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今度は中国の対米攻勢:Nvidiaの独占禁止法違反&AI半導体購入禁止

米中摩擦、双方応酬が繰り返されるなか、今週は中国の対米攻勢が目立っている。AI半導体を主導、現下の半導体市場を引っ張る様相の米国の半導体メーカー、Nvidiaが焦点となって、同社の5年前の買収が中国の独占禁止法に違反したと中国当局が発表したのに続いて、Nvidia製のAI半導体の購入を禁止するよう、中国当局が同国のテック大手企業に命じたとの英フィナンシャル・タイムズの報道である。中国半導体の自立化に向けて、Huaweiはじめ自己完結の国産化に関連する動きが高まるなかでの今回の攻勢である。加えて、今週は、Nvidiaのインテルへの出資による共同開発という、半導体業界新旧トップの提携という新たな局面が見られ、以下今回の取り出しである。

≪いっそう狭間のNvidia≫

Nvidiaによる2020年の買収が、中国の独占禁止法に違反したとする中国当局の発表の関連が、以下の通りである。

◇China says Nvidia violated anti-monopoly law after preliminary probe (9月15日付け CNBC)
→1)*中国市場規制当局は月曜15日、NVIDIAが2020年のMellanox買収に関連して中国の独占禁止法に違反したと発表した。
  *NVIDIAの株価は市場前取引で約2%下落した。
 2)中国市場規制当局は、NVIDIAが2020年のメラノックス買収において独占禁止法に違反したと発表し、この米半導体大手に対する監視が強化された。NVIDIAの株価に影響を与えたこの調査は、半導体をめぐる広範な紛争と米中テクノロジー摩擦の高まりの中で行われている。
 3)中国の市場規制当局は、NVIDIAがメラノックス買収で独占禁止法に違反したと判断し、より徹底した調査を開始した。この調査は株価に打撃を与えた。この動きは、米中間のテクノロジーをめぐる緊張を高め、貿易交渉を複雑化し、急成長を遂げている中国のAI市場におけるNVIDIAの役割を脅かすものとなっている。

◇[News] Beijing Says NVIDIA Violated Anti-Monopoly Law, Potential Fines Up to 10% of China Sales (9月15日付け TrendForce)
→中国の独占禁止法規制当局は、予備調査の結果、NVIDIAがMellanox社との取引で独占禁止法に違反したことが判明したと発表した。罰金は売上高の最大10%に達する可能性がある。半導体が依然として争点となっている米中貿易協議を前に、この動きは同社にとってさらなる圧力となる。

中国当局の米国に対する半導体関連の調査の動きが、他にも次の通り続いて見られている。

◇China brings anti-dumping charge against US 40nm+ ICs―China launches anti-dumping probe into US analog ICs (9月15日付け Electronics Weekly (UK))
→1)中国商務省は土曜13日、米国製アナログICsの一部輸入に対するアンチダンピング調査を開始したと発表した。
 2)中国商務省は、40ナノメートル以上のプロセス技術を採用したインターフェースICsとゲートドライバICsに焦点を当てた米国製アナログICsに対するアンチダンピング調査を開始した。中国半導体協会の要請を受けて開始されたこの調査は、2026年9月までに終了する予定である。

◇China launches two US chips probes (9月15日付け Taipei Times)
→1)突破口なし?関税引き下げといったより実質的な「成果」は、今年後半のトランプ大統領と習近平国家主席の会談まで持ち越される可能性が高いと、貿易専門家は指摘した。
 2)中国は、貿易、国家安全保障、そしてTikTokに関するマドリード協議に先立ち、米国半導体業界に対する反ダンピングおよび反差別調査を開始した。中国が期限の延期と緊張緩和を求める中、この動きは米国の半導体輸出規制に挑むものとなる。

◇中国、半導体規制を調査 米の対中輸出「差別的扱いの疑い」 (9月15日付け 日経)
→中国商務省は13日、米国による半導体の対中規制に関する調査を始めたと発表した。期間は3カ月で、公聴会などを通じて国内の関連企業の損失などを確認する。米国が中国企業に対する半導体の輸出規制を強めたことなどへの対抗措置とみられる。
 中国は14日の米中閣僚級協議を前に米国への対抗姿勢を鮮明にした格好だ。
 中国国営新華社は14日、米中両政府がスペインで4回目となる協議を始めたと報じた。貿易問題などを話し合う。

Nvidiaが独占禁止法違反とする発表の2日後、こんどはNvidiaのAI半導体の購入を禁止するという動きの報道が行われている。Nvidiaのジェンスン・フアンCEOの反応も含めて、以下関連が続いていく。

◇China bans its biggest tech companies from acquiring Nvidia chips, says report - Beijing claims its homegrown AI processors now match H20 and RTX Pro 6000D―China bars Nvidia chip purchases, citing domestic parity―This could be bad news for Nvidia. (9月17日付け Tom's Hardware)
→中国サイバースペース管理局は、アリババ・グループ・ホールディングやバイトダンスを含む大手テクノロジー企業に対し、Cambricon Technologiesやファーウェイ・テクノロジーズといった企業が提供する国産チップが同等であることを理由に、NVIDIAのAIチップの調達を禁止した。これは、企業に対しNVIDIAのH20チップの発注停止を命じたこと、そしてNVIDIAが中国で独占禁止法違反の疑いに直面していることを受けての措置である。

◇Nvidia CEO says he’s ‘disappointed’ after report China has banned its AI chips (9月17日付け CNBC)
→1)*エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、中国が同社のAIチップの使用を禁止したというフィナンシャル・タイムズの報道を受け、コメントを出した。
  *トランプ政権は8月、エヌビディアが中国での売上高の15%と引き換えにH20 AIチップの輸出許可を得るという合意に合意した。
  *しかし、フィナンシャル・タイムズは水曜日、中国が自国のテクノロジー企業に対し、エヌビディアのAIチップを使用しないよう要請したと報じた。
 2)エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、中国がRTX Pro 6000Dを含むエヌビディアのAIチップの使用を禁止したとの報道を受け、失望を表明した。地政学的な緊張を理由に、エヌビディアは市場への対応を可能な限り行い、中国を財務予測から除外しつつ、米国およびグローバル支援を継続すると述べた。
 3)エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏は、中国が同社のAIチップを禁止したとの報道を受け、地政学的な緊張により中国でのビジネスが「ジェットコースター」状態になっていると述べ、失望を表明した。フアン氏は、エヌビディアが中国を予測対象から除外したと指摘する一方で、世界のAIにおける同国の長期的な重要性を強調した。

◇中国がNVIDIA半導体の購入禁止 アリババなどテック大手に、FT報道 (9月17日付け 日経 電子版 21:05)
→英フィナンシャル・タイムズは17日、中国当局が同国のテック大手企業に、米エヌビディア製のAI半導体の購入を禁止したと報じた。半導体を巡る米中間の対立が続くなか、中国は半導体分野でも独自のサプライチェーン構築を狙う。

◇China tells firms to stop buying Nvidia’s AI chips (9月18日付け Taipei Times)
→中国のインターネット規制当局は、アリババやバイトダンスなどの大手IT企業に対し、NVIDIAのAIチップの購入を停止し、既存の注文をキャンセルするよう命令した。これは、北京が米国の技術への依存を減らす取り組みをさらに強化し、NVIDIAの最新製品であるRTX Pro 6000Dに打撃を与えようとしていることを示している。

Nvidiaの業績へのインパクトの見方である。

◇NVIDIA、中国市場締め出しも業績影響少なく 売上高は6%止まり (9月18日付け 日経 電子版 05:43)
→米半導体大手エヌビディアの対中輸出回復に暗雲が漂っている。中国当局が同国のテクノロジー大手に対し、エヌビディア製のAI半導体の購入を禁止したことが明らかになった。中国は米国に次ぐAI大国だが売上高に占める割合は6%止まりで、短期的な業績への影響は限定的になりそうだ。

◇Cold shoulder: Why Beijing is freezing Nvidia’s access to the Chinese market (9月18日付け CNBC)
→1)*フィナンシャル・タイムズの報道によると、中国政府は中国の大手テクノロジー企業に対し、NVIDIA社製のAIチップの購入を禁止した。
  *アナリストらは、この動きは中国が自国半導体産業への信頼を高めていることを反映していると指摘している。
  *SeminAnalysisのAJ Kourabi氏をはじめとするアナリストは、この動きはより広範な貿易協議の一環としての交渉戦術でもあると指摘している。
 2)報道によると、中国政府はNVIDIA社のRTX Pro 6000Dチップの購入を禁止しており、これは同社製H20 GPUsへの先行禁止措置に続くものとなる。専門家らは、この動きは中国が自国AIチップメーカーへの信頼を高めていること、そして米国に対する貿易上の優位性を確保しようとしていることを浮き彫りにしていると指摘している。

米国政府も、Entity Listに追加の動き、そして中国・Tencentの当面の対応、と以下関連である。

◇US penalizes firms that acquired tools for SMIC (9月15日付け Taipei Times)
→米国は、軍事関連の技術移転を理由に、SMICに供給している中国企業2社を含む32の企業を商務省のエンティティリストに追加した。中国、シンガポール、台湾、インド、イラン、トルコ、およびUAEの企業も規制対象となった。

◇[News] Tencent Reportedly Says No Plans for In-House AI Chips, Pledges to Use Domestic Options (9月17日付け TendForce)
→テンセントは、米国の規制下で自給自足体制を強化している中国のファーウェイ、バイドゥ、およびアリババといった同業他社とは異なり、AIチップの開発を否定した。代わりに、テンセントはアルゴリズムの最適化、中国国内での国産チップの活用、そして海外でのクラウドインフラの拡大に取り組んでいる。

米国議会の議員より、Huaweiの子会社とNvidiaとのつながりの懸念が、次の通りあらわされている。

◇US panel probes Huawei affiliate’s shared location with Nvidia (9月17日付け South China Morning Post)
→1)議員らは、NVIDIAが2024年に同敷地内の3棟の建物の所有権を完全に取得する以前、Futureweiがこれらの建物の主要な賃借人だったと述べている。
 2)米国議員は、親会社であるファーウェイとの関係からスパイ活動のリスクが懸念されるとして、Futureweiに対し、シリコンバレーのオフィスをNVIDIAと共同利用していることについて説明を求めた。下院の超党派委員会は、この共同利用の状況とNVIDIAの活動に関する文書の提出を要求し、中国企業による米国技術へのアクセスに対する監視をさらに強化した。

以上、米中の狭間で揺れるNvidiaの現状となっているなか、トランプ大統領より習近平国家主席との来る10月末そして来年早々のコンタクトが明らかにされている。

◇トランプ氏、26年早々の訪中で合意 習近平氏と電話協議 (9月20日付け 日経 電子版 01:29)
→トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は19日、2時間ほど電話協議した。トランプ氏は自身のSNSで、10月末に韓国で開幕する国際会議に併せて習氏と対面会談し、2026年の早いタイミングに自身が訪中することで合意したと明らかにした。
 トランプ氏によると、韓国・慶州で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際にまず会談する。

以上、今後の事態の推移に注目するところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□9月16日(火)

以下の推移の通り、米連邦準備理事会(FRB)により利下げが打ち出されて、最高値更新が木曜、金曜と続いた、今週の米国株式市場である。

◇NYダウ、反発し49ドル高 米中協議の進捗表明やハイテク株高が支え (日経 電子版 07:34)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前週末比49ドル23セント(0.10%)高の4万5883ドル45セントで終えた。米国と中国が15日まで開いた閣僚級会議や米国の利下げ観測が株買いを誘った。一方、主要株価指数が高値圏で推移するなか、主力株の一部には利益を確定する売りも出てダウ平均の上値を抑えた。

米国の対日関税であるが、自動車は引き下げとなった一方、半導体はなお念押しを要する現時点である。

◇米自動車関税、日本時間16日午後引き下げ トランプ政権 (日経 電子版 09:16)
→トランプ米政権は米東部時間16日午前0時1分(日本時間16日午後1時1分)、日本への自動車関税を引き下げる。同日、連邦官報に掲載する。既存の関税2.5%を合わせると、日本から米国に輸出する自動車の関税負担は27.5%から15%に下がる。
 15日に発表した。トランプ米大統領は4日、日米の貿易合意に基づき25%の自動車関税を12.5%に下げる大統領令に署名していた。

□9月17日(水)

◇米の対日関税見直し、半導体や医薬なお懸念 大統領令に記載なく (日経)
→日米関税交渉で最大のテーマだった自動車関税の見直しが実現しても、懸案はなお残る。次の焦点はトランプ米政権が検討する半導体と医薬品の分野別関税だ。日米両政府は同分野の関税を発動しても日本に最も低い国の関税率を適用する最恵国待遇で合意しているが、米大統領令には記載がない。

◇NYダウ反落、125ドル安 最高値圏で持ち高調整 (日経 電子版 07:19)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比125ドル55セント(0.27%)安の4万5757ドル90セントで終えた。FRBが17日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたい雰囲気が強かった。米株式相場が最高値圏で推移するなか、主力株の一角に持ち高調整の売りが出た。

□9月18日(木)

◇FRBが9カ月ぶり利下げ再開 0.25%、新理事が「大幅」求め反対 (日経 電子版 05:01)
→FRBは17日開いたFOMCで9カ月ぶりに政策金利を0.25%引き下げた。就任したばかりのミラン理事が0.5%の大幅利下げを求めて反対した。参加者による政策金利の見通し(中央値)によると、年内残り2回の会合で計2回の追加利下げを見込む。前回(6月)よりも利下げのペースが上がった。

◇ドル一時3年7カ月ぶり安値、連続利下げ予想で NYダウは260ドル高 (日経 電子版 05:41)
→FRBが17日のFOMCで今後の連続利下げを示唆したことを受け、同日のニューヨーク外国為替市場でドル安が加速した。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指数は一時、2022年2月以来3年7カ月ぶりの安値を付けた。
 円相場は17日夕に1ドル=147円台まで円安・ドル高方向に押し戻された。ダウ平均は前日比260ドル(0.6%)高で引け、S&P500種株価指数は0.1%安と小幅に下落した。

□9月19日(金)

◇NYダウ続伸、124ドル高で最高値 半導体中心に買い (日経 電子版 05:26)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比124ドル10セント(0.26%)高の4万6142ドル42セントで終えた。5営業日ぶりに最高値を更新した。FRBが前日に利下げを再開したことが好感され、引き続き相場の支えとなった。前日に下げが目立ったハイテク株や半導体株を中心に買いが集まり、ダウ平均は300ドル近く上げる場面があった。

□9月20日(土)

◇NYダウ続伸172ドル高、連日の最高値 利下げ継続見通しが支え (日経 電子版 06:16)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比172ドル85セント(0.37%)高の4万6315ドル27セントで終えた。前日に続き最高値を更新した。FRBが利下げを続けることで、米経済を支えるとの見方が引き続き買いを促した。米中首脳が電話協議し、両国間の課題について対話を続ける姿勢を示したことも追い風となった。


≪市場実態PickUp≫

【トランプ大統領の英国訪問関連】

米国の巨大IT首脳が同行、「テクノロジー繁栄協定」の発表など今回の内容&動きが以下の通りである。NvidiaのフアンCEO関連の動きも見られている。

◇Nvidia and OpenAI to back major investment in UK AI infrastructure (9月12日付け CNBC)
→1)*事情に詳しい関係者がCNBCに語ったところによると、NVIDIAとOpenAIは、英国におけるデータセンター開発を支援するための大規模な契約を協議している。
  *この契約は、来週、ドナルド・トランプ米大統領の英国公式訪問の際に発表される見込みだ。
  *世界各国政府は、自国の国家インフラ強化を目指し、米国の大手AI企業との提携を模索している。
 2)NVIDIAとOpenAIは、英国におけるデータセンターを含むAIインフラの拡張を目的とした数十億ドル規模の投資交渉を進めており、英国政府が国内のAI能力強化を目指す中で、トランプ大統領の次回公式訪問の際に発表される可能性がある。

◇トランプ氏16日から国賓訪英 原子力協定に署名へ、テック首脳同行 (9月16日付け 日経 電子版 04:44)
→トランプ米大統領は16〜18日に英国を訪れる。1期目に続く2度目の国賓訪問は異例で、ロンドン近郊のウィンザー城でチャールズ国王と面会する。スターマー英首相とも会談する。米国のテック企業幹部が同行し、米英の経済協力を深める。

◇UK-US ‘Tech Prosperity Deal’―US, UK plan $42B Tech Prosperity Deal for AI, quantum (9月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)AI、量子コンピューティングおよび民生用原子力エネルギーを対象とする$42 billion規模の英国と米国の「Tech Prosperity Deal(テクノロジー繁栄協定)」が、ドナルド・トランプ米国大統領の公式訪問中に本日発表された。
 2)米国と英国は、AIと量子コンピューティングの発展を目的とした$42 billion規模のテクノロジー繁栄協定を発表する予定である。NVIDIAは、OpenAIとのStargateプロジェクトの一環として、英国に12万台のGPUsを配備する予定である。また、MicrosoftはクラウドとAIインフラの拡張に、Googleはデータセンターの建設に投資している。

◇Will the ‘Tech Prosperity Deal’ signed with the US benefit the UK? (9月17日付け New Electronics (UK))
→トランプ大統領の2度目の国賓訪問とそれに伴う君主との面会やウィンザー城での国賓晩餐会といった華やかな行事を企画することに対する物議を醸しているが、これは交渉されてきた協定に署名する機会でもある。

◇Nvidia boss says UK will be 'AI superpower' as tech firms invest billions (9月17日付け BBC)
→米国の大手テクノロジー企業は英国に数百億ポンド規模の投資を約束しており、NVIDIAのジェンセン・フアン氏は英国が「AI超大国」になると予測している。
 最大の投資はマイクロソフトによるもので、同社は$30bn(220億ポンド)の投資パッケージを発表した。これは同社にとって米国以外では過去最大規模となる。
 これは、ドナルド・トランプ大統領の2度目の英国公式訪問の一環として、英国政府と複数の米国テクノロジー大手の間で締結された「テック繁栄協定」と呼ばれる310億ポンド規模の合意の一部である。

◇Microsoft, Nvidia, other tech giants plan over $40 billion of new AI investments in UK (9月17日付け CNBC)
→マイクロソフトは、2028年までに英国のAIインフラを拡張するため、同社最大のスーパーコンピュータを含む$30Bを拠出することを約束した。
 NVIDIA、Google、OpenAI、Salesforce、およびCoreWeaveを含むAI投資は$40Bを超え、トランプ大統領の英国訪問とStarmer首相が計画している技術提携契約と足並みを揃えている。

◇AI startup Nscale came out of nowhere and is blowing away Nvidia CEO Jensen Huang (9月18日付け CNBC)
→1)*NVIDIA、マイクロソフトおよびOpenAIは火曜16日、英国のクラウドコンピューティングスタートアップ企業、Nscaleと、主要なAIインフラプロジェクトで提携していると発表した。
  *Nscaleは、暗号通貨マイニング企業、Arkon Energyから分社化され、2024年5月に正式に事業を開始した。
  *Nscaleは、英国が世界的なAI大国を目指す取り組みにおいて、重要な役割を担う企業として急速に成長している。
 2)英国のAIインフラスタートアップ企業、Nscaleは、設立当初から急速に成長し、世界的な注目を集めている。NVIDIAから約$700 millionの資金調達に成功したほか、マイクロソフトおよびAkerと提携し、ノルウェーを含むヨーロッパ全域にハイパースケールAIデータセンターを構築する$6.2 billion規模のプロジェクトを推進している。


【インテル関連】

厳しい事態&論調が引き続くなかに、Nvidiaによるインテルへの投資および共同開発提携が発表されている。今週後半の発表であり、様々な見方が引き続く現時点の受け止めである。

◇IFTLE 640: Intel Ohio in Limbo; US Government Acquires 10% Stake in Intel (9月15日付け 3DInCites)
→インテルはオハイオ州のマイクロチップ工場の建設を遅らせ、最初の工場の開設を2030〜2031年頃に延期する。米国政府が議決権のない株式10%を取得することを受け、同社は14Aノード向けの外部パートナーを探しながら、基礎工事を継続する。

◇低迷インテル、国策で目指す「米国のTSMC」 顧客不在の経済安保―インテル国家介入(上)(9月16日付け 日経 電子版 05:00)
→米政府が自国の半導体大手インテルに出資した。トランプ米政権は低迷する企業への政府支援を強めて、経済安全保障に欠かせない半導体の製造で強力な自国企業を復活させる構想だ。官民一体で製造首位に上り詰めたTSMCの成功の軌跡を追うが、過度な国家介入はかえってインテル再建を妨げる恐れがある。

◇Nvidia Puts $5bn into Intel and Will Jointly Develop AI Superchips―Nvidia and Intel will build products based on Nvidia and Intel architectures connected via NVLink, opening up to $50 billion a year of revenue opportunity. (9月18日付け EE Times)
→世界中のIT業界は今日、NVIDIAがインテルに$5 billionを投資し、NVIDIAとインテルのアーキテクチャをNVIDIAのNVLinkで接続した高性能チップを共同開発するという提携を発表したことで大きな注目を集めている。両社は今回の提携によって、データセンターとパーソナルコンピューティングの両分野における次世代AIコンピューティング市場を主導する地位を確立できると期待している。

◇Nvidia and Intel announce jointly developed 'Intel x86 RTX SOCs' for PCs with Nvidia graphics, also custom Nvidia data center x86 processors - Nvidia buys $5 billion in Intel stock in seismic deal―Nvidia investing $5B in Intel for joint chip development―Cats and Dogs, living together! (9月18日付け Tom's Hardware)
→NVIDIAは、インテルに$5 billionを投資し、NVIDIAのRTX GPUチップレットを搭載したx86チップを共同開発することで、PCやデータセンター向け製品の性能向上を目指す計画を明らかにした。この提携により、インテルのCPUsとNVIDIAのGPUsの強みの組み合わせが梃入れされ、AMDとの競争はさらに激化する可能性が予想される。

◇Nvidia invests $5 billion into Intel to jointly develop PC and data center chips―The investment will see Intel help Nvidia build x86 chips that integrate RTX GPU chiplets (9月18日付け The Verge)
→NVIDIAは、インテルがNvidia RTX GPUチップレットを内蔵した「x86システムオンチップ(SoC)」の開発を支援すると発表した。このチップは、インテルのCPUsとNVIDIAのGPUsを密接に統合することで、"幅広い"種類のPCsに搭載される予定だ。インテルとNVIDIAは既に多くのゲーミングノートPCsで緊密な提携関係にあるが、両社の技術を単一のSoCに統合するのは、さらなる大きな飛躍と言えるだろう。

◇Intel shares surge as Nvidia invests $5B, sparking AI collaboration (9月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→2大IT企業による意外な提携が投資家の間で大きな話題となり、片方の企業の株価は取引開始直後に急騰した。

◇Intel surges 22% after $5 billion Nvidia investment, posts best day in nearly 38 years (9月18日付け CNBC)
→1)*エヌビディアは、経営難に陥っている半導体メーカー、インテルとデータセンターおよびPC向けチップの共同開発契約の一環として、インテルに$5 billionを投資すると発表した。
  *トランプ政権は8月にインテルの株式10%を仲介した。
  *規制当局の承認が必要なこの投資には、インテルのファウンドリーにおけるエヌビディア製チップの製造は含まれていない模様だ。
 2)エヌビディアは、エヌビディアのAIスタックとインテルのCPUsを組み合わせ、データセンターおよびPC向け製品を共同開発するため、インテルに$5Bを投資する。インテルの株価は前場取引で33%上昇し、エヌビディアの株価も3%上昇した。承認待ちのこの取引には、インテルのファウンドリーにおけるエヌビディア製チップの生産は含まれていない。

◇Nvidia CEO Huang says $5 billion stake in rival Intel will be ‘an incredible investment’ (9月18日付け CNBC)
→1)*NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、同社がインテルに$5 billionを投資し、技術提携を行うことは、両社が約1年にわたる協議を経て実現したと述べた。
  *NVIDIAは、インテルのx86ベースの中央処理装置とNVIDIAのグラフィックプロセッサおよびネットワークを組み合わせたデータセンター向けAIシステムの開発で、インテルと提携すると発表した。
  *「NVIDIAはインテルCPUsの非常に大きな顧客となり、インテルチップに搭載されるGPUチップレットの主要サプライヤーとなる」とフアン氏は述べた。
 2)NVIDIAとインテルは、インテルCPUsとNVIDIAのGPUsを組み合わせたAIデータセンターおよびPCチップを共同開発するため、$5 billion規模の提携契約を締結した。インテルのパッケージング技術を活用し、$50 billion規模の市場に対応するこの提携は、シリコンバレーにおける大きな戦略的転換を示すものだ。

◇NVIDIA、インテル救済で「いいとこ取り」狙う 米政権接近には危うさ (9月19日付け 日経 電子版 06:04)
→米エヌビディアが、経営が低迷するインテルに$5 billion(約7400億円)を出資し半導体開発で協力すると発表した。トランプ米政権が取り組むインテル救済に呼応しながら、同社が競争力を持つCPUの技術を取り込む。「いいとこ取り」を狙うが、過度な政権接近はリスクをはらむ。

◇NVIDIA and Intel to Develop AI Infrastructure and Personal Computing Products (9月19日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→NVIDIAとIntel Corporationは本日、ハイパースケール、エンタープライズおよびコンシューマー市場におけるアプリケーションとワークロードを高速化する、複数世代のカスタムデータセンターおよびPC製品を共同開発するための協業を発表した。
 両社は、NVIDIA NVLinkを使用してNVIDIAとIntelのアーキテクチャをシームレスに接続することに注力する。これにより、NVIDIAのAIとaccelerated computingの強みと、Intelの先進的なCPUテクノロジーおよびx86エコシステムを統合し、お客様に最先端のソリューションを提供する。

◇Intel-Nvidia pact fuses x86 and RTX, bolstering Tan’s turnaround strategy―Intel-Nvidia deal seen as a win for Tan (9月19日付け DigiTimes)
→AIコンピューティングの需要拡大に対応するSoCの共同開発を目的とした、インテルとNVIDIAによる$5 billion規模の提携は、インテルCEO、Lip-Bu Tan氏の事業再生戦略の重要な一環とみられている。アナリストらは、この提携は米国政府の国内半導体生産支援の恩恵を受けつつ、AMDやアームに対抗する可能性があると指摘している。


【中国の自立化関連】

半導体そしてAIと、自立化に向けた動き&内容の増加&高まりを受け止めるこのところである。定点観測の重点項目の趣きである。

◇China cracking global market for chip making equipment - Monthly Billet (9月12日付け Yole Group)
→中国は2002年に初の太陽光発電セルを生産して以来、急速に発展を遂げ、世界の太陽光発電輸出を席巻し、EVsやAVsにLIDAR技術を採用している。Nauraなどの企業が牽引する中国の半導体装置産業は、現在、年間30〜40%の成長を遂げ、西側諸国の優位性に挑戦している。

◇China advances in AI chips, memory, foundries amid U.S. curbs―Alibaba, Baidu, Huawei develop domestic AI chips; YMTC, CXMT narrow tech gap, SMIC expands production (9月15日付け The Chosun Daily)
→アリババとバイドゥは、ZhenwuやKunlun P800といった自社製チップでモデルを学習させることで、AIの自立化を推進している。米国による輸出規制がAIの勢いを加速させ、中国国内のファーウェイやカンブリコンが急速に能力を拡大し、中国のAIチップ産業と市場シェアを押し上げている。

◇SMIC testing domestic immersion DUV machine―SMIC tests domestic DUV tool, eyes EUV development (9月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)FT紙の報道によると、SMICは中国国内で開発されたimmersion DUV lithography(浸漬型深紫外線露光)装置の試験運用を開始したとのこと。
 2)中国の半導体製造大手、SMICは、政府系企業であるYuliangsheng社が開発した浸漬型深紫外線露光装置の試験運用を行っている。この装置が量産レベルに達するまでには少なくとも2年かかる見込みである。ユリアンシェン社の親会社であるSi Carrier社はextreme-ultraviolet(EUV:極紫外線)露光装置の開発を進めており、中国のもう一つのDUV露光装置開発企業であるShanghai Micro Electronics Equipmentは、28ナノメートルプロセスに対応可能な193ナノメートルアルゴンフッ素(ArF)レーザー露光装置を開発している。

◇Alibaba’s shares jump after it lands a major customer for its AI chips (9月17日付け CNBC)
→1)*中国国営放送CCTVによると、China Unicomはアリババのクラウドコンピューティング事業部門を通じて、アリババが開発したAIチップを導入する予定だという。
  *このAIチップは、アリババの半導体事業子会社である「Pingtouge or T-Head(平頭科技)」が開発したものである。
  *香港市場で取引されるアリババ株は5%以上上昇して取引を終え、米国市場で取引されるアリババ株も時間外取引で上昇した。
 2)中国国営メディアが、中国ユニコムが新データセンタープロジェクトにアリババのAIアクセラレータを導入すると報じたことで、アリババ株は急騰した。この取引は、NVIDIA製品の中国市場への供給制限を背景とする、中国政府による国産半導体強化策の一環であるとみられる。

◇[News] SMIC Said to Test Chinese-Made DUV Lithography Tool from SiCarrier Affiliate Amid AI Chip Push (9月17日付け TendForce)
→中国は半導体技術の自給率向上を目指し、SMICは、SiCarrier社が支援する新興企業Yuliangsheng社が開発した国産DUV露光装置の試験運用を開始した。試験結果は有望なものを示しているが、量産体制の構築や技術の完全な国産化にはまだ多くの課題が残っており、量産開始時期は依然として不透明な状況だ。

◇Huawei challenges Nvidia with new AI chip technology―Huawei unveils HBM memory, SuperPod to rival Nvidia (9月18日付け Techzine (The Netherlands))
→1)ファーウェイは、次世代AIチップ向けに自社開発の高帯域幅メモリ(HBM)を開発したと発表した。同社は、この技術が自社製プロセッサ「Ascend」の性能向上に重要な一歩となるだけでなく、NVIDIAとの競争において自社の地位を強化する基盤になると述べている。
 2)ファーウェイは、次世代AIチップに搭載する自社開発のHBM技術を発表した。ファーウェイが開発した最初のHBMチップセットであるHiBL 1.0とHiZQ 2.0は、それぞれ秒間1.6テラバイトのデータ転送速度と128ギガバイトの容量を備えており、米国による制裁措置を回避しながらAI性能を向上させることを可能にする。

◇Tech war: Huawei trumpets AI computing breakthrough for China ahead of Xi-Trump call (9月18日付け South China Morning Post)
→1)米国から制裁を受けているファーウェイは、外国の技術に依存せずに中国のAIへの野望を後押しするソリューションの創出において主導的な役割を果たしている。
 2)ファーウェイは、NVIDIAに匹敵するとされるAIハードウェアを発表した。これは、国産技術を基盤とした「supernode + cluster」を搭載している。この発表は、中国のAI自立推進の取り組みを強化し、ファーウェイのAscendロードマップを拡大し、米国との交渉力を強化するものだ。


【Nvidiaの技術関連】

米中の狭間に揺れるNvidiaは上に示しているが、今後に向けた同社の技術対応がなにより注目。以下、今週目に入ってきた範囲である。

◇Nvidia rumored to ditch its first-gen custom memory form factor for newer version - SOCAMM1 for faster ‘SOCAMM2’ standard―Reports: Nvidia may skip SOCAMM1 for improved version―Revised spec now being sampled by Micron, Samsung, and SK. (9月14日付け Tom's Hardware)
→ETNewsによると、NVIDIAは第一世代のSoC接続メモリモジュールの開発を中止し、新バージョンであるSOCAMM2に移行したと報じられている。この動きはSOCAMM1の技術的課題を受けて行われ、Micron Technology、Samsung ElectronicsおよびSK Hynixが新バージョンのサンプルテストを行っている。SOCAMM2はより高いデータレートを提供し、LPDDR6をサポートする可能性が期待されている。

◇[News] NVIDIA May Be Among the First to Adopt TSMC A16 for 2028 Feynman Architecture (9月15日付け TrendForce)
→NVIDIAは、2026年までにTSMCのA16 2nmプロセスを採用し、Feynman GPUに採用する可能性がある。これは、TSMCの最先端ノードを早期に採用する初のケースとなる。AMDのHPCにおける優位性に対抗することを狙ったこの動きは、ウェハコストの高騰にもかかわらず、AIが最先端チップの採用を牽引していることを示唆している。


【SK hynix関連】

AI技術対応でNvidiaとともに注目と感じているSK hynixの動きである。メモリ関連での先行度に関心である。

◇SK hynix completes development of world's 1st HBM4, readies mass production (9月12日付け Yonhap News Agency)
→韓国の半導体メーカー、SK hynixは、次世代HBM4メモリチップの開発を完了し、量産体制を整えた。AI性能を最大69%高速化し、電力効率を40%向上させたHBM4は、需要の高いデータセンターアプリケーションをターゲットとしている。

◇[News] Samsung Reportedly Delays V9 QLC NAND to 1H26 as SK hynix Hits 321 Layers in August (9月16日付け TrendForce)
→サムスンは9世代目のV9 QLC NANDの設計上の問題により、製品化に遅延が生じ、量産開始時期が2026年にずれ込む見通しとなった。AI技術を搭載した大容量ストレージに対する需要が高まる中、SKハイニックスなどの競合他社は321層構造の2TB QLC NANDを開発するなど技術革新を進めており、サムスンの優位性が脅かされる可能性が出てきた。

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