1月の世界半導体販売高、1月過去最高;TSMCの米国$100B追加投資関連
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、本年の出だし、1月について$56.5 billionで、前年同月比17.9%増、一方前月比は1.7%減と、2ヶ月連続減である。1月の販売高としては過去最高であり、2024年11月に記録した単月最高の$57.8 billionに続く高い水準にある。人工知能(AI)需要が大きく引っ張る現下の市場特性に、引き続き注目である。トランプ米大統領の迫りくる関税攻勢に先手を打って、台湾のTSMCが、米国への$100 billionの追加投資を同大統領とともにホワイトハウスで発表している。最先端の取り組みは台湾で維持する、など世界の半導体生産を引っ張る台湾はじめ関連する反応が相次いでいる。
≪収斂具合に見極めを要する情勢≫
米国・SIAの今回の販売高発表が、次の通りである。
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○1月のグローバル半導体販売高、前年同月比17.9%増―1月の販売高は過去最高を記録、世界のチップ販売高は前月比1.7%減 …3月6日付け SIA/Latest News
米国・SIAが本日、2025年1月の世界半導体販売高が$56.5 billionに達し、前年同月、2024年1月の合計$47.9 billionから17.9%増、前月、2024年12月の合計$57.5 billionから1.7%減と発表した。月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「2024年に過去最高の年間販売高を記録したのに続き、世界の半導体市場は1月も勢いを維持、12月よりわずかに減少したものの、1月の月間販売高は1月として過去最高を記録した」とSIAのpresident and CEO、John Neuffer氏。「前年同月比販売高が9ヶ月連続で17%以上増加、これはthe Americasへの販売高が前年同月比50.7%増が引っ張っている。」
地域別では、前年同月比で、the Americas(50.7%),Asia Pacific/All Other(9.0%),China(6.5%),およびJapan(5.7%)では増加したが、Europe(-6.4%)では減少した。1月の販売高前月比では、Asia Pacific/All Other(1.6%)では増加したが、Europe(-1.3%),China(-2.0%),Japan(-3.1%),およびthe Americas(-3.5%)では減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Jan 2024 | Dec 2024 | Jan 2025 | 前年同月比 | 前月比 |
Americas | 12.96 | 20.24 | 19.54 | 50.7 | -3.5 |
Europe | 4.38 | 4.15 | 4.10 | -6.4 | -1.3 |
Japan | 3.69 | 4.03 | 3.91 | 5.7 | -3.1 |
China | 14.60 | 15.87 | 15.55 | 6.5 | -2.0 |
Asia Pacific/All Other | 12.32 | 13.22 | 13.43 | 9.0 | 1.6 |
計 | $47.96B | $57.52B | $56.52B | 17.9% | -1.7% |
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市場地域 | 8-10月平均 | 11-1月平均 | change |
Americas | 18.68 | 19.54 | 4.6 |
Europe | 4.48 | 4.10 | -8.6 |
Japan | 4.23 | 3.91 | -7.7 |
China | 16.48 | 15.55 | -5.6 |
Asia Pacific/All Other | 13.28 | 13.43 | 1.1 |
$57.15B | $56.52B | -1.1% |
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※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/03/January-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
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これを受けた取り上げが、次の通りである。
◇Global Semiconductor Sales Increase 17.9% Year-to-Year in January (3月7日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74B | 26.8% | -0.2% | |
2022年 2月 | $50.04B | 26.1% | -1.4% | |
2022年 3月 | $50.58B | 23.0% | 1.1% | |
2022年 4月 | $50.92B | 21.1% | 0.7% | |
2022年 5月 | $51.82B | 18.0% | 1.8% | |
2022年 6月 | $50.82B | 13.3% | -1.9% | |
2022年 7月 | $49.01B | 7.3% | -2.3% | |
2022年 8月 | $47.36B | 0.1% | -3.4% | |
2022年 9月 | $47.00B | -3.0% | -0.5% | |
2022年10月 | $46.86B | -4.6% | -0.3% | |
2022年11月 | $45.48B | -9.2% | -2.9% | |
2022年12月 | $43.40B | -14.7% | -4.4% | $584.03B |
2023年 1月 | $41.33B | -18.5% | -5.2% | |
2023年 2月 | $39.68B | -20.7% | -4.0% | |
2023年 3月 | $39.83B | -21.3% | 0.3% | |
2023年 4月 | $39.95B | -21.6% | 0.3% | |
2023年 5月 | $40.74B | -21.1% | 1.7% | |
2023年 6月 | $41.51B | -17.3% | 1.9% | |
2023年 7月 | $43.22B | -11.8% | 2.3% | |
2023年 8月 | $44.04B | -6.8% | 1.9% | |
2023年 9月 | $44.89B | -4.5% | 1.9% | |
2023年10月 | $46.62B | -0.7% | 3.9% | |
2023年11月 | $47.98B | 5.3% | 2.9% | |
2023年12月 | $48.66B | 11.6% | 1.4% | $518.45B |
2024年 1月 | $47.63B | 15.2% | -2.1% | |
2024年 2月 | $46.17B | 16.3% | -3.1% | |
2024年 3月 | $45.91B | 15.2% | -0.6% | |
2024年 4月 | $46.43B | 15.8% | 1.1% | |
2024年 5月 | $49.15B | 19.3% | 4.1% | |
2024年 6月 | $49.98B | 18.3% | 1.7% | |
2024年 7月 | $51.32B | 18.7% | 2.7% | |
2024年 8月 | $53.12B | 20.6% | 3.5% | |
2024年 9月 | $55.32B | 23.2% | 4.1% | |
2024年10月 | $56.88B | 22.1% | 2.8% | |
2024年11月 | $57.82B | 20.7% | 1.6% | |
2024年12月 | $56.97B | 17.1% | -1.2% | $616.70B |
年間最高更新 | ||||
2025年 1月 | $56.52B | 17.9% | -1.7% |
現下の関連する市場データから、以下の通りである。
◇Q4 DRAM market grew 9.9%―TrendForce: Samsung, SK Hynix, Micron top DRAM revenue charts (3月6日付け Electronics Weekly (UK))
→1)第4四半期のDRAM市場は、サーバー用DDR5の契約価格上昇とHBMの集中出荷に牽引され、9.9%増の$28billionに達したとTrendForceが報告している。
2)TrendForceによると、2024年第4四半期の世界DRAM市場は、データセンターや自動車分野からの旺盛な需要に牽引され、9.9%増を記録した。
サムスン、SKハイニックスおよびマイクロン・テクノロジーなどの大手企業は、高性能メモリ・ソリューションに対するニーズの急増を利用し、この成長に貢献した。
◇Silicon Wafers Market on Track for Growth (3月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体材料のサプライチェーン情報を提供する電子材料アドバイザリー会社、TECHCETは、シリコンウェーハ市場の着実な改善を予測しており、2025年の年間成長率は〜7%、2026年にはさらに上昇すると予測している。300mmウェーハが最も高い成長を見せるが、これは先端パッケージングへの需要増が一因であり、150mmのような小口径ウェーハは、レガシーデバイス市場が200mmへとシフトしていくにつれて減少すると予想される。TECHCETのCritical Materials Report on Silicon Wafersによると、2029年までのウェーハ出荷量は、在庫レベルが安定し、年後半に需要が回復するため、年平均成長率5%になると予想されている。
次に、これも今後の成り行きの見極めを要するところであるが、TSMCの米国$100 Billion追加投資についてである。
月曜3日、トランプ大統領とともにホワイトハウスで行われた発表について、以下の取り上げである。米国側の台湾に対する風当たりが見られた経緯も中にあらわされている。
◇TSMC to build $100B in new fabs in US―TSMC to invest $100B in US fabs, could avoid tariffs (3月3日付け Fierce Electronics)
→TSMCは$100 billionを投資し、米国に3つの製造工場、2つの先端パッケージング施設および研究開発(R&D)センターを建設する計画であり、アリゾナ州に建設する可能性がある、とTSMCのC.C.ウェイCEOとドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスで発表した。この動きにより、TSMCはホワイトハウスが課す最大25%の関税を回避できる可能性がある。
◇Trump announces $100 billion investment in U.S. from TSMC, calls it ‘most powerful company’ in world (3月3日付け CNBC)
→*ドナルド・トランプ大統領は、TSMCからの$100 billionの投資を発表した。
*この資金は新たなチップ製造工場の建設に充てられ、同社の対米投資総額は$165 billionに達する。
*トランプ大統領は、台湾が米国のチップ製造事業を盗んでいると繰り返し非難し、半導体輸入への関税を宣伝してきた。
◇Trump, Taiwan chip company announce $100 billion U.S. investment (3月3日付け The Washington Post)
→TSMCは、4年間で米国のチップ生産に$100 billionの巨額投資を計画。
◇TSMC promises $100B US expansion that Trump hails without clarifying chip tariff threat―Three more fabs on the way which will come online just in time for - checks calendar - Donald to leave office (3月4日付け The Register (UK))
→台湾のチップメーカーTSMCのCEOは月曜3日、ドナルド・トランプ米大統領と並んで、アリゾナ州での事業拡大に$100 billionを投資する計画を発表した。
TSMCのボスであるCC Wei氏によると、この数十億ドルは3つの新しい製造工場、2つの先端パッケージング施設、そして「主要な研究開発チームセンター」に充てられるという。このfactory giantは、これが「米国史上最大の単一の海外直接投資」であると主張している。
◇TSMC Intends to Expand Its Investment in the United States to US$165B (3月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TSMCは本日、米国における先端半導体製造への投資をさらに$100 billion拡大する意向を発表した。アリゾナ州フェニックスにある先端半導体製造事業への$65 billionの投資を継続することで、TSMCの米国における投資総額は$165 billionに達する見込み。この拡張には、3つの新しい製造工場、2つの先端パッケージング施設および主要な研究開発チームセンターの計画が含まれており、このプロジェクトは米国史上最大の単一の海外直接投資として確固たるものとなる。
◇Trump says TSMC will invest $100 bil. to build advanced chip manufacturing facilities in US (3月4日付け The Korea Times (Seoul))
→ドナルド・トランプ米大統領は月曜3日、TSMCが$100 billionを投資し、米国内に先進的なチップ製造施設を建設すると発表した。
トランプ大統領は先月、台湾がアメリカのチップ・ビジネスを奪っていると非難し、それらのビジネスはアメリカに戻るべきだと主張した。
Howard Lutnick商務長官も1月の公聴会で、TSMCが米国を「てこ入れ」し、米国からチップ事業を奪っていると主張していた。
◇TSMC expected to unveil US$100 bln investment in U.S. amid prospects of Trump's tariffs on chips: reports (3月4日付け Yonhap News Agency)
→TSMCは、ドナルド・トランプ米大統領が半導体への新たな関税を検討している中、今後4年間で$100 billionを米国内のチップ製造工場に投資する意向であると報道された。
◇TSMC、米先端半導体に15兆円投資 トランプ氏が表明 (3月4日付け 日経 電子版 09:37)
→トランプ米大統領は3日、TSMCが米国に新たに$100 billion投資すると発表した。米国内で先端半導体を生産する体制を強化する。TSMCの魏哲家・董事長兼CEOがホワイトハウスを訪れてトランプ氏と共同で表明した。
この発表に続いて、今後の見方、対応が以下の通りである。
◇TSMC’s $100 Billion Investment in U.S. Shores Up Top Foundry―TSMC invests $100 billion in U.S. for AI chip production, hoping to bolster U.S. semiconductor ecosystem. (3月5日付け EE Times)
→TSMCは、AIチップの国内生産を開始するため、米国への投資に$100 billionを追加し、ドナルド・トランプ米大統領が該台湾企業からの輸入品に課すと迫っていた最大50%の関税を辛うじてかわそうとしている。
TSMCによると、この拡張はアリゾナ州フェニックス近郊に3つの新しいチップ工場、2つの高度パッケージング施設および研究開発センターを建設するもので、このプロジェクトは米国史上最大の海外直接投資となる。TSMCは、新規投資の期間やプロセス技術のロードマップは明らかにしていない。
最先端の取り組みは台湾で維持する、と以下の通りである。
◇TSMC won’t produce 2nm chips in US next year: Kuo (3月5日付け Taipei Times)
→TSMCは、来年は米国で最先端技術を生産しないだろうと、郭智輝経済部長官は昨日述べた。
この発言は、TSMCが米国での製造事業を拡大するために$100 billionを追加投資すると発表した数時間後に、立法院で行われたものである。
◇Taiwan to keep advanced chip tech (3月5日付け Taipei Times)
→*重要な動き:TSMCが米国のチップ製造にさらに$100 billionを投資する計画は、世界市場における台湾の競争力を高めると首相は述べた。
*総統府は昨日、TSMCの海外投資を支援する一方で、政府は最先端のチップ製造技術が台湾に留まるようにすると述べた。
いろいろな切り口で見方が続いている。
◇US plan ‘good for TSMC,’ analysts say (3月5日付け Taipei Times)
→*反応:アナリストの多くはTSMCの投資に肯定的だが、あるアナリストは米国での事業拡大が同社の需給バランスを崩す可能性があると指摘した。
*TSMCの米国における$100 billionの新規投資は、米国のチップ設計者によるAIチップ需要の活況を背景に、中期的に同社の収益にプラスの効果を及ぼすだろうと、International Data Corp(IDC)のアナリストは昨日述べた。
◇What TSMC’s $100 billion investment in the US means for Taiwan (3月6日付け Taipei Times)
→*TSMCの最新投資は関税の脅威をそらすかもしれないが、それでも経済に打撃を与える恐れがある。
*台湾の大手チップメーカーであるTSMCは、ドナルド・トランプ米大統領が海外製チップに関税をかけると迫ったことを受け、$100 billionという巨額の対米投資を計画している。TSMCは、世界経済の生命線となっている重要技術の世界最大のメーカーである。
今週の発表により、TSMCが米国への投資を約束した総額は$165 billionに達し、同社は 「米国史上最大の単一の海外直接投資」であるとしている。
◇Analyst sees political rationale behind TSMC deal (3月6日付け Taipei Times)
→TSMCが米国に新たに計画している$100 billionの投資について、ヘリテージ財団の研究者は火曜4日、「経済的には意味がないように思えるが、政治的には強い根拠がある」と述べた。
ヘリテージ財団のアジア研究センターのMichael Cunningham研究員は、中央通信社の問い合わせに対する電子メールの返信の中で、ドナルド・トランプ米大統領が現在関税で迫っているため、台湾やTSMCを含む多くの国や企業は困難な時期を最大限に利用しようとしていると述べた。
◇TSMC investment to benefit gear vendors: report (3月6日付け Taipei Times)
→*米国進出拡大:TSMCの新たな$100 billion投資計画は、台湾のOEMや消耗品ベンダーに中長期的にプラス効果をもたらすはず
*TSMCの新たな米国投資計画は、国内の装置ベンダーにとってプラスに働くだろうと、Yuanta Securities Investment Consulting Co(元大投顧証券投資コンサルティング)は昨日述べた。
TSMCのアリゾナへの投資拡大は、工場建設の初期段階にある台湾のターンキー・エンジニアリング企業に利益をもたらすと予想される、とYuanta氏はレポートで述べた。
◇TSMC’s US$100 billion US investment a long-term strategy: researchers say (3月7日付け Taipei Times)
→TSMCが米国への投資を$100 billion増加させる計画は、同社に長期的な戦略的優位性をもたらすだろうと、研究者たちが水曜5日に述べた。
Taiwan Ratings Corp(中華信評)は、TSMCの投資計画が成功すれば、同社は「長期的に台湾に資産が集中するリスクを軽減できる」と述べた。
台湾の現総統、そして元総統が絡むコメントが以下の通りである。
◇Ex-president Ma criticizes William Lai over TSMC deal (3月5日付け Taipei Times)
→*馬英九前総統は昨日、フェイスブックに「鮴隅総統はTSMCを保護し、国内の争いや不和を支援するのをやめるべきだ」と書き込んだ。
*ドナルド・トランプ米大統領とTSMCは月曜3日、同社が米国での半導体製造事業を拡大するため、今後数年間で$100 billionを追加投資すると共同で発表した。
◇TSMC’s US plan is not a concern, William Lai says―INVESTMENT WATCH: The US activity would not affect the firm’s investment in Taiwan, where 11 production lines would likely be completed this year, C.C. Wei said (3月7日付け Taipei Times)
→TSMCの対米投資は懸念材料ではなく、むしろ同社と台湾が世界的なスポットライトを浴びた瞬間と見るべきだと、頼清総統は昨日、台北の総統府で行われた記者会見で、TSMCの魏哲家会長兼CEOと共に語った。
◇TSMCトップ、米追加投資「需要大きい」 台湾総統と会見 (3月7日付け 日経)
→半導体世界大手、TSMCの魏哲家・董事長兼CEOは6日、米国への$100 billion(約15兆円)の追加投資の理由を巡り「顧客の需要がとても大きいからだ」と語った。台北の総統府で頼清徳総統と記者会見した。
米アリゾナ州に設けた新工場は2年後まで受注が埋まっていると言及した。米国に新たに3工場を設けるが、台湾には今年11の生産ラインを建設するとして、米投資は台湾の投資に影響しないと強調した。
TSMCの見る有望な米国市場の展望である。
◇TSMC's Arizona chip fab production is sold out through late 2027―CEO: TSMC's US chip production booked into 2027―However, Taiwan will remain the central manufacturing hub for TSMC. (3月6日付け Tom's Hardware)
→TSMCのC.C. Wei CEOは、ブロードコム、アップルおよびエヌビディアなど米国の主要顧客からの需要に牽引され、アリゾナ工場が2027年後半まで生産完売を達成したと発表した。米国製チップのコストは25%から30%高いにもかかわらず、TSMCはさらに5つの工場モジュールと2つの高度パッケージング工場を含む$165 billionの米国拡張を計画している。
◇TSMC、破格の15兆円投資 対トランプで米に先端6拠点 (3月7日付け 日経 電子版 11:19)
→半導体世界大手のTSMCが米国生産に大きく踏み込む。15兆円に上る巨額の追加投資の背景には、米トランプ政権による関税リスクの回避に加え、AIなど先端半導体の主要顧客である米アップルや米エヌビディアなどとの関係強化の狙いが透ける。
今後の推移&展開に注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□3月2日(日)
ウクライナを支援する欧州の動きで始まった今週である。
◇英首相、ゼレンスキー氏を「全面支援」 対米修復協議か (日経 電子版 06:14)
→スターマー英首相は1日、ウクライナのゼレンスキー大統領とロンドンの首相官邸で会談した。2月28日にトランプ米大統領との会談が決裂したばかりのゼレンスキー氏に「全面的な支援」を伝えた。米国との関係修復などを協議したとみられる。
□3月3日(月)
◇欧州首脳、国防費増額に大筋合意 米国説得へ調整加速 (日経 電子版 11:00)
→英国やフランス、ドイツ、ポーランドなど10カ国以上の欧州首脳は2日、国防費を増額することに大筋合意した。ウクライナ支援や自国の防衛力の増強に充てる。欧州各国が域内の安全保障に責任を果たす方針を明確にした。
□3月4日(火)
米国の関税による不透明感で大きな下げが優勢、FRB議長講演で若干持ち直して締めた、今週の米国株式市場である。
◇NY株一時900ドル安、仮想通貨も急落 関税実施に不安 (日経 電子版 06:57)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均が急落し、前週末比の下げ幅が一時900ドルを超えた。同日発表の米経済指標が軟調だったうえ、トランプ米大統領がメキシコとカナダに予定通り4日から関税を課すと表明したことで米景気の先行き不安が強まった。
ダウ平均の終値は649ドル(1.5%)安の4万3191ドルだった。
米国の関税発動、そして対する関係国の報復の動きである。
◇カナダ・メキシコに25%関税発動 米政権、対中は上乗せ (日経 電子版 15:07)
→トランプ米政権は4日、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の追加関税を発動した。2月に発動済みの中国製品への10%の追加関税は税率を20%に引き上げた。米国の輸出入の4割を占める3カ国との間で貿易戦争が激化するおそれがある。
カナダとメキシコに対する25%の関税は米東部時間4日午前0時1分(日本時間4日午後2時1分)に発動した。
◇中国が報復関税、米国産小麦や大豆に最大15% (日経 電子版 17:17)
→中国政府は4日、米国から輸入する小麦やトウモロコシなどに最大15%の追加関税を課すと発表した。10日に発動する。トランプ米大統領が4日に対中追加関税を10%から20%に引き上げたことに報復措置をとる。カナダ政府も米国に報復関税を課すと表明した。
中国が米国に課す15%の追加関税は小麦やトウモロコシ、鶏肉、綿花を対象とする。大豆や豚肉、牛肉、水産物、果物などには10%の追加関税をかける。
□3月5日(水)
◇NYダウ670ドル安、「関税不況」警戒 米利下げも望み薄 (日経 電子版 07:26)
→4日の米株式相場は関税引き上げの応酬が景気悪化を招くとの不安から大幅続落になった。投資家は景気変動の影響が相対的に小さい銘柄や金などの安全資産への資金シフトを急ぐ。市場ではFRBの利下げ期待も高まるが、インフレ警戒も根強いなかで景気や株価を支える積極利下げが実現するかは不透明だ。
中国の全人代、またも「5%前後」の経済成長目標である。
◇中国全人代、25年成長目標「5%前後」 銀行に資本注入 (日経 電子版 11:37)
→中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第3回会議が5日午前、北京の人民大会堂で開幕した。李強首相は2025年の実質経済成長率の目標を「5%前後」とし、3年連続で同じ水準に定めた。
トランプ米政権の追加関税などで逆風が強まるなか、財政支出を拡充し景気を下支えする。
◇Trump’s ‘Swift and Unrelenting Action’ Tests Americans’ Appetite for Upheaval―Trump warns of economic "disturbance" from tariffs―President celebrates his sweeping moves but glosses over economic obstacles during his prime-time address (The Wall Street Journal)
→ドナルド・トランプ大統領は火曜4日の夜、議会での100分に及ぶ演説の中で、大幅な関税引き上げを擁護し、「アメリカを再び豊かにする 」ために必要な措置だとレッテルを貼った。トランプ大統領は、関税が発効することでアメリカ人が経済的に不愉快な思いをする可能性があることを認めたが、それを 「ちょっとした騒ぎ 」だと軽視した。
□3月6日(木)
◇米中、国内景気を最優先 米、製造業復権へ保護主義鮮明「関税で再び偉大に」 (日経)
→二大経済大国の米中が国内景気を最優先する姿勢を強めている。トランプ米大統領は4日、議会での施政方針演説で関税引き上げをテコに製造業の国内回帰を促す考えを表明した。中国では5日、全国人民代表大会が開幕し、習近平指導部が財政支出を拡充して景気を下支えする方針を示した。
半導体の自給自足目標も盛り込まれた「中国製造2025」であるが、次の達成の見方となっている。
◇中国製造2025、ハイテク目標の大半達成 米制裁もバネに (日経 電子版 05:00)
→中国政府はAIの活用を新エネルギー車など中核産業に広げる。ハイテク技術を実体経済に普及させ産業の高度化を急ぐ。中国のハイテク分野は10年越しの育成計画「中国製造2025」のもと、米国による規制もバネに成長してきた。同計画で定めた目標の9割近くを達成したとの分析もある。
◇米株485ドル高も拭えぬ不安 「物価高での景気減速」警戒 (日経 電子版 08:30)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反発し、前日比485ドル(1.1%)高の4万3006ドルで引けた。前日に発動したカナダやメキシコ向けの追加関税25%について、北米の自動車産業向けに1カ月の猶予期間を設けることとなり、相場を支えた。ただ、景気悪化と物価高が併存する「スタグフレーション」に対する不安はくすぶり続けている。
□3月7日(金)
関税の救済措置と、それぞれ取引が行われている。
◇米、カナダ・メキシコ関税1カ月猶予 輸入品の4〜5割に (日経 電子版 06:00)
→トランプ米大統領は6日、4日に発動したカナダとメキシコへの25%の追加関税について、大規模な救済措置を認めると発表した。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合した輸入品については、相互関税を発表する4月2日まで追加関税を猶予する。
4日に発動した25%関税は既に徴収が始まっており、企業の貿易実務に大きな混乱が起きるのは避けられそうにない。
◇NYダウ、反落し427ドル安 米関税巡る不透明感から売り (日経 電子版 07:24)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比427ドル51セント(0.99%)安の4万2579ドル08セントで終えた。下げ幅は一時620ドル超となった。米政権による関税政策を巡る不透明感が根強く、主力株に売りが膨らんだ。米景気減速への懸念もあり、投資家のリスク回避姿勢につながった。半導体株が軒並み下落したことも、相場の重荷となった。
□3月8日(土)
◇NYダウ反発、222ドル高 FRB議長講演が支え (日経 電子版 06:30)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比222ドル(0.5%)高の4万2801ドルで終えた。FRBのパウエル議長が米景気が堅調との認識を示したことで市場の過度な警戒感が後退した。週間を通し相場が大きく下げた後で週末をひかえた買い戻しも入り、上昇して終えた。
≪市場実態PickUp≫
【MWC 2025関連】
Mobile World Congress(MWC)が3月3日から6日までスペイン・Barcelonaで開かれ、ここでもAIが大きく引っ張る色合い、関連内容を以下取り出している。
◇Lenovo’s new concept laptop can be charged by the sun―The Yoga Solar PC features a solar panel built into the laptop’s lid. (3月2日付け The Verge)
→レノボはMWCで、電源ケーブルへの依存を減らすことで外での作業を促す新しいコンセプトのノートパソコンを発表した。該Yoga Solar PCは、ノートパソコンの蓋に組み込まれたソーラーパネルを特徴とする初期の概念実証デバイスである。あらゆる光源からの光を利用してバッテリーを強化することができるが、ほとんどのソーラー駆動デバイスと同様、晴れた日に屋外で作業しているときに最大のパワーを得ることができる。
◇Lenovo's new AI laptops for MWC 2025 include the Yoga Pro 9i Aura edition and the IdeaPad Slim 3x―They will soon be available in North America. (3月2日付け Engadget)
→レノボは今年のMWCに向けて、Yoga Pro 9i Auraエディションを含む、ジェネレーティブAI機能を搭載した新しいノートパソコンを発表した。レノボのAuraエディション・ブランドは、「コンピューティングをよりパーソナライズされ、生産的で、保護された体験にする」一連の 「明確なソフトウェア、ハードウェアおよびAI機能」を開発するためのインテルとのパートナーシップの成果である。
◇MWC 2025: Honor Teases Agentic AI Phone That Will 'Revolutionize' Our Devices―Honor sees agentic AI phone redefining device interaction (3月2日付け CNET)
→1)バルセロナで開催されたMWCで、Honor(オナー)は一連の新製品を発表し、AIへの$10 billionという巨額の投資を発表した。
2)オナーは、クアルコムおよびグーグルとの協業による「エージェントAI」スマートフォンの開発など、AI製品への$10 billionの投資を発表した。Honorは、このスマートフォンが「人間とデバイスのインタラクションに革命を起こす」とし、シームレスなユーザーエクスペリエンスのためにGoogleのGemini AIモデルを統合し、AIエージェントがユーザーの入力なしにアプリ間で操作できるようにすると伝えている。
◇Lenovo teases solar-powered and foldable screen laptops in latest concept (3月2日付け CNBC)
→*レノボは、折りたたみ式スクリーンを搭載したノートパソコン、レノボThinkBook「flip」コンセプトを発表した。完全に広げると、画面18インチのディスプレイになる。
*レノボはまた、ソーラー・パワーPCも披露した。これは、デバイスのバッテリーが残り少なくなり、充電ポイントが利用できない場合、ユーザーに余分なバッテリーを与えることができるとしている。
*どちらのデバイスもコンセプトであり、市販はされていない。
◇Lenovo's latest iteration of popular Yoga laptop range comes with exceptional tandem OLED tech―Lenovo introduces Yoga Pro 9i Aura with Intel partnership―Lenovo also debuts two new "Aura Edition" models powered by Intel Core Ultra processors (3月3日付け TechRadar)
→レノボはMWC 2025で、Yoga Pro 9i Aura editionやIdeaPad Slim 3xなど、ジェネレーティブAI機能を搭載したノートパソコンを発表した。インテルと提携して開発されたYoga Pro 9iは、インテルCore UltraプロセッサーとNvidia GeForce RTX 5070グラフィック処理ユニット(GPU)を搭載し、IdeaPad Slim 3xはクアルコムのSnapdragon Xで動作し、専用のMicrosoft Copilotキーが搭載されている。
◇携帯見本市、AIが競争軸 ソフトバンクは通信を快適に (3月3日付け 日経 電子版 17:59)
→世界最大級のモバイル関連見本市「MWC2025」が3日、スペイン・バルセロナで始まった。今回は通信とAIの融合が注目点になる。開幕に合わせてソフトバンクはAIを活用し、利用者が集中したエリアなどでもスマートフォンを快適に使える実証実験に成功したと発表した。急速に広がるAIは通信業界でも重要な競争軸になっている。
◇Telecom Leaders at MWC Call for Industry Reset―European operators highlighted the need for regulatory reform and market consolidation (3月4日付け EE Times)
→MWC2025では、通信業界のリーダーたちが一堂に会し、コネクティビティの未来について議論し、この分野の課題と機会を明らかにした。包括的なテーマは、AIの進歩を受け入れ、規制のハードルを乗り越える一方で、特に欧州における成長とイノベーションを推進するための大幅なリセットの必要性であった。
◇Samsung unveils AI-driven ecosystem at MWC 2025―AI, XR drive Samsung ecosystem with Galaxy S25, Project Moohan headset (3月4日付け DigiTimes)
→サムスン電子はMWC2025で、最先端のAI機能を搭載したGalaxy S25シリーズと、XRヘッドセットProject Moohanにスポットライトを当て、最新のAI進歩を紹介した。
◇Korean telecoms strengthen ties with global partners at MWC 2025―Korean telecoms expand AI partnerships (3月4日付け The Korea Times (Seoul))
→韓国の通信会社はAIの協力関係を広げている。SKテレコムはMWC 2025でGlobal Telco AI Allianceサミットを開催し、AIデータセンターとGPU-as-a-serviceを強調した。LG Uplusはグーグルと提携し、グーグル・クラウドのGemini AIを使ってAI call agenを強化する一方、KTは衛星通信と量子通信を強調した6G技術を展示した。
◇At MWC Intel Shows Xeon 6 Power for Telecom―Intel highlighted how Xeon 6 processors are helping telecom operators and network vendors (3月5日付け EE Times)
→MWC 2025で、インテルはネットワーク・インフラの将来ビジョンを披露し、同社の新しいXeon 6プロセッサーと、AIを活用した通信ネットワークを推進する可能性を強調した。インテルがその進歩を紹介する一方で、これは、インテルが製品の発売を停止し、プロセス技術のロードマップを遅らせるという困難な時期を背景としている。
◇Nokia 6G Horizon, AI, Integration, and Beyond―Early visions point to AI-driven, integrated networks (3月7日付け EE Times)
→世界のモバイル業界がMWCに集結する中、話題はますます次世代の無線技術である6Gへと向けられている。5Gの配備が世界的な拡大を続ける一方で、オピニオンリーダーや研究者たちはすでに、ユビキタス接続、AI、およびまったく新しいアプリケーションを約束する未来への土台を築きつつある。
【トランプ政権関連】
バイデン政権によるChips and Science Actの廃止を求めるトランプ大統領に対し、一筋縄ではいかない状況がうかがえるやりとりも見られる以下の内容である。
◇Trump purge hits Chips Act office, two-fifths of staff to be terminated: Report―Reports: US Chips Program Office hit hard by staff cuts amid tariff strategy ―The gov't staff behind $52 billion chip program join the list of DOGE casualties (3月3日付け Tom's Hardware)
→トランプ政権により、Chips and Science Actの管理を担当する米国Chips Program Officeの職員の5分の2がレイオフされた。本日中に60人の職員が削減される。
ブルームバーグによると、先週20人が辞表を受理し、残りの40人は過去2年以内に着任した「試用期間中」の職員で、これらの試用期間中の職員は月曜末までに解雇される予定だった。
◇Nvidia shares fall 9% on tariff fears (3月3日付け CNBC)
→*ドナルド・トランプ大統領がカナダとメキシコからの関税を火曜4日に発動することを確認したため、エヌビディアの株価は月曜3日に9%近く下落した。
*同社の株価は現在、米大統領選前の9月と同じ価格で取引されている。
*エヌビディアの時価総額は$3 trillionから$2.79 trillionになったが、月曜3日の下落で同社の評価額はさらに$265 billion下がった。
◇Trump wants to kill $52.7 billion semiconductor chips subsidy law―Trump urges repeal of the CHIPS and Science Act (3月4日付け MSN/Reuters)
→ドナルド・トランプ大統領は、半導体製造に数十億ドルの補助金を支給する2022年の超党派法「CHIPS and Science Act(CHIPS・科学法)」の廃止を議会に求めた。この補助金プログラムは、TSMCやインテル社などから$400 billion以上の投資を生んできた。トランプ大統領はこれらの資金を国家債務の返済に充てたいと考えており、関税の方が国内製造を促進する効果的な手段だと考えている。
◇Trump pounces on CHIPS Act, says unspent funds should pay debt (3月5日付け Fierce Electronics)
→トランプ大統領は火曜4日の議会演説で、CHIPS法の資金を再び攻撃した。同大統領は、同法の未使用資金を連邦債務の削減に充てるべきだと述べた。Fierce Electronicsに提供された業界の推定によれば、これは$35 billionの未使用額を意味する。
◇Trump Calls for End to $52 Billion Chips Act Subsidy Program (3月5日付け Bloomberg)
◇China hits back Trump's tariffs with new duties, blacklists 15 US firms―China retaliates against US with tariffs, blacklist (3月5日付け DigiTimes)
→中国はドナルド・トランプ大統領が課した関税に対し、新たな関税を導入し、米国企業15社をブラックリストに掲載することで対抗し、両国間の貿易摩擦をエスカレートさせている。
◇Congressional Republicans 'don’t see a huge appetite' for Trump's push to repeal the CHIPS Act (3月6日付け NBC News)
→*上院共和党の3人の側近は、党には超党派のこの法律の廃止に取り組む気概も時間もないことを明らかにした。
*ジョンソン下院議長がこの問題で以前から翻意していたにもかかわらず、トランプ氏のCHIPS法廃止要求は共和党を油断させた。
◇Trump set to meet with US tech leaders next week amid new tariffs, stricter export rules―Tech firms seek clarity on export rules for AI technology―A group that includes the CEOs of HP, Intel, IBM and Qualcomm has discussed meeting with the Trump administration on Monday, sources say (3月6日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Bloomberg)
→情報筋によると、ドナルド・トランプ大統領は、クアルコム、インテル、HPおよびIBMなどの主要テック企業のCEOsと会談し、新たな輸入関税と輸出規制強化の影響について話し合う予定だと報じられている。この政策は製造コストを引き上げ、サプライチェーンを混乱させる可能性があり、特にAIデータセンター向け技術の輸出に影響を与える。
◇What’s at Stake as Trump Looks to Scrap the Chips Act (3月7日付け Bloomberg)
→ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争と製造業を米国に呼び戻す努力によって、前任者の代表的な功績のひとつである「Chips and Science Act」が戦線に立たされている。チップス法は、アメリカ国内での工場建設に約$450 billionの投資を約束させ、政府が1ドル投じるごとに民間企業が10ドル近く投資することになる。この法律は、米国が産業政策に着手した中でも最大規模のものである。この法律には、半導体製造に$39 billion、研究開発に$11 billionの助成金が含まれている。
◇Trump’s CHIPS Act call spurned―GREAT SUCCESS: Republican Senator Todd Young expressed surprise at Trump’s comments and said he expects the administration to keep the program running (3月7日付け Taipei Times)
→国内半導体製造への数十億ドルの補助金確保に貢献した米国議員たちが、ドナルド・トランプ米大統領による2022年CHIPS and Science Actの撤回要求を拒否、米国議会でのいかなる撤廃努力も失敗に終わることを示唆した。同法の交渉に当たったChuck Schumer米上院少数党院内総務は水曜5日、トランプ大統領の要求は失敗するだろうと述べた。一方、共和党のトップ提案者であるTodd Young上院議員は、大統領の発言に驚きを示し、政権が同プログラムを継続することを期待していると述べた。
【インテル関連】
オハイオ州工場が5年延期されたが、一方では、NvidiaおよびBroadcomがインテルの18Aプロセスをテストする動き。早期苦境脱出を願って、じっくり見ていく思いである。
◇Intel delays Ohio chip plant opening to next decade, was supposed to start production by 2026 (2月28日付け CNBC)
→*インテルは、オハイオ州のチップ製造施設の開所を延期すると金曜28日に発表した。
*インテルによると、最初の工場は2030年まで完成せず、その年かその次の年に操業を開始する予定だという。
*インテルは昨年、AI競争からさらに遅れ、企業価値の60%を失った。
◇Intel delays Ohio fab finish to 2030 amid takeover talk―Intel pushes Ohio fab openings to 2030 amid restructuring (3月1日付け Fierce Electronics)
→インテルの苦難の過去6ヶ月がまた一転、インテルは、オハイオ州で建設中の2つのチップ工場の開設を少なくとも5年延期する計画を発表した。
同社は金曜28日の声明で、建設はより遅いペースで継続すると述べた。このニュースは、インテルの株価が金曜日に3%近く上昇し、投資家や政策立案者たちが、問題を抱えたこのアメリカの企業の前途を切望している中で発表された。
◇Intel stocks leaps on report tied to Nvidia and Broadcom―Sources: Nvidia, Broadcom test Intel's 18A process (3月3日付け MSN)
→1)インテルの株価は、エヌビディアとブロードコムの両社が該チップメーカーの再建計画の初期の重要な裏付けとなるもので高度なAI生産技法をテストしようとしているとの報道を受けて、月曜日の取引開始早々に上昇した。
インテルは、昨年末にパット・ゲルシンガーCEOが解任された後も、ハイエンド・チップの設計・マーケティング部門は維持したまま、インテル・ファウンドリー・サービス(IFS)事業を独立させる計画を積極的に進めている。
2)NvidiaとBroadcomは、IntelがIntel Foundry Servicesを独立した事業体に分離する計画の中で、18A向けにIntelの高度なAIチップ製造技術をテストしていると伝えられている。インテルは生産の遅れに直面しており、ァウンドリーが2027年までに収支均衡になることを目指している。
◇Exclusive: Nvidia and Broadcom testing chips on Intel manufacturing process, sources say (3月3日付け Reuters)
→*チップ設計者が製造決定に近づいていることをテストが示す
*インテルの受託製造事業、2026年半ばまで延期の見通し
*インテルのファウンドリー収益は少なくとも2027年まで低水準にとどまる見通し
チップ設計会社のNvidiaとBroadcomは、Intelと製造テストを実施しており、この件に詳しい2人の情報筋がロイターに語ったところによると、苦境にある同社の高度な生産技術に対する初期の自信を示している。
◇Intel delays Ohio factory to 2030s (3月3日付け Taipei Times)
→*不確実性:昨年末にPat Gelsinger CEOを更迭して以来、まだ新しいリーダーを指名していない同社は、より慎重な戦略を追求すると述べている。
*インテル社は、オハイオ州に建設中の注目の新半導体コンビナートの開業をさらに延期、同社の拡張計画に対する最新の後退を示すものである。
*当初は今年操業を開始する予定であった第一工場は、現在では2030年まで完成しないだろうと、同社は金曜28日の声明で述べた。
◇Nvidia, Broadcom test chips on new Intel tech: sources (3月4日付け Taipei Times)
→*販売はいまだ:TSMCの先端チップに対抗することを目的としたこのプロセスのテストは数ヶ月に及ぶ可能性があり、インテルに新しいビジネスを獲得できるという保証はない。
*チップ設計者のNvidia CorpとBroadcom Incは、Intel Corpと製造テストを行っており、苦境にあえぐインテルの高度な生産技術に早くも自信を示している、と本件に詳しい2人の情報筋が語った。
◇Intel creates a digital audit trail to trace the origins of chips―Intel debuts digital audit trail for chip supply chain―The program will track the movement of chips through sites in the US, Ireland, Taiwan, Malaysia, and Vietnam. (3月6日付け Computerworld)
→インテルはAssured Supply Chainプログラムを開始し、チップの生産から納入までを追跡するdigital audit trail(デジタル監査証跡)を作成した。米国、台湾、ベトナム、アイルランドおよびマレーシアの拠点を対象とするこのプログラムは、政府機関や企業顧客に向けた透明性を高めるために設計された。最初の認証チップであるUltra Series 2は今年後半に出荷される予定だ。
【Alibaba関連】
DeepSeekに対抗する動きなど、中国の巨大ITの一角の取り組みが、以下の通りである。
◇Alibaba’s research arm launches new RISC-V processor for high-performance computing―Alibaba's Damo Academy unveils RISC-V server CPU (2月28日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→1)Damo Academyは、AIアクセラレーションを含む将来のXuanTieチップの計画とともに、新しいサーバーグレードのC930を発表した。
2)アリババ・グループ・ホールディングの研究部門であるダモ・アカデミーは、初のサーバーグレードのCPUを発表、AI機能を強化し、米国のチップ規制に対抗するアリババの取り組みにおいて、重要な一歩となる。
C930と呼ばれるこの新チップは、アリババのXuanTie RISC-Vプロセッサー・シリーズの最新版である。
◇Alibaba’s new open source model QwQ-32B matches DeepSeek-R1 with way smaller compute requirements―Alibaba touts AI model that outperforms DeepSeek's R1 (3月5日付け VentureBeat)
→アリババ・グループは、QwQ-32Bを発表、QwQ-32Bは、320億パラメータを持つオープンソースのAI推論モデルで、パラメータ数が少なく、コンピューティング・リソースが少なくて済むにもかかわらず、数学やコーディングなどの分野でディープシークのR1を凌ぐという。このモデルは、Apache 2.0ライセンスの下、Hugging FaceやModelScopeなどのプラットフォームで利用可能。
◇Alibaba shares soar after Chinese tech giant unveils new DeepSeek rival (3月6日付け CNBC)
→*中国の巨大ハイテク企業、アリババは、自社の最新AI推論モデル、QwQ-32Bが「最先端の推論モデル、例えばDeepSeek-R1に匹敵する」と述べた。
*世界中の既存のAIプレーヤーも新興のAIプレーヤーも、より効率的で高性能なモデル作りににしのぎを削っている。
*AI開発をめぐる楽観論はアリババ株の大幅上昇につながり、同社の業績を「より上向きの軌道に乗せる」可能性がある、とBernsteinのアナリストは述べた。
◇‘Better than DeepSeek and OpenAI’: Alibaba touts open-source AI model that beats rivals―Alibaba says its QwQ-32B AI model outperforms DeepSeek’s R1 in coding and problem solving while using fewer resources (3月6日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→アリババ・グループ・ホールディングは木曜6日、オープンソースのAI推論モデルを発表し、ディープシークのR1の性能を上回ったと発表、モデルやデータセンター・インフラにわたる該中国の巨大テクノロジー企業の強力なAI能力を強調している。
QwQ-32Bモデルの発表を受けて、アリババの香港上場株は8.4%近く急騰し、木曜6日の終値は140.80香港ドルとなった。アリババはSouth China Morning Postを所有している。
◇アリババ、生成AI最新モデル公開 ディープシークに対抗 (3月6日付け 日経)
→中国ネット通販最大手アリババ集団傘下のアリババクラウドは、画像や動画の生成AIの基盤モデルを外部の技術者が使える「オープンソース」にすると発表した。AIを支えるクラウドの利用を促進する。
最新の基盤モデル「通義万相(Wan)2.1」は文字や画像を入力すると画像や動画を生成する。重力による物理的法則や気象条件などをリアルに描写できる。
【違法取引関連】
Nvidiaの先端GPU製品が中国に渡っている件について、近隣諸国を経由した違法取引があらわされている。
◇Chinese Buyers Are Ordering Nvidia’s Newest AI Chips, Defying U.S. Curbs―Reports: Chinese firms bypass US bans to get Nvidia GPUs (3月2日付け The Wall Street Journal)
→1)貿易業者は、近隣地域の第三者を経由して、NvidiaのBlackwellチップを搭載したサーバーを提供している。
2)報道によると、中国企業は、米国の輸出規制にもかかわらず、マレーシア、台湾およびベトナムの企業を利用して、NvidiaのBlackwellGPUsを入手している。再販業者は、8-GPUサーバー・スタックに$600,000以上のプレミアムを付けている。
◇Chinese firms get Blackwell chips by ordering through nearby countries, defying U.S. bans―The bans make Blackwell chips expensive, but Chinese firms can still buy them through intermediaries. (3月3日付け Tom's Hardware)
→米国がNvidiaのAI GPUsを中国に輸出する際の輸出規制を強化しているにもかかわらず、中国にある多くの機関は、最新のBlackwellチップを簡単に手に入れることができた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、マレーシア、ベトナム、および台湾といった近隣諸国で登録された企業を利用して、これらの禁止されたNvidia GPUsを入手しているトレーダーがいるという。納品までの平均待ち期間も6週間以内であり、最新のAI GPUプロセッサーが2025年10月まで売り切れるとNvidiaが発表していることを考えると、驚くべきことだ。
◇Malaysia will take ‘necessary action’ if its companies are involved in Nvidia fraud case: Trade minister (3月4日付け CNBC)
→*マレーシアのTengku Zafrul Aziz貿易相は、マレーシアで操業しているデータセンター企業が 「使用しているはずのチップを使用していない」という情報はないと述べた。
*これは、シンガポール政府の大臣が、詐欺事件に関連したサーバーに高度なNvidiaチップが搭載されていた可能性があり、それがマレーシアに送られたと述べた後のことである。
*2月27日、シンガポールは3人の男を詐欺罪で起訴し、地元放送局、CNAは、これらの事件はNvidiaチップの移動疑惑に関連していると理解していると述べた。