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東京五輪の準備万端Xilinx、アクセラレータカードや次世代VERSAL用意

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Xilinxが東京オリンピック/パラリンピックや大きなコンサートのような大きなイベントに備えて、4K/8Kで非圧縮・圧縮のビデオ伝送が可能なFPGAソリューションを準備した。GPUよりも高速というアクセラレータカードALVEOや19年出荷予定のVERSAL(参考資料1)などで、100Gbps Ethernetなどに対応する。

図1 Xilinx社業務用・ブロードキャスト事業部門ディレクタのRamesh Iyer氏

図1 Xilinx社業務用・ブロードキャスト事業部門ディレクタのRamesh Iyer氏


4K/8Kのビデオ伝送技術は放送局だけのものではない。大規模なスタジアムやコンサートホールでの生映像をその場で見せたり、デジタルシネマでビデオを流したりする場合にもシリアル伝送に欠かせないSerDes(直並列変換)チップが必要だが、Xilinxはそのためのチップや圧縮するためのコーデックなどの機能を提供する。このほど来日した同社業務用・ブロードキャスト事業部門ディレクタのRamesh Iyer氏(図1)は、「テレビ放送やビデオカメラで日本は良い市場であり、本当にイマーシブな体験(Truly immersive experience)を実現する技術で最先端を行く」と来日した理由を述べる。

ビデオ伝送では、帯域をこれまで以上に広げたり、異なる圧縮方式のコーデック(トランスコーデック)を使ったりするなどの技術が欠かせない。例えば放送局では基本的に非圧縮のビデオを流すわけだが、4Kフォーマットで60フレーム/秒(fps)だと10Gbpsの伝送レートが必要だが、8Kでさらにフレームレートが上がると100Gbpsにも対応しておく必要がある。ここではXilinxのFPGAやSoCをはじめ、アクセラレータカードなども活用して、ビデオ伝送を実現できる(図2)。また放送局レベルではない応用では、H.264/H.265などのコーデックや、変換途中のメザニンコーデックなどへの変換・逆変換にする場合でも高速のシリアル伝送で送らなければならない。


図2 ライブTVのコンテンツ作成から配信に至るさまざまな工程でXilinxのチップが使える 出典:Xilinx

図2 ライブTVのコンテンツ作成から配信に至るさまざまな工程でXilinxのチップが使える 出典:Xilinx


ビデオメモリではDDR4やDDR5では対応できなくなるため、8K仕様と高精細になると、3次元 ICの一種であるHBM(High Bandwidth Memory)は必須となる。HBMを用意しておけば1チャンネル分だけではなく、数チャンネルのビデオ伝送が可能になる。8Kの高速シリアル伝送を実現するSerDesはASICを起こすよりもFPGAの方が短納期で実現できる。

高速演算をサポートするアクセラレータカードALVEO(図3)は、PCIeカードであり、コンピュータボードにそのまま挿せるようになっている。演算専用のカードとしてハードウエアで構成しているため、CPUやGPUよりも高速であるとみてよい。


図3 XilinxのアクセラレーションカードAlveo CNNでのスループットは4100枚/秒 出典:Xilinx

図3 XilinxのアクセラレーションカードAlveo CNNでのスループットは4100枚/秒 出典:Xilinx


Iyer氏は、「ライブTV中継やデジタルシネマの作成から鑑賞に至るまで広いFPGAベースの製品が揃っている。また、コンサートやスポーツスタジアムでのイマーシブな(没入感満載の)イベントなどビデオ伝送のさまざまなシーンに使える製品も揃えている」と述べている。

参考資料
1. Xilinx、超高級2.5D-LSIの全貌を明らかに (2018/10/12)

(2018/11/22)

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