米政権交代間近での波紋:AI半導体輸出規制、TSMCの最先端海外生産
米国のトランプ次期大統領の就任式が月曜1月20日、キング牧師誕生日の休日に行われるが、バイデン政権の最終週も、半導体関連での波紋の動きが見られている。月曜13日、人工知能(AI)向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案が発表され、中国向け阻止を図る狙いではあるが、現下の活況分野への影響ということで、関係各社&業界からの反発&失望を呼んでいる。一方、TSMCアリゾナ工場での4-nm生産が好調に開始、と米商務省が発表するとともに、TSMC最先端品は台湾でのみ取り組むとしていた縛りを外すという方向性が台湾から打ち出される動きが見られている。政権交代の慌ただしい渦中を感じさせる中、置き土産の今後に注目するところである。
≪見逃せない今後の局面変化≫
政権交代を控えた現時点の様々な見方について、関連する内容を以下に示す。
◇Biden's chip strategy highlights TSMC over Intel as his term approaches its end (1月14日付け DigiTimes)
→2024年のアメリカ大統領選挙が終わって以来、バイデン政権とトランプ政権は激しい攻防を続けている。民主党がトランプの魅力が米国民に何なのかを問い続ける一方で、1月20日に退任するバイデン政権は最後の実績報告をまとめている。
◇中国企業の4割「対米関係改善する」 トランプ氏に期待―【イブニングスクープ】 (1月15日付け 日経 電子版 18:00)
→日本経済新聞社が中国・人民日報系日刊紙の環球時報、韓国の毎日経済新聞と共同で実施した「日中韓経営者アンケート」で、中国企業の4割が対米関係が「改善する」と答えた。韓国や日本の企業に比べ楽観的な見方が際立った。米中対立が続くもののトランプ米次期政権では交渉できるとの期待が背景にあるとみられる。
◇米国務長官候補「何よりも米国益」 戦後秩序は時代遅れ (1月16日付け 日経 電子版 04:50)
→次期米国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員は15日、上院外交委員会で指名承認の公聴会に臨んだ。「世界に関与し、再び米国の核心的利益を何よりも優先する」と述べた。「戦後の国際秩序は時代遅れだ」と訴え、再構築する必要性を強調した。
ルビオ氏は現在53歳で、南部フロリダ州出身のキューバ系移民の家庭で育った。
バイデン政権よりAI半導体輸出規制の見直し案が発表されている。
◇米政府、AI半導体輸出で数量規制 中国への迂回輸出把握 (1月13日付け 日経 電子版 21:16)
→バイデン米政権は13日、AI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表した。東南アジアや中東向けに「数量制限」をかけながらも簡単に輸出できる仕組みを設ける。海外での先端半導体の流通・在庫データを把握するためで、中国への迂回輸出を封じる狙いがある。
レモンド米商務長官は「最先端のAI技術を守り敵対国の手に渡らないようにする」と述べた。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設ける。
新たな規制は各国を3つのカテゴリーに分ける。「ティア1」は同盟国の日本や韓国、英仏独などの18カ国・地域で、先端半導体やAIの基盤モデルの技術移転に制限はかからない。
米国・SIAから早速の失望のコメントである。
◇SIA Statement on Biden Administration Action Imposing New Export Controls on AI Chips (1月13日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、バイデン政権が 「AI普及のための輸出管理フレームワーク」と題する暫定最終規則を公表することを決定したことについて、SIAのPresident and CEO、John Neuffer氏からの以下の声明を発表した。この規制措置は、米国の先端集積回路(ICs)の輸出に世界的な制限と厳しいライセンス要件を課すものである。先端半導体へのアクセスを管理・制限するために、近年すでにいくつかの規制が実施されている。
「われわれは、このような大規模でインパクトのある政策転換が、大統領交代の数日前に、しかも産業界からの有意義なインプットもなく、急きょ実施されることに深く失望している。該新ルールは、戦略的市場を競合他社に譲り渡すことで、米国経済および半導体およびAIにおける国際競争力に意図せざる永続的ダメージを与える危険性がある。賭け金は高く、タイミングは危うい。われわれは、ワシントンの指導者たちと協力し、国家安全保障を守りつつ、米国が最も得意とするグローバルな競争と勝利を可能にする道筋を描く用意がある。」
同様の反応が続いている。
◇Biden proposes new rules on exporting AI chips (1月14日付け Taipei Times)
→ジョー・バイデン米大統領は、AIの開発に使用される高度なコンピューター・チップの輸出に関する新たな枠組みを提案、該技術に関する国家安全保障上の懸念と、生産者やその他の国々の経済的利益とのバランスを取ろうとする試みである。
しかし、昨日提案された枠組みは、ビデオゲームに使用される既存のチップへのアクセスを制限し、データセンターやAI製品に使用されるチップを120カ国で制限することになるとして、チップ業界幹部の懸念を呼び起こした。
◇NVIDIA、バイデン政権を批判 トランプ氏に輸出緩和期待 (1月14日付け 日経 電子版 07:38)
→米エヌビディアは13日、バイデン米政権が同日発表したAI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を巡り、「技術革新と経済成長を妨げる」と批判する声明を出した。同社が公の声明で米政権を批判するのは珍しい。トランプ次期政権に現在の輸出規制の緩和を求める狙いがありそうだ。
エヌビディアで公共政策を担当するネッド・フィンクル副社長が声明を出した。
米国商務省からの本見直しの説明である。
◇米政府、AI半導体の輸出規制緩和 東南ア・中東向け数量管理 (1月14日付け 日経)
→バイデン米政権は13日、AI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表した。東南アジアや中東向けに「数量制限」をかけながらも簡単に輸出できる仕組みを設ける。海外での先端半導体の流通・在庫データを把握するためで、中国への迂回輸出を封じる狙いがある。レモンド米商務長官は「最先端のAI技術を守り敵対国の手に渡らないようにする」と述べた。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設ける。
◇Uproar as Biden Administration Limits AI Chip Shipments (1月15日付け EE Times)
→バイデン政権は、残す最終の日々、米国の国家安全保障を脅かす可能性のあるAIの開発を防止することを目的とした新規則の制定を急いだ。しかし、この新ルールはチップ業界やクラウド業界から強い批判にさらされている。彼らは、改正されたルールは不必要に厳しく、最終的には中国のチップ競合企業に有利に働くことになると主張している。
中国・Huaweiの製品の中にTSMCの先端品が見い出されたのが、そもそもの発端ではある。
◇Biden wants to block China from getting TSMC's and Samsung's advanced chips―US reportedly to tighten chip rules affecting TSMC, others―The Biden administration wants chipmakers to improve due diligence to prevent advanced chips from getting to Chinese customers (1月15日付け Quartz)
→米国は、TSMCなどに影響を与えるチップ規制を強化する計画であると報じられ、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに戻る前のジョー・バイデン大統領の最後の行動のひとつとなった。
この規則により、TSMC、サムスン電子およびインテルなどのファウンドリ企業は、中国への技術流出を防ぐために顧客の精査を強化することが求められる見通しだ。この動きは、ファーウェイ・テクノロジーズのチップからTSMCの技術が発見されたことを受けたものだ。
◇Biden reportedly set to announce more TSMC chip regulations (1月15日付け Yahoo)
→Bloombergの報道によると、米国はチップ規制を強化し、TSMCに影響を与える見通しだという。
該チップ規制は、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに戻る前のジョー・バイデン米大統領の最後の行動となる。
◇New US chip export curbs threat to Nvidia: experts (1月15日付け Taipei Times)
→エヌビディア・コーポレーションは、AIチップに関する米国の最新の輸出規制により、大きな売上げの脅威に直面している。
この規制は、ジョー・バイデン米大統領政権によるこれまでで最も強力なもので、米国の緊密な同盟国の一部を除くほとんどの国へのAIチップ輸出を制限するものである。
AI半導体の扱いは引き続き注目するとして、次に、TSMCの最先端海外生産についてである。
TSMCアリゾナ工場での4-nm生産が順調に開始するとともに、台湾では2世代以上海外工場で後れさせていた展開の縛りを解く動きが見られている。関連する内容を以下に示す。
◇TSMC begins producing 4-nanometer chips in Arizona, Raimondo says (1月10日付け Reuters)
→TSMCは、Gina Raimondo商務長官がReutersに語ったところによると、米国顧客向けにアリゾナで先進的な4ナノメートルチップの生産を開始した。
2024年11月、商務省は、アリゾナ州Phoenixでの半導体生産のためにTSMCの米国部門に$6.6 billionの助成金を最終決定した。
◇Ministry lifts overseas limits on TSMC (1月11日付け Taipei Times)
→*先端: これまで台湾のチップ企業は、国内工場より2世代遅れ以下の技術で海外工場を建設することを制限されていた。
*経済部は昨日、Nvidiaの主要チップサプライヤーであるTSMCが、米国での次世代2ナノメートルチップ生産への投資を制限されなくなると発表した。しかし同省は、世界最大の契約チップメーカーは、最大$30 billionの投資の重みを考えると、無謀な決断はしないだろうと付け加えた。
バイデン政権における半導体の画期的な出来事とあらわされている。
◇TSMC has begun 4-nm chip production in US, official says (1月12日付け Taipei Times)
→*ブレイクスルー:実現は不可能と言われていたにも拘らず、米国で台湾と同等の歩留まりと品質のチップを製造している、と関係者が語った。
*TSMCが、Arizonaで米国顧客向けに先進的な4-nmチップの生産を開始した、とGina Raimondo米商務長官が述べ、ジョー・バイデン米大統領政権における半導体の取り組みにおける画期的な出来事である。昨年11月、商務省は、アリゾナ州フェニックスでの半導体生産のためにTSMCの米国部門に$6.6 billionの助成金を最終決定した。
台湾での動きが、「Silicon Shield」戦略からの転換と評されている。
◇Taiwanese govt clears TSMC to make 2nm chips abroad - country lowers its 'Silicon Shield'―Taiwan allows TSMC to produce 2nm chips overseas ―But does TSMC plan to? (1月13日付け Tom's Hardware)
→台湾はTSMCに対する規制を撤廃し、同社が台湾外の施設で2ナノメーターのチップを生産できるようになったと、J.W. Kuo経済部長官が発表した。この動きは、先端チップの生産を台湾に留めることを目的とした「Silicon Shield」戦略からの転換を意味する。TSMCのアリゾナ工場は、2028年までに3nmチップを生産し、10年後までには2nmチップを生産する可能性があると予想されている。
◇TSMC's Arizona Fab 21 is already making 4nm chips - yield and quality reportedly on par with Taiwan fabs―Raimondo: TSMC starts 4nm chip production in Ariz.―It was alleged to be for AMD and Apple, but Raimondo did not say that. (1月13日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、アリゾナ州のファブ21で4ナノメートルチップの生産を開始した。Gina Raimondo商務長官はこの生産を確認し、歩留まりと品質がTSMCの台湾工場と同等であることを指摘した。このファブは、2030年までに世界の先端ロジックチップの20%を生産するという米国の目標の重要な一部である。
◇TSMC begins 4nm chip production in Arizona, a first for the US, says Commerce Secretary (1月13日付け DigiTimes)
→ジーナ・ライモンド米商務長官はロイター通信とのインタビューで、TSMCがここ数週間、アリゾナ工場で4nmプロセス技術のチップ生産を開始し、米国の顧客にサービスを提供していることを明らかにした。
慌ただしい渦中でのその他の動きを以下取り出している。
Huaweiの製品でTSMC品が見つかった件で、TSMCが関係先への対応である。
◇Exclusive | TSMC cuts ties with Singapore firm over chip found in Huawei processor: sources (1月10日付け South China Morning Post)
→*世界最大のチップファウンドリーが、顧客調査の結果、シンガポールに拠点を置く企業との関係を解消
*この問題に詳しい関係者によると、世界最先端の受託チップメーカーは、顧客調査によって米国の輸出規制違反の可能性が露呈したため、シンガポールに拠点を置く企業との関係を解消した。
TSMCは、Huawei TechnologiesのAIプロセッサーにTSMC製チップが搭載されていることが発覚したことをきっかけとした顧客調査の後、地味なシンガポール企業であるPowerAIRとの関係を解消した、と3人の関係者が語った。
◇TSMC ends partnership with Singapore's PowerAIR over potential Huawei supply (1月13日付け DigiTimes)
→TSMCは、Huaweiが関与する可能性のある米国輸出管理違反の可能性を調査する中、シンガポールのPowerAIRとの提携を解消した。この動きは、ファーウェイに対する米国の制裁を実施することの難しさ、半導体サプライチェーンの脆弱性、そしてTSMCの売上げに中国が大きな役割を果たしているにもかかわらず米国の規制にコミットしていることを浮き彫りにしている。
米国政府のCHIPS法に絡む動きが、最終週土壇場に引き続いている。
◇Sivers Semiconductors Signs CHIPS Act Contracts with the Northeast Microelectronics Coalition Hub (1月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、シバース・セミコンダクターズは、Electronic Warfare(電子戦:電磁波にまつわる軍事活動)および5G/6Gチップ開発の両方で、米国CHIPS and Science Actを通じてNEMC(Northeast Microelectronics Coalition)ハブとの契約に成功したと発表した。資金提供は、Naval Surface Warfare Center Crane DivisionとNational Security Technology Accelerator(NSTXL)を通じて実施されるMicroelectronics Commonsプログラムの下で行われる。
◇CHIPS Incentives Award with HP to Support Domestic Manufacturing (1月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、バイデン-ハリス政権は、米国商務省がHPI Federal LLCに対し、CHIPS Incentives Programの商業製造施設向け資金調達の機会(Funding Opportunity for Commercial Fabrication Facilities)に基づき、最高$53 millionの直接資金を授与したことを発表した。この助成金は、オレゴン州コーバリスにあるHP社の既存施設の拡張と近代化を支援するもので、HP社は、研究開発(R&D)活動から商業製造事業まで、この地域の「ラボ・トゥ・ファブ」エコシステムの一翼を担い、同社の世界的なフットプリントにおける3つのR&D Centers for Excellenceの1つとなっている。
◇U.S. Department of Commerce Announces Preliminary Terms with MACOM (1月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、米国商務省はMACOM Technology Solutions Inc.との間で、CHIPS and Science Actに基づき最大$70 millionの直接資金提供に関する拘束力のない予備的覚書(PMT)に署名した。提案されたCHIPS資金は、マサチューセッツ州ローウェルとノースカロライナ州ダーラムにあるMACOMの施設の拡張と近代化を支援し、両州で最大350の製造業雇用と60近くの建設業雇用を創出する。
◇SIA Applauds CHIPS Act Incentives for Analog Devices, Coherent (1月16日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体産業協会)は本日、米国商務省とSIA会員であるアナログ・デバイセズ社およびコヒレント社が発表したCHIPSおよびScience Act奨励策を称賛するSIAのPresident and CEO、ジョン・ネーファー氏の声明を発表した。この優遇措置は、マサチューセッツ州にあるADIの先端研究開発(R&D)施設と製造施設の拡張と近代化、オレゴン州とワシントン州にあるADIの製造施設の拡張と近代化、およびペンシルベニア州にあるコヒレント社のウエハー製造施設の拡張を支援するものである。
◇U.S. Department of Commerce Announces $1.4 Billion in Final Awards to Support the Next Generation of U.S. Semiconductor Advanced Packaging (1月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→本日、米国商務省は、CHIPS National Advanced Packaging Manufacturing Program (NAPMP)が、先端パッケージングにおける米国のリーダーシップを強化し、新技術の検証と米国製造への大規模移行を可能にするため、$1.4 billionの資金提供を最終決定したことを発表した。これらの授与は、先進ノードチップの製造とパッケージングが米国内で行われる、自立した大量生産の国内先進パッケージング産業の確立を支援するものである。
◇SIA Applauds CHIPS Act Incentives for Infinera, Corning, Edwards Vacuum, and GlobalFoundries (1月17日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)は本日、米国商務省が発表した一連のCHIPSおよびScience Act協定を称賛するSIAのPresident and CEO、John Neuffer氏による声明を発表した:
#インフィネラ社のカリフォルニア州での新ファブ建設と、ペンシルバニア州での新しい先端パッケージング・テスト施設の建設;
#コーニングのニューヨークにおける高純度石英ガラスおよびEXTREME ULEガラス製造施設の拡張;
#エドワーズ・バキューム社の最新ドライ真空ポンプ製造施設をニューヨークに建設。
#完全に統合されたウェハー製造と高度なパッケージングを可能にするグローバルファウンドリーズ社のニューヨーク施設の拡張
上記のうちGlobalFoundriesの施設が、同日発表されている。
◇GlobalFoundries Announces New York Advanced Packaging and Photonics Center (1月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→グローバルファウンドリーズは本日、ニューヨークの製造施設内に米国製必須チップの高度なパッケージングとテストを行う新センターを設立する計画を発表した。ニューヨーク州および米国商務省からの投資により支援されるこの世界初のセンターは、AI、自動車、航空宇宙・防衛、および通信を含む重要な最終市場で必要とされるGFのシリコンフォトニクスおよびその他の必須チップの需要拡大に対応するため、半導体の製造、加工、パッケージングおよびテストをすべて米国内で安全に行えるようにすることを目的としている。
米国のCHIPS法の意義を問うレポートが、このタイミングであらわされている。
◇Report Reviews CHIPS Act, Suggests Not All Needed Subsidies―The Peterson report reviews the CHIPS Act, questioning if all subsidies are essential. (1月17日付け EE Times)
→ピーターソン国際経済研究所(Peteron Institute for International Economics)の予備報告書は、CHIPS法を通じた米国の産業政策を評価し、これまでに交付された助成金、融資および投資税額控除が、米国の工場や組立、テスト、パッケージング工場への投資を確保するために不可欠であったかどうかを検証している。
報告書「Industrial Policy Through the CHIPS and Science Act(CHIPSと科学法を通じた産業政策)」は、他の国々、すなわち日本、台湾、韓国、中国および欧州連合(EU)の法律を見ることで、オンショア製造とサプライチェーンの強靭性を復活させるための米国の政策に世界的・歴史的背景を与えている。また、管轄の補助金や税率に関する比較データを提示する。これに基づいて、米国のCHIPSと科学法を評価する。
米国の規制を受ける中の2024年の中国の半導体の輸入データである。
◇China’s 2024 chip imports surged 10.4% to US$385 billion amid tighter US tech sanctions (1月13日付け South China Morning Post)
→*多くの中国企業が、ワシントンによるより広範かつ厳格な貿易制裁の計画展開を前にチップを備蓄
*中国企業は2024年に半導体の備蓄を急ぎ、集積回路(IC)の輸入を二桁に拡大、退陣するバイデン政権が、中国の先端チップへのアクセス制限を強化しようとしている。
税関総署が月曜13日に発表したデータによると、2024年に中国が輸入したICs総数は5492億個で、前年比14.6%増となった。IC(マイクロチップ)の年間輸入総額は$385 billionで、前年比10.4%増であった。これに対し、2024年の中国の原油輸入額は$325 billionであった。
米国・SIAがトランプ次期政権に向けた政策提言を発表している。
◇SIA Releases Policy Recommendations for Trump-Vance Administration and 119th Congress (1月14日付け SIA Latest News)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA:半導体工業会)は本日、米国半導体業界の政策優先事項およびTrump-Vance政権および第119議会との協力提案分野を示す政策アジェンダを発表した。
該政策agendaは、「Winning the Chip Race」と題し、米国半導体業界を成功に位置づけ、米国の経済力、国家安全保障、技術リーダーシップおよびグローバル競争力を確保するための実行可能な政策目標を政府リーダーに提供する。
オランダも、半導体装置の輸出規制の拡大である。
◇Netherlands to expand export controls on semiconductor equipment―Netherlands widening export controls on chip equipment (1月15日付け The Economic Times (India)/Reuters)
→オランダ政府は4月1日から先端半導体装置の輸出規制を拡大し、検査・測定装置などの技術にライセンスを義務付ける。ASMLは、同様の規制は2023年から実施されているため、新たな措置が同社のビジネスに影響を与えることはないとしている。
米国の制裁を受けるHuaweiが、独自自前の半導体で攻勢をかけており、スマホ出荷で台頭している。
◇ファーウェイ、独自半導体スマホで再攻勢 60カ国・地域展開 中国で「5G相当」通信実現 歩留まり改善しコスト減 (1月15日付け 日経)
→中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が海外のスマートフォン市場で再び攻勢に出る。米政府による半導体規制で低迷が続いたが、高性能半導体を独自開発し、搭載スマホを販売する国・地域は約60になった。一時は世界首位だったスマホ事業の復権をにらむ。
2024年末、世界各地の大都市でファーウェイの最新折り畳みスマホ「Mate X6」の巨大広告が出現した。Mate X6はファーウェイが独自開発した半導体「麒麟(キリン)」の最新版を載せる。
◇中国でiPhone神話崩れる ファーウェイ台頭で出荷2割減 (1月17日付け 日経 電子版 08:12)
→米アップルの中国戦略が揺れている。シンガポールの調査会社が16日発表した2024年の中国スマホ出荷台数でアップルは前年比2割減った。現地勢に押される構図が鮮明になる一方で、アップルは「iPhone」に続くイノベーションを打ち出せず、中国に代わる新興国も開拓できていない。
以上、政権交代が行われていく中、それぞれにどう動いていくか、引き続き注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□1月14日(火)
1日下げたものの、ほか4日はインフレ懸念が緩和して上昇、10週ぶりの週間上げ幅で締めた今週の米国株式市場である。
◇NYダウ反発、260ドル高で推移 自律反発狙いの買い (日経 電子版 05:39)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、15時現在は前週末比267ドル27セント高の4万2205ドル72セントで推移している。前週末に700ドル近く下落し、2024年11月上旬以来の安値を付けた後で、主力株の一部に自律反発狙いの買いが入っている。ユナイテッドヘルス・グループが上昇していることも指数を押し上げている。
□1月15日(水)
◇米国市場データ NYダウは221ドル高と続伸 (1月14日) (YAHOO! JAPANニュース)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、前日比221ドル高の42,518.28ドル。米卸売物価指数が予想を下回り、インフレ警戒感が後退。
□1月16日(木)
ドイツ経済の苦境、次の通りである。
◇ドイツ経済、2年連続マイナス成長に 中ロ依存が裏目 (日経 電子版 01:10)
→欧州最大の経済大国ドイツが景気低迷から脱せない。連邦統計庁が15日発表した2024年の実質国内総生産(GDP)は暫定値で前年比0.2%減だった。
マイナス成長は2年連続だ。ロシアの資源や中国市場への依存が構造不況を招き、2月の総選挙では経済政策が最大の争点になる。
◇米インフレ懸念緩和 NYダウ703ドル高、円一時155円台 (日経 電子版 07:06)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸し、前日比上げ幅は一時750ドルを超えた。朝方発表の2024年12月の消費者物価指数(CPI)はインフレ再燃懸念をやや和らげる内容で長期金利は低下(債券価格は上昇)し、株式の買い安心感が広がったほか、日米金利差の縮小観測から円高・ドル安も進んだ。
ダウ平均は前日比703ドル(1.7%)高い4万3221ドルで終えた。
□1月17日(金)
◇NYダウ、反落し68ドル安 中国苦戦のアップル株4%安 (日経 電子版 07:22)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに小幅反落し、前日比68ドル42セント(0.15%)安の4万3153ドル13セントで終えた。前日までの3営業日で1200ドルあまり上げた後で、短期的な過熱感が意識された。アップルなど個別に悪材料の出た主力株に売りが出て、米株相場の重荷となった。半面、米長期金利が低下したのは相場を下支えした。
中国の2024年GDP、政府目標は達成している。
◇中国GDP、24年実質5.0%増 内需不足で減速 (日経 電子版 11:19)
→中国国家統計局が17日発表した2024年の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年比5.0%増えた。政府目標の「5%前後」は達成したが、伸びは23年の5.2%から減速した。不動産不況による内需不足が響いた。
生活実感に近い24年の名目GDPの増加率は4.2%にとどまり、23年の7.4%から鈍化した。GDP増減率は9年ぶりに名目が実質を下回った。
□1月18日(土)
◇NYダウ反発 週間で1549ドル高、10週ぶり上げ幅に (日経 電子版 07:35)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比334ドル(0.8%)高の4万3487ドルで引けた。一週間では1549ドル(3.7%)高となり、大統領選前後の2024年11月4〜8日の週以来10週間ぶりの上昇幅となった。経済指標がインフレ懸念の緩和材料となったほか、米銀決算の内容が良好で相場を押し上げた。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
ベンチャーキャピタル(VC)部門、インテル・キャピタルを独立させる動きはじめ、今週の記事から以下の取り出しである。
◇Intel Bartlett Lake CPUs power new 120 x 160mm COM-HPC modules from congatec - features up to 24 hybrid cores, 128GB of DDR5-4000 memory, and 32 EUs―Congatec modules feature Intel Bartlett Lake CPUs―No P-Core only models in sight. (1月13日付け Tom's Hardware)
→Congatec社は、最大24個のハイブリッド・コアと128GBのDDR5メモリをサポートするインテルのBartlett Lakeプロセッサを搭載したCOM-HPCモジュールを発表した。このモジュールは、医療画像やエッジコンピューティングなどのアプリケーション向けに設計されており、Linuxベースのオペレーティングシステム(OSs)がプリロードされており、Micro-ATXキャリアボードにマウントすることができる。
◇Intel to spin off venture capital arm as chipmaker continues to restructure (1月14日付け CNBC)
→*インテルは、ベンチャーキャピタル部門であるインテル・キャピタルを独立させる予定であると発表した。
*この動きにより、インテル・キャピタルは外部の投資家から資金を調達できるようになり、それに伴い新しい社名になる可能性が高いという。
*インテル・キャピタルは1991年に設立され、大企業のベンチャー部門として当時はユニークな存在だった。
◇Intel’s datacenter architecture boss and Xeon lead jumps to Qualcomm―Qualcomm eyes server market with strategic hire of Intel's Kottapalli ―Sailesh Kottapalli sees ‘a once-in-a-career opportunity’ at the house of Snapdragon - maybe server CPUs or AI silicon? (1月14日付け The Register (UK))
→インテルのフェローであるSailesh Kottapalliは、28年間Chipzillaのベテランで、多くのXeonサーバー・プロセッサーのリード・エンジニアを務めたが、同社を退社し、クアルコムに入社した。
Kottapalli氏は月曜13日のLinkedInへの投稿で転職を発表し、新しい仕事は「新しいフロンティアを拡大する手助けをしながら革新し成長する機会」であり、「キャリアに一度しかない機会を逃すことはできなかった」と記した。
◇Intel’s Core Ultra 200 gaming performance could rise 25% after patch―Intel resolves Core Ultra 200 performance issues (1月14日付け PCWorld)
→*CESで、インテルはArrow Lakeデスクトップ・チップとその異常に低い性能に関する調査の最終見解を発表した。
*インテルはついに、ついにCore Ultra 200のパフォーマンス問題を収束させたようだ。そして、適切なソフトウェア・アップデートとBIOS修正を適用すれば、パフォーマンスへの影響はかなり大きいはずだ。
◇インテル、業績不振でVC部門を分離 外部から資金調達 (1月15日付け 日経 電子版 16:03)
→米インテルは14日、VC部門を分離すると発表した。独立させて外部から資金を調達できるようにする。インテルは半導体製造部門への巨額投資で業績不振が続いている。投資する分野を選別してコストを抑える。
2025年後半にVC部門「インテル・キャピタル」を分離し、独立させる。分離後はVCの名称も変更する。独立後もインテルは主要な投資家として残る。
【Nvidia関連】
$3,000のミニコンピューター、Project Digits、そして注目の次期Blackwell GPUを巡る状況&動き、などいずれも熱い以下の内容である。
◇Nvidia’s tiny $3,000 computer for AI developers steals the show at CES (1月9日付け CNBC)
→*Nvidiaは今週、AI開発者向けの$3,000のミニコンピューターを発表した。
*これはProject Digitsと呼ばれ、GB10と呼ばれるNvidiaのチップをベースにしている。
*Nvidiaは将来、このチップで年間$50 billion規模のPC市場を狙う可能性がある。
◇Blackwell revenue set to surpass Hopper in early 2025, says Nvidia's Jensen Huang―CEO: Nvidia's Blackwell GPU enters full-scale production (1月13日付け DigiTimes)
→Nvidiaは、AIとハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)向けグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)「Blackwell」の本格的な生産を開始したと、Jensen Huang CEOがCES 2025で発表した。Blackwell GPUは今年初めにHopper GPUの売上を上回る見込みだ。
◇Nvidia ARM SoC for Windows machines reportedly debuting in Q4, featuring N1X, with N1 to follow in early 2026―Reports: Nvidia to intro Arm-based SoCs for Windows―Nvidia is gunning for the Windows PC ecosystem, competing with Intel, AMD, and Qualcomm (1月14日付け Tom's Hardware)
→報道によると、NvidiaはWindowsデバイス向けに初のArmベースのシステムオンチップ(SoCs)を発表する予定である。このチップはMediaTekとの提携で開発されており、来年にはこの提携から$2 billionの売上げが見込まれる。
◇Nvidia’s tiny $3k AI mini PC is a glimpse of what’s next for Windows PCs―Nvidia's Project Digits: A $3K AI mini PC for researchers ―The unveiling of Nvidia's Project Digits at CES 2025 has opened up all kinds of possibilities. (1月14日付け PCWorld)
→2025年のCESで発表されたNvidiaの新しいミニPC「Project Digits」の写真を初めて見たとき、私はAppleの影響を感じずにはいられなかった。ミニマルで洗練され、AppleのStudio Displayのようなモニターの隣にあった。アップルの最新のMac Miniは、多くの点で革命的であり、同社の印象的なM4シリコンを効率的で手頃なパッケージで提供している。
Windows PCは、デザインの美しさと全体的なバランスのとれたユニットという点で、まだ同じレベルに到達できていない。
◇Nvidia Blackwell architecture deep dive: A closer look at the upgrades coming with RTX 50-series GPUs―Nvidia's Blackwell architecture focuses on AI, efficiency ―AI, RT, video, performance, and other architectural upgrades. (1月15日付け Tom's Hardware)
→新しいNvidia Blackwell GPUアーキテクチャは、次世代RTX 50シリーズGPUsに搭載される。我々は以前から様々な詳細を知っており、多くの噂が流れていたが、CES 2025のEditors' Dayで、Nvidiaはコア機能に関するより多くの情報と詳細を提供した。終日にわたって7つのセッションが行われ、さらにライブのハンズオン体験も行われた。
◇Nvidia CEO says its advanced packaging technology needs are changing―Nvidia shifts to CoWoS-L for Blackwell chips, ups capacity (1月16日付け MSN/Reuters)
→エヌビディアは、TSMCの高度なパッケージング技術の利用を拡大し、AIチップ「ブラックウェル」向けに複雑なchip on wafer on substrate(CoWoS)からCoWoS-Lへの移行を進めていると、Jensen Huang CEOが語った。この移行は生産能力の削減ではなく、需要に対応するための増加であると、CEOは受注削減の報道に対して主張している。
◇Jensen Huang visits SPIL's new Taiwan factory, boosting AI chip production capabilities―Nvidia's Huang opens SPIL factory to boost AI chip production (1月16日付け DigiTimes)
→エヌビディアの創業者でCEOのJensen Huang氏は1月16日、台中を訪れ、最初に訪れたのはASEホールディングス傘下で半導体パッケージの世界的リーダーであるSiliconware Precision Industries(SPIL:シリコンウェア精密工業)のTan-Ke新工場だった。
Huang氏とSPILのCW Tsai董事長は共同でTan-Ke工場の落成式を行い、AIチップ技術を新時代に進化させるための協力関係を象徴するプレートの除幕式を行った。
◇Nvidia CEO says its advanced packaging technology needs are changing (1月17日付け Taipei Times)
→NvidiaのCEO、Jensen Huang氏は昨日、同社が注文を減らしているのではないかと質問された後、TSMCからの先端パッケージングに対するNvidiaの需要は、必要な技術の種類は変化しているものの、依然として旺盛であると述べた。
Nvidiaの最先端AIチップであるBlackwellは、Nvidiaの主要契約チップメーカーであるTSMCが提供する複雑なCoWoS(chip-on-wafer-on-substrate)高度パッケージング技術を用いて接着された複数のチップで構成されている。
【TSMC関連】
AI半導体が引っ張って過去最高となっている業績、2026年に1.6-nm量産開始、などこれも熱い以下の内容である。
◇TSMC sales top estimates (1月11日付け Taipei Times)
→TSMCの四半期売上高が予想を上回り、AIハードウェア支出の熱狂的なペースが今年も続くという投資家の期待が強まった。
Nvidia CorpとApple Incの御用達チップメーカーであるTSMCは、月次開示に基づく計算で、12月四半期の売上高が39%増の8,685億台湾ドル($26.35 billion)になったと報告した。これは平均予想のNT$8547億と比較されるものである。
◇TSMC maintains CoWoS equipment orders despite Nvidia demand concerns―TSMC keeps CoWoS orders steady amid Nvidia's concerns (1月14日付け DigiTimes)
→半導体装置メーカーの関係筋によると、TSMCは、Nvidiaからの需要減少が報告されているにもかかわらず、chip-on-wafer-on-substrate(CoWoS)パッケージングの装置発注を維持している。
◇TSMC market share hits 64% in Q3 2024: Counterpoints Research (1月14日付け Taipei Times)
→市場調査会社、Counterpoint Researchによると、TSMCは昨年第3四半期、世界の専業ファウンドリー事業で64%のシェアを確保し、前四半期の62%から上昇して、同業他社に対するリードをさらに固めた。
カウンターポイント社は昨年11月26日に発表したレポートの中で、TSMCの市場シェアが予想を上回ったのは、同社の最先端5ナノメートルおよび3ナノメートルプロセスの高い稼働率に支えられたことに加え、世界的なAIアクセラレーター需要やスマートフォン販売の好調が追い風になったと述べている。
◇Task force to promote chip diplomacy (1月14日付け Taipei Times)
→*産業クラスター:ドイツではTSMCの工場を中心に発展し、ポーランドやチェコにも広がる。
*行政院の経済外交タスクフォースは、日本やヨーロッパ諸国とのチップ外交を強化するためのプログラムを承認した。
同タスクフォースの初会合では、Cho Jung-tai首相が招集者、Cheng Li-chiun副総理とMa Yung-cheng副大臣が招集者代理となり、運営体制と組織構成が確認された。
◇台湾TSMC10〜12月最高益 57%増、AI半導体の拡大続く (1月16日付け 日経 電子版 14:46)
→半導体世界大手のTSMCが16日発表した2024年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比38.8%増の8684億台湾ドル(約4兆1000億円)、純利益は57.0%増の3746億台湾ドルだった。世界のシェアをほぼ総取りするAI向けの先端半導体の販売拡大が寄与した。
売上高・純利益とも四半期ベースで過去最高となった。増収増益は4四半期連続。
◇TSMC net profit hits record high as fourth-quarter results top expectations on robust AI chip demand (1月16日付け CNBC)
→*TSMCの12月四半期の売上高および利益は、AIブームの恩恵を受け、アナリスト予想を上回った。
*TSMCの12月四半期の売上高は前年同期比38.8%増の8,684億6,000万台湾ドル、純利益は57.0%増の3,746億8,000万台湾ドルで過去最高となった。
◇TSMC plans to have 1.6nm chips in 'volume production' by 2026―TSMC to boost capex, aims for 1.6nm chips by 2026 (1月16日付け The Register (UK))
→1)TSMCは、AIプロセッサ分野でより多くのチップ製造契約を獲得することを見込んで、2025年のcapital expenditure(capex:資本支出)を$38 billionから$42 billionの間に引き上げる。
2)TSMCは、AIプロセッサーの需要を取り込むため、今年の設備投資を$38 billionから$42 billionに増やす計画だ。TSMCは2025年に2ナノチップ、2026年に1.6ナノチップの量産を開始する計画だ。
◇TSMCに米関税の影 10〜12月は最高益 AI半導体1強、トランプ氏標的 米工場役割増す (1月17日付け 日経)
→世界最大の半導体の受託生産会社(ファウンドリー)、TSMCが16日発表した2024年10〜12月期決算は売上高・純利益とも過去最高だった。AI向けの半導体をけん引役に25年も過去最高の売上高更新を見込むが、トランプ米次期政権の関税や輸出規制のリスクがくすぶる。
◇TSMC aims to grow revenue 25 percent (1月17日付け Taipei Times)
→Nvidia CorpとApple Incの主要チップサプライヤーであるTSMCは昨日、AIチップの旺盛な需要に牽引され、今年の売上高を約25%増加させることを目指すと述べた。
【我が国関連】
ラピダス、キオクシアおよびルネサスについて、以下取り出している。TSMC熊本、マイクロン広島など加わる注目である。パワー半導体関連含めて、定点観測を要するところである。
◇Rapidus plans to supply 2nm chip samples to Broadcom (1月10日付け DigiTimes)
→日本のファウンドリー、ラピダスは、米半導体大手ブロードコムに2nmチップのサンプルを提供する準備を進めており、2025年4月予定で試作生産を開始、2027年までに量産の運びである。ラピダスは経営を安定させ黒字化を達成するため、信頼できる大口顧客の確保に積極的に取り組んでいる。
◇Rapidus tackles three major challenges; initial production yield target set at 50% (1月14日付け DigiTimes)
→事前の報道によると、ラピダスは2025年6月までに2nmチップのプロトタイプを納品する計画で、ブロードコムからの受注を確保する見込みだという。これは、ラピダスが最先端の製造技術を活用してチップの量産を成功させると同時に、強固な顧客基盤を確立することを意味する。同社は直面している3つの重要なハードルを着実に解決している。
ラピダスは、2027年までに2nmロジックICの量産を開始するという目標を達成するために、顧客の確保、約4兆円(約$25.3 billion)の資金調達、および量産に不可欠な技術開発という3つの重要な課題を克服しなければならないと、8日付の日本経済新聞は報じている。
◇ルネサス、半導体にスプリットゲート採用 オン抵抗30%低減 (1月14日付け 日刊工業)
→ルネサスエレクトロニクスは従来品に比べオン抵抗を約30%低減し、電力損失を減らしたパワー半導体の販売を始めた。ルネサスでは初めてゲートを複数に分割する「スプリットゲート構造」を採用して、オン抵抗以外の性能も高めた。同社のマイコンなどと組み合わせ、電気自動車(EV)向けなどに拡販する。
◇Japan expands chip subsidies with US$1 billion for IC design―Japan to allocate $1B in subsidies for chip design (1月15日付け DigiTimes)
→日本は、半導体補助金をチップ設計にも拡大し、この分野の支援に$1 billionを充てる。これまで政府は製造に重点を置き、TSMCやラピダスのような企業に工場設立や開発のための資金援助を行ってきた。
◇三井住友銀行、半導体設備を担保に融資 まずキオクシア―【イブニングスクープ】 (1月16日付け 日経 電子版 18:00)
→三井住友銀行は半導体工場の製造設備を担保に融資する新たな手法を開発した。動産担保の評価で定評がある外国企業などと組み、定期的なモニタリングで担保価値を精査することで多額の融資をしやすくする。
まず半導体メモリーのキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)向けに三菱UFJ銀行などと設けた1200億円のコミットメントライン(融資枠)に活用し、2024年末までに運用を始めた。
【CES関連】
前回メインで取り上げたCES 2025の半導体関連であるが、今週も余韻が残るということで、以下取り出している。
◇Solid State Storage And Memory At The 2025 CES ―Innovations in solid-state storage, memory emerge at CES (1月13日付け Forbes)
→CES 2025では、主要企業によるソリッドステート・ストレージ(SSD)とメモリの進歩が紹介された。SanDiskはCreator Phone SSDやその他の大容量ストレージソリューションを紹介した。KioxiaはBiCS 3Dフラッシュメモリと車載アプリケーションを紹介した。SKハイニックスは、HBM3EとDDR5を搭載したAI向けメモリーに焦点を当てた。マイクロン・テクノロジーはCrucial製品とエンタープライズ・メモリーを展示し、サムスンはLPDDR5XとHBM3EによるAI統合を強調した。
◇Rivalry deepens between Samsung, LG at CES 2025―Samsung, LG compete in subscriptions, robotics at CES ―Hardware giants vie for lead in appliance subscriptions, robots, chip materials (1月13日付け The Korea Times (Seoul))
→CES2025では、サムスングループとLGグループのライバル関係が激化し、両財閥の関連会社が新たな成長機会を求めて重複する事業分野への参入を目指すことを示唆した。
サムスン電子のHan Jong-hee CEO兼副会長は、家電製品のサブスクリプション事業を拡大し、スマートフォンや今後発売されるその他の製品もカバーすると述べた。
◇CES、4社に1社がAI開発 巨大テック技術依存にジレンマ (1月13日付け 日経 電子版 05:00)
→米ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES」では約4500社・団体のうち4分の1がAI技術を出展した。AI技術の外部提供が広がり、企業の規模を問わずあらゆる産業でAI活用の道が開かれた。一方で、基盤技術を持つ米巨大テック企業への依存が強まるジレンマも抱える。
◇CES 2025: An Interview with Murata President Norio Nakajima―Discover Murata's innovative stride at CES 2025 as president Nakajima shares Vision 2030 and digital twin improvements. (1月15日付け EE Times)
→現在、村田製作所の従業員数は全世界で73,000人を超え、売上高は約$10.37 billionに達している。EE Timesは、村田製作所のpresident、Norio Nakajima氏がCESに初めて出席した際、「ビジョン2030」と日本の巨大コングロマリットの長期計画についてインタビューする機会を得た。
◇TMYTEK Launches Second-Gen CPD, Intelligent Door Systems with HCMF at CES 2025 (1月15日付け EE Times India)
→TMYテクノロジー社(TMYTEK)とHCMFグループは、第2世代のCPD(Child Presence Detection)とバイタルサイン・モニタリング・システムをCES 2025で発表した。
TMYTEKとHCMFは、自動車の安全性とインテリジェンスの未来を形作る先導役である。