Infineonがロボットを動かす半導体にはGaNが最適という理由
Infineon Technologiesは、12月はじめにOktoberTech Tokyo 2025を開催、ロボットに不可欠な半導体は俺に任せろ、と言わんばかりの幅広い製品ポートフォリオを示した。ロボットにはセンサ、信号処理と制御のマイコン、手足を動かすパワー半導体、ロボット内外とのコネクティビティ、機能安全とセキュリティ、充放電エネルギー・電源管理などが必要不可欠。これらのほとんどすべてをカバーしている。例えばパワー半導体ではGaNは欠かせないという。

図1 Infinen Technologies パワー&センサーシステムズ事業部プレジデントのAdam White氏(右)とインフィニオンテクノロジーズジャパンVP兼社長補佐の後藤貴志氏(左)
Infineonのロボットを主導するのは、同社パワー&センサーシステムズ事業部プレジデントのAdam White氏。これまでの産業用ロボットやヒューマノイドロボットとこれからのロボットとの決定的な違いはAIを導入して学習させているかどうかだ。このため、AIを含めた「頭脳」としての機能を持つマイコンやAIチップ、さらには機能安全とセキュリティ、コネクティビティが極めて重要な機能になりうる。
また、人間の形を模したヒューマノイドロボットには70個以上の関節と、最大600個ものパワースイッチが求められるとAdam氏は言う。そういったロボットに求められる関節などでは、パワー半導体が欠かせない。しかもヒューマノイドロボットとなると人間以上のサイズに大きくできない。電圧はそれほど高くないものの、電流は数A以上のパワー半導体でモーターというアクチュエータを動かす必要がある。動力を伝えるための電力効率が高いことが望ましい。
これまでのシリコンMOSFETやIGBT、GaN HEMT、SiC MOSFET、SiC JFETなどのトランジスタの中で電力効率の最も高いデバイスがGaNである。このためスマートフォンの充電器などでは、GaN充電器や電源アダプタがすでに多く使われてきた。スマホ用だとできるだけ小さくしなければ消費者に受け入れてもらえないためだ。
InfineonはGaNトランジスタやGaN IC、双方向スイッチなどを数十品種も扱ってきた(図2)。同社はこれらのGaNトランジスタをCoolGaNというシリーズ名で呼んでいる。GaNがSiやSiCを含めた商用のパワー半導体の中で最も効率が高いため、熱くならないCoolという名を付けている。
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図2 Infineonが提供するさまざまなGaNデバイス
GaNデバイスの電力効率が高いことは、市販のGaNデバイスで長年実績を積んできた、Power IntegrationsのCTOであったDoug Bailey氏が同社のビデオの中で何度も述べている。また、シニアアプリケーションエンジニアのHan Cui氏は、入力電圧を300Vから1000Vの設計でも1700VのGaN ICの効率は90%以上を維持していると述べている(参考資料1)。
GaNの高い効率は放熱フィンが不要で、小さなプリント基板に実装できる点だ。特にロボットの手足の関節を動かすモーター駆動には、500円玉大の基板に実装できる(図3)。
図3 ロボットの関節にGaNを使う 500円玉大の基板(右下)に実装する
ロボット用途では、全ての関節を動かすためのモーター駆動基板は、可能な限り小さくし、放熱フィンを除去する必要がある。さもなければ関節のスペースには収まらない。効率の高さが売りになるGaNが用いられる点は一にも二にも高効率である。ヒューマノイドロボットの関節が70個以上も必要だということは、GaNの市場として1台当たりのロボットにはその10倍使われるということに他ならない。GaNの市場はロボット共に成長する可能性が高い。
参考資料
1. “1250/1700V PowiGaN”, Power Integrations


