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米粒より小さい32ビットマイコンを米TIが開発、製品シリーズを拡大

Texas Instrumentsは、MSPM0マイクロコントローラの製品ポートフォリオを拡充、最小の製品では米粒より小さな8ピン(リード)の32ビットマイコンをEmbedded Worldで示した。このMSPM0C1104製品は面積がわずか1.38mm2しかないウェーハレベルのCSP(Chip Scale Package)に入っている。補聴器やイヤホン、電動歯ブラシ、スタイラスペンなどの超小型の分野を狙う。

MSPM0 MCU / TI

図1 TIが開発した米粒より小さいマイコン 出典:Texas Instruments


補聴器やイヤホン、電動歯ブラシ、スタイラスペンなどの分野では、MCU(マイコン)に対して基板面積を少しでも小さくするためにIC半導体チップにも小型化を求めている。今回のマイコンはこれまでの競合製品より38%小型にできたとしている。

この小さなチップと同じサイズのCSPのマイコンには、16KBのフラッシュメモリと3チャンネルの12ビットA-Dコンバータ、3個のタイマー、UARTやSPI、I2Cなど標準的なインターフェイスが集積されている。6個の汎用入出力ピンでデータの送受信を行う。

今回のWCSP製品は最も小さく機能も抑えた製品であるが、このMSPM0シリーズは、図2のようにArmの32ビットマイコンコアArm Cortex-M0+をCPUコアとして集積した製品。最大24MHzで動作する。実に100以上の製品ポートフォリオを持つという。


MSPM0マイコン:100以上のArm Cortex-M0+マイコンによるTIの包括的なポートフォリオ / TI

図2 同じ製品シリーズがフラッシュ容量で小さいものから大きいものまで広い 出典:Texas Instruments


フラッシュマイコンとして、フラッシュ容量が8/16MBから最大512KBまでの製品があるが、今回のWCSPチップはヘルスケアやウェアラブル用途を狙ったもので、機能をかなり絞り込んだ製品である。フラッシュ容量最大の製品は、100ピンのQFPパッケージに入ったものでパッケージサイズは16mm×16mmとごく一般的なICサイズとなっている。製品MSPM0C1104には、2種類のパッケージで提供されており、わずか1.38mm2の製品だけではなく、QFN(Quad Flat No-Lead)に実装された製品もあるが、GFP版は20ピンの厚さ0.8mmで9mm2となっている。

WCSPパッケージは、ウェーハ処理を終えたのち、ハンダボールやCuピラーなどを形成した後にプラスチックモールド樹脂をかぶせる、あるいはモールド樹脂をかぶせた後にハンダボールをかぶせる。ダイシングはその後になる。いわば前工程で後工程も行うことになる。TIでは、これらのマイコンを社内で製造するだけではなく、WCSPパッケージ工程も社内で行う、と同社製品マーケティングエンジニアのAlex Grudzinski氏は述べている。

(2025/03/28)
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