最新ファウンドリランキング、前四半期比で平均9.6%成長
2024年第2四半期(2Q)におけるファウンドリ企業トップ10ランキングが発表された。23年4Qの5位から3位に躍進した中国SMICは、前四半期比(QoQ)で8.6%成長し、4位との差をさらに広げた。同じ中国企業でも、国が一部出資しているNexchipはQoQで3.2%減となっており明暗が分かれている。

図1 2024年第2四半期におけるファウンドリトップ10ランキング 出典:TrendForce
これは市場調査会社TrendForceが発表したもの。ファウンドリ全体での成長率が9.6%と好調のように見えるが、トップのTSMCの市場シェアが62.3%もあるため、TSMCの成長率に引きずられたところが多い。10%を超える企業はTSMCを含めSamsung、VISの3社しかなく、それ以外は一桁成長ないしマイナス成長となっている。TSMCの寡占化は著しい。
この調査では、Samsungのようにメモリや非メモリを手掛けている企業では、非メモリの中からファウンドリを抜き出している。ただしSamsungの決算期には非メモリの売上額(68.2億ドル)の内、ファウンドリ部門の数字は公表していない。ファウンドリ売り上げが38.33億ドルであれば、CMOSイメージセンサやディスプレイドライバIC、SoCなどの非メモリ製品の売上額は29.87億ドルであることがわかる。
Samsungは決算報告の中で、需要が回復してきたおかげでファウンドリ部門はQoQでプラス成長になったと述べているが、14.2%という最も高い伸びを示した。特にAIとHPCの顧客から5nmプロセス未満のチップで新規注文を受けたことで1年前よりもAIとHPC分野は倍増したという。2nmのGAA(Gate All Around)プロセスに関しては、PDK(プロセス開発キット)を作成し配布し製品設計を早められるため、2025年には2nmプロセスを量産できると見ている。
トップのTSMCは、ウェーハの出荷数が3.1%増加したが、こればAppleのAIサーバー関連のHPCチップによると述べている。AppleはMacパソコン用のSoCプロセッサM1、M2、M3、M4があれば、生成AI機能Apple IntelligenceをOSに搭載できるとしている。先端プロセスのウェーハ単価が値上がりしたことで、売り上げ全体では10.5%増の208.2億ドルに成長した。
3位のSMICは、中国の618商戦(大規模ECセール)の期間中の注文を受け、ウェーハ出荷量が17.7%増加した。ただし売上額は8.6%増の19億ドルとなり、3位の座をしっかりキープした。4位のUMCは、ウェーハ出荷量が2.6%上がったものの、テレビ用のICやローエンドのMCUなど民生用が多いため、単価の下落で売上額は1.1%しか伸びず、17.6億ドルにとどまった。
5位のGlobalFoundriesは、ウェーハ出荷量が増えたものの単価が減少し、売上額は5.4%増の16.3億ドルになった。6位の中国HuaHongは、稼働率を上げ出荷量を増やしたことで、5.1%成長の7.08億ドルの売り上げとなった。
IntelのIFS(Intel Foundry Service)は、2023年3Qに9位に入ったが、売上額の数え方を変えた。24年1Qと2Qの売上額はそれぞれ44億ドル、43億ドルとなったものの、売り上げの98〜99%が社内向けであったため、外向けの売上額を集めると1%しかない。このランキングでは社内向けを含めないため、トップ10社には入ってこない。営業損益は1Qと2Qでそれぞれ-57%、-66%と大きな赤字となっている。
今年後半は、毎年の季節要因で需要が高まる上に、AIサーバーやHPC向けの需要が相変わらず旺盛であるため、ファウンドリビジネスは活況になるとTrendForceは見ている。
参考資料
1. 「24年第1四半期ファウンドリランキング、中国勢が成長」、セミコンポータル、(2024/06/13)