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Lam Research、KLA買収で合意

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Lam ResearchがKLA-Tencorを106億ドルで買収することで合意した。買収金額は株式交換と現金になる。LamがKLAを買収するという動きは、製造装置業界の再編を進める力になりそうだ。両社が合併すると、年間売り上げは87億ドルに達し、Applied Materialsに次ぐ第2位になる。

今回の買収が成立すると、Lam/KLA合弁会社はAppliedなどの競合に対して競争力を持てるようになる。しかし、最近まで問題となっていたApplied と東京エレクトロン(TEL)との合併時のように、当局の規制が強くかかるであろう。AppliedとTELとの合併は、規制によって遅れに遅れてこの4月に結論が出たが成功しなかった。規制は、AppliedとTELによる製造装置業界の独占に結びつくという懸念であった。

Lam/KLAが同じような運命をたどると言うことは時期尚早だろう。確実に言えることは、Lam/KLA会社が製造装置業界の大手になることである。両社が合併するとウェーハプロセス装置の42%を占めるようになる。

Lamは特にエッチングや、CVD(化学的気相成長)、ウェーハ洗浄などに強く、KLA-Tencorは世界最大のプロセス制御ベンダーである。LamがKLAを買収すれば、メトロロジーやインスペクションという新市場に参入できる。KLAは世界最大のマスク検査およびウェーハ検査装置の最大手だからである。加えて、メトロロジー市場の最大手でもある。

この買収では、両社はLam Researchの名前を使うだろう。現在LamのCEOであるMartin Anstice氏が合弁企業のCEOになる見込みで、同会長のSteve Newsberry氏が会長職を継続する。KLAからは2名が取締役会に参加する。

「合併により両社はプロセスおよびプロセス制御において業界のリーダーになり、顧客が直面する問題を素早く解決できるようになるでしょう。というのは、低消費電力、高性能、小型化という市場の要求に応えられる企業規模になれるからです」とAnstice氏は述べている。

アナリスト達はこの動きを楽観的に見る。「これは医師の処方ようなもので、メモリでのLamへの過剰な依存と、ファウンドリ/ロジックのKLA-Tencorへの過剰な依存を解消することにつながるでしょう」とW.R. Hambrecht + Co./Summit Researchのアナリスト、Srini Sundararajan氏は述べている。

しかし、この合併作業は業界が景気後退期に行われることになる。IntelやTSMC、Samsungなどは最近設備投資をカットしてきた。世界の半導体設備投資は、2015年に前年比1%減の639億ドルになりそうだとGartnerは予測している。Gartnerが四半期前に予測した時は2.5%増となっていた。2016年の予測は2015年比で3.3%減は変わらない。ガートナーの調査部門VPのOgawa Takashi氏は「不確実な経済環境に対して、エンドユーザーの民生市場の弱さが続くと見ています。来年は投資計画が一段と削減されるほどの供給過剰にDRAMメーカーは見舞われるでしょう」と述べている。

一方、LamとKLA-Tencorの買収合意の下で、LamはKLAを買収するのに現金で50億ドルを用意し、Lamの株式の8000万株(10月20日時点で56億ドル相当)を渡すだろう。KLAの株主は、合併企業株の32%を持つと見られる。このやり取りは、合併決定後12カ月以内にLamの非GAAP利益(会計原則に基づかない指標)と1株当たりのフリーキャッシュフローに近づいていくと予測されている。合併後18〜24カ月後には年間のコストは2億5000万ドルになり、年間の売り上げは両社の製品の違いや新しいシナジー効果の創出により2020年までに6億ドルずつ増えていくと見込んでいる。

金額面でのやり取りは2016年の半ばまでに終えたいとしているが、規制当局の認可を受けるまで、作業は中断すると見られる。加えて、両社それぞれの株主総会での承認を経て合併が決まるが、規制当局の早い認可に期待している。

Semiconductor Engineeringから
(2015/10/22)

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