Kokusaiが富山県砺波市に新生産工場建設へ、IntelはAWSから受注
国内での半導体投資や人材育成が活発になってきた。半導体製造装置メーカーのKokusai Electricは富山県砺波市で新工場の竣工式を行った。Siウェーハ製造のSumcoは佐賀大学、産業技術総合研究所と半導体シリコンウェーハの製造におけるAI(人工知能)活用などで組織的な連携を推進する。Intelがファウンドリ部門を分社化することが決まった。
旧日立製作所系の半導体製造装置メーカーであるKokusaiは、1989年の日立時代に富山事業所を持っているが、富山事業所の生産の大部分を新工場に移管する。約240億円を投じる新工場は韓国などの海外工場も含めた生産能力を21年3月期比で2倍に高めると9月19日に日本経済新聞が報じた。生産を移管した後の富山事業所は研究開発体制を強化するという。Kokusaiの大株主は米投資ファンドのKKRで、Applied Materialsへの売却が失敗に終わったことからIPO(株式上場)によりキャピタルゲインを稼ぐ方向に変わり、2023年10月に東証プライムに新規上場を果たしている。今回の新工場の建設は、上場後の成長を見据えた設備投資との位置づけのようだ。
Sumcoは産官学を推進、研究開発や実証実験を進めるほか、ビッグデータ・オープンデータの活用や人材の育成・交流に取り組む、と9月19日の日刊工業新聞が報じた。実はこれら三者は従来から個別案件で連携する事例があったものの、今回は佐賀県庁で包括協力協定を結んだという。
図1 Intelの売上額と営業利益の推移 出典:Intel
2024年第2四半期(4〜6月)におけるIntelの決算では、米国会計基準のGAAPベースの営業損益は20億ドルの赤字となっている。ただ、半導体企業特有の決算基準であるNon-GAAPでは利益はゼロとなっている(図1)。売上額は128億ドルで前年同期比1%減となっており、営業利益はこの1年間の四半期では最低のゼロである。部門別でみると、より顕著にファウンドリ事業で利益が出ていないことがわかる。
パソコングループでは売上額74億ドル、営業利益25億ドル、データセンター&AI部門では売上額30億ドルで営業利益3億ドル、ネットワーク部門では売上額13億ドル、営業利益1億ドル、と製品は利益が出ているものの、ファウンドリ部門は売上額43億ドル、営業損失28億ドルと赤字まみれだ。その他のAltera部門とMobileye部門は共に売上額は少なく、それぞれ3.61億ドル、4.4億ドルだが、営業損益はそれぞれ2500万ドルの赤字、7200万ドルの黒字となっている。いわば製品部門での利益を全てファウンドリ部門が食いつぶした格好だ。
IntelのCEOであるPat Gelsinger氏は米国時間16日に、全社員に向けたレターを出し公開している(参考資料1)。その中で、ファウンドリ事業を分社化し、独立させると述べている。これにより、外部のファウンドリ顧客やサプライヤーとはIntel製品部門とは完全分離、独立で動けるようになる。ただしファウンドリ部門の経営陣はPatとのレポートラインは継続する。Intel本体はファブレスとなる。
ファウンドリ部門ではIntel 18Aプロセスの立ち上げをさらに加速し投資効率を上げていく。同時に100億ドルの節約目標(リストラ)を実行する。AI戦略としてx86に再注力する。
Intelは同日、AWS(Amazon Web Service)とも戦略的コラボレーションを拡大すると発表した。具体的には、Intel FoundryがIntel 18AプロセスでAIチップを生産する。既存の契約上、Intel 3プロセスでXeon 6プロセッサを製造、AWS向けにXeon Scalable プロセッサを生産する。同時に、米国政府の安全保障プログラムの一環として、CHIPs法案から30億ドルの補助金を受け取ることが決まった。
ただし、欧州でのアイルランド工場の生産能力は上げるが、ポーランドとドイツの工場は市場の需要次第だが、約2年間延期する。また、マレーシアの先端パッケージング工場の建設は完成させるが、稼働は市場需要次第となる。
参考資料
1. "Pat Gelsinger on Foundry Momentum, Progress on Plan", Intel Newsroom, (2024/09/16)