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2010年上期の世界半導体ランキング、サムスンが着実にインテルを追い上げる

2010年上期の半導体企業トップ20社ランキングを米市場調査会社のICインサイツが発表した。これによるとトップは従来通りインテルだが、2位のサムスン電子との距離がぐんと縮まった。2009年、インテルはサムスンより52%も売り上げが大きかったが、2010年上半期では21%にとどまった。サムスンの追い上げが激しい。

ICインサイツが発表した2010年上半期の半導体ランキング

表 ICインサイツが発表した2010年上半期の半導体ランキング


ただし、上の表では企業名と地域が合わない所もあることに注意しよう。例えば今回初めて18位に入ったUMCは日本とあるが、これば台湾である。この表の中で、2009年よりもランクアップしたのはメモリーメーカーのハイニックス、マイクロン、エルピーダと、ファウンドリのTSMC、UMC、IDMの東芝、フリースケールである。すなわち大きな傾向として、メモリーメーカーとファウンドリが大きく飛躍したといってよいだろう。

逆にランクを落としたのは、ルネサスエレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、クアルコム、AMD、ソニー、メディアテック、富士通である。このうち、ルネサスエレクトロニクスは2010年4月1日に誕生した訳であるから、2009年の売り上げはルネサステクノロジとNECエレクトロニクスを単純に合算した数字である。

特に日本のメーカーは前年と比べ円高傾向が強いために本来の円表示の業績よりも良く見えるはずであるが、それでも落ちているため、他の国のメーカーよりも業績が悪いといってよい。

順位を最も上げたのはUMC、その次がエルピーダである。UMCは昨年の24位から18位にランキング入り、エルピーダは15位から一気に10位にまで躍り出た。

製造部門を持つファウンドリとメモリーメーカーは、景気が良くなるとすぐに結果に結び付く。特にコンピュータと携帯電話という2大市場での売り上げがメモリーと直結する。加えて、直近の伸び(2010年の1Qに対する2Qの比)はメモリーメーカーが特に顕著である。ハイニックス、マイクロンが共に14%の伸び、エルピーダは18%の伸びを示した。

ファウンドリは不況により設備投資できなかった分、キャパシティ(生産能力)が足りないため、需要に供給が追い付かないという状況が続いている。ファウンドリの客には、ファブレスだけではなくIDMもいるため、両方の市場が見込める。

もし独断と偏見で予想することが許されるのなら、2010年全体ではTSMCがTIと東芝を抜いて第3位にランクされる可能性も出てきた。上半期の金額は両社にほぼ肉薄しており、TSMCに勢いがある。TSMCの売り上げは2009年通年で89億8900万ドルだったが、2010年上半期だけで通年の68.7%という61億7800万ドルも売り上げている。これに対して、TIは昨年96億9700万ドルだったから、2010年の上半期はその64.5%に当たる62億5200万ドル、東芝は昨年の95億3700万ドルから2010年上半期はその65.5%に当たる62億4200万ドルとなっている。UMCも伸びそうだ。2010年上半期だけで2009年の70.2%を超えている。

(2010/08/02)
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