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2024年前半の世界半導体売上、トップはNvidia、2位TSMCに

2024年前半(1〜6月)の世界半導体メーカーのトップ10社をセミコンポータルがまとめた。ここでは半導体メーカーに焦点を当てたランキングであるため、ファウンドリも含んでいる。トップはNvidiaで約540億ドルとなり2位以下を大きく引き離している。2位は台湾のTSMC、3位Samsung、4位Intel、5位SK hynixとなった。

2024年1H 世界半導体メーカーランキング

図1 2024年前半における世界半導体メーカーランキング 出典:各社の決算発表資料を基にセミコンポータルが作成


このランキングは、7月下旬から8月上旬までの間に各半導体メーカーが発表した決算報告を元にまとめたもの。決算期が少し異なる企業は、1〜6月に近い四半期での決算をまとめている。例えば、Nvidiaは2月から翌年1月までが会計年度の決算期になっている。このため、2024年2〜4月の実数字と5〜7月の見積もり数字が含まれている。Broadcomは11月から翌年10月までが会計年度であり、Micronは12月から翌年11月まで、Infineonは10月から翌9月までがそれぞれ会計年度になっている。

さらにGartnerやOmdiaなどの市場調査会社は半導体製品の市場を求めることが主眼であるため、ファウンドリの売上額は含めていない。このためTSMCなどは除外されている。ただし、Intelはファウンドリ部門の財務を公開しているが、Samsungはメモリと非メモリとしか公開していないため、ファウンドリ部門の数字は明らかではない。以上から、他の市場調査会社のトップテンランキングとは違うことを認識しておいていただきたい。ただ、決算報告から半導体とそれ以外の部門が明確に分かれている企業は、例えばBroadcomは半導体事業部門だけの数字を拾った。

今回の順位では、Nvidiaのトップは揺るがない。同社の売上額は2〜4月期(1Q)に260億ドルを売り上げ、5〜7月期(2Q)には280億ドル±2%と予測しているため、中央値の280億ドルを用いた。2024年の前半(1Q+2Q)は前年同期比2.61倍の540億ドルを記録している。これまで変革期ではその見込みを大きく外したことはないが、その1Qでの見通しは240億ドルだったため上振れしていた。出荷実績と見込みからそれほど大きくずれたことは少ない。ただし、新製品のGPU「Blackwell」は出荷を遅らせたという報道が最近あり、その真実味を含め1H(前半)での数字は多少変わるかもしれない。

同社はチップだけではなく、それを搭載したプリント回路ボード(ドーターボードやカードとも呼ばれる)やコンピュータにまで仕上げたDGX-1なども販売しており、純粋に半導体チップの販売金額ではない。しかし、同社は半導体チップ製品とシステム製品とを分離していない。ゲーム向けのGPUといってもGPUをボードに搭載して製品が多く、ゲーム向け、データセンター向けなどの区分けしかしていない。

Nvidiaの収入増はデータセンター向けの製品が生成AI需要によって大きく伸び225.6億ドル、ゲームが26.5億ドル、プロ仕様のビジュアル化が4.27億ドル、自動車向けが3.39億ドル、その他0.78億ドルとなっており、データセンター向け需要が急増している。各社ともGPUを搭載しAI需要だけではなく高速コンピューティング需要でもデータセンター向けが増えた。

2位のTSMCは前年同期比22.5%増の396.9億ドルで、着実に2位をキープしている。3位のSamsungはようやくメモリが回復してきたことで同81.7%増の387.75億ドルとなり、今年後半もさらに増加するであろう。

Intelは4位に低下し、同6.6%増の257億ドルとなったものの、5位にはAI向けチップとセットで使われる大容量・高速メモリとして使われるHBM3でトップを行くSK hynixが入った。前年同期比2.33倍の216.4億ドルの売上額である。同様にメモリメーカーのMicronも同62.4%増の126.4億ドルで8位に入った。

市場に出ている株式総数と株価の掛け算で決まる時価総額の大きな企業として、半導体企業は上位11社の内、3社も入っている。3位に2.9兆ドルのNvidia、9位に8815億ドルのTSMC、そして11位に7340億ドルのBroadcomが入っている。上位100社の内に半導体関係企業は、12位以下では24位にSamsung(ただし総合電機)、28位にASML、51位にAMD、65位Qualcomm、72位にTexas Instruments、81位にApplied Materialsが入っている。ちなみに日本企業としては44位にトヨタ自動車がトップ100社の内、唯一入っている状況だ。11位のBroadcomは、もともとAvagoの半導体製品部門だけではなく、データセンター向けの仮想化ソフトウエアに強いVMwareを2023年11月に買収したことでインフラソフト部門が大きく伸ばした。それも2023年前半ではBroadcomのインフラソフトウエア部門は37.3億ドルだったが、24年の1Hでは98.6億ドルと大きく成長した。

参考資料
1. 「2023年世界の半導体企業、トップは2年続けてTSMC」、セミコンポータル、(2024/02/27)

(2024/08/15)
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