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Nvidia、半導体史上最高の1305億ドル年間売上額、成長はまだ止まらない

Nvidiaの第4四半期(4Q)における決算が明らかになった。売上額は前年同月比(YoY)78%増、前四半期比(QoQ)で12%増の393億ドル、営業利益はNon-GAAPで255億ドル、GAAP(米国会計基準)でも240億ドルとなった。利益率にしてNon-GAAPの255億ドルは64.9%にも達している。同社は7カ月連続、過去最高を記録してきたと言える。さらに次の四半期も4Q25の数字を超えると予想している。

図1 Nvidiaの四半期ごとの売上額推移 出典:作成筆者

図1 Nvidiaの四半期ごとの売上額推移 出典:作成筆者


同社の決算期間は、2月から翌年の1月までとなっており、2025年度4Qは2024年11月から25年1月までの期間である。4Qまでの決算が出たことで年間の2025年度の売上額は、半導体史上、過去最高の1305億ドル(約19.5兆円)となった。これまでの半導体企業の売上額がここまで大きくなったことはなかった。

Samsungの売上額は2024年度(1〜12月期)で764億ドル、Intelは531億ドルでこれ以上の半導体製品メーカーはいない。とてつもない数字となった。

Nvidiaの好調さはデータセンター部門に強く依存している。特にAIデータセンターではNvidiaのチップを必要としている。4Q25における売上額393億ドルの内、データセンター向けが実に90.5%の356億ドルに達する。特に生成AI向けにはNvidiaのAIチップ(GPUあるいは、GPU+CPU)を数百、数千個も使うことが多い。最新のGPUであるBlackwellとCPUのGraceを用いたAIボードは、数百万円もすると言われている。


図1 Nvidiaの四半期ごとの売上額推移 出典:作成筆者

図2 Nvidiaの部門別売上額の推移 出典:Nvidia


それ以外の部門の売上額はこれに比べると小さく、その次がゲーム部門の25.4億ドルとなっている(図2)。またゲーム部門はパソコンやスマホの売れ行きと似た傾向があり、Nvidiaでさえ、ゲーム部門は3Q25(2024年8〜10月)に32.8億ドルからやや落ちている。それ以外のプロ仕様の可視化技術部門は5.1億ドル、車載部門は5.7億ドルとまだ小さいが、これらは着実に増えている。ただ、データセンター向けほど急激な伸びではない。

こうやって見てくるとNvidiaの業績は、データセンター向けの生成AIチップが極めて大きい。一つの応用だけで成長しているため、Nvidiaという会社に対して不安を持つのであろう。しかし、AIはこれから全ての産業へ広がっていく。生成AIはこれまでのAIから応用を拡大した。コールセンターや新人研修などにもこれから使われるようになる。AIは用途ごとに構成される究極のカスタム専用技術である。このことは逆にいえば今後、AIが適用される用途は拡大の一途をたどる。しかも、Nvidiaの強みは、単なるチップ提供だけではない。チップの他に、チップを実装したボードやソフトウエア、ツールなども含めたソリューション提供できるビジネスである。

次の四半期である2026年度第1四半期の売り上げ見込みは、過去最高の430億ドル±2%となっている。これまでの伸びの予想を見ると同社は常に保守的な予想をしてもこの伸びだ。同社の成長はやはり止まらない。

参考資料
1. "NVIDIA Announces Financial Results for Fourth Quarter and Fiscal 2025", Nvidia, (2025/02/26)

(2025/02/28)
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