セミコンジャパン2012に向け、製造装置の発表続く
今週、半導体プロセス最大のイベントである、セミコンジャパンが幕張メッセで開催される。このイベントに出展する半導体製造装置メーカーの発表が相次いだ。クアルコムが100ドルスマホ向けのソリューションを中国などで進めているという記事もある。
大日本スクリーン製造が厚さ80μmのウェーハを洗浄できる枚葉式洗浄装置「SU-2000」を開発したと日経産業新聞が報じた。裏面照射型CMOSイメージセンサやパワー半導体などシリコンウェーハを薄く削る半導体チップの洗浄に向く。将来はロジックチップやメモリのTSV(through silicon via)を利用した3次元ICにも応用できる可能性があり、展示予定のセミコンジャパンでも注目を集めそうだ。
日刊工業新聞は11月28日〜30日の3回に渡り、半導体製造装置・検査装置の連載インタビューを掲載した。現状ではパソコン業界に陰りが見えているが、スマートフォンやタブレット市場が好調で半導体メーカーの設備投資が拡大すると、アドバンテストの松野晴夫社長は見ている。ディスコの関家一馬社長もノートパソコンからスマホやタブレット、自動車という新しい主役に交代する状況を把握しており、半導体需要が縮小する理由はない、と述べている。これらと対照的に、アルバックは、太陽電池やフラットパネルディスプレイから半導体へ戻ってきたが、同社の小日向久治社長は、TSMC以外の半導体メーカーは投資を抑えると見ている。長年、半導体産業に集中して世界と戦ってきた装置メーカーと、半導体産業と太陽電池、液晶産業と手を広げてきたメーカーの見方が異なるところが面白い。
ディスコは中古装置のビジネスも強化するが、その狙いについても関家社長は述べている。同氏は、中古業者のメンテナンス力不足によって、ディスコのイメージダウンが起きる可能性を懸念しており、自社がメンテナンスして売る方がその危険は少ないとする。中古ビジネスが始まった2000年代はじめに、金融・サービスのある企業が中古装置ビジネスを手掛け、エッチング装置を受注したのにスパッタ装置を売った、というしゃれにもならない逸話を、米国メディアが伝えたことがあった。
半導体製造装置やクリーンルームに使われるウェーハ搬送ロボットとして、ダイヘンが接地面積と消費電力を抑えた製品「アクトランスRD5700」を、また平田機工が450mmウェーハ対応の搬送ロボット「AR-Wnシリーズ」を、発表している。
サムコはSiCパワー半導体向けのドライエッチングRIE装置「RIE-600iP」を発表、セミコンジャパンで紹介する。SiCのパワーMOSFETは、そのオン抵抗を削減するためトレンチ構造を設ける動きがある。SiCにトレンチ構造を、高い量産性で形成するためのエッチング装置となる。
セミコンジャパン以外のニュースとして、ファブレス半導体トップのクアルコムが100ドルスマホキットを提供し、中国などの新興国市場を狙うという記事を日経産業が12月3日に掲載している。最近、半導体メーカーがユーザー企業(OEM企業)に対してチップをソフトウエア、サービスと共に販売するソリューションビジネスへと変身している。
これまで中国の携帯電話市場は2Gが主体で、山塞機と呼ぶ模倣品電話機が普及しておりチップを台湾メディアテックが提供していた。このためクアルコムは2Gの中国市場では強くなかった。しかし、3Gではクアルコムが基本特許を持つCDMA方式になるため、同社はこれまでの実績を元に3GのCDMAチップと開発環境「QRD(クアルコムリファレンスデザイン)」を提供し、中国市場を席巻しようとしている。3Gはクアルコムの特許を使わなければメディアテックでさえ設計できない。携帯電話機メーカーにとっては、この開発環境があれば簡単に設計できる。クアルコムのサポートも受けられる。クアルコムの成長は今後も続く。