2019年7月
新たな制裁見送り&貿易協議再開を決めた米中首脳会談後の余韻が残り、予断を許さない雲行きが覆う中で、米国Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高が発表されている。この5月について$33.1 billion、前年同月比14.6%減と今年に入ってずっとの5ヶ月連続の落ち込みであるが、前月比では1.9%増と7ヶ月ぶりの僅かながらの増加を示している。対Huawei禁止措置が緩和されたが限定範囲であり、これまでの米中摩擦の市場インパクトの蓄積によるボディブローが一層あらわれてきている現状である。一方、半導体材料の輸出規制で我が国が韓国への対抗措置を実施、サプライチェーンの足並みの乱れにまた1つ輪がかかっている。
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東京工業大学の岡田健一研究室とNECは、次世代無線通信規格5Gの本命技術となる39GHzミリ波用のCMOS送受信機チップを開発、性能劣化の少ないビームフォーミング技術を実証した(参考資料1)。5Gでは使える周波数が今は、まだ3.7GHzや4.5GHzのようなサブGHz帯が使われているが、これでは下り20Gbpsの性能の実現はほとんど無理。ミリ波が5Gの本命技術となる。
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自動車向けパワーデバイスは、いよいよ急速な上昇気流に乗ってきた。世界的な電動化シフトが進む自動車分野は、まさに「超オイシイ市場」になりつつあるのだ。
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で世界トップシェアを持つ三菱電機、トヨタ系に強い富士電機、さらにはSiCパワー半導体で世界トップを狙うローム、これに続く東芝、サンケン電気、新電元工業などの投資計画も急増する勢いであり、目が離せなくなってきたと言えるだろう。世界の自動車向けパワーデバイスはここ数年で2兆円以上の大型市場に成長すると見られ、設備投資で先頭を切っているのが 名立たる日本企業であることに注目したい。
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米トランプ大統領は、6月29日、大阪での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)終了後に記者会見を開き、中国通信機器大手のHuaweiに対して事実上禁輸措置を当面解除することを明らかにした。これと合わせて、iPhone等スマートフォンを含む、中国からの輸入品3000億ドル(約33兆円)分への追加関税を先送りにする方針も表明した。
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東芝の半導体、350名をリストラ、システムLSIで何が重要か」だった。この記事はメモリ以外の半導体部門を集めた東芝半導体の早期退職を呼びかけたもの。
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2019年6月に最もよく読まれた記事は先月に続き、「
TSMCが10年ぶりに日本で記者会見を開いた。同社は毎年TSMC Technology Symposiumを世界各地で開催しており、米国や台湾のメディアは参加できたが日本のシンポジウムはメディアを締め出し記者会見さえ開催してこなかった。TSMCの現状をレポートする。
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ようやく総務省は、IoTセンサのウィルス感染に関する調査と、IoT機器の利用者への注意喚起を行う取り組みを始めた。セキュリティへの関心の薄い日本でもIoTのようにさまざまな機器がインターネットにつながることへのリスク意識が高まった。また、AIへの応用は材料開発や物流の省力化、マーケティング支援などますます広がってきている。
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Entity List、すなわち米国にとって貿易を行うには好ましくない相手と判断された米国外の個人・団体などが登録されたリストに、Huaweiが追加されて半導体業界も大きなインパクトを受けたばかりのところに、中国のスーパーコンピュータ関連5社が加えられてさらに衝撃が走っている。20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の場での米中首脳会談になんらか打開方向の期待を抱かざるを得ないが、この週末土曜のお昼に始まった首脳会談の冒頭部分のテレビ中継に見入ったところである。予想通り、米中は新たな制裁・報復措置の発動を見送り、通商協議を再開することで同意しているが、まだまだ続く摩擦の火の種である。
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