24年第1四半期ファウンドリランキング、中国勢が成長
2024年第1四半期(1Q)におけるファウンドリのトップテンランキングに変則が見られた。トップのTSMCと2位のSamsungは変わらないが、前回5位の中国SMICが3位に浮上、前回3位のGlobalFoundriesが5位に落ち、順位が入れ替わった。10社全体では、前四半期比4.3%減の291.7億ドルとなったが、いつもの季節要因による落ち込みによる。

図1 2024年第1四半期における世界ファウンドリトップ10ランキング 出典:TrendForce
3位に上がった中国SMICは、民生製品の在庫が減少し補充するという注文を受けたこと、および中国での現地生産が強まるという傾向がはっきりしてきたことによる。中国スマホ向け有機ELディスプレイ用ドライバICやCMOSイメージセンサの受注や中国向け生産需要によりSMICの売り上げは対前四半期比(QoQ)で4.3%増の17.5億ドルの売上額になった。この勢いはさらに増し、第2四半期には、「6.18ショッピングフェスティバル」という消費者向けの大型セールが始まり、スマホや家電などの売り上げ増が予想されるため、2Qのウエーハプロセス稼働率はさらに上がり、一桁%増で次も第3位が期待されている。
逆にGlobalFoundriesは、車載向けや産業機器向け、そしてデータセンター向けなどの見直しからの反動によってQoQで16%減の15.5億ドルに凹んだとTrendForceは分析している。
1位のTSMCは、1Qが季節要因、すなわちスマートフォンやノートPCなどの民生品の在庫が溜まるような季節に当たるため4.1%減の188.5億ドルとなった。それでも市場シェアは前回の61.2%を超える61.7%にむしろ広がった。TSMC以外のファウンドリもこの季節要因の影響を受けている。2024年第2四半期は、Appleの在庫周期が始まると共にAIサーバー関係のHPC(High Performance Computing)に対する着実な需要増により、QoQで一桁%の増加になると見ている。
2位のSamsungは、季節要因の影響をまともに受け、第1四半期はQoQで7.2%減の33.6億ドルになった。1Qは在庫が増えたために2Qの生産は期待したほど伸びないとTrendForceは見ており、中国市場でのスマホの大手ブランドがどれだけAppleのシェアを食えるかによってSamsungファウンドリの業績が決まりそうだと見ている。Samsungは5/4/3nmの先端プロセスノードの稼働率がむしろ下がり気味だという。
4位のUMCでは、1Qの出荷量が4.5%増えたものの、平均単価が下がったために打ち消され、売上額は0.6%増の17.4億ドルにとどまった。
3位になったSMICに続き、中国のHuaHong Groupは出荷量も稼働率も回復し、平均単価が若干下がったが、QoQで2.4%増の6.73億ドルになった。中国のNexchipも好調で0.6%増の3.1億ドルの売上額となった。
トップ10社の合計額は24年2Qには中国の大型セール期間とも重なり、QoQベースで下の方の一桁%増になるだろうとTrendForceは見ている。
参考資料
1. 「2023年4Qの世界ファウンドリのランキング、TSMCのシェア60%超え」、セミコンポータル、 (2024/03/13)