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世界半導体トップ20社ランキング、Intelが差を広げる

2016年の世界半導体トップ20社ランキングを市場調査会社のIC Insightsが発表した。それによると、Qualcommが前年比4%減の154億3600万ドルだが、順位を4位へ一つ上げた。メモリメーカーが順位を落とした格好だ。

表1 2016年の世界半導体トップ20社ランキング見込み 出典:IC Insights
http://www.icinsights.com/news/bulletins/Five-Top20-Semiconductor-Suppliers-To-Show-DoubleDigit-Gains-In-2016-/

表1 2016年の世界半導体トップ20社ランキング見込み 出典:IC Insights


1位のIntelは社内構造改革が終わり、8%成長になりそうだ。パソコンの売れ行きが低下する中、Intelは、パソコンのような飽和市場では常にハイエンドへ、またデータセンターのサーバー市場でも伸ばし、IoTシステムでもゲートウェイから端末、さらにはソフトウエアまでカバーし、さらにMcAfee買収によるセキュリティを強化し、これからのIoT市場への準備態勢を整えた。こういった戦略によりSamsungとの差を2015年の1.24倍から1.29倍へと広げた。来年も期待できそうだ。

2位のSamsungはDRAM、NANDフラッシュなどのメモリがダメでも、Appleのアプリケーションプロセッサ向けファウンドリビジネスが堅調で4%増を確保しそうだ。ただ、今後のiPhoneのプロセッサはTSMCが取っているため、これからは厳しい。しかし、Samsungはクルマに進出するためティア1メーカーの米Harmanを買収することで合意し、将来のクルマ市場への布石を打ち始めた。

3位のTSMCは絶好調の2桁成長で、ファウンドリ独り勝ちの様相を示している。AppleのiPhone 7をはじめ、Qualcommの製造が減った分、中国からも受注し、確実な成長を確保している。

ファウンドリを半導体販売額ランキングに入れると、半導体デバイス市場としてダブルカウントすることになるため、合計金額はあまり意味がない。ただし、製造装置・材料メーカーにとっては、半導体製造市場を理解する上ではファウンドリを含める方が都合がよい。表1のランキングからファウンドリを除けば、18位にAMD、19位中国のファブレスHiSlicon、20位にシャープが入ることになる。

ファウンドリを除く上位17社の合計金額は2016年の世界半導体市場の見通し額3571億ドルの68%を占め、2006年の上位17社の58%よりも10ポイント上昇し、寡占化が着実に進んでいることを示している。

4位のQualcommは4%減の154億3600万ドルだが、2015年もIC Insightsの見通しでは19%減だった。2014年に192億9100万ドルに達したが、今年も減少傾向だ。これは、スマートフォン自身の市場が4%成長へと鈍化しただけではなく、中国のスマホメーカーが中国内のファブレスのプロセッサを使うようになったため。HiSilconやStreadtrumなどのファブレスに市場を取られた。

14位のAppleは、アプリケーションプロセッサを設計し、製造はファウンドリに依頼するファブレスであるが、その半導体は全て内製に使い、一般市場には販売しない。64億9300万ドルはあくまでもIC Insightsの見込みである。

トップ20社の中で最も大きく成長するのはNvidiaで、35%増の63億4000万ドルを見込んでいる。グラフィックプロセッサ(GPU)やTegraプロセッサが伸びたためで、8〜10月期の四半期が急成長した。この間、ゲーム用途が63%増、データセンター用193%増、自動車用61%増と伸びた。

その次に伸びそうな企業は台湾のMediaTekで、29%増が見込まれている。スマートフォン市場が4%増しか伸びない中で、現在、中国で急成長しているOppoやVivoなどへの出荷が好調なためと見られている。

このランキングでは、QualcommのNXP買収は含まれていないが、それを単純合計すると、249億3400万ドルになりTSMCに迫る形になるが、順位は変わらない。また、2016年の見込み額には以下のような合併を含めている;Intel+Altera、Broadcom+Avago、NXP+Freescale、GlobalFoundries+IBM、ON Semiconductor+Fairchild。今後も大型M&Aは続くと見られており、最近ではドイツのSiemensがMentor Graphicsを買収することで合意している。

(2016/11/16)
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