の大統領選の中間の年に実施し、上下両院を改選する。

□11月4日(火)

景気や雇用を巡る上げ下げが見られたが、AI投資不安による大きな下落も見られた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ、反落し226ドル安 最高値圏で持ち高調整 (日経 電子版 07:42)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、終値は前週末比226ドル19セント(0.47%)安の4万7336ドル68セントだった。相場が最高値圏にあるなかで、主力株の一部に持ち高調整の売りが出た。米経済指標が市場予想を下回ったことも重荷となり、ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。ダウ平均は前週まで3週連続で上昇し、10月28日には最高値を付けていた。

「AIリストラ」そしてAI投資熱も、取り沙汰されている。

◇迫る「AIリストラ」の現実 米企業95万人削減、雇用なき成長探る (日経 電子版 08:09)
→米国企業のリストラが相次いでいる。民間統計によると、2025年1〜9月に企業が表明した人員削減数は前年同期比5割増の約95万人に拡大した。米景気や失業統計はまだ悪化傾向を示していないものの、大企業はAIによる効率化を先取りする形で人員を削減し、「雇用なき成長」に向け動き出した。

□11月5日(水)

◇米ナスダック2%安、テック投資熱に大物3人警告 「IT株は割高」 (日経 電子版 06:24)
→4日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は前日比0.5%安と続落したほか、ナスダック総合株価指数も2%安と大きく下がった。ウォール街の著名な経営者と投資家が相次ぎ足元のAI投資に警戒感を示したことで、高いバリュエーションのテック株を中心に売りが広がった。

□11月6日(木)

◇NYダウ、反発し225ドル高 雇用懸念の後退が支え (日経 電子版 06:58)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比225ドル76セント(0.47%)高の4万7311ドル00セントだった。米経済の底堅さを示す指標の発表を受け、投資家心理の改善につながった。売りが先行したハイテク株の一角が切り返したことも相場を支えた。

□11月7日(金)

個人的に意識したのが京都での「COP3」であり、今に至る経緯に思い巡らすところである。

◇COP30首脳級会合が開幕 米国不在の温暖化対策、主役狙う中国 (日経 電子版 01:02)
→温暖化対策を話し合う第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)が6日に始まった。アマゾン川河口のブラジル北部ベレンが舞台となる。トランプ米政権が高官派遣を見送るなか、中国は丁薛祥筆頭副首相が参加し、主導権を狙う。

AI関連が続いている。

◇ナスダック2%安、景気不安でテック軒並み下落 NVIDIA4%安 (日経 電子版 06:31)
→6日の米株式市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合株指数が23053.99と前日比1.9%下落した。最高値をつけた10月29日の水準から3.7%安の水準だ。朝方発表された民間の労働統計で企業のレイオフが急激に増加。景気悪化への懸念が高まり、過熱感も指摘されるテック株を中心に売られた。国債など、相対的に安全とされる資産に資金を移す動きもみられた。ダウ工業株30種平均は397ドル安(0.84%安)の4万6913ドルで終わった。

◇データ保護や供給網強化、首相「迅速に対応」 経済安保法改正を指示 (日経 電子版 09:10)
→高市早苗首相は7日、首相官邸で開いた経済安全保障推進会議に出席した。「新たな課題に迅速かつ強力に対応していく必要がある」と述べ、経済安全保障推進法を改正するよう指示した。サプライチェーンやデータの保護強化など具体策を詰めるため有識者会議での議論を始める。

□11月8日(土)

◇米ナスダック週3%安、AI投資不安で7カ月ぶり下落率 世界株にも波及 (日経 電子版 06:29)
→7日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は前日比74ドル高の4万6987ドルで取引を終えた。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は週間で3%下落し、4月上旬の関税ショック時(10%安)以来の下げ率となった。AIへの過剰投資不安からテック株売りが広がる。米国以外の株式市場にも波及している。
 大型テックの中でもハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の下落が目立つ。

≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

AI、先端半導体はじめ、現下の関連する動き&内容である。

◇China's Xi pushes for global AI body at APEC in counter to US (11月1日付け Reuters)
→中国の習近平国家主席は土曜1日に行われたAPEC首脳会議で中心的な役割を果たし、AIを統括する国際機関の設立案を提唱するとともに、貿易協力において中国が米国に代わる選択肢となることをアピールした。これらの発言は、中国が今年発表したこの構想について習主席が初めて公式に言及したものであり、米国は国際機関によるAI規制の取り組みを拒否している。

◇White House says China to lift rare earth export bans, stop probes into US tech companies―China agrees to lift rare earth export restrictions after trade talk (11月2日付け The Register (UK))
→□さらに:Googleがインドで大規模なAI関連支援を実施。オーストラリアのソフトウェア会社に捜索が入る。詐欺容疑のキャンプ運営者の資産が差し押さえられる。その他にも多数のニュースをお届けする!
 先週行われた米中貿易協議では、両国が一部の貿易制限を緩和することで合意した。
 土曜1日にホワイトハウスが発表したfact sheetによると、この協議の結果、中国は多くのハイテク製品の製造に必要な鉱物であるレアアースの輸出制限を解除した。

◇Trump tariffs live updates: Trump says China, others can't have Nvidia's top AI chips―US, China reach trade truce; Nvidia top AI chips to stay in US (11月3日付け Yahoo/Reuters)
→ドナルド・トランプ大統領は、Nvidia社の最先端AIチップ「Blackwell」を米国企業のみに供給することを盛り込んだ中国との貿易協定を発表した。習近平国家主席との間で合意されたこの協定には、中国が一部の米国半導体企業に対する調査を中止することも含まれている。また、この協定の一環として、米国は中国に対する一部の関税措置を1年間停止する。

◇NVIDIA: Trump Says He Will Freeze China Blackwell AI Chip Sales -- Billions in Revenue at Risk―Nvidia Faces Revenue Risk After Trump Freezes AI Chip Shipments to China (11月3日付け GuruFocus)
→ドナルド・トランプ大統領は、日曜日にCBSのインタビューに応じ、Nvidiaの最先端AIチップは米国内企業向けに確保され、中国やその他の国には販売されないと述べた。

◇Treasury's Bessent sees eventual China sales of Nvidia chips (11月4日付け CNBC/YouTube)
→Scott Bessent(スコット・ベッセント)米国財務長官はCNBCのインタビューで、NVIDIAのBlackwellチップは、新技術の登場に伴い中国などの国々に売却される可能性があると述べた。「将来的には、Blackwellチップの性能がチップスタックの2、3、4段階も劣るケースが出てくるかもしれない」とベッセント氏。「そうなれば、売却される可能性もある。」

◇Nvidia's top-end chips may be sold as tech evolves, Bessent says (11月4日付け Yahoo/Reuters)
→Scott Bessent米財務長官は火曜4日、技術が進歩し、より高性能なチップが製造されるにつれ、エヌビディアの先進的なブラックウェルチップを中国やその他の国々に販売できるシナリオが想定できると述べた。

◇Trump tightens grip on top AI chips (11月4日付け Taipei Times)
→トランプ米大統領は、NVIDIAの最高性能AIチップ「Blackwell」は米企業向けに確保され、中国など他国は最先端バージョンを入手できないようにすると述べた。性能を抑えたバージョンのチップは輸出が許可される可能性もあるが、この動きは、米国がAI技術における優位性を維持するために輸出規制を強化する姿勢を示している。

◇China bans foreign chips from projects (11月6日付け Taipei Times)
→中国は、国費で新たに建設されるデータセンタープロジェクトすべてにおいて、国産AIチップのみを使用するよう命じ、NVIDIAなどの外国産チップの排除を義務付けた。チップの自給率向上を目的としたこの指令は、中国の$100 billion規模のAIインフラ市場を大きく変える可能性がある。

◇台湾の半導体産業、官民で防空強化策 有事なら世界のGDP10%減 (11月7日付け 日経 電子版 15:00)
→台湾北部の新竹サイエンスパークは「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる半導体工場の集積地だ。近年は中国の脅威への懸念が高まる。台湾有事となればサプライチェーン(供給網)が受ける打撃も大きく、世界の国内総生産(GDP)を最大10%押し下げるとの試算もある。


【Nexperia問題関連】

世界の自動車業界に影響を与えている、Nexperiaを巡るEU、米国および中国の間の対立の様相について、応酬そして打開を図る動き、と以下の通りである。

◇Xi-Trump Deal Leads to Resumed Shipments of Crucial Auto Semiconductors―Nexperia gets chip export reprieve thanks to Xi-Trump deal―Nexperia hasn’t shipped chips from China for weeks, putting car production around the world at risk (11月1日付け The Wall Street Journal)
→中国商務省は、中国資本でオランダに拠点を置く自動車用半導体メーカー、Nexperia社製の半導体に対する輸出規制を緩和すると発表した。同社は米中貿易摩擦の巻き添えとなり、供給網の混乱によって自動車生産に影響が出ていた。
 商務省は土曜1日、具体的な基準は明示せずに、Nexperia社製チップの輸出を一定の条件を満たす場合に限り許可すると発表した。「責任ある大国として、中国は国内外の生産・供給網の安全と安定を十分に考慮している」と声明で述べた。また、供給混乱の原因はオランダ政府による「企業の内政への不当な干渉」にあると非難した。

◇Where the Nexperia auto chip crisis stands now as the U.S., China and EU race to contain fallout (11月1日付け CNBC)
→1)*オランダに拠点を置く半導体メーカー、Nexperiaは、欧州連合(EU)、米国および中国間の対立の中心にあり、世界の自動車メーカーにとって危機的な状況を引き起こしている。
  *この問題の解決に向けて、土曜1日にはヨーロッパで会合が開かれている。
  *中国と米国の当局は、Nexperiaの中国拠点が重要な半導体の輸出を再開できるよう道を開こうとしているようである。
  *今のところ、自動車業界のサプライチェーンは危機的な状況にあり、各社がNexperia製部品の供給不足が差し迫っていると警告しているため、世界中の自動車生産が脅かされている。
 2)オランダ政府が安全保障上の懸念から中国資本の半導体メーカー、Nexperiaを差し押さえたことで、北京との間で世界的な対立が生じ、自動車のサプライチェーンが混乱している。米国、EU、および中国が参加する協議は、輸出再開に向けた進展を示唆しており、自動車生産削減への懸念を和らげている。

◇Nexperia China vows business as usual after Dutch wafer supply halt (11月2日付け South China Morning Post)
→1)中国法人は、本社が欧州からの出荷を停止したにもかかわらず、生産は安定しており、新たなサプライヤーを確保したと発表した。
 2)Nexperia Chinaは、オランダの本社との緊張関係にもかかわらず、生産は安定していると顧客に保証し、来年までの需要を満たすのに十分な在庫と新たなウェハー供給元を確保したと述べるとともに、オランダ側の経営陣と経営権掌握の動きを批判した。

◇How Nexperia’s China unit can meet chip orders amid European fabs’ suspended wafer supply (11月3日付け South China Morning Post)
→1)同社は、特に自動車業界からのチップ受注に対応するため、「新たなウェハー供給源の認定を加速している」と述べている。
 2)Nexperiaの中国法人は、国内の半導体サプライヤーを利用して顧客への製品供給を再開する予定だが、必要な供給体制を確保するには6ヶ月ほどかかる可能性がある。Wuxi NCE Power(無錫NCEパワー)、Hangzhou Silan Microelectronics(杭州士蘭微電子)、およびYangjie Technology(揚傑科技)といった中国の半導体メーカーが、この供給不足を補う態勢を整えている。

◇China Blames Netherlands for Nexperia Standoff, Warns of Global Chip Disruptions (11月4日付け Modern Diplomacy)
→1)中国は、オランダ政府が9月に中国の親会社であるWingtechに対する安全保障上の懸念からオランダ政府に接収されたオランダの半導体メーカー、Nexperiaをめぐる紛争をオランダが解決できていないと非難した。
 2)中国は、オランダが半導体メーカーのネクスペリアを接収したのは「一方的」な行為だと非難し、この動きが世界の半導体サプライチェーンを危険にさらしていると警告した。ネクスペリアの中国の親会社であるウィングテックに対する安全保障上の懸念と結びついたこの対立は、欧州の自動車産業と貿易の安定を脅かしている。


【マイクロソフト関連】

Nvidia製のAI半導体のU.A.E.への輸出の動きなど、マイクロソフト関連の動きが目に入ってきて、以下の取り出しである。

◇Microsoft CEO says the company doesn't have enough electricity to install all the AI GPUs in its inventory - 'you may actually have a bunch of chips sitting in inventory that I can’t plug in'―Microsoft's Nadella: Power supply limits use of AI GPUs―‘I don’t have warm shells to plug into’ (11月2日付け Tom's Hardware)
→マイクロソフトのSatya Nadella CEOは、電力供給不足のためAI向けGPUsの導入に課題を抱えていることを認めた。OpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)CEOとのポッドキャストの中で、ナデラ氏は、マイクロソフトは十分な数のGPUsを保有しているものの、電力不足によってそれらを最大限に活用できていないと述べた。「実際には、在庫として大量のチップを抱えているのに、電源に接続できない状態なのである。まさにそれが今の私の悩み」とナデラ氏は語った。

◇Microsoft Secures AI Computing Power in $9.7 Billion Deal with IREN―Microsoft strikes $9.7B deal with Iren to up AI chip access―The bitcoin mining and data center company also entered an $5.8 billion purchase agreement with Dell Technologies (11月3日付け The Wall Street Journal)
→マイクロソフトは、AIサービス向けに追加のコンピューティング能力を確保するため、Iren社と5年間で$9.7 billion規模の契約を締結した。この契約により、マイクロソフトはNvidiaのGB300チップへのアクセス権を獲得し、Iren社は需要に対応するため、デル・テクノロジーズと提携して$5.8 billion相当のGPUsおよび関連機器を購入する予定である。

◇Nvidia stock climbs 2% as U.S. approves chip sale to the UAE under Microsoft deal (11月3日付け CNBC)
→1)*マイクロソフトは、これらのライセンスによって、Nvidia製のチップ(より高性能なGB300 GPUsを含む)をアラブ首長国連邦(UAE)に輸出することが可能になった。
  *マイクロソフトのBrad Smith社長はCNBCに対し、「ハワード・ラトニック商務長官、そして彼が輸出許可の取得に向けて尽力してくださったことに深く感謝している」と述べた。
 2)マイクロソフトは、Nvidia製のA100およびGB300 GPUs合計60,400個をUAEに輸出するための米国輸出許可を取得し、湾岸諸国のAI開発への取り組みを後押しした。新たな安全対策に裏付けられたこの承認は、トランプ政権下で初めてのものであり、マイクロソフトの$15.2 billion規模のUAE投資計画を支援するものである。

◇Microsoft、UAEにNVIDIAの最新半導体輸出 米政府が許可 (11月4日付け 日経 電子版 05:49)
→米マイクロソフトは3日、米エヌビディア製のAI向け最新半導体をアラブ首長国連邦(UAE)に輸出すると発表した。米政府の許可を取得したことを受けて同国への投資を増やす。米中が中東におけるAI分野の影響力を競うなか、米国の技術を普及させる政府方針に従って事業を拡大する。

◇Microsoft、Teamsで社員の出社有無を検知可能に Wi-Fiを利用 (11月4日付け 日経 電子版 04:55)
→米マイクロソフトは12月からビジネス対話ツール「Teams」に従業員の作業場所を自動で特定できる機能を導入する。社員の出社の有無を上司や同僚などが把握できるようになる。居場所がわかるため社内コミュニケーションがしやすくなる一方、従業員への監視が強まることを懸念する声もある。


【Nvidia関連】

Nvidia、そしてCEOのJensen Huang氏を巡って、今週目にした忙しい動き、以下の通り。

◇Nvidia reveals Vera Rubin Superchip for the first time - incredibly compact board features 88-core Vera CPU, two Rubin GPUs, and 8 SOCAMM modules―Nvidia unveils Vera Rubin Superchip with 88-core CPU―Live images of Nvidia's Vera Rubin Superchip. (10月29日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaは火曜28日、ワシントンD.C.で開催されたGTC 2025の基調講演で、次世代スーパーチップ「Vera Rubin」を発表した。このチップは、AIおよびHPC向けに設計された2つのRubin GPUsと、Nvidia独自の88コアVera CPUで構成されている。Nvidiaによると、これら3つのコンポーネントはすべて来年の今頃には生産開始される予定だという。

◇Nvidia CEO Jensen Huang says AI is in a ‘virtuous cycle.’ Here’s what he means (10月31日付け CNBC)
→1)*NvidiaのCEOであるジェンセン・フアン氏は、人工知能(AI)モデルの改良がこの技術への投資を促進し、それがさらにAIの発展を加速させるという「好循環」を生み出していると述べた。
  *韓国で開催されたAPEC CEOサミットで講演したフアン氏は、収益性が現在のAIへの設備投資ブームの中心にあることを強調した。
  *また、私たちは新たな技術時代の10年にわたる構築期間の始まりにいるとも述べた。
 2)NvidiaのCEOであるジェンセン・フアン氏は、韓国で開催されたAPEC CEOサミットで、人工知能は「好循環」に入っており、AIの急速な進歩がさらなる投資とイノベーションを促進していると述べた。大手テクノロジー企業はAI関連に$300 billion以上を投資する計画であり、Nvidiaのリーダーシップをさらに強化している。

◇Nvidia’s Huang downplays concerns over selling AI chips to Beijing: It has ‘plenty’ of its own (11月1日付け CNBC)
→1)*Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは、韓国・慶州で開催されたAPEC CEOサミットでの基調講演後、金曜31日に記者団の取材に応じた。
  *フアン氏は「中国市場にサービスを提供することはアメリカにとって最善の利益となる。アメリカの技術を利用できることは中国にとっても最善の利益となる」と述べた。
  *この発言は、中国企業がAI開発に使用される先端半導体を購入することを制限する米国の輸出規制が続く中で行われた。
 2)フアン氏は、中国への先端チップ販売に関する米国の国家安全保障上の懸念を否定し、相互協力は両国に利益をもたらすと主張した。また、継続的な輸出規制にもかかわらず、中国における米国技術への需要については依然として楽観的であると述べた。

◇Nvidia inks major deal with South Korea for AI chip (11月1日付け Taipei Times)
→1)国家と企業:Nvidiaは韓国政府、サムスン、現代自動車およびSKグループにAIアクセラレーターチップを供給へ
 2)Nvidiaは韓国科学技術情報通信部、サムスン、現代自動車、およびSKグループと画期的な契約を締結し、26万個以上のAIアクセラレーターチップを供給することになった。これにより、韓国の自立的なAIインフラが強化されるとともに、NvidiaのBlackwellベースのプロセッサに対する世界的な需要が高まることが予想される。

◇Nvidia Unveils Blueprint for Urban AI at SCEWC―Accelerated compute and Digital Twins lay the groundwork for the urban 'AI Factory' (11月6日付け EE Times)
→Smart City Expo World Congress(SCEWC)において、都市のリーダーたちは、公共サービスの変革に向けた高性能AIの実用化に焦点を当てた。
 SCEWCにおける活発な技術議論の中、アクセラレーテッド・コンピューティングとAIによって推進される都市管理の根本的な変化が進行している。NVIDIAは、「アクセラレーテッド・コンピューティングの創造者」としての地位を活用し、「都市の頭脳」と呼ぶものを構築している。これは、地方自治体を常に事後対応的な管理から、プロアクティブでデータ主導のガバナンスへと移行させるための中央知能システムである。

◇Samsung's HBM4 yields surge toward Nvidia certification, SK Hynix keeps edge (11月6日付け DigiTimes)
→Nvidiaによる第6世代高帯域幅メモリ(HBM4)の評価は、サプライヤー間の激しい競争を巻き起こしている。ETNewsによると、同社は11月中旬までにSK Hynix、Samsung Electronics、およびMicronのHBM4チップのテストを完了する予定だという。

◇‘China is going to win the AI race’ - Nvidia CEO Jensen Huang decries the price of electricity in the US, contrasts it with China's subsidized pricing―Nvidia CEO: "China is going to win the AI race"―Jensen Huang made this controversial comment on the sidelines of the Future of AI Summit. (11月6日付け Tom's Hardware)
→NvidiaのCEO、ジェンセン・フアン氏は、米国はAI分野における優位性を失いつつあると述べ、高騰するエネルギーコストと輸出規制を主要な障害として挙げた。フアン氏は、中国はエネルギー価格が補助金によって抑えられているため、企業がデータセンターを建設しやすく、それが中国の優位性につながっていると指摘した。また、NvidiaのAIチップに対する輸出規制は逆効果であり、こうした措置は中国企業に国産代替品の開発を促し、中国の技術進歩をさらに加速させるだけだと主張した。フアン氏は「中国はAI競争に勝利するだろう」と述べ、「私たちはもっと楽観的になる必要がある」と付け加え、欧米の悲観主義がAIの進歩を阻害していると批判した。

◇Cost-Efficient AI at Scale is a Software Problem (11月7日付け EE Times)
→NVIDIAの競合他社がすべてソフトウェア開発で遅れをとっていることを考えると、大規模かつ費用対効果の高いAIの実現はソフトウェアの問題である。MorehのCEOであるGangwon Jo氏は、最近のEE Timesのインタビューで、データセンターの異機種混在が当たり前になるにつれて、ソフトウェアの重要性はさらに増すだろうと述べた。

◇Nvidia CEO says no 'active discussions' on selling Blackwell chip to China―Huang: Nvidia is not in talks to sell its Blackwell AI chip to China (11月7日付け Reuters)
→Nvidiaのジェンセン・フアンCEOは金曜7日、同社の最先端チップ「Blackwell」を中国に販売することについて「現在、具体的な協議は一切行っていない」と述べた。
 BlackwellはNvidiaの現在の主力AIチップであり、トランプ政権はこれまで、中国軍や中国国内のAI産業を利する恐れがあるとして、中国への販売を阻止してきた。

◇AI半導体「ブラックウェル」擁すNVIDIA 米政権となぜ摩擦 (11月8日付け 日経 電子版 05:23)
→米エヌビディアのAI半導体「ブラックウェル」を巡り米政権内で論争が起きている。エヌビディアは対中輸出規制の緩和を求めて米政権にロビー活動をかける。トランプ米大統領は一時緩和を示唆したが、米政権内には中国のAI開発が進む懸念から慎重論がある。ブラックウェルを巡る動きを3つのポイントで読み解く。・・・・・


【TSMC関連】

上記に重複部分があるが、ともに要注目の以下の内容である。

◇TSMC Initiates Work on the ‘World’s Most Advanced’ Chip Fab, Worth a Whopping $48.5 Billion for High-End 1.4nm Process―TSMC breaks ground on $48.5B fab for 1.4-nm chip process (11月6日付け Wccftech)
→TSMCは、台湾の台中市に1.4ナノメートルプロセス向けチップ製造のための$48.5 billion規模の工場建設を開始した。この工場には4つの製造棟が建設され、最初の製造棟は2027年に生産を開始する予定だ。

◇[News] TSMC Reportedly Notifies Clients of 8-10% Sub-5nm Hike in 2026, Apple A- & M-Chips Affected (11月7日付け TrendForce)
→TSMCは2026年にチップ価格を8〜10%引き上げる計画があると報じられており、AppleのAシリーズおよびMシリーズチップに影響が及ぶ可能性がある。2nmノードは3nmノードより最大50%もコストが高く、DRAMや部品価格も上昇する中で、スマートフォンメーカーはコスト増大に直面しており、デバイス価格の上昇につながる可能性がある。


【SK hynix関連】

SK AIサミット2025が開催されて、HBMを主導しているSK hynix関連の動きに注目、以下の通りである。

◇SK hynix’s Roadmap Positions HBM5/HBM5E, GDDR7-Next, DDR6 & 400+ Layer 4D NAND In 2029-2031―SK Hynix outlines two-phase memory roadmap through 2031 (11月3日付け Wccftech)
→SKハイニックスは、SK AIサミット2025において、メモリおよびNAND製品に関する詳細なロードマップを発表した。この計画は2026年から2028年までの第1段階と、2029年から2031年までの第2段階に分かれている。第1段階では、HBM4、HBM4E、およびカスタムHBMソリューションを投入するとともに、従来型およびAI向けに最適化されたDRAMとNANDフラッシュ製品を展開する。2029年から2031年までの第2段階では、HBM5、HBM5E、GDDR7-next、DDR6、そして400層以上の4D NANDフラッシュが登場するほか、カスタムメモリ製品とAI向けメモリ製品のラインナップも拡充される予定である。

◇SK Group pivots from scale to efficiency to meet soaring AI market demand―Chairman: SK Group shifts focus to efficiency in AI market (11月3日付け The Korea Times)
→1)2025 SK AI Summitにおいて、Chey Tae-won会長は、高まるAI需要に対応するため、SKグループの「規模よりも効率性」を重視する戦略を発表した。SKハイニックスとSKテレコムは、Nvidia、OpenAI、およびAWSと提携し、AIチップ製造、データセンター、および製造自動化の強化を目指す。
 2)SKグループのチェ・テウォン会長は、AI需要の高まりに対応するため、規模から効率への転換を発表した。チェ会長は、コンピューティング能力の需要や、生産・流通に影響を与える地政学的要因といった課題を強調した。SKハイニックスは、超大容量メモリとコスト効率の高いNANDフラッシュメモリの導入を計画している。また、チェ会長は、次世代メモリチップの安定供給の確保、AIアプリケーションのためのインフラ構築、そして複雑な問題解決におけるAI活用の必要性も強調した。

◇SK Group Chairman Chey Outlines Future AI Strategies at SK AI Summit 2025 (11月3日付け The Korea Times (Seoul))
→SKグループの崔泰源会長は、11月3日にソウル・江南のCOEXで開催されたSK AIサミット2025の基調講演で、AI開発の次世代を切り拓くための同社の戦略計画を明らかにした。

◇Samsung and SK Hynix face capacity dilemma amid rising HBM profits and DDR5 demand―Samsung, SK Hynix face HBM capacity dilemma (11月4日付け DigiTimes)
→AIブームを背景に高帯域幅メモリ(HBM)の需要が急増し、DDR5 DRAMの需要も高まる中、サムスン電子とSKハイニックスは生産能力配分のジレンマに直面している。汎用メモリではHBMが普及しつつあり、SKハイニックスはDRAM生産ラインの増設を、サムスンはDRAMウェハの投入量増加を検討している。

◇SK hynix wins low-carbon certification for memory chips (11月5日付け Yonhap News Agency)
→SKハイニックスは、HBMおよびDRAMモデルを含むメモリチップ製品11製品が、Carbon Trustの低炭素認証を取得したと発表した。同社は第4世代および第5世代HBMの両方で認証を取得した初の企業であり、排出量削減への取り組みを際立たせている。

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