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7月の半導体販売高増勢続く、先行き価格・納期関連に要注意の動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜3日午前時点、世界全体で2億1889万人に達し、6日前から約378万人増となっている。東京ではこのところ連日前週比で新たな感染が減る傾向ではあるが、高止まりで医療が逼迫、依然厳戒を要している。月次恒例、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からこの7月のグローバル半導体販売高が発表され、$45.4 billionと引き続き月次最高を更新、前月比2.1%増、前年同月比29.0%増となっている。今年1-7月累計が$296.08 billionとなって、残り5ヶ月このペースでいけば年間$500 billion突破が見えてくるが、足元では半導体の不足が続き、先行きの価格・納期関連に注意を要する動きが相次いでいる。

≪7月の世界半導体販売高≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇7月のグローバル半導体販売高、前年同月比29.0%増、前月比2.1%増 …9月3日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2021年7月の世界半導体販売高が$45.4 billionで、前年同月、2020年7月の$35.2 billionを29.0%、そして前月、2021年6月の$44.5 billionを2.1%上回ると発表した。月次販売高の数字はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の98%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「7月のグローバル販売高は依然力強く、すべての主要地域市場および半導体製品カテゴリーにわたって需要旺盛である。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「該業界が高い需要継続に対応、半導体生産および出荷がここ数ヶ月史上最高に達している。」

7月販売高は地域別には、前年同月比で、Europe(38.0%), Asia Pacific/All Other(30.9%), China(28.9%), the Americas(26.8%), およびJapan(20.9%)と増加、前月比では、the Americas(4.2%), Japan(3.2%),Asia Pacific/All Other(2.0%)およびChina(1.2%)と増加したが、Europe(-0.8%)はわずかに減少した。

2021年7月地域別販売高増減

Americas
前年同月比  26.8%/
前月比  4.2%
Europe
38.0%/
-0.8%
Japan
20.9%/
3.2%
China
28.9%/
1.2%
Asia Pacific/All Other
30.9%/
2.0%

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jul 2020
Jun 2021
Jul 2021
前年同月比
前月比
========
Americas
7.71
9.38
9.77
26.8
4.2
Europe
2.78
3.87
3.84
38.0
-0.8
Japan
2.99
3.50
3.62
20.9
3.2
China
12.30
15.66
15.85
28.9
1.2
Asia Pacific/All Other
9.45
12.12
12.37
30.9
2.0
$35.23 B
$44.53 B
$45.44 B
29.0 %
2.1 %

--------------------------------------
市場地域
2- 4月平均
5- 7月平均
change
Americas
8.41
9.77
16.2
Europe
3.74
3.84
2.6
Japan
3.34
3.62
8.3
China
14.71
15.85
7.7
Asia Pacific/All Other
11.68
12.37
5.9
$41.88 B
$45.44 B
8.5 %

--------------------------------------

※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2021/09/July-2021-GSR-table-and-graph-for-press-release-1.pdf
★★★↑↑↑↑↑

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、2021年が現下の活況を維持してこれまで最高の2018年の年間販売高の更新となるかどうか、以下の販売高の推移の見方を続けていくことにする。先行き不安定性が漂う中、増勢基調を保てるかどうか、引き続き注目している。2021年の1月から3月は$40 billion台平均を維持して、2018年を上回る出だしであるが、第二四半期の始めの4月も増勢を維持、そして5月は$43.61 billionと一段の飛躍、6月は$44.53 billionとさらに上げ、そして今回の7月は$45.44 billionと、以下の推移からわかるように引き続く最高更新となっている。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %
2020年 5月 
$34.97 B
5.8 %
1.5 %
2020年 6月 
$34.53 B
5.1 %
-0.3 %
2020年 7月 
$35.20 B
4.9 %
2.1 %
2020年 8月 
$36.23 B
4.9 %
3.6 %
2020年 9月 
$37.86 B
5.8 %
4.5 %
2020年10月 
$39.03 B
6.0 %
3.1 %
2020年11月 
$39.41 B
7.0 %
1.1 %
2020年12月 
$39.16 B
8.3 %
-2.0 %
$435.56 B
 
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
$296.08 B


世界半導体販売高の増勢が続く一方、世界的な半導体の不足が慢性的になっており、さまざまな生産インパクトを引き続き引き起こしているとともに、期待の新製品の出だしにも影響が見られている。以下、関連する内容、動きを取り出している。

◇Is this the worst chip shortage ever?-Viewpoint: Chip shortages come and go; this one's bad (8月31日付け Electronics Weekly (UK))
→半導体の不足は該業界の歴史を通して起きており、半導体supply chainにおける現在の不足は最悪かもしれない兆候がある旨。Susquehanna Financial Groupによると、コンポーネント平均リードタイムは一般に20週を上回るが、microcontrollers(MCUs)が平均26.5週、7月のpower management integrated circuits(PMICs)が25.6週に延びた旨。Avnetは、あるpassiveコンポーネントのリードタイムが52週としている旨。このようなリードタイム、二重および三重発注、greyマーケットに移るparts、すべて半導体不足に伴う兆候の旨。

◇Apple Watch production delayed - Nikkei (8月31日付け Reuters)
→本件事情通引用、Nikkei火曜31日発。Apple社の最新smartwatchの生産が、その複雑な設計から遅れている旨。

7月生産前年割れ、半導体不足に関連とあらわされている。

◇車8社、世界生産7月2%減、半年ぶり前年割れ、半導体不足で (8月31日付け 日経)
→トヨタ自動車など国内乗用車メーカー8社が30日まとめた7月の世界生産は、前年同月比2%減の195万4千台だった旨。前年同月を下回るのは6カ月ぶり。世界的な半導体不足により国内外で減産が相次いだ旨。東南アジアの新型コロナウイルス感染拡大で部品調達に影響が広がり、トヨタが9月に大幅な減産を明らかにするなど、下期の不透明感が高まっている旨。

◇家電出荷、7月前年割れ、白物・黒物ともに、巣ごもり需要一巡 (8月31日付け 日経産業)
→新型コロナウイルスの流行に伴う「巣ごもり需要」で拡大が続いていた国内の家電出荷に変調の兆しが見えてきた旨。業界団体が発表した7月の出荷額でエアコンなど「白物家電」は前年同月を8.5%下回り、テレビや音響機器など「黒物家電」は同10.6%減だった旨。そろって前年割れとなるのは1年2カ月ぶり。足元では半導体不足なども懸念材料となっている旨。

◇半導体不足、広がる影響、エアコン生産にも波及、7月鉱工業生産、2ヵ月ぶり低下 (9月1日付け 日経)
→半導体不足など供給網の混乱が企業の生産活動に影を落としている旨。
7月の鉱工業生産指数は前月比1.5%低下と2カ月ぶりのマイナスになった旨。自動車だけでなくエアコンなどの生産も落ち込んだ旨。部品不足などから一部自動車メーカーが8〜9月に国内で減産を予定しており、先行きも下振れ懸念が強い旨。

上記のApple Watchに続いて、アップルの新製品、MacBook Proの打ち上げ遅れ。こちらは半導体不足と明記である。

◇Chip shortages may defer rollout of upcoming MacBook Pros-Sources: MacBook Pros may be delayed by chip shortages (9月2日付け DIGITIMES)
→業界筋発。引き続く半導体の不足で、新しいMacBook Proモデルの公式投入が、9月から11月にも延期の可能性の旨。重要コンポーネントの不足にも拘らず、最新iPhonesは依然今月投入の見込み、と特に言及の旨。

◇MacBook Pro launch may be another casualty of the chip shortage (9月2日付け FierceElectronics)
→DigiTimesAsia発。半導体の不足で、来るApple mini LED-backlit MacBook Prosの打ち上げが遅れる可能性の旨。

東芝からのpower-regulating microchipsの供給についてのwarningである。

◇Toshiba Warns Power-Chip Supply to Stay Tight for Another Year-Toshiba: Power chip supply may take a year to balance (9月2日付け Bloomberg)
→東芝が警告、power-regulating microchipsの供給が正常に戻るのは12ヶ月より先になる旨。「該半導体供給は少なくとも来年9月までは非常に逼迫のまま」と、東芝のdirector in charge of semiconductors、Takeshi Kamebuchi氏。加えて、「ある顧客には2023年まで完全に供給されない場合がある。」

世界の半導体最先端そして供給を引っ張るTSMC関連の動きに、今週もいくつか注目である。まずは、半導体製造価格の値上げについて。

◇TSMC to hike chip prices 'by as much as 20%'-If you want all these new fabs, you're gonna pay for 'em, pal (8月26日付け The Register)
→TSMCが近い将来、半導体製造価格を20%上げていく旨。120nmから16nmという大きめのプロセスnodesのmicrocontrollers(MCUs)などコンポーネントについて20%の値上げ、7および5nmというより先端nodesのhigher-endプロセッサおよびsystem-on-chips(SoC)については10%、と今週のWall Street Journal発。

その一方では、製造装置および材料メーカーに対しては値下げを求める動きである。

◇TSMC striving to lower costs (8月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、来年に向けた15%値下げで装置および材料サプライヤと話し合っており、コスト削減に努めている旨。

◇TSMCが製造装置/材料メーカーに納入価格の値下げを要求か?、台湾メディア報道 (9月2日付け マイナビニュース)
→TSMCが、製造受託顧客に対しては値上げを通知する一方で、サプライチェーン上のサプライヤ各社に対しては、2022年に、納入する製造装置や材料の価格を15%ほど値下げするよう要求していると、サプライチェーン関係者の話として複数の台湾メディアが報じている旨。

TSMCのファウンドリー市場席巻の最新データである。

◇Taiwan's TSMC remains top global contract chipmaker in Q2-TrendForce: TSMC was still the top foundry in Q2-UMC stays at No. 3, while VIS moves up one spot to No. 8 (8月31日付け Taiwan News)
→TrendForce発。TSMCの第二四半期におけるシリコンファウンドリー市場シェアが52.9%、前四半期の54.5%からわずかに減、依然市場リーダーの旨。

装置サプライヤは、TSMCからの需要について依然楽観的、との見方である。

◇Fab toolmakers optimistic about demand from TSMC-Report: TSMC continues to spend more on IC gear (9月1日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCの装置サプライヤが、同社からの需要に依然楽観的、先端技術開発およびcapacity拡大の速度を踏み上げている旨。

現下の市場の価格、そして需要動向について、以下取り出している。

まずは、力強いとされる豪華な高級スマートフォンについて、価格レンジを改めて認識している。

◇Deluxe smartphones show market strength, pandemic be damned (8月30日付け FierceElectronics)
→IDC発。pandemicおよびDelta株により、$1,000を越える価格のpremiumスマートフォンへの関心が後退していない旨。第二四半期におけるpremiumモデルは、2019年に対して下降した昨年の同期から116%で引き続き伸びた旨。買い手がentry-levelではなくより高価な5Gモデルを欲して、スマートフォン全部の平均売価が9%上昇の旨。トップpremium phonesは、$1,000をずっと上回り、Samsung Galaxy Z Fold3が512 GB搭載5Gで$1,799.99、Apple iPhone 12 Pro Maxが512 GB搭載5Gで$1,416。

NANDフラッシュコントローラの値上がり模様である。

◇NAND flash controller prices to rise in 4Q21-Q4 price increases expected for NAND flash controllers (8月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ファウンドリーが向こう数ヶ月にわたって値上げの構え、NANDフラッシュコントローラ半導体の価格が第四四半期の間に上がる様相の旨。Phison ElectronicsおよびSilicon Motion Technologyなど各社が、予想される価格の高まりを避けるために2022年供給に向けて価格設定を固定している旨。

BT基板の当面の力強い需要があらわされている。

◇BT substrate demand for wire-bonding, memory chips to stay strong till 1Q22-BT substrates for memories will remain in demand into early 2022 (8月30日付け DIGITIMES)
→wire-bonding用あるいはメモリ半導体処理用BT基板が、少なくとも2022年第一四半期まで需要が力強い見込み、そしてhigher-end handset APsおよびAiP(Antenna in Package)モジュールの処理向けはさらに長く続く旨。

一方、ここにきてのDRAM価格の低下である。今後に注意である。

◇DRAM spot prices falling rapidly-Sources: DRAM spot pricing fell fast this month (8月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。DRAMスポット価格が8月に急速に下降、第四四半期の契約価格に下方圧力を与えている旨。

◇DRAM spot prices fall amid forecast of weaker demand (9月1日付け Yonhap News Agency)
→業界筋、水曜1日発。スポット市場のDRAM価格が、世界中のCOVID-19ワクチン接種の広がりから需要軟化が予想される中、最近低下してきている旨。市場tracker、DRAMeXchangeによると、PCs用8-gigabit DDR4 DRAMsの平均契約価格が月曜30日に$3.889となり、ここ7ヶ月で最低水準の旨。

◇DDR3 contract prices likely to drop in 4Q21-Sources: Q4 DDR3 contract prices could come down (9月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。第四四半期に向けたDDR3契約価格が下げの圧力を受けており、最近spot価格が低下している旨。

ファウンドリーでの有望な需要関連である。

◇Six-inch foundries see promising demand for power MOSFETs, diodes-Sources: 6-inch foundries turn out power MOSFETs, diodes (9月1日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Nuvoton Technology, Advanced Microelectronic Products, Episil Technologies, Mosel Vitelicなど6-インチウェーハfabラインを持つ台湾のファウンドリーにおいて、特に車載、産業およびniche-market応用に向けてmetal-oxide-semiconductor field-effect transistors(MOSFETs)およびdiodesへの需要が高まっている旨。Actron TechnologyおよびHY Electronicには車載用diodesが良好なビジネスに見えている、と特に言及の旨。

◇Foundry Revenue for 2Q21 Reaches Historical High Once Again (9月2日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→TrendForceの最新調査。post-pandemic需要、5Gテレコム技術への業界全体の移行、地政学的な摩擦、および慢性的な半導体の不足などの要因により、半導体のパニック買いが2021年第二四半期も引き続いた旨。該四半期のファウンドリー売上げが$24.407 billionに達し、前四半期比6.2%増、2019年第三四半期以降8四半期連続の最高更新の旨。

先端プロセッサが引っ張るICテスト需要である。

◇IC testing interface vendors to enjoy strong demand for new-gen processors-Next-gen processors boost IC testing interfaces demand (9月2日付け DIGITIMES)
→AMDおよびNvidiaが2022年前半に次世代CPUおよびGPUプロセッサの展開に備えており、Chunghwa Precision Test Tech(CHPT), Keystone Microtech, MPIおよびWinWay Technologyなど台湾のICテストソリューションプロバイダーに力強い需要が見込まれる旨。

シリコンウェーハ出荷面積は、またも四半期データの最高更新である。

◇半導体ウエハー出荷最高、4〜6月、演算用の需要強く (9月2日付け 日経)
→メモリなど半導体デバイスの基板素材であるシリコンウエハーの出荷が増えている旨。2021年4〜6月の世界出荷面積は2四半期連続で過去最高を更新した旨。新型コロナウイルス禍からの生産回復が進む自動車のほか、スマートフォンやデータセンターなどの引き合いが強い旨。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、シリコンウエハーの4〜6月の世界の出荷面積は35億3400万平方インチと1〜3月に比べて5.9%増え、2四半期連続で過去最高を更新した旨。

Samsungは、製造装置および材料の韓国国内完結に向けた動きである。

◇サムスン、半導体で国産調達網、装置・素材9社に出資−日韓や米中の対立リスクに備え (9月3日付け 日経 電子版 16:19)
→サムスン電子が韓国内の半導体関連の装置や素材メーカーの育成に本腰を入れる旨。1年余りで中堅企業9社に計2762億ウォン(約260億円)を出資。1社あたりの出資金額は少額ながら、技術支援も実施する旨。日韓や米中の政治対立によって半導体関連のサプライチェーン(供給網)の寸断リスクが浮上する中で、サムスン自ら国産の調達ルートづくりを急ぐ旨。

以上の現時点、ますます目が離せない半導体市場となっている。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□8月31日(火)

景況感、経済指標に敏感に反応、過去最高値をうかがう圏内で比較的小幅な上げ下げの今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落55ドル安、景気敏感株に売り (日経 電子版 05:37)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落、前週末比55ドル96セント(0.2%)安の3万5399ドル84セントで終えた旨。景気敏感株の一角に目先の利益を確定する目的の売りが優勢だった旨。米長期金利の低下を受けて金融株が売られた一方、高PER(株価収益率)のハイテク株は上昇し、指数を下支えした旨。

□9月1日(水)

我が国にいろいろ課題のDX。デジタル庁の発足である。

◇背水の行政DX、デジタル庁発足、縦割り崩せるか (日経 電子版 05:21)
→デジタル庁が1日、発足する旨。縦割りで前例踏襲を重んじる行政の姿は停滞が続く日本経済のうつし絵でもある旨。アナログ国家のまま衰退の瀬戸際に立つ日本で、行政デジタル化の推進は経済・社会全体にデジタルトランスフォーメーション(DX)を波及させる最後のチャンス。

◇NYダウ続落、39ドル安、消費者心理の悪化で (日経 電子版 05:56)
→8月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比39ドル11セント(0.1%)安の3万5360ドル73セントで終えた旨。8月の米消費者信頼感指数が市場予想を下回り、米個人消費の伸び鈍化が懸念された旨。月末とあって、利益確定売りも出やすかった旨。一方、緩和的な金融環境が当面続くとの見方が投資家心理を支え、ダウ平均の下げ幅は限られた旨。

□9月2日(木)

◇NYダウ3日続落、48ドル安、景気敏感株に売り (日経 電子版 05:46)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比48ドル20セント(0.1%)安の3万5312ドル53セントで終えた旨。主要株価指数が過去最高値圏で推移するなか、景気敏感株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが優勢だった旨。一方、緩和的な金融環境が続くとの見方から、長期金利の低位での推移が追い風となる高PER(株価収益率)のハイテク株には買いが入り、ダウ平均の下値は堅かった旨。

□9月3日(金)

中国の巨大ITに政府当局の追及の手が伸びているが、こんどは「共同富裕」の関門である。

◇高額寄付、中国富豪走る、小米など「共同富裕」警戒−民間活力そぐ恐れも (日経 電子版 05:23)
→中国のネット企業を中心に、創業者による高額の寄付や従業員の待遇改善の動きが相次いでいる旨。習近平(シー・ジンピン)指導部が「共同富裕(ともに豊かになる)」を掲げ格差是正に乗り出したことに呼応する形だが、規制当局の介入や世論の批判への恐れがのぞく旨。ルールによらずに、利益の還元を強いる手法は民間企業の活力をそぐリスクもはらむ旨。

◇NYダウ反発、131ドル高、雇用関連指標が改善 (日経 電子版 05:44)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比131ドル29セント(0.4%)高の3万5443ドル82セントで終えた旨。朝方発表の雇用関連指標が市場予想以上に改善を示し、景気の回復鈍化への懸念が後退した旨。足元で下げていた資本財や石油など景気敏感株が買い直され、指数を押し上げた旨。

菅首相の突然の退陣である。あまりにも日替わりの動きの後である。

◇菅首相退陣へ、総裁選出馬見送りの意向 (日経 電子版 12:34)
→菅義偉首相は退陣する意向を固めた旨。自民党総裁選への出馬を見送る旨。党幹部が明らかにした旨。6日に予定していた党の執行部人事の人選が行き詰まり、政権運営の継続が難しくなったとみられる旨。首相は月内にも退陣し、総裁選は首相以外の候補が争う旨。

□9月4日(土)

◇NYダウ反落、74ドル安、雇用統計が予想下回る (日経 電子版 05:44)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、前日比74ドル73セント(0.2%)安の3万5369ドル9セントで終えた旨。3日発表の8月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った旨。米国の景気回復が鈍化するとの懸念が強まり、景気敏感株の一角が売られた旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

Huaweiに車載半導体の販売は認められている件について、Biden政権のスタンスである。

◇Biden admin defends approving licenses for auto chips for Huawei-US defends letting Huawei buy auto chips (8月27日付け Reuters)
→Biden政権が、Huawei Technologiesに車載事業に向けたelectronicsコンポーネント買収を認める決定を巡って守勢をとっている旨。Huaweiは、米国ベンダーからの他のmicrochips購入を禁じられている旨。米国商務省は、Trump政権が行ったHuawei貿易政策は大方現政権で施行されていると主張の旨。

そのHuaweiのスマホの現状の中身についてである。

◇ファーウェイスマホ分解、中国部品が倍増の6割、米制裁で (8月30日付け 日経 電子版 02:00)
→中国の華為技術(ファーウェイ)のスマートフォンで同国製部品の採用が急増している旨。高速通信規格「5G」対応の最新スマホを分解したところ、中国製の比率が金額ベースで約6割と旧モデルから倍増した旨。米国の制裁が続く中、複数の部品を国産に切り替えた旨。中核半導体の一部はなお米国製の在庫に頼っており、今後のモデルでは機能の高度化で後れを取りそう。

韓国・Magnachipの中国資本による買収について、米国側からセキュリティリスクとの見方が出されている。

◇U.S. Treasury says China private equity's Magnachip purchase poses security risks (8月31日付け Reuters)
→米国財務省が、中国のprivate equity会社によるMagnachip Semiconductor社の買収は国家セキュリティに対するリスクとなり、重要ハイテク業界における海外出資を試みる中国の会社に向けたもう1つの障壁、としている旨。3月に、Wise Road Capitalが$1.4 billionの取引でのシステム半導体メーカー、Magnachipの買収に合意の旨。

HuaweiのEUにおけるロビー活動があらわされている。

◇Huawei employs more lobbyists in the EU than Google, Facebook, Microsoft and Apple, but spends less -Huawei has more lobbyists in the EU than most big tech firms (8月31日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*Huaweiは、EUにおいて19人のfull-timeロビイストを雇用、同社の5Gインフラ供給能力を減らす政策と闘っている旨。
 *該ハイテク分野は、医薬品、化石燃料、財務および化学品などほかより多くロビー活動に出資されている旨。

中国の半導体ファウンドリー最大手、SMICの上海新工場の取り組みである。

◇中国SMIC、上海に半導体新工場、約1兆円投資 (9月4日付け 日経 電子版 05:12)
→中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は3日、上海市に新しい半導体工場を建設すると発表、投資額は$8.87 billion(約9800億円)。習近平(シー・ジンピン)指導部は米国企業からの輸入が多い半導体の国内生産の拡大をめざしており、SMICは半導体の生産能力を増強する旨。上海市政府直属で貿易や投資などの改革を進める自由貿易試験区の管理委員会などと共同出資で新工場を建設、運営する新会社を設立することで合意した旨。新工場は直径12インチのシリコンウエハーを月10万枚生産する能力を持つ旨。

【Googleの自前半導体】

アップルに続いて、Googleが自分でcustomプロセッサ設計に取り組む動きである。Chromebook laptops向けとして、Armアーキテクチャー・ベースと取り沙汰されている。

◇Google reportedly plans to put its own chips in Chromebook laptops from 2023 (9月1日付け CNBC)
→*Googleが、2023年あたりから同社のChrome operating system(OS)で動作するChromebooksおよびタブレットに自前の半導体を用いる計画の旨。
 *Googleは現在、Chromebooksに向けてIntelおよびAMDなどがつくった半導体を用いている旨。
 *Googleの新しい半導体は、その半導体アーキテクチャーが世界のスマートフォンの90%に搭載されるSoftBank傘下の英国の半導体設計、Armからの設計図に基づくとされる旨。

◇Google developing own CPUs for Chromebook laptops-Report: Google designs chips for Chromebooks-US software giant ramps up hiring blitz for semiconductor and hardware ambitions (9月1日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Nikkei Asia発。Googleが、Chromebook laptopsおよびtablet computersに備えてcustomプロセッサ設計を行っている旨。同社はまた、Pixelスマートフォンなどの機器に向けてモバイル半導体も設計している旨。

【Western DigitalとKioxiaの合併の動き関連】

前回に続いて、関連の内容を取り出している。

◇Western Digital $20 billion all-stock offer for Kioxia poses valuation, cash challenge - analysts-Analysts: Samsung may be challenged by WD-Kioxia merger (8月27日付け Reuters)
→ストレージハードウェアメーカー、Western Digital社の日本のパートナーで半導体メーカー、Kioxia Holdingsとの合併の可能性で、Samsung Electronicsと張り合うNAND半導体製造大手がつくられることになる旨。

◇半導体再興、日米綱引き、キオクシア・WD統合交渉、透ける産業保護の思惑、対中は危機感共有 (8月29日付け 日経)
→日米が半導体産業の再興を急ぐ中、キオクシアホールディングスと米ウエスタンデジタル(WD)の統合交渉が続いている旨。半導体はデータ社会の要諦で、安全保障面からも各国が振興策を打ち出す旨。供給網を共同歩調で整備し、巨額の補助金で台頭する中国を牽制したいとの思いは日米政府とも共通するが、自国産業を守りたいとの思惑も見え隠れする旨。再編の行方は新時代の経済同盟の試金石となる旨。
キオクシアは27日、日米をオンラインでつないで取締役会を開いた旨。本来は新規株式公開(IPO)に向けた東京証券取引所への上場申請を諮る予定だったが見送った旨。

このような中、Western Digitalより、新たなOptiNANDの取り組みが以下の通りあらわされている。

◇WD Adds Flash Smarts To Spinning Disk-Unlike a hybrid drive, embedded flash doesn't store user data (8月31日付け EE Times)
→Western Digital社(WD)は、NANDとspinning diskを組み合わせるが、hybrid driveとは呼ばない旨。そうではなく同社のOptiNANDは、NANDフラッシュを用いて従来のhard disk drive(HDD)を高める新しいdriveアーキテクチャーであり、iNAND embedded flash drive(EFD)と組み込みの旨。

◇Western Digital's OptiNAND reimagines storage, integrating HDD and iNAND (8月31日付け FierceElectronics)
→センサ、AI, IoTなどデータ発生の革新の激増は、機器ストレージが新鮮なアプローチおよび高速性を要することになる旨。Western Digital社は、HDDをembedded iNANDフラッシュストレージと組み合わせ、新しい統合OptiNANDストレージアーキテクチャーを作成、hard disk drive(HDD)ストレージを新たに考案して応えようとしている旨。今週のHDD ReimagineイベントにてOptiNANDを発表の旨。

◇Western Digital Reimagines HDD - Flash Integration with OptiNAND-WD debuts OptiNAND tech for hard-disk drives (8月31日付け AnandTech)
→Western Digitalが、OptiNAND技術を投入、hard-disk drives(HDDs)メインボードと統合したembedded iNAND UFS(Universal Flash Storage) embedded flash driveの旨。加えて、WDはOptiNAND-enabled ePMR搭載20-terabyte non-SMR drivesをサンプル配布の旨。

該合併についての経済産業省の見方とする記事が、次の通り見られている。

◇Exclusive-Tokyo ready to back Western Digital-Kioxia deal if key tech stays in Japan - sources-Report: Japan's trade ministry backs a Kioxia-WD merger (9月3日付け Reuters)
→業界regulatorの内部議論に精通の2つの筋発。日本の経済産業省が、最先端技術の制御が日本にあるのであれば、Western Digitalのメモリ半導体メーカー、Kioxiaとの合併入札を支持する備えの旨。

【台湾のスタンス如何?】

我が国も入って、台湾に半導体工場の誘致を求める動きが見られているが、米国や欧州に対して後れをとる我が国の現況があらわされている。インフラ、税制など課題が挙げられる中、我が国の経済対策の運びに注目である。

◇台湾ハイテク「脱中国」の先――日本への投資進まず(ASIATECH) (9月1日付け 日経)
→台湾のハイテク大手が投資先の国・地域を分散させている旨。米中摩擦の長期化などを受け、主力の電子産業を中心に脱中国が進んでいるのは想定内だが、気になるのは代替地。米国や欧州が浮上する一方、同じ先進国である日本はほぼゼロにとどまっている旨。

◇学び直し・半導体誘致、柱に、秋に経済対策、EV購入に補助金 (9月3日付け 日経)
→政府は2日、首相官邸で成長戦略会議を開き、6月に閣議決定した戦略を踏まえ、「人への投資」や経済安全保障などの分野で追加の支援策を秋にまとめる方針を確認した旨。電気自動車(EV)の購入補助も掲げ、秋にある衆院選を前に策定する経済対策に盛る旨。
経済安保も柱になる旨。海外から半導体工場を誘致する支援策をつくる旨。日本は輸入への依存度が高く、米中対立などで国際的な供給網が滞り、半導体が不足する事態が懸念される旨。データセンターの拠点整備にも予算を充てる旨。

【Windows 11】

ユーザインタフェース刷新、数多くの新機能搭載、一方、Windows 10から無償でアップグレード可能というWindowsの次期バージョン、「Windows 11」について、現況&今後の運びなど以下の通りあらわされている。

◇Following complaints, Microsoft will make Windows 11 compatible with more PC chips (8月27日付け CNBC)
→*Microsoftが、6月にWindows 11に向けたminimumシステム要求発表後、圧力に直面
 *同社はこのほど、より多くの半導体が該次期operating system(OS)動作可能としている
 *compatibilityチェックプログラムも批判に直面、このほど情報を与えるよう改良されている

◇Microsoft's first major operating system in 6 years, Windows 11, launches Oct. 5 (8月31日付け CNBC)
→*Windows 11が10月5日、一般入手可能に
 *該リリースはWindows 10打ち上げ後6年のこと、同社史上最長のリリース間隔
 *Windows 11のリリース成功は、該franchiseの将来を確かにする可能性、AzureおよびOfficeなどMicrosoftの事業の他の部分にも利する旨。


≪グローバル雑学王−687≫

各国の中国に対する視点、それもマイナーな顔ぶれからのそれに、ルポライターの著者の目を通して迫っていく書、

『中国vs.世界 呑まれる国、抗う国』
 (安田 峰俊 著:PHP新書 1260) …2021年5月27日 第一版第一刷

より、今回はカザフスタンである。カザフスタン共和国、通称カザフスタンは、中央アジアに位置する共和制国家。首都はNur-Sultan、最大の都市はAlmaty。面積は日本の7倍、人口は1860万人(2019年)。中国との脈絡を辿ると、中国西北部に住む回民(中国語を話すイスラム教徒)がロシア領に逃亡したのが19世紀後半で、1924年に「ドゥンガン」という民族として定められている。1991年に、カザフスタン共和国として独立、以下には、今世紀、主には2010年代以降の中国との関係および軋轢が示されている。中国との距離が近すぎるドゥンガン人に対するカザフ人の強い敵意と警戒心、習近平政権の外交政策「一帯一路」が最初に語られたカザフスタンの中国から見た「超重要国」の位置づけ、中国本土を除けば世界で最多のウイグル人を抱えるカザフスタン、と非常に大変な中国との関係、付き合いを感じるところである。


第三章 vs.カザフスタン
 「一帯一路のスタート地点」が直面する新疆問題

◇襲撃された中国系少数民族
・2020年2月7日夜、カザフスタン東南部で大規模な騒乱が発生
 →カザフ人住民らが、少数派のドゥンガン人の集落を襲撃
・事件はドゥンガン人に対するポグロム(ロシア圏でのユダヤ人迫害)であるとして深刻な受け止め
 →実は襲撃を受けたドゥンガン人は、中国との関係が非常に密接な人たち

◇中国語を話す漢民族に似た人たち
・ドゥンガン人の祖先は、「回民」と呼ばれる、中国語を話すスンナ派イスラム教徒の集団
 →シルクロードを経由して中国にやってきたアラビア人やペルシャ人らの子孫
・清朝の統治体制が動揺、1860年代以降、中国西北部の回民たちも大規模な反乱
 →この回民移住民たちが、やがてソビエト連邦成立後の1924年、ソ連当局によって「ドゥンガン(東干)」という少数民族に
 →1991年、ソ連崩壊後は、ドゥンガン人は複数の国家にばらけて分布
  →現在はキルギスに約7.4万人、カザフスタンに約7.2万人、など
・ドゥンガン人は外見的な特徴が漢民族と非常に近く、また文化の面でも、彼らの伝統衣装には清代の満洲族や漢民族の影響
 →隣国、中国とビジネスを行ったり、中国語とロシア語・カザフ語などとの通訳を行ったりする人が急増

◇一帯一路がドゥンガン人迫害を招いた
・中国は2007年からカザフスタンで標準中国語の教育機関「孔子学院」を展開、2017年までに5校を開設
 →中国側がドゥンガン人を留学生として受け入れる動きも
 →中国当局としてはドゥンガン人たちを、日本を含む他国の華僑と同じような存在として見なしているよう
・近年のカザフスタンでは台頭する中国への警戒感も
 →中国語力や中国とのコネクションゆえに経済的に潤いやすいドゥンガン人と、その恩恵にあずかれない多数派のカザフ人との心理的な摩擦も拡大
 →中国との距離が近すぎるドゥンガン人に対して、カザフ人の強い敵意と警戒心が存在したことは間違いない

◇中国の「超重要国」カザフスタン
・中国から見たカザフスタンの重要性は、私たち日本人がイメージする以上に高い
 →中国の西北部と長大な国境線
 →習近平政権の外交政策「一帯一路」は、2013年9月に習近平がカザフスタン訪問時に「シルクロード経済ベルト」構想を語ったことが端緒
・中国のシルクロード戦略の核が列車
 →重慶(近年は成都発も)とドイツのデュースブルクを結ぶユーラシア横断国際定期貨物列車「中欧班列(China Railway Express)」
  →中国から見るとカザフスタンが最初の通過国
 →中国と中央アジアでは列車の軌間が異なるために台車の交換が必要
  →中国国境にあるカザフスタンの貿易都市、ホルゴスは一気に発展を遂げつつある
・中国にとっての、カザフスタンの地政学的な重要性はかくも大きい
 →膨大な地下資源
 →ロシアとの中間に位置する緩衝地帯としての役割
・カザフスタンはロシアと中国の二方面外交
 →国境を越えて滲み出る中国経済の影響力は絶大
・庶民レベルでは中国への感情的な反発や警戒心も根強く存在
 →ウイグル問題も、カザフスタン人が中国に不快感を持つ理由の1つ
 →中国国内で暮らすカザフ族たちは140万人以上に
  →大部分は新疆ウイグル自治区に居住

◇ウイグル問題のもうひとつの「当事者」国家
・中国の西北部に位置する新疆ウイグル自治区
 →ウイグル族をはじめとするイスラム教を信仰する少数民族(カザフ族も)が多い地域
 →特に1990年代以降、中国内地からの漢民族の移民が激増して少数民族を圧迫、都市部を中心に漢化を進めるように
 →特に2016年ごろからは、ウイグル人をはじめとする少数民族のイスラム教徒がなかば無差別に再教育施設(事実上の強制収容所)に送り込まれるように
・トランプ前政権、バイデン政権が、新疆のウイグル人弾圧問題が「ジェノサイド(genocide:ある人種・民族を、計画的に絶滅させようとすること)」に該当すると批判
 →2019年に複数の中国側の内部文書が流出
 →再教育施設における拷問や洗脳の横行が事実である可能性が高まった
・この問題になかば当事者として直面しているのが、カザフスタン
 →カザフスタンは、2014年時点で自国内に約23.2万人のウイグル人を抱えており、これは中国本土を除けば世界で最多
 →現在、中国籍カザフ人も数多く再教育施設に送り込まれている

◇カザフ人中国共産党員の亡命
・2018年4月、かつて中国国内の再教育施設で「教員」として働いていた中国籍のカザフ人女性が、偽造パスポートを使ってカザフスタンに入国し、亡命を求める事件も
 →カザフスタンの司法からは執行猶予付き有罪判決
 →中国への強制送還は行わない方針を表明
 →この判決の直後、中国国内にいるこの女性の親族と友人たちは中国の公安当局によって拘束された
・カザフスタンに不法入国して逃亡を図った事例
 →2018年以降だけでも少なくとも5例が確認

◇「中国人民的老朋友」を悩ませる問題
・2019年3月に就任した、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領
 →中国赴任経験を持ち、中国語が堪能
 →中国外交部から「中国人民的老朋友(中国人民の古い友人)」という呼称
・中国は西側諸国と違って、外交相手国の国内体制に口を出してこないゆえ、カザフスタンにとっては安心して付き合える存在
 →だが、それゆえに新疆問題は頭が痛い問題
 →庶民層の中国に対する警戒心や不快感はもとより根強い
・「大きな小人」カザフスタンにとって、巨大な隣人である中国との付き合いはなかなか簡単ではなさそう

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