SiemensソフトウエアとEDA、AIを活用したツールで設計の生産性を大幅アップ
Siemens Digital Industries SoftwareがMentor Graphicsを2016年に買収して10年。AI時代に入り、半導体が注目され、機械系のソフトウエアと、半導体やプリント基板回路のEDAツールがつながり、モノづくりの総合EDAツールが揃ってきた。旧MentorはSiemens EDAの名称が定着、ものづくりツールとの連携がAI時代に進化を深めることになってきた。
図1 製品企画からチップに至るまでの半導体の設計PLM 出典:Siemens Digital Industries Software
AIはエレクトロニクスやIT産業だけではなく、機械産業やモノづくりにも欠かせない技術となってきた。ものづくりの試作、開発、生産開始、量産、運用、生産停止までいわば寿命が尽きるまでの一貫した管理ツールであるPLM(Product Lifecycle Management)は、今や半導体工場でも多数使われるようになり、半導体設計向けのPLMはSLCM(Semiconductor Life Cycle Management)と呼ばれるようになった(図1)。世界のIDMトップ5社全て、トップファブレス企業5社の内3社、トップファウンドリ5社のうちの3社に導入されているという。新しいラピダスにも導入されている。
同社のPLMは「Teamcenter」という製品名で呼ばれており、クラウド版Teamcenter Xも活用され一元管理されている。そのメリットは、試作から生産停止に至るまで全ての工程の関係者がいつでもアクセスできることだ。開発時に使われた部品やソフト、部材などの種類を、生産立ち上げでうっかり忘れてしまっても心配いらない。
さらにAIというツールを導入すると、生産性はさらに上がる。幸い、AIは当初(2012年頃)のニューラルネットワークベースのディープラーニングから2022年に生まれた生成AIまで揃ってきた。さらにテキスト入力だけではなく、音声や画像などマルチモーダルなモデルも採り入れ、SiemensはIndustrial Foundati0on Modelと呼ぶモノづくりに必要なエンジニアリングと製造の言語でAIを学習させるようになった。その結果、CADやシミュレーションにAIを組み合わせたエンジン設計では、耐久性が20%上がり、計算時間が1万5000時間短縮した。効率は63%上がり、Noxの排出量は30%削減された。
部品の検索や前のバージョンの設計データの探索などにはIndustrial Copilotを活用し問い合わせる、問題解決のためのAIエージェントや各AIエージェントを組み合わせる、などの事例もあるようだ。
半導体設計のEDAでもAIを活用する。Siemens EDAには、物理設計の検証とDFM(Design for Manufacturing)の最適化するCalibreや、プリント回路設計のXpedition、バラつきを考慮する設計のSolidoなど多数のソフトウエアがある。これらのソフトウエアの内、CalibreにはVision AIやSolidoには生成AIやエージェントAI、さらにRTLからGDSマスク出力までのデジタル設計ツールAprisa AI、接続の検証を行うQuesta OneなどにAIを導入し、生産性を2〜10倍以上上げている(図2)。

図2 いろいろなEDAツールにAIを導入して生産性を上げている 出典:Siemens Digital Industries Software
Siemens EDAは、基本的なEDAツールにAIや生成AIを導入した「EDA AI コア」を一般向けに販売する(図3)。これは、生成AIやエージェントAIの能力を上げたEDAツールとなる。さらに顧客のデータを組み込みカスタマイズして設計ツールやソフトウエア部品をアップグレードするような「EDA AI Open」も販売する。

図3 AIを組み込んだEDAツールを2種類用意した 出典:Siemens Digital Industries Software
Siemens EDAはツールをクラウドで利用できるようにしており、TSMCやArmなどをAWSのクラウド上でサポートしている。


