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2025年の半導体市場、14%成長の7167億ドルを予想するGartner

世界の半導体市場は、2025年には前年比二桁となる13.8%成長の7167億ドルになりそうだ、という見込みをGartnerが発表した。昨年が同11.7%減の5300億ドルと大きく沈んだが、24年は18.8%増の6298億ドルに回復しそうだ。それでも本格的な成長にはまだ至っていない。それは25年になりそうだと見ている。

25年までの見通し / Gartner

表1 Gartnerによる25年までの見通し 出典:Gartner

2024年の成長のエンジンはAI関連の半導体チップであり、自動車向けや産業機器向けの需要はまだ回復していない。このため回復がゆっくりとしており、完全復活の状態にはまだ遠い。AI関連では、GPUとメモリが好調であり、メモリは25年には20.5%成長の1963億ドルになると予測している。NANDフラッシュは24年に単価が60%値上がりするため、その市場は大きく回復しそうだ。2024年全体では12%成長するが、25年は単価が3%程度下落し、755億ドルになると見ている。

DRAMは単体ではなく、数枚を3次元的に重ねて接続するHBM(High Bandwidth Memory)がAIのGPUと共に使われるため、大きく回復しそうだ。HBMと高速DRAMであるDDR(Double Data Rate)5の需要の高まりが25年は大きくなり、24年の901億ドルから25年は1156億ドルに伸びると見ている。

2023年以来、生成AIをけん引してきたGPUは、さらに伸び続け、25年には同27%成長の510億ドルに達するだろうとGartnerは予測している。HBMメモリメーカーは、次世代のAIチップやGPUの仕様に合うように実装するように研究しており、ここにも投資意欲は旺盛だという。HBMの売上額は、24年に284%成長し123億ドルとなったが、25年にも70%成長の210億ドルになると見込まれている。Gartnerは、2026年までにHBMチップの40%以上がAIの推論用に使われるだろうと見ている。現在はまだ30%にも見たないという。

今後、推論用のAIチップが活発になるのは、ある程度学習されたデータを使って、追加学習するだけで目的に応じた学習データが得られるようになってきたためだ。追加学習なら学習データ量はさほど大きくないため、高性能なGPUやAIチップよりも、エッジ向けのAIチップに大きな需要が期待されそうである。AIパソコンやAIスマホのようなエッジ利用や、工業用のマシンビジョンの推論利用などは25年から活発になってきそうだ。

(2024/10/29)
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