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ルネサスとNECエレの合併、予定通りに進め、28nm先端プロセスの開発も推進

ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスが合併契約を結んだと両社が共同発表した。予定通り、2010年4月1日付けでルネサスエレクトロニクス株式会社という名称で統合するが、独占禁止法に照らし合わせて各国へ認可を取り付けている最中で、日本、中国、韓国が現在審議中だとしている。

両社はこれまでファブライトへシフトすると伝えられてきたが、統合後に就任する予定の赤尾泰代表取締役社長は、28nmの先端プロセスの開発は続け、開発リソースは1本化すると述べている。さらに「22nmプロセスについてもリソグラフィが(EUVへと)大きく変わるので、どうすべきかを検討していく」と続けた。32nm以降の先端開発を決して止めるわけではないようだ。

両社のSHコンソシアムやV850パートナーといったそれぞれのマイコンのソフトウエア開発のためのサードパーティは、それぞれのマイコンの製品持続についての懸念があったが、これに対して、赤尾氏は「ルネサスが誕生した時も製品開発を急にやめるというような懸念の声はあったが、製品はずっと継続してきた。両者独立にマイコンを開発してきて、今後の製品開発の継続は担保する」と述べた。さらにプロセッサのラインアップをさらに改善したり、新規に投入したりすることもあるだろうとした。

ただし、ルネサスが誕生した当時のSHマイコンコンソシアムの規模は今とは全く違う。車載用SHマイコンのSH-Naviコンソシアムの会員は2005年度の23社から2009年10月時点で71社にも達している。マイコンの入出力仕様を公開してサードパーティのエコシステムを作ることでマイコンの品種を拡大し、マイコンビジネスを伸ばしてきた。NECエレクトロニクスもルネサスと同様、オープンなエコシステムを形成することでマイコンビジネスを伸ばしてきた。少なくとも赤尾氏と次期代表取締役会長に就任する山口純史氏は製品を中止しないと述べたが、その後について保証されるかどうかは今のところわからない。

むしろ両社のこれまでのブランド力を生かして、ホールディングカンパニー制度を採りその傘下にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジを置くという考えはあったかという質問に対しては、「ホールディングカンパニーだとシナジー効果は出ないと考えている。両者の重複を排除して、各社のIPを相互利用するなどシナジー効果を出すためにはホールディングカンパニー制という選択肢は考えなかった」と山口氏は答えている。

海外企業は、買収、合併する場合でも相手のブランドをそのまま残すところが多いが、社名まで変えてしまうという選択はいかにもドメスティックな企業同士の合併と映る。合併時の増資によって株式の価値が薄まる希釈化はほぼ50%になってしまうが、その株価を超えるように利益を上げていきたいとしている。将来、グローバル市場への売り上げを現在の45%から60%へ伸ばしたいとしているが、具体的な道筋はまだ示されなかった。

統合後は100日かけて業務のレビューを行い、ラインの統廃合、物流の無駄など明らかにしシステムを置き換えるか、どちらかのシステムに統一するのか、決めていく方針だ。いずれにせよ、両社の社員は4月に向けて合併手続きを粛々と進めている。

(2009/12/16)
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